その銀狼、満月に笑う 1
2章クライマックスです。
闇の曜日(現実時間21時から)の朝―
「よしソル、森林に行こうか」
一昨日の狩りで分かった。森林は『剣王』も『王弓』も上げるのに適していると。
「うん! 朝から戦闘は初めてだね!」
「そうだな。俺も初めてだな。あっ、そうか、長丁場になるんだから、フェルさんのとこで武器のメンテナンスをしていこう」
っと危ない危ない。いくらスキルレベルが高くて耐久値の減りが遅いからって、メンテナンスは必要だ。これを怠ると大事な場面で武器が壊れて、負ける可能性も出てくるからな。
「フェルさん、武器のメンテナンスをお願いします」
「おう! 任せろ!」
俺はとソルはアイアンソードと弓を出した。
「そうだフェルさん。もう一本アイアンソード下さい」
前に買った2本目はソルにプレゼントしたからな。
俺の二刀流ロマンの為に追加せねば!!
「いいぜ。俺の自信作をやろう」
そう言ってフェルさんは店の奥に行き、1本のアイアンソードを持ってきた。
「こいつの作り方は俺の弟子になったら教えるよ。待ってるぜ?」
歯をキラっと見せて言ってきた。
「はい! 大きな問題があって、その為にお金稼ぎをしなきゃいけなくなったので、それが終わったら来ますね!」
大きな問題だ。ソルに巫女服を着せるのはとても大きな問題だ!
「そ、そうなのか? 無理はするなよ。お前の剣は、あの時から『生きているんだ』。折れるまで......死ぬまで使うなんて事はしちゃダメだぞ?」
それは分かっている。あのアイアンソードは俺の愛剣だ。そろそろ愛着度も300の大台に突入する所だ。
「はい。肝に命じます。俺の命を守る剣を、命をかけて俺が守ります」
「あぁ、それぐらいの気持ちでいてくれると、鍛冶屋冥利に尽きるよ。それと、これが新しい剣だ。どうだ?」
性能を見せてくれた。
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アイアンソード Rare:5
攻撃力70
耐久値700/700
付与効果『斬撃補正:小』『刺突補正:小』
??武器職人フェルの渾身の出来のアイアンソード
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「フェ、フェルさん!? 何ですかこの性能のアイアンソード!」
「どうだ?面白いだろう?さっきも言ったが、こいつの様な武器の作り方は弟子になったら教えてやる。こいつも使って、金を稼いでこい。」
あぁ......この人は。優しすぎるだろう!
「はい。大切に使わせていただきます」
「おう! あ、それは金は要らねぇぞ? 弟子になる契約書みたいなもんだな」
えっ、それはさすがに......いや、ここはありがたく受け取ろう。弟子になると決めたんだ。
「はい! ありがたく受け取ります!」
「おうよ! それと、ほい。メンテナンスは終わったぞ。他になにか買ってくか?」
う〜んこれと言って無い、かな?
俺がそう思っていたらソルが――
「矢を貰っていいですか? 700本程」
「え? そんなに買うのか? ソル」
「うん! 弓術のレベル上げにマルチショットを使おうかなって」
なるほどな。それなら俺も買おう。真似したいぞ。
「フェルさん、俺も700本ください」
「おう、 待ってろ! 今持ってくる!」
今のうちに代金を出しとくか。
......矢が1本5Lって結構安いと思う。倍はとっても誰も文句は言わないだろう。
「待たせたな、ほら、1,400本だ。2人合わせて7,000Lだな」
そうだ、ここはアレをやろう。
「ソル、俺が出すよ。今日の狩りを提案したのは俺だしな」
「えっ! いいよ? 本来なら手持ちの矢で足りる分にプラスで買うだけだから、出すよ」
折れるな俺!
「出させてくれ、頼む」
「はは! 嬢ちゃん、ルナに気に入られてんなぁ!」
それを聞いたソルの顔が真っ赤になった。
「わ、分かった。ありがとう、ね?」
グハッ! 可愛すぎる! 『ね?』のタイミングで首と尻尾を傾けるのは卑怯だろ!!!
「あぁ。どういたしまして?」
むしろ俺がありがとうございます。
「ほいよ、7,000L確かに受け取った。じゃあ、気をつけていけよ? 金稼ぎってんならゴブリン狩りだろ?今日は満月だからな。アルトム森林のモンスターは活発になるぞ」
えっ! そんなことがあるのか!
「そうだったんですね! 分かりました、気をつけて行きます。ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
「おう! じゃあな!」
そうしてフェルさんの店を出た。
「よし、メンテナンスもお試し武器も......かなり高性能なのも貰ったし、今度こそ行くか!」
「うん! 頑張ろう!」
そうして俺達はアルトム森林に向けて歩いていった。
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―これは記憶......我の大切な人の、記憶。
「......運がいいな。あの日の夢を見た日は、決まって良い一日になる。楽しみだ」
遊びたい、あの時のように―
そう思い、――は笑った。
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小さくちょこちょこ出す感じになります。
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