素直な子
第10章です。早いものですね(*’ω’*)
これからもよろしくお願いします!
「パパ〜!」
「ぐふぅ.....お〜、メル之助。良い子にしてたか?」
「してた。シリカねぇのおてつだい、ちゃんとしたよ?」
「偉いな。よしよし」
狐国から家に帰ってくると、メルの激突お出迎えを頂いた。
数日もメルに合わなかったのは初めてだ。それ故に、メルの身長が少し伸びた気がする。
コレガ......パパノキモチ......?
俺はメルを抱っこして、ソルとリルを家の中に入れた。
「あ〜可愛い。本当にメルは可愛いなぁ」
「フヒョヒョヒョ!」
「笑い方やべぇな。お前本当にメルか?」
「しつれいしました」
突然ぶっ壊れた笑う方をするから心配したぞ。隣に居るリルを見てみろ、人類が初めてムカデのキモさに気付いた顔をしているぞ。
「メルちゃん......変わりましたね」
「良い個性が出てきたね。メルちゃんらしくて私は好きだよ?」
「ありがとうママ。でもこのわらいかたは、セレねぇがわらってたのをマネしただけ」
「セレナが......会いたくねぇな」
そう言ってリビングのドアを開けると、セレナやシリカ、アルスがお出迎えしてくれた。
「あら、酷いご主人様がいたものね。折角私も出迎えに来たのに、そんな事を言われるなんて......」
やっべぇ。特大級の地雷を、犬のフンを枝でつつくかの様に起爆させちまったぁ!
「た、ただいまですセレナさん。お元気でしたか?」
「たった今病気になったわ。それも、深い深〜い心の傷から入った病気が」
ですよね。あなたならそう言うと思いましたよ、ええ。
「おかえり。お兄さん、狐ちゃん、リルちゃん。狐国は楽しかった? ......っていうか匂いからして、稲荷ちゃんに会った?」
「ただいまシリカ。お稲荷さんには帰る直前に会ったよ。神社に参拝したら、ひょっこり出てきた」
「へ〜」
おぉ、ここまで興味を持たれないとは思わなかったな。
もしかしたら神が下界に居ることって、しょっちゅうある事なのかな?
狐国でのオケアノス然り、お稲荷さん然り。実は知らない内に、結構な頻度で神に会ってそうだな。
「お帰りなさいませ、主」
「おう、アルス。メルのお守りは大変だったか?」
「いえ。お嬢様は1人でどこかへ行く事はありませんでしたし、遊びに行く際も、必ず誰かを連れて行くようにしていました。それに、そもそも1度しか外に出ませんでした」
「そうか。メル、インドア派だもんな」
「うん。本をよんでるだけで、じかんがきえてく」
「気持ちは分かる。アルス、ありがとうな」
「ありがとうございます」
うんうん。イブキのお陰か、アルスの執事度がグングン伸びてるな。まるでグングニールだ。
は?
「さ、俺はチェリの所に行ってくる。ソルはどうする?」
「んにゃぁ〜......する事ないね。槍でも作ってくる!」
「ほほぅ。完成したら見せてくれ。フー、イブキ、戻って良いぞ〜」
そうして皆を人に戻した所でメルを降ろし、俺はチェリの居る農場へ足を運んだ。
「チェリ、デカくなったなぁ」
狐国へ行く前は俺の腰ぐらいの高さだったチェリが、今は肩ぐらいまで成長していた。
今回の旅行中はシリカに俺の血の入ったバケツを渡していたので、それを貰っていたと思うが......立派になったもんだ。
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『チェリ』は喜んでいます。
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「綺麗になったもんだ。別荘を建てたら、そっちにチェリは移動して貰おうか」
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『チェリ』はあなたに着いて行きたがっています。
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おいおい。見ないうちに感情表現豊かになってるじゃないか。しかも着いて行くだなんて、桜の木で在りながら、トレントの様に歩く気なのか?
歩く木なのか......なんちゃって。
は?
「そうかそうか。取り敢えず来年の春に成長しきりたいよな。満開になったチェリを見れば、より春を感じるだろう」
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『チェリ』は頑張るようです。
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「お前可愛いな。愛着が湧きまくりパラダイスだぞ」
チェリは素直な子になったもんだ。お兄さん、苗木から育てて良かったと思ってるよ。
あの宵斬桜の幼体(?)なのだから、チェリもいつか、人になって喋りそうだな。
もしそうなっても、素直な子でいて欲しいものだ。
「はぁ......ごめんなぁ。明日からまた旅行なんだ。今度はマサキっていう友達とエルフの里に行くんだ」
多分、また数日は空ける事になるだろうな。
「チェリに良さそうなお土産とかあったら、買ってくるよ」
俺は右手でチェリに触れながら話しかけると、チェリがさわさわと動きだした。
『たの......しみ』
「えっ!? 今喋った!?」
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『チェリ』は喋っていないそうです。
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「いやいやいや。絶対に喋ったって! 『楽しみ』って、そう言ったって!」
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『チェリ』は喋っていないそうです。
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「んぐぁぁぁぁぁ!!!」
素直じゃねぇなぁ!! ツンデレか? ツンデレなのかぁ!?
「フフ......全く。今日のルナ君の血は美味しいですか〜?」
軽く笑ってからステラで腕を刺し、チェリに血をあげた。
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『チェリ』はもっと寄越せと言っています。
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「そんな子にはもうあげません。『癒しの光』」
『......』
「もっと欲しいなら、ちゃんと言葉にして伝えてくれ。それと、物を頼む態度が悪いぞ」
何で俺は桜の木に説教をしているのか分からないが、チェリは普通の桜の木じゃないので良しとする。
......そうしないと、客観的に自分を見たら吐きそうになるからな。
『......くだ......さい』
「ん〜???」
『血を......ちょっと......ください』
凄い。本当に喋ってくれた。お淑やかと言うか、落ち着いた雰囲気の声だ。
そして、ちゃんとお願いされてしまったら応えるしかない。
「はい、どうぞ」
俺はもう一度ステラを刺し、追加で血をあげた。
『あり......がとう』
「どういたしまして。初めて喋ったけど、感想はどうだ?」
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『チェリ』は疲れると言っています。
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「まぁ、そうだよな。本格的にお喋りをするのは、チェリが大きくなったらにしよう。じゃあな」
俺は最後にチェリに挨拶をして、リビングに戻ってきた。
「お〜い、マサキとの旅行に着いて行きたい人〜!」
「「「「「「............」」」」」」
嘘でしょ。まさかの全滅? マサキ、お前ウチの子達に何したんだ?
「あら、誰も行かないなら私が行きたいわ。ルナとの旅行って初めてだし」
「セレナだけか。アルスやメルはいいのか?」
「我は主に呼ばれれば直ぐに参上します」
「わたし、しらないひととあそびたくない」
「えぇ......知らないって事は無いはずなんだが。あのマサキだぞ? いかにも主人公みたいなやつ」
「しらない」
Oh......マサキ、可哀想に。メルに覚えられてすらいないとは。
夏に一緒に遊んでくれたのにな。本当に可哀想だ。
「じゃあ、今回のメンバーはセレナオンリーという事で。長丁場になっても、緊急時以外は呼ばないからな?」
「それで大丈夫ですよ。どうせ私とシリカさんは呼ばれますし」
「うんうん。フー姉ちゃんの言う通......シリカ、狐国で呼ばれてないんだけど」
「はい。緊急時でも呼ばないと思いますが、今回はセレナだけとなりました。文句は受け付けませ〜ん」
「ふふっ、ルナを独り占めね......いや、ソルから少し借りると言うべき?」
「知るか。変な事したらソルにチクってやる。ボコボコにされるぞ」
「......まぁ、楽しめるように頑張るわね」
怖気付いたな。それもそうだ。あのソルさんがお怒りになられると、本当に怖いからな。
こう、冷たい炎という雰囲気があるんだ。少しでも触れれば、一瞬で塵になりそうな炎の様な。
それでもチャレンジする青いヤツが1名いるが、本当に稀なケースだろう。
「じゃ、マサキに連絡入れるわ。帰ってきて直ぐ『行ってきます』とは、中々に忙しい」
「自業自得ね」
「いいんですぅ。僕は楽しめればそれでオーケーなんですぅ」
たった5文字のセレナの言葉に答えてから、俺はマサキに連絡を入れた。
改稿の進捗ですが、0章と1章は完了しました。
ここからはペースが落ちるので、チマチマ改稿になります。チマ稿です(?)
さて、次回ですが.....未定が予定です。お楽しみに!