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おい、お前も忍者になれよ

新作狩りゲー.....

 




 ◇◇




「今日は楽しかったです! ありがとうございました!父様、母様!」


「それなら良かった。俺も楽しかったし、また遊びに来たいな」


「私もっ! 忍び込むのを忘れてずっと遊びたかったね!」



 俺も同じ事を思った。狐城の事を忘れ、リルとソルと一緒に街で遊んでいたかった。


 食べ歩きをしたり、狐国の冒険者ギルドで話を聞いたり、まだまだやり残した事......というより、1日では時間が足りない事が多い。



 狐城についてが終われば、この国にしかない『神社』にもお参りしたいな。



「では父様。侵入の成功を祈っています。母様もお気を付けて」


「あぁ。ありがとうリル」


「頑張るね!」



 最後にリルの頭を撫でてやると、目を細めて喜んだ後に、光となって俺の中へ入って行った。


 こういうシーンを見ると、どうしても『テイムモンスター』だという事を再確認させられる。


 それは俺を少し傷付けると共に、正しく理解を補填してくれる大切な要素だ。

 リアルとゲームが混合しないようにする、ストッパーなのだろう。




『ルナ。今どこだ?』


『マサキか。今は宿屋にいる。これから門の前まで行くところだ』


『了解。待ってる』




 約束の時間まであと少しになり、俺とソルは暗黒魔法で気配を消して、夜の狐国を眺めながら狐城の門前まで飛んできた。




「2人とも、来たか。早速使うぞ?『ロストエースィ』」




 俺達を待っていたマサキは魔法を発動させると、俺達3人の体が半透明になった。

 幽霊の様な見た目だが、きちんと物質的な実感はある。



「すんげぇなこの魔法」


「だろ? 俺の魔法の中でトップクラスに悪用出来る魔法だ」


「うわ......」


「いや待って。悪用しないから。した事ないから!!」



 ソルにドン引きされているが、無理もない。これは変態に持たせてはいけない魔法ナンバーワンだからな。



「取り敢えず着替えるか。半透明とは言え、雰囲気が大事だ」


「そうだね!」


「え? 何するんだお前ら」



 聞いてくるマサキを他所に、俺とソルはウィンドウを操作し、忍者の格好に着替えた。俺は紺色の着物に同色の足袋に。


 ソルは黒に近い、濃い茶色の着物だ。闇に紛れる為に全力を注いだ装備だな。



「おい、お前も忍者になれよ」


「いや持ってねぇよ! っつか何でそんな衣装を持ってんだよ!?」


「そりゃあ、ソルが趣味で作ってたからだろうが。他にも色々あるぞ?『黒の神官シリーズ』とか、『青の蛮族シリーズ』とかな」


「何それ蛮族シリーズ気になるんだけど」


「アレは着たくない。服というより、布切れだからな。ソルが発情する」


「あぁ......」



「何が『あぁ......』なの! 私はそんな事じゃ発情しないし! ルナ君、失礼にも程があるよ!」


「え? でも試着した時、押し倒して来なかったか?」


「あ、アレは......ちょっとシステムの壁を乗り越えた喜びを表現しただけ!」



「「ダメじゃん」」




 結果としてマサキは、赤黒い色のワイバーン製ライトアーマーに着替えて潜入する事になった。




「じゃ、行くぞ」




 今回は、狐城に入れるという事で、1番ワクワクしてるマサキを先頭にして進む。

 音魔法で足音を消し、門の横から壁の上に登り、本城に少しずつ近づいて行く。



「止まれ」


「3人だな」


「殺る?」




 本城に入る前、絶対に通るルートとなる馬小屋の前に、3人の甲冑を着た兵士が居た。


 1人は槍を持ち、2人は刀を腰に提げている。



「いや、気絶......違うな。殺るか」



 そう言って緑色の短剣を取り出したマサキを止め、俺は首を振った。



「ダメだ。殺すと厄介な事になる。俺がやる」


「......分かった」


「頑張れ、ルナ君」



 考え無しに言った事じゃない。ちゃんと魔法を使うぞ。



「『ダークスフィア』『ミラー』」



 3人の兵士を大きな黒い魔法の球体で包み、デバフとバフの両方を反転させる魔法を使う事で、『外からは見えるが中からは見えない』空間を作った。



「何それ最強じゃん」


「何言ってんだ。バフを掛けられてたらその倍以上の負荷でデバフが掛かるんだぞ? これを常用すれば、俺のステータスは常に1万を下回るぞ」



 この魔法、バフの定義を曖昧にしたせいで称号による有利効果も反転させてしまうのだ。


 しかも作った当時、暗黒魔法の方がレベルが高かったせいか『バフからデバフ』になる時は等倍の反転にならないんだ。


 故にこれは相手にしか使えない。何でもかんでも自分の思った通りに行くとは限らないからな。




 3人の視界を奪ったを確認してからマサキに合図を出すと、馬小屋の屋根へジャンプし、そのまま本城の入母屋破風(いりもやはふ)と呼ばれる屋根に乗り移った。




 あと少しでムラマサの元だ。気を引き締めよう。




「敵襲! 敵襲だ〜! 数は3! かかれえぇ!!!」



 屋根を段々に伝っていると、少し離れた位置にいた兵士にバレてしまった。



「2人とも、頑張れよ。ちょっと侍になってくるわ」


「ちょ待っ!」



 マサキが凄まじい速さで屋根から降り、叫んだ兵士の胸に刀を突き刺した。



「言ってみたかったんだ!......ここは俺に任せて先に行け!」


「忍び込む意味ぃぃ!!」


「ふふっ」



 俺は小さくツッコミを入れると、ソルに合図を出して屋根を登って行った。




 そうしてマサキという尊い犠牲を出しながらも、ムラマサと思われる人物が座っている部屋に着いた。




「誰だ。そこに()るのは分かっているぞ。数は......2人か」




 うそん。完全に足音消してるのにバレちゃったよ。


 しょうがない。忍者から侍へ、俺もジョブチェンジするとしよう。

 ソルと一緒に普通の和服......花鳥風月に着替え、俺達はムラマサであろう人物の前へ躍り出た。




「こんばんは。貴方がムラマサさんで合っていますか?」



 俺がそう聞くと、目の前の男は刀に手を掛けながら答えた。



「フッ、生憎と鼠に教える名など持っておらぬ」


「ここへ来るのに、ムラサメという男の力を借りたとしても?」


「......」



 ソルの援護射撃が入ると、男は黙りこくった。



「............貴様ら、名は何と?」


「俺はルナ。一応刀鬼流に入っている」


「同じくソルです」



「何が目的で兄者の力を借りた」



「貴方が海神オケアノスから受け取ったという妖刀を求めて」


「何故あの妖刀を?」


「あの妖刀は俺がオケアノスに渡した物だからだ。クラーケンを倒し、入手した剣をオケアノスに渡したところ、それが妖刀だと最近知ったからだな。要は興味本位」



 俺はそう言い切ると、ムラマサであろう男は俺をじっと見つめ、頷いて刀から手を離した。




「良かろう。貴様らには試す価値がある。私の名は『ムラマサ』偉大なるヤマシロ様の弟子であり、この国を治めてる者だ」




 ちょっと待って。すんげぇお偉いさんだったんだけど。



 俺、不敬罪か何かで殺されそう!

狩りの誘惑に負けなければもう一本出します!!



次回!『妖刀の資格を得る者』お楽しみに!

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