刀鬼流のプレイヤー
Q、今日3本目ですけど、何がありました?
A、難易度28のフルコン取れた。その上精度が滅茶苦茶上がった。
Q、緑光のex.....11greatの1badでしたね。
A、それは泣くからやめて?( ´:ω:` )
「「「失礼しま〜す......」」」
そ〜っと門を抜けて敷地を歩くと、広大なグラウンドや、道場らしき建物が何棟も建っていた。例えるなら、ここは学校だ。
刀鬼流の道場の印象って、昔の学校みたいだな。古き良き、といった感じだ。
「おい、どうする。学校みたいになってるなんて聞いてないぞ.....どこに隠れる?」
「私もっすよ! しかも結構人も居ますし、どうやって抜けるんですか!.....後ろの茂み、良さそうっす」
「......何で2人とも隠密する事が前提なの?普通に聞いたら良いじゃないか。『入門しに来た』と」
イオリ。それでは面白くないだろう?もっと楽しまないと、新たな発見を見逃してしまうかもしれないぞ?
小さな行動に、楽しみを。
それが大切なんだ。
「『ステルスカーテン』......シッ、誰か来る」
暗黒魔法による気配隠蔽の魔法を使い、足音が近付く前に近くの叢に身を潜めた。
「ルナ、何で僕まで!」
「静かにしろ。これは訓練だ。誰にも見つからず、刀鬼流のお偉いさんに会うという訓練だ」
「ま、その前に俺に見つかってるけどな。ルナ」
「え?」
俺達3人が隠れている叢の奥から、マサキと黒の巣君がひょっこりと顔を出した。
「久しぶりです。ルナさん」
「何で隠れてるんだ?」
ダメだ、完全にバレてしまった。もう諦めよう。
「は、ハロー」
俺達は2人に軽く事情を説明し、茜さんとイオリの入門について話をした。
俺はお遊び感覚なので破門されるかもしれない事も言い、2人からは残念そうな目を向けられた。
「でも、ルナも一応入門するんだろ?」
「まぁな。ソルが柳流に入門した以上、対抗戦とかがあるならぶつかってみたいしな。あとは妖刀に近付く為に、ここのお偉いさんとコネクションを作っておきたい」
「あ〜、それなら難しいと思いますよ。ここの師匠って、強くないと話を聞いて貰えませんから。今までに認められた人って、トッププレイヤーくらいですからね」
「へぇ、それは面倒そうだ。アテナ達はどうだったんだ?」
「勿論認められてますよ。というか、ルナさんのお知り合いは皆認められてると思います」
「じゃあ黒の巣君も?」
「......も、勿論」
「「「「嘘だ」」」」
言葉の詰まり方からして、確実に嘘だな。大体、俺は知り合いが少ない。
武術大会で上位に入った人ならそこそこ知っているが、たまたま会った人なんかは全く知らない。
それに、有名人とかも基本的に知らない。話しかけられても俺は陰キャ特有の答え方しか出来ないぞ。
「だってあの人、剣だけかと思えば蹴りも使うんですよ!? 酷いじゃないですか! ただの鬼ですよ! 鬼!」
「ほう?......誰が鬼じゃって?」
「ひぃっ!! 師匠!」
黒の巣君の後ろから、頭がツルッツルに禿げた爺さんが出てきた。この人が刀鬼流の師範か。
「マサキ、コヤツらは?」
「入門者っすよ。俺の親友です」
「あぁ、前に言ってた......ルカだっけか?」
優しい表情で間違えた爺さんを訂正しようとマサキが前に出る寸前、俺が先に答えた。
「えぇ、ルカです。よろしくお願いします」
「「「「え?」」」」
「そうかそうか! で、後ろに居る2人は誰じゃ?」
「あ、茜っす! 刀道流が消えたので、刀鬼流に来たっす!」
「同じく、元刀道流門下生、イオリです」
「「「は? 消えた?」」」
おうまいごっど。それは後で話す内容じゃあなかろうか?
こんな所で話しても、無駄に時間が食われるだけだぞい。
「ちょっとした事情です。気にしないでください」
「ルナ......今度は何やったんだ?」
「まさか、入門不可のクエストだからって殺戮の限りを......」
「違うって! それに入門不可じゃねぇぞ? 現に俺と茜さんとソルは、数分だけ門下生だったんだし。
......取り敢えず、こっちに入門したいんですけどダメですか?」
俺は2人の言葉に返しながら、爺さんに紹介状を渡した。
それに続くように、茜さんとイオリも紹介状を渡した。
すると紹介状を読んだ爺さんは、急に涙を流して立ちすくんだ。
「っ!?......ヤマシロ......生きてくれていたのか......」
うわぁ、余計なフラグも踏んだかな。いや、まだ大丈夫のはずだ。俺の目的は入門してコネを作ること。個人的にクエストを貰わない限りは、特に聞く必要もないだろう。
「で、どうです? 入門できそうですか? 試験とかあるなら受けますよ?」
俺が再度聞いてみると、爺さんは顔を拭ってから答えた。
「──あぁ。では道場にて入門試験としよう。マサキ、黒。2人も着いて来い」
「「はい!」」
黒の巣君、この人には『黒』って呼ばれてるんだな。
あだ名のようだし、意外と気に入られてるんじゃないか?
そうして近くの道場へ移動すると、中には数人が打ち合い稽古をしていた。
攻め手が猛攻し、受け手が全て盾で受けるという、何とも言えない稽古だった。
あれは、もしかしたら盾術の稽古なのかもしれない。
「お、審判が特殊クエか。ラッキー」
マサキが突然そんな事を言い出し、ルンルン気分で歩き始めた。
審判役すらクエストになるとは、このゲームの特殊クエストって数が多すぎだろ。
「おっと、儂の自己紹介がまだじゃな。儂は刀鬼流師範、ムラサメと言う。よろしく頼むぞ、ルカ、茜、イオリ」
「よろしくお願いします。ムラサメさん」
「よろしくお願いしますっす!」
「ルナの名前......まぁいいや。お願いします、ムラサメ様」
「うむ。ではイオリ、茜、ルカの順で打ち合うぞ。黒が持ってきたこの木刀を使い、全身全霊で打ち込めい」
「「「分かりました」」っす!」
そうして木刀が手渡されると、すぐに打ち合いが始まった。
イオリとムラサメさんの試合を見ながら、俺と黒の巣君は少し離れて話をしていた。
「ルナさん。刀道流に何があったんですか?」
「何があったと言われたら、俺がやらかしたせいで門下生全員が辞め、テンゲンが刀道流を棄てたくらいだ」
「えぇ......本当に何やってるんですか」
「いや、テンゲンもテンゲンで中々にクソ野郎だったんだぞ? 3人の門下生の事も考えず、自分が強くなりたいからって俺に稽古を求めてきて......本当に酷かった」
思い出したくないね。3人が哀れでならないから。
「というか、そもそもどうやって入門したんですか? 門前払いされませんでした?」
「されなかったぞ?普通にイオリが出てきて、急に俺を殺そうとしたけど」
「えぇ!?......よく生きてましたね......」
「まぁ、気付いている不意打ちなんて、不意打ちとは言えないからな。空間魔法を使われたら流石に死んでたけど」
「空間魔法とかいう地獄のスキル上げの話はやめてください」
「はははっ、それもそうだな」
それから俺達は軽く雑談し、2人が合格したのを聞き、俺の番がやってきた。
ここでムラサメさんと仲良くなれば、妖刀の持ち主である『ムラマサ』について、何か聞けるかもしれない。
「両者、構え!」
「ほう......無形の構えか」
「これを構えとは言えないでしょうけどね」
マサキの合図でムラサメさんが構えると、納得した目で言ってきた。
「ムラマサに似ておるな」
「えっ!」
オイオイオイ! これはチャンス・オブ・チャンス! 何としてもムラマサについて、妖刀について聞かねば!
「......ムラマサについて、教えて貰ってもいいですか?」
「儂に勝てたらな。まぁ、今回は入門試験じゃ。正式に入門してから、儂に挑むといい。その時に答えてやろう」
う〜ん、流石にワンクッション挟むか。でもいい。これで妖刀に、もといオケアノスに渡した帝剣の謎に近付ける。
妖刀......何としても手に入れたい物だ。気になってしょうがない。
「では......始め!」
それから木刀でムラサメさんに打ち込み、全身全霊との事なので『戦神』を使って打ち込むとムラサメさんが吹っ飛んでしまい、そこで試合が終了した。
「ふぃ〜......馬鹿力じゃのぉ、ルカ」
「すみません。全身全霊との事なので。頑張ればまだ数倍上げれますよ」
「ふっ、それは本番で楽しむとしよう」
ムラサメさんがニヤリと口角を上げて、俺の肩を優しく叩いた。
「全く......取り敢えず今日は終わりじゃな。また明日来るといい。刀鬼流の戦いを、皆に教えよう」
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
「うむ。ではの」
そうしてムラサメさんが立ち去ると、イオリが困った顔で話しかけてきた。
「ごめん......誰か、僕を泊めてくれないかな。普段は刀道流の道場の横にある小屋で寝てたから、もう戻れないんだ」
「......くいっ」
「ふるふる」
「ぶんぶん!」
俺がマサキにアクションするとマサキは首を横に振り、黒の巣君はもっと強く首を振った。
仕方ないので、3人で集まって会議をする。
「マサキ、泊めてやれよ」
「いや、ルナの家の方がいいだろ?」
「そうですよ。あの城なら10人くらいいけるでしょ?」
「何言ってんだ。今回はソルとリルとの旅行だ。訳あってリルは戻してるが、それでも部屋だと3人一緒なんだ。入れる訳にはいかない」
「「なぜ?」」
「俺の聖域に誰も入れたくないからな。ソルとの空間は聖域だぞ」
「「別にいいじゃん!」」
「いや......実は金欠でさ。イオリ1人泊める金も無いんだわ」
「嘘つけ。夏に5000万奪っただろ」
「奪うとは人聞きの悪い。支払われたんだよ」
「でもお前、金あるだろ!」
「まぁな。でもそれはお前らもだろ? 何でイオリを泊めたくないんだ?」
「俺は相部屋になったら気を使うからな。初対面のやつと相部屋なんて、気まず過ぎるだろ」
「そうですね。それに俺の場合、割とマジで金が無いんですよ。武器と防具、アクセサリーに食料と、結構使ったので」
マズイ。このままでは面倒な事になるぞ。俺の唯一の癒しの時間だけは、他人を入れたくない......
「さっきから何やってるんすか? イオリさんなら、私の部屋に泊めるっすよ?」
「「「それはやめとけ!!!」」」
「何でっすか? 別に襲われる訳でもないっすし、報酬として稽古も付けてくれるって言ってるっすから」
「「「あぁ......」」」
なるほどな。俺達はどうも、考え過ぎていたらしい。
ちゃんと話を聞けば特殊クエストとして出るのに、その前にアレコレ話しても無駄じゃないか。
「「「でも、譲れないよなぁ」」」
お互いに譲れない気持ちもあって、イオリの事は茜さんに任せる事にした。
次回は刀鬼流でフォイフォイした後、マルマルしたいですね。
着実に妖刀へ近づいてまth.