何も見てないっす!
第9章、スタートです!
空間魔法を習得してから季節が流れ、11月になった。
この数ヶ月、ユアストの方ではレベリングと生産を。
リアルでは、陽菜とプールに行ったり、買い物に行ったり、イチャイチャしたり......あと、本格的に同棲生活がスタートした。
今日からユアストの方を、本腰でやっていこう。
◇ギルドホーム、リビングにて◇
「狐国......行こうか」
「ようやくだね。特殊クエスト、結構判明してるよ?」
「父様、今回は遅すぎますよ。折角強化してくれたツクヨミさんが泣いてますよ?」
リルが、強化された『月狼刀:ツクヨミさん・改』を見せながら訴えてきた。
「ちゃうねん......ちょっと生産が楽しかってん......別に悪気は無いんやで? でもな、でもな?......忘れててん」
「関西弁を多用するあたり、本気で忘れてたみたいだね。リルちゃん、あんまり怒らないであげてね?」
「......まぁ、それほど怒っていませんよ。ただ、入国条件を満たしているのに、どうして行かないのかが気になっていました」
「ガッツリ忘れてて、すみませんでした。リルさん」
耳をピコピコと動かしているリルに、誠心誠意謝罪した。
「いいですよ。では、今回一緒に行くメンバーはどうなっているのですか?」
「俺、ソル、リル、フー、イブキの5人だ。後のメンツは刀術を持ってないから、お留守番だな」
「るすばん〜!」
メルが俺に飛び付いてきた。結構な衝撃だが、レベルが402となったルナ君には効きません。
「わたし、おるすばん?」
「あぁ。刀術が無いと入国出来ないんだぞ?」
「なら『とうじゅつ』おぼえる!」
「そう言って折られた刀、何本だっけなぁ......」
以前、狐国の話をした時にもメルは『刀術を教えて!』と言ってきたので、メル専用の刀を作って教えようとしたんだが......
力が強すぎるあまり、どの刀も刀術を習得する前にポッキリ逝くのだ。
メルがもう少し、見た事を頭にインプット出来れば、刀を振らずとも刀術は覚えれるのに......残念だ。
「うぅ......わかった。シリカねぇとセレねぇとあそぶ」
「アルスも忘れてやるなよ。あと、チェリに何かあったら直ぐに念話をくれ」
「うん。おみやげたのしみ」
「あぁ。良い子で待っててな」
何とかメルが納得してくれたな。本当は意地でも連れて行きたい所だが、既に試したプレイヤーが狐国から弾き出されてる事を知ってるからな。
おい、お前の事だぞ、マサキ。ワイバーンが刀術覚えれると思ってんのか〜?
人型になれれば、ワイバーンでも刀術は覚えるだろうが、流石に竜の状態で刀術は無理がありすぎる。全く。
「フー、イブキ」
「ここに」
「どうしました?」
「狐国に行く。暫く帰らないから、シリカ達に伝えたい事があったら今の内に言っておいてくれ」
「私は伝える事がございません。直ぐに発てます」
「私は〜......特にありませんね。イブキさんと同じです」
本当か? 後になって『あっ! アレ言っておけば良かった〜』とか言わないな? 信じてるぞ?
「じゃあ直ぐに出ようか。ソルは準備「出来てるよ!」良し。では、レッツラゴー」
最後にシリカ達に挨拶をしてから、東の海岸に転移した。
「そう言えばソルも転移魔法取ったんだっけ」
「うん。それに限界突破もしたし......今の私は『超☆魔女っ子ソルちゃん』だぞっ!」
ソルが素早く魔女っ子衣装に着替え、決めポーズをしたが......11月だし、寒いだろ。
「「寒いですね」」
「お体に気を付けて下さい。ソル様」
「......はい」
しょんぼりとして耳が垂れているので、俺は優しく頭を撫でてから歩き始めた。
ソルは十分、暖かいよ。
「えへへ」
「風邪引くなよ? 所で、港って確かここから来ただよな?」
「マサキさん達はそう言ってましたね」
「そうか、ありがとうフー太郎。『サーチ』範囲かくだ〜い......あ、ちょっとこれ見せちゃいけないやつ」
サーチの範囲を限界まで伸ばしたら、見えてはいけない物が映ってしまった。
「どうしましたか? ルナ様」
「いや、範囲広げすぎて狐国まで見えちゃった。えっと、港は見付けたから、歩いて行こう」
ちょっと狐国側の港までサーチしちゃっただけなんだ。
この魔法、やっぱり便利だけど扱いには気を付けないとな。要らないネタバレまで喰らってしまうと、ゲームの楽しみが減ってしまう。
そして岸辺を歩く事20分。狐国行きの船が出る、木造の港までやって来た。
「凄く並んでるね。これ何分待ちかな?」
「リル。帰らないか?」
「何言ってんですか? ここまで来たら行くしかありませんよ!」
フーが俺の肩を掴んで揺さぶってきた。酔いそう。
「......すみません。一瞬だけ、父様に同意しました......」
「リルさん!?」
「親子ですな。ですが、ここは潔く並びましょう。1度行けば転移で行き来自由なんですから、最初だけです」
「「......は〜い」」
イブキに正論パンチで殴られてしまった。
そのパンチ、おふざけ大好きな俺とリルには大ダメージだぞ?
「──10分待ちだってさ。2人とも、そこまで長くないから大丈夫でしょ?」
「「ふっ、子供の10分待つ辛さ、ソル / 母様には分からない だろう / でしょう」」
「「「おぉ」」」
完璧なシンクロだった。俺とリルでコンビを組んだら売れそう。
「父様。抱っこしてください」
「はいよ」
俺はリルの頭を撫でてから抱っこし、ソル達と適当な話をした。
そのままお喋りして時間を潰そうかと、そう思っていると後ろの人に話しかけられた。
「ルナさんっすよね?」
「いいえ違います。僕はノレナです」
「え?......いやそれルナさんじゃないっすか! それに抱っこしてるの、絶対リルちゃんっすよね!?」
こいつ......『ノレ』が『ル』である事に気付いただと!?
というか、つい反射的に言ってしまったが、話しかけた人は誰だ? 凄く聞き覚えのある声だし、後輩キャラっぽい口調といい、記憶にあるぞ。
「久しぶりだな、茜さん」
「やっぱり。お久しぶりっす、ルナさん。ソルさんも、数日ぶりっすね!」
「そうだね。っていうか茜ちゃんも狐国に? 私、もう行ってると思ってたよ」
「いや〜、それが特殊クエをやり忘れてまして、これからやり直すんですよ。地獄の様なクエストを1からやるのって、燃えませんか?」
「「燃えない」」
そのクエストが楽しかったり、報酬が美味しいのであれば別だが、基本的には燃えないな。
「父様、この人危険人物ですよ。離れましょう」
「ヴェッ......ひ、酷いっす! 私は危険人物じゃないっすよ!」
「まぁ、危険人物かもなぁ」
熱すぎて、その内自身の熱で爆発しそうだし。
「爆弾だよね」
「ソルさんまで!? 私、危険人物なのかな......」
「もう、3人とも何を言ってるんですか!......茜さん、貴女は危険人物なんかじゃありませんよ?」
「フーさん......!」
「既に導火線に火のついた爆弾ですよね?」
「フーさぁぁぁぁん!!!!!!」
「「「これは酷い」」」
にしても茜さん、爆弾と思われてる確率が高いな。
やはり赤いイメージが強いからだろうか、熱とか爆発とか、明るいイメージも含めて危険な物にイメージされちゃうのかもな。
『次の方、お乗り下さい』
茜さんに火を付けて遊んでいたら、どうやら船が着いたようだ。
「あ、順番来たね。ルナ君、行こ?」
「あぁ。じゃあな、茜さん」
「同じ船っすよ......もう! 皆さんに着いて行くっすからね!」
「好きにしな。ただ、空飛んでも文句言わないでくれよ?」
「う......っす」
そうして、真っ赤な爆弾をパーティに入れた俺達は、無事に船に乗り、狐国行きの船に乗った。
◇船旅が始まって20分後◇
「ルナ君......酔った」
「『ダークスフィア』『アクアスフィア』ほら、水飲むか?」
「飲ませて」
俺とソルの周りだけを、半球状に光を遮る魔法を使い、インベントリからコップを取り出してアクアスフィアの水を飲ませた。
いやぁ、まさかソルが船酔いをする体質だとは思わなかった。
だって、激しい戦闘したり、箒で空を飛ぶソルが船酔いするなんて、思わないじゃん?
「ルナ君」
「どうした?」
「口移しがいい」
「......酔ってないな?」
「ルナ君には酔ってるよ?」
誰が上手いことを言えと。全く、しょうがない狐ちゃんですな。シリカの気分が分かってしまうぞ。
「魔法も使ってるし、見られないよ?」
「いや、この魔法は範囲内にいれば普通に見えるぞ?」
「大丈夫。それに私のフラグは回収されないから、安心して」
「いや、結構回収してる気がするが......分かったよ。1度だけだぞ?」
「うん。ちょうだい」
俺は口に水を含み、ソルを抱き締めてから口を付けたその瞬間──
「ルナさ〜ん、何で魔法を使ってるんす......か......!?」
ゴクッとソルの喉がなり、俺は水を飲ませた。ただ代償として、茜さんにガッツリ見られた。それはもう、ガッツリと。
「あ、茜ちゃん。どうしたの?」
「い、いいいいや? べ、べべ別に何も見てないっす!」
ソル、やっぱりフラグは回収したな。ただでさえ赤い茜さんが、顔まで真っ赤になってるぞ。
「じゃ、じゃあ失礼しますっす!」
そう言ってダッシュで茜さんは帰って行った。
「ふふ、見られちゃったね。結構恥ずかしいや」
「そうだな。まぁ、いつも家ではあんな感じだし、多分大丈夫だろ」
イチャイチャデーの時の陽菜は、さっきみたいな感じだしな。こう、ご飯を待つ小鳥みたいで、凄く可愛いんだ。
「えへへ、でもそれが裏目に出ちゃったね」
「せやなぁ。でも良いんだよ、これで。仲良しアピール出来ただろ?」
「ふふっ、そうだね! じゃあみんなの所に戻ろっか」
「はいよ」
俺はシャドウスフィアを消してから、ソルと手を繋いでリル達のいる場所へ戻った。
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
名前:ルナ
レベル:402
所持金:53,845,290L
種族:人間
職業:『ヴェルテクスギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Sランク冒険者
Pギルド:『ヴェルテクス』
所持因子:『稲荷』他6柱
所持技術:『魔力打ち』他多数
HP:20,060
MP:20,060
STR:20,060
INT:20,060
VIT:20,060
DEX:20,060
AGI:20,060
LUC:10,025
CRT:100(上限値)
SP:1,540
『取得スキル』
戦闘系
『剣帝』Lv25
『魔剣術』Lv100
『弓帝』Lv31
『魔弓術』Lv100
『槍帝』Lv18
『魔槍術』Lv100
『闘帝』Lv8
『魔闘術』Lv100
『刀将』Lv61
『魔刀術』Lv100
『操帝』Lv17
『魔糸術』Lv100
『盾術』Lv31
『斧術』Lv15
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
『戦神』Lv100
魔法
『獄炎魔法』Lv31
『海魔法』Lv41
『暴風魔法』Lv21
『大地魔法』Lv11
『電磁魔法』Lv82
『極氷魔法』Lv21
『光明魔法』Lv54
『暗黒魔法』Lv38
『空間魔法』Lv19
『自然魔法』Lv100
『龍神魔法』Lv93
『古代魔法』Lv1
『音魔法』Lv100
『妖術』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv100
『神匠:金細工』Lv100
『裁縫』Lv100
『神匠:調薬』Lv100
『神匠:付与』Lv100
『木工』Lv53
『料理』Lv100
『神匠:錬金術』Lv100
その他
『テイム』Lv4
『不死鳥化』Lv100
『マナ効率化』Lv0
『植物鑑定』Lv0
『毒物鑑定』Lv0
『動物鑑定』Lv0
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
茜は見た!憧れの人が恋人とガッツリキスをしているシーンを.....!
次回、『買うより作った方がいいじゃん』です!
お楽しみに!