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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第8章 夏の思い出
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閑話 海水浴という名の戦争 あふたぁ

短い.....です.....バタッ



ログアウトすると、陽菜がベッドの上で座って待っていた。



「では月斗君。これより私は、君を襲います」


「待つんだ陽菜。あ〜そうだ。一緒にご飯でも行かないか?」


「私は月斗君を食べるので要らないです」


「何言うとんねん!......ねぇ、ちょっと待と?ねぇ。ねぇ!」



陽菜がジリジリと詰め寄って来る。これは......無理ぽ。




もう、ベッドの後ろの限界まで来ると、陽菜が飛び付いてきた。




「ひぃぃぃ!............ん?」



陽菜は抱きつくだけで、そこから動かなかった。



「ひ、陽菜さん?」


「これが襲うという事。私なりの、今できる最大限の襲うという行動」



な、何だ......てっきり人生のターニングポイントに導かれるのかと思っていた。これなら良かった......高校生生活は終わらない。



「これもね。ん〜」



陽菜に唇を奪われ、勝者の特権と言わんばかりに俺の陣地を走り回っていった。


優しく、強く。お互いの気持ちを尊重するように陽菜は走った。



俺は陽菜というラスボスに襲われている間、理性という裏ボス相手にオワタ式で戦っていた。



これは昨日のお風呂と同等以上に熱い戦いだ。



陽菜が俺に覆いかぶさり、ずっとキスをしている中でひたすらに耐え忍ぶ、超極悪難易度な人生ゲーム。


1度でも隙を突かれて攻撃を受けると、その瞬間に俺は狼さんになってしまうだろう。


まさに人狼。


満月の光を浴びて狼になる、俺にピッタリな言葉だ。



陽菜のキスが終わるまでの間、絶対に満月にさせてはならない。


許されるのは上弦の月までだ。



「ん〜、んふふ〜!」



陽菜が時々目を合わせてくれる。パッチリとした目には、人を惹きつける魅力がある。


目は口ほどに物を言う。そんな言葉を体現したような瞳で、陽菜の目からは沢山の『好き』が伝わってくる。




俺は陽菜の体温を感じながら頭を撫で、陽菜が満足するまでたっぷりとキスをした。






◇◇






「ふぅ。今日のところはこれで良いかな」


「......熱かった」



胸が熱いとは、こういう事を言うのだろう。燃えるような想いとは、こういう事を言うのだろう。



「あ、私も未来の事は考えてるからね。月斗君からしようとするなら私は喜んで受け入れるけど、月斗君がまだしないと言うなら、私もしないよ」



それを踏まえた上で、襲う襲うと言ってきているのか。

中々えげつない事をしてくれるもんだな、陽菜。


ここは1つ、俺の胸の熱さを陽菜にも共有させよう。



「フッ、なら今度は俺からしよう。負けた者の苦しみ、存分に味わうといい」


「え?ちょっんむっ!」



弔い合戦だ。争いは更なる争いを生むという事を、その頭に叩き込んでやる。




陽菜を優しく抱き締め、優しくゆっくりとディープなキスをする。

まだ浅い、サーフェイスなキスからだ。例えるならハチドリの様な、(ついば)むイメージのキスで。


陽菜の状態をよく見て、問題が無さそうなら続ける。




多分......大丈夫かな?目を閉じて、待っている様な雰囲気を感じたので、大丈夫だと信じて続行する。




先程陽菜にやられたように、互いの舌を絡ませるようにしてキスをする。


やられたんだから、やり返す。双方にとって良い事は、やれたらやり返す主義で行こう。これは幸せスパイラルに基づいた行いだ。




誰かが幸せになると、自分もちょっぴり幸せになる。


君が幸せになると、私も幸せ。私も幸せになると、君も幸せ──




これを陽菜に限り、全力で行うとしよう。



陽菜が幸せになると、俺はとっても幸せになる。



その考えを持って、これから陽菜と接していこう。それが、互いを思いやる事に繋がり、今よりも沢山の幸せに囲まれて生きていけるだろうから。




そして数分後、俺は陽菜に唇を返した。




「はふぅ......幸せ......」



パタンと陽菜が俺の上に倒れ込み、動かなくなった。



「よしよし。これからは幸せがどんどん増えていくんだぞ〜」



俺は恥ずかしい気持ちを(こら)え、陽菜の頭を撫でて言った。



「うぅ......幸せすぎてつらいよぉ......」


「素晴らしい事じゃないか。陽菜が幸せなら、俺はもっと幸せだからな」


「む〜、私の方が幸せだもん!大好きだもん!」



そこに引っかかるか!?流石だな、陽菜。



「いいや。俺の方が大好きだから、俺の方が幸せだね」


「ほほう?そんな事言っちゃっていいのかな?月斗君をダダ甘に溶かした瞬間の私の幸福度、とんでもないよ?」


「何を。陽菜と触れてるだけで、俺のQOLが爆上がりするぞ?そんなガバガバ判定の俺に、勝てるとお思いで?」


「甘い。実に甘いよ、月斗君......私がさっき言ったのは2段階目の上昇に過ぎない......私の幸福度爆上がり条件の1つ目は、『月斗君が生きてる事』だもん!」


「くっ......」



俺の為に東京まで着いてきた人間の言う事は違うな。量は同じだとしても、その『質』が、密度が段違いに高い。




「はい、私の勝ち〜。じゃあ勝者の特権を使いましょうかね」



そう言うと陽菜は、また熱いキスをしてきた。



「んふふ。今日は沢山イチャイチャしてるね」


「そうだな。今日はいっぱいイチャイチャしよう。行為をしない代わりに、沢山キスをすればいい」


「うん!大好きだよ、月斗君」


「俺もだよ、陽菜。俺は誰よりも、陽菜が大好きだよ」




そんなこんなで、今日は沢山イチャイチャする日となった。


初めて陽菜にずっと触れていたけれど、こんなに幸せな気持ちになるとは思わなかった。また近いういちに、こういった日を設けるとしよう。




「明日からゲームを再開しよう。今日はリアルで遊ぶ日だ」


「うん!いっぱい遊ぼう!」

これにて第8章は終わりに.....します。



次回は第9章『狐国編』でお会いしましょう。では!

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