様々な確認と噂と休みの日
あれ?迷走してる????
いや、そんなことはないはず...!!!
迷走するにしても、そっちの方向に全力で走って行きたいと思います。
「よし、ソル。今日は自由にしよう。だが、その前にスキルと称号、あとアイテムなんかの詳細を確認しないか?」
「うん、いいよ。その後にギルドに行って換金してからお買い物だね!」
「そうだな。まだ行ったこと無いが、木工道具屋にも行ってみたいしな」
レイナさんに紹介された店で唯一行ってない店だ。
「んじゃまず、称号からいくか」
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『イクスティンクション』
・モンスターに与えるダメージが1.3倍
・『モンスターキラー』を統合しない
一定時間内にそのエリアに入った時に出現したモンスターの数の分、討伐することで獲得。
『解放者』
・エリアボスに与えるダメージが1.1倍
エリアボスを倒してエリアを解放することで獲得。
『ゴブリンの天敵』
・ゴブリン系統に与えるダメージが1.5倍
一定時間内にゴブリン系統を400体討伐で獲得。
『ゴブリンキラー』
・ゴブリン系統に与えるダメージが2倍
・ゴブリン系統のドロップ率が増加する
・『ゴブリンの天敵』を統合する
一定時間内にゴブリン系統を500体討伐で獲得。
『斬首スル者』
・相手の首へのダメージが2倍
首への一定割合ダメージを与えてモンスターを討伐することで獲得。
『二王凱旋』
・『王』の名前が着くスキルの効果が1.2倍
『王』の名前が着くスキルを2つ習得することで獲得。
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「ソル、『二王凱旋』って上がある気がしないか?この『王』の名前の数だけさ」
ソルに聞いてみた。
「確かに、それはあるかもしれないね」
「まぁ、どの称号も効果が高いんだよなぁ」
現時点での効果が高すぎる。こいつら下方修正されるんじゃないか?それともこの称号達が必須になるレベルの敵が出てくるのか......うん、分からん。
「では次、スキルのお時間です。スキル名をタップすると細かく出るからな、ソルもちまちま見といた方がいいぞ。俺は見てないけど」
「えぇ......確認してないのね......」
いやぁ〜記憶にあるのは『剣術』くらいかな? その内容も殆ど忘れたが。ハッハッハ!
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―戦闘・魔法系―
『弓術』
Lv0~スキル取得時、弓が扱えるようになる
Lv1〜射撃威力強化
Lv2〜矢番え速度強化
Lv3〜引き絞り強化
Lv4〜射撃時の安定感強化
Lv5〜ダブルショット
Lv25〜トリプルショット
Lv50〜クアドラプルショット
Lv75〜クインティプルショット
Lv100〜セクスタプルショット
上記以外の5の倍数は射撃威力強化
スキルレベルによって耐久値減少頻度の低下
『魔法』
魔法はスキルレベルの上昇によって発動速度が早くなる。
『各属性魔法』
Lv0〜スキル取得時、その属性魔法が扱えるようになる
Lv??〜『????』が可能になる。
魔法の作り方は『魔法のスキルレベル』がある程度必要になり、『魔法の発動結果』『魔法の発動速度』をイメージし、『最大MP』を参照して『魔法の名前』を唱えると作れる。
『剣王』
剣術の各上方値を1レベルに圧縮。
『王弓』
弓術の各上方値を1レベルに圧縮。
―生産系―
『鍛冶』
・金属を鍛えられるようになる。
・武器を作れるようになる。
・防具を作れるようになる。
・DEXとSTRを参照する。
『金細工』
・宝石を扱えるようになる。
・アクセサリーを作れるようになる。
・DEXとINTを参照する。
『裁縫』
・布を扱えるようになる。
・服を作れるようになる。
・DEXとAGIを参照する。
『調薬』
・薬を扱えるようになる。
・薬を作れるようになる。
・DEXを参照する。
『木工』
・木材を扱えるようになる。
・木材を使って様々な物が作れるようになる。
・DEXとVITを参照する。
『錬金術』
・アイテムの一括作成が可能になる。(品質固定)
・合金を作れるようになる。
・魔石を作れるようになる。
・DEXとLUCを参照する。
―その他―
『テイム』
・モンスターをテイム出来るようになる。
・1回テイムを発動するのに100MPが必要。
・スキルレベルによって必要MPが減る。
・テイムしたモンスターと念話が出来るようになる。(一定INT値必要)
・テイムしたモンスターのHPが0になった時、テイムしたプレイヤーに戻る。
・ゲーム内時間24時間が経過後、テイムしたモンスターはリスポーンする。
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「あっさりした見た目で強烈な内容な王スキル」
「そうだね、元のスキルの5レベル分の上昇値を1レベルで稼げるのは凄いね」
いや、ホントに。上昇量が微々たる物でも、その恩恵はデカい。王スキルって単純に元のスキルを20倍強くしたスキルなのかな?
「他のスキルに関してはスルー......出来ないな。フェルさんの弟子の話があったわ」
「そうなの? なら錬金術より先に鍛冶を極める?」
うーん。そうしようかな。
「そうするよ。俺がフェルさんに教わってる間に、ソルは料理スキルの習得をするか?」
「うん! そうする。こっちでも料理を作りたい!」
そっかそっか。是非とも作った料理を頂きたいです。
「じゃあ最後にアイテム確認するか。俺はたんまりあるからな、少し怖い」
「ふふ、大丈夫だよ。時間はいっぱいあるから。ゆっくり見よう?」
ありがとう。それしか言葉が出ないよ。
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『スライムの核』×156
スライムから稀にドロップする核。
薬品作りに役に立つ。
ある方法で倒すと簡単にドロップする。
『インフィルボアの皮』×170
インフィルボアからドロップする皮。
鞣してから使用することで防具やナイフの鞘などに使用出来る。
『インフィルボアの肉』×272
インフィルボアからドロップする肉。
そのまま焼くととても獣臭い。
『インフィルクロウの羽』×23
インフィルクロウからドロップする羽。
ペンに加工できる他、装飾品等に使える。
アクセサリーにこの羽を使うとAGIに補正がかかる。
『インフィルクロウの肉』×3
インフィルクロウからドロップする肉。
そのまま焼いて食べられる美味しい肉。
『インフィルクロウの脚』×1
インフィルクロウから稀にドロップする脚。
この脚を使って煮込んだスープは絶品。
ある方法で倒すと簡単にドロップする。
『インフィルクロウの嘴』×1
インフィルクロウからごく稀にドロップする嘴。
この鋭い嘴の先に毒を塗った暗器がある。
『ウサギの肉』×98
アルミラージからドロップする肉。
そのまま焼いて食べられる美味しい肉。
脂分が少ないため、加熱に注意がいる。
『ウサギの角』×4
アルミラージから稀にドロップする角。
短剣等のリーチが短い武器の素材になる。
ある方法で倒すと簡単にドロップする。
『木材』×400
トレントからドロップする木材。
『上質木材』×50
長年生きたトレントからドロップする木材。
質感、見た目が良く、高級家具等に使われる。
『薪』×180
トレントからドロップする木材。
燃料として優秀。
『上質な薪』×20
長年生きたトレントからドロップする木材。
通常の薪より長く燃える、非常に優秀な燃料。
『リンゴ』×200
トレントからドロップする食べ物。
甘く、みずみずしい美味しいリンゴ。
『知力司る林檎』×25
長年生きたトレントからドロップする食べ物。
長年生きた知恵が詰まっており、食べると10分間INTが1.5倍になる。甘く、みずみずしいとても美味しい林檎。
『錆び付いた剣』×633
ゴブリンからドロップする武器。
剣と呼ぶには錆びすぎている。鈍器。
鍛冶の際、鉄として扱える。
『豚肉』×502
オークからドロップする食べ物。
そのまま焼いて食べられる美味しい肉。
生で食べると毒になる。
『上質な豚肉』×10
オークから稀にドロップする食べ物。
そのまま焼いて食べられる美味しい肉。
高級料理にも使われるほど、美味しい肉。
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「ふぅ。役に立つもの、怖いもの、食べ物しかないな」
「そうだね!食べ物はリンゴかお肉しかないから、かなりバランス悪いね」
せやなぁ。だって、まだマトモに採取してないもん。
「ゆっくりできるぐらいになったら採取もやるか」
「うん、そうしよ! 美味しい食事のために!」
採取に行く理由が普通の人とは違う気がするなぁ。
「よし、粗方気になることはチェックしたし、ギルドに行くか」
そうしてギルドに来たのだが、めっちゃ目立つ。
―『あれがソルとルナじゃね?』
―『えっあれが?』
―『掲示板で少し話題になって人じゃね?』
―『銀髪さんだぁ。本物だぁ』
―『隣の子すごく可愛いね。彼女さんかな?』
そんな事が小さな声で飛び交っていた。
ソルが手をギュッと握るので俺はカウンターまで行く。
「こんにちは、レイナさん。買い取りお願いできますか?」
「お疲れ様です。ルナさん。買い取りですね! 分かりました!」
そう言って俺達は買い取り用のカウンターに移動した。
「今日は2人分の買い取りをお願いします」
「はい! ではこちらにアイテムを入れてください!」
そう言って2つの箱を出してくれた。
「ソル、買い取ってもらう分だけインベントリから選択するんだ」
ソルに説明しつつ俺もアイテムをぶち込んでいく。
今日買い取ってもらうのはこいつらだ。
錆び付いた剣×433
豚肉×402
木材×100
これでいいか。今回だけじゃ10万すら届かないだろうな。単価を知れればいいかな。
「はい、ルナさんの分は176,100Lですね」
「えっ高い......単価を教えもらってもいいですか?」
「はい! まず、『錆び付いた剣』が300Lです。次に『豚肉』が100Lです。最後に『木材』が60Lになります」
なるほど。これはゴブリン殲滅作戦を立てるか?
「『錆び付いた剣』ってそんなに高いんですね。驚きました」
「そうですね、ゴブリンは数が多くて倒すのが大変なのと、需要ですね。フェルさんの所でも元々の鉄は『錆び付いた剣』からの武器は多いと思いますよ」
そうなのか。知らなかった。まぁ、鉄として使えるって、説明に書いてあったんだけどさ。
「はい、ソルさんの分は208,020Lですね!」
「ソルは何を出したんだ?」
結構ビックリする値段だった。
「私は『錆び付いた剣』を全部出したの。どうせ後から大量に手に入るのが分かったからね。他の語り人が森林に来る前に乱獲しましょ?」
笑顔でとんでもない事を言ったソル。
それを聞いた他のプレイヤーが......
―『森林って事はやっぱりあの2人が...?』
―『結構な金になるみたいだな、俺達もトレント殺りに行くか。』
―『乱獲出来るほど敵が弱いのか、2人が強いのか分からんな......』
うん。うるせぇ。
「そうだな。ま、今日はゆっくりしよう」
直接話しかけるならまだしも、少し離れた所からコソコソと。耳障りだ。
「レイナさん、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます!」
俺達はペコッと頭を下げてギルドを出た。
「ふぅ。なんかギルドの居心地が一気に悪くなったな。変な噂とか流れてそうだし」
「ふふふ! いいのよ。他人を妬んでも得られる物は殆ど無いもん。向上心無くして何かを成せるわけ無いもの」
そうだ。向上心があるからこそ、人に教えてもらいに行ったり、自分の足で戦いに行くのだ。遠目からチラチラと見て、自分が何か出来ると思い上がると、そいつは手痛いしっぺ返しに会うだけだ。
「ま、アイツらが森林に来ても、オークにボコボコにされるだろうな。STRやVITに特化したやつが居るなら分からんが」
そう、オークは本当にそこそこ強いのだ。
俺のように動きを封じてから攻撃する方法を取れるなら問題ないだろうが、そこに気づけなかったり、オークを怯ませるだけの力が無かったら負けるだろうな。
「大丈夫だよ。私達が二手に別れて、全力で走りながら殲滅すればあの人達の分のモンスターは消えるよ」
おいおいソルさん。どうしたんだ?思考が危ないぞ?
「どうしたんだソル?なんか危ないぞ。」
「そう? 多分、イラついてるのかもね。少し離れたところからじっと見られたり、コソコソ話されたら存外、不快感が強かったのかも」
その気持ちはとてもよく分かる。
「なら早めに金を稼いで、森林の次のエリアに行くか。」
「そうね、そうしましょ。次の街があるならそこを拠点にする?」
うーん。どうしようか。きっとその街でも、他のプレイヤーが来たらまた同じような事をされるだけだしなぁ。この状況に慣れる方が、今後の為になるかな?
「ん〜、とりあえず今の状況に慣れておかないか? 少しストレスにはなるが、慣れれば大丈夫だろ。今後のイベントの時は、きっと第2陣や、それ以降のプレイヤーも増えている事だろう。もしそのイベントで目立ったりしたら、今より辛くなると思う。目立つ前提で動くわけじゃないが、これも経験として積んでおかないか?」
「そっか、そうだよね。分かった。慣れるように頑張ろっか。1人なら辛くても2人なら大丈夫な事もあるもんね!」
そうだな。それはさっき経験したよ。手を握ってくれなかったらきっと俺は逃げるか、立ち止まるかしただろうからな。
「よし、切り替えて買い物に行くか。街の端から端まで見るか?」
「うん! まずはどこから見る? 北から時計回り?」
「そうしよう。途中で何かをあったらそっち優先にしてみるか。半分計画的に、半分行き当たりばったりで」
「うん!!」
そうして俺達は街をぶらぶらと歩いた。
「う〜んこうしてゆっくり見ると、ホントにこの街は綺麗だなぁ」
「そうだね!最初の街でこんなに凄いんだから、王都とかどんな感じなんだろうね!」
「確か王都で武術大会があるから、誰かが王都に着くまでは武術大会のイベントは無いのかもな」
「そっか、ルナ君は武術大会に出るの?」
「あぁ、『自分の力量を知れる』ってスパーダさんに教えてもらったからな。ま、俺の場合、勝つには『強い』人ではなく『上手い』人にならないといけないがな」
「どうして? ルナ君は強いよ?」
「ちょっと違う。まぁ、主にステータスについてだな。俺はちょっとした称号のせい? お陰? でSPを振るのが躊躇われるからな。ソルはDEXの値が4桁だろ? でも俺は3桁だ。だから弓では確実に威力で負ける。が、『戦い方』なら勝機がある。力は無くても賢い奴は生き残れる。という事だな」
俺がそう言うと、ソルは納得したようだった。
「そういえば師匠も同じような事を言ってたね。『上に立てるのは強くて上手い奴だ。力と頭脳を持った奴ほど高みに至る』って」
「そう言えば言ってたなぁ。懐かしい。あの時は初めて2人で一緒に師匠と戦った時だったか?」
「そうだね! 2対1なのにあの人は全部捌ききるもん。凄すぎるよ」
そんな感じでお喋りしながら色んなお店を巡った。
そして今、南東の方にある食品店に来た。
そこのオバチャンが中々に印象的だった。
「こんにちは〜」
「らっしゃい! ようさん食べ物があんで! 見てってき!」
おう、関西弁じゃないか。
「この店にいたら関西弁が出そうだね、ふふ」
「そうだな。地元を思い出すよ」
1年と少しだが、懐かしく感じる
。
「お! そこの2人、ラブラブやな〜! 飴ちゃんいるか?」
「ははは、まだそんな関係じゃないですよ。でも飴ちゃんは貰います」
実はそこまで『飴ちゃんいるか?』って言う人は居ない。どちらかと言うと『飴ちゃんあげんで!』って言って渡してくるのだ。
「そうなんか! まぁ、いずれはラブラブになるんやろ? ほら、今日はあのパン安いで〜!」
そう言いながら小さな小包の飴を渡された。そしてその飴の詳細を見てビックリした。
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『オバチャンの飴』
食べると5分間STRが1.1倍になる。
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「ソル、飴の詳細見た?」
「見たよ。凄いね、これ」
そう、この飴はバフアイテムでもあった。俺とソルは『知力司る林檎』で食べ物に効果があるのは知ってたが、ドロップ品だけだと思っていた。
よし、これは作り方が気になる。オバチャンに聞くか。そしてこういう時は相手に合わせるに限る!
「オバチャン! 俺に飴の作り方教えてくれへんか? オバチャンの飴、気に入ったわ!」
こちらも関西弁でいく。言葉の波長を合わせるのだ。
「え〜ほんまか?性能を見たから知りたいんとちゃう?」
正解だが、ここは乗り切れる。
「なわけないやん! オバチャンが教えてくれた飴なら、うちの彼女が喜んでくれるからやで!」
すまんソル。ダシに使うぞ。
「ホンマか? なら教えたる! こっち来ぃ!」
よし! これで飴の秘訣が知れるかも! オバチャンありがとう!
「おおきに! よろしゅうな〜」
そう言って俺はオバチャンに飴の作り方、というか、『料理』スキルと『付与』スキルを教えてもらった。そこで面白い事が聞けた。
「この飴ちゃんな? 普通の飴とちゃうねん。これな? 『飴細工』のスキルと『付与』スキルで出来てんねん」
「『飴細工』? そんなんあんの?」
「せやで。『金細工』か『木工』スキルと、『料理』スキルがあれば取れるで! あと、にいちゃん、語り人やろ? 語り人はこの街の南側の生産所で料理の練習出来るから、そっちで練習しぃや!」
マジか。知らなかった。掲示板とかじゃ結構書かれてそうだな。今度、いや、今日時間があればソルと行くか。
「おおきに! これで飴ちゃんが作れんねんな?」
「せや! 彼女さん喜ばすために頑張りぃや!」
「もちろんやで! ホンマありがとうな!」
そうして10分程でスキルを教えてもらった。
「お待たせ、ソル。行こうか」
「うん! 飴ちゃん、楽しみにしてるね!」
「あぁ。ほなな〜! オバチャン!」
「おおきに! また来ぃや〜!」
そんな事が、ありまして。
大体時刻は18時頃。ソルと一緒に生産所に来た。
「ここがプレイヤー用の生産所みたいだな」
「どんな感じなんだろうね?」
期待を胸に、扉を開けた。
「「おぉ〜お?」」
生産所は中々に広かった。まず扉を開けるとロビーがあり、そこで受付でなにをするかを言って、そのスキルに対応した設備のある部屋を紹介されるようだ。
「いらっしゃいませ。本日はどの様な生産スキルをお使いになられますか?」
すごく丁寧に受付された。
「今日は『料理』スキルの練習に来ました。お願いできますか?」
「はい! 『料理』ですね! お部屋を案内しますので、付いてきてください!」
そう言われて付いてきた先は、『料理』の札がかかった部屋だった。
「こちらになります! 次回からは受付をせずにそのままこちらの部屋に入っていただいて構いません!」
「「ありがとうございます」」
俺たちがお礼を言うと受付の人は『頑張ってくださいね!』と言って戻って行った。
「さ、入ろうか。料理スキル伝授だな」
「そうだね! すごく楽しみよ!」
当初の予定からかなりズレたが、いいだろう。
ゲームなんだから、楽しめなかったら意味が無い。
そして扉を開けると......
「おぉ、そこそこ人がいるな」
キッチンが沢山ある大きな空間だった。
どうやら空いているキッチンを使えば良いようだな。
「あそこにしようか」
そう言ってソルを連れて、入口から見て一番左手前のキッチンに来た。
「凄いね、調理器具がいっぱいあるよ」
「そうだな。まぁ、習得だけなら目の前で料理を作ればいいってオバチャンが教えてくれたよ」
このキッチン、フライパンやお鍋はもちろん、MPを消費して使えるコンロなんかもあった。だがそのコンロは生産所限定らしい。クッ!
「さ、どうする? オバチャン直伝の飴を作るか、手持ちの肉を焼いて覚えるか」
「飴ちゃんを作る材料はあるの?」
「大丈夫だ。オバチャンから少し分けて貰った」
そう、あのオバチャン、俺が直ぐに作れるように砂糖や果物のエキスを分けてくれたのだ。
「なら飴ちゃんでお願い。普通に見てみたいの、ルナ君がキッチンに立つの」
なんか凄い期待されている気がするが気のせいかな?リアルではホントに料理下手だからな、ゲームの中くらい上手くなりたいな。
「おっけ。見ててくれ」
少し恥ずかしいが、目の前で飴ちゃんを作った。砂糖を温めるのをコンロでやるのはなんか負けた気がするから竈で火をつけて使った。
薪は使えるな、そう思った。まだ他のプレイヤーは誰も入手してないだろうけど。
「いや、誰か勝ったかもしれんな」
「どうしたの?」
「いやな、誰か他のやつはトレントを倒したのかな〜って思ってさ」
「どうだろうね~」
ソルと話しながら飴を作り上げていった。
「ほい、後は冷まして完成だな。『飴細工』のスキルが無いから形は酷いがな。あと、オバチャンは水属性魔法で冷やしていたよ」
そう、あのオバチャンは水属性魔法でぬるま湯を出し、徐々に温度を下げて冷ましていた。
「凄いね、魔法は料理にも使えるんだね」
「だな、俺達は聖属性と木魔法だから、殆ど役に立んな、ははっ」
そんな話をしつつ冷めるのを待つ。そして―
「あ! 習得できたよ! 『料理』スキル!」
「お! おめでとう! これで色んな料理が作れるな。ソルのDEXはかなり高いし、期待できるな」
「ふっふっふ! 楽しみにしているといい! ......まぁ、場所も調理器具も材料も無いけどね」
悲しいこと言うなよ......生産所が...いや、生産所『しか』無いのか......
「じゃあ、ここまでは普通の飴作りで覚えたとこだな。次はアレ、やるぞ」
そう、『付与』だ。レベル1ではごく短い時間の強化で終わってしまう。だが、レベルが上がれば、消費するMPを増やして、効果時間や効果そのものを上げることができる。今回の付与で使うMPは30だな。
「ほい、『付与:DEX』と」
手をかざしてスキルを使った。
今の俺はSTR、AGI、DEXの3つを10秒しか付与できない。
「どうだ!」
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『オバチャン直伝の飴』製作者:ルナ
食べると10秒の間、DEXが1.1倍になる。
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「おぉ〜! 凄いよ!」
そして―
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『料理』スキルレベルが5上がりました。
『付与』スキルレベルが5上がりました。
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「お、スキルレベルが上がった」
「私も『付与』を覚えたよ!」
素晴らしい。俺はスキルレベルが上がり、ソルは『付与』を覚えた。
「よし、こんなもんか。どうする? 今日はもう宿に戻るか?」
そう、今は大体18時半頃。ここでご飯を作ろうにも材料はないし、もう宿に戻ろうかと提案した。
「そうだね、そうしよっか。明日はどうするの?」
「明日はソルが出来るなら、朝から夜まで狩りをしたい。」
「おっけー! 私もレベルが上がるし、お金も稼げる!良いこと尽くしだよ!」
せやなぁ。
それはそうと、どういうルートで狩ろうか。昨日の狩りで9割方マッピングは終わった。
「あ、そうだ。二手に別れて狩らないか?朝、言ってただろ? まだそこまでトレント討伐は進んでないだろうし、今のうちにやっとく?」
殲滅作戦だな。
「うん! ストレス発散にも良いだろうね! やろう!」
そして俺達は生産所を出て宿屋に向かった。
「あっ......木工道具屋行くの忘れてた.......」
━━━まだこの時は知らない、明日が『満月』である事を。そしてアルトム森林の『満月の反射する池』には、アイツが出てくる事も。
━━━━━━━━━━━━━━━
名前:ルナ Lv43
所持金: 78,950L→255,050L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E)
HP:520
MP:520
STR:440
INT: 440
VIT: 440
DEX: 440
AGI: 440
LUC:220
CRT:34
残りSP:420
取得スキル
戦闘系
『剣王』Lv20
『王弓』Lv1
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『木魔法』Lv1
生産系
『鍛治』Lv1
『金細工』Lv1
『裁縫』Lv1
『調薬』Lv1
new『付与』Lv6
『木工』Lv1
new『料理』Lv6
『錬金術』Lv1
その他
『テイム』Lv1
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名前:ソル Lv26
所持金:4,200L→212,220L
種族:狐人族
職業:『弓術士』
称号:『ワンショットツーキル』
所属ギルド:冒険者 (E)
HP:880 (50SP)
MP:175
STR:270
INT: 270
VIT: 270
DEX:2,821 (190SP)
AGI: 270
LUC:135
CRT:22
残りSP:10
取得スキル
戦闘系
『剣術』Lv21
『弓術』Lv65
魔法
『聖属性魔法』 Lv3
生産系
new『付与』Lv1
new『料理』Lv1
その他
『テイム』Lv1
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書いていたら『早くこいつら付き合えよ』って気持ちがふつふつと湧いてきました。
そして忘れ去られる木工道具屋...。実は木工道具屋は結構凄いんですけどね...ルナ君、運がねぇです。
さて、次回は掲示板回ですかね。
ルナ君がぶっ壊れる前と後、どっちから始めようか悩みますね。




