空間魔法の心得 前編
久しぶりのアルカナさんです。
アルカナさんに転移させられた場所は、どこかの森だった。
鳥のさえずりと川の流れる音が聞こえ、どこかリラックス出来る空間に飛ばされた。
それとミニマップが使えなくなっているので、特殊なエリアなんだろう、ここは。
「おい、今の内にソルに『暫く帰れない』と言っておけ」
「......何故です?」
「そりゃあ、お前の嫁なんだから、お前が数日帰ってこなかったら心配するだろう?ちゃんと配慮してやってるんだ、感謝しろ」
「図々しいですね。勝手に連れて来てお「死にたいのか?」......はいはい」
アルカナさんが俺の喉元に剣を突きつけ、首の後ろには糸が張られた。
凄いなこの人。どんなステータスしてんだよ。速すぎだ。
俺はアルカナさんに感心しながら、ソルにボイスチャットを繋げた。
『ソル。アルカナさんに拉致されたせいで暫く戻れない』
『えっ!?じゃあ遊ぶのは......』
『無理なようだ。すまない......帰ったら水着、みせてくれ』
『うん!じゃあ晩御飯作って待ってるね!』
『......それがな、暫く戻れないっていうのは『数日以上』という意味なんだ。例え逃げても転移で捕まるから、マジで家に帰れん』
『......あのクソババア......!』
『落ち着け。帰れるようになったら直ぐに帰るから、それまで待っていてくれ』
『......うん。ログアウトしたら、いっぱいギューってしてね?』
『あぁ、じゃあな。愛してるよ』
『うん!私も大好き!』
俺はボイスチャットを切り、アルカナさんと向き合った。
「伝えましたよ。で?俺は何をすればいいんです?」
「簡単だ。『空間魔法』を習得しろ」
「習得しろって......やり方知らないんですけど」
この人、無理難題を簡単に押し付けてくるよな。酷い。
それで、何かの魔法が進化して空間魔法となるなら、まずはその元となる魔法を習得しなきゃならないし、レベル上げもしないとならない。
って言うか──
「なんで俺に空間魔法を習得させるんです?」
「ん?それは単純明快、お前に空間魔法を教えるに値すると思ったからだな。ルナよ、お前の魔法はお前の技術に追いついていないの、分かっているのか?」
「いえ、全く。そもそも俺の技術ってなんですか?」
「アホだな......お前の技術は2つ、光るものがある。
1つは『手加減の技術』だ。つまりは威力の調整。敵に合わせた最適な威力で魔法を使い、敵を滅している」
「はぁ」
ちょっと何言ってるか分からないけど、無理矢理飲み込もう。
「2つ、『魔法作成技術』だ。お前の魔法の完成度は、私にも真似出来ないほどだぞ?特に、さっき使った魔法陣を破壊する魔法......あれは格別だな」
「ありがとうございます」
クロノスクラビスは自信作だからな。褒めてくれるのはとても嬉しい。
「では話を空間魔法に戻そう。空間魔法の習得条件、それは『火・水・風・土・雷・聖・闇属性魔法を、それぞれ超級魔法に進化させる』事だ」
「はぁ!?」
やりたくねぇ!そんな条件、面倒臭いにも程があるぞ!?
今の俺は海魔法が超級で、後は全部初級だ。それを2段階も上げる?......『最弱無敗』でも、流石に時間がかかるぞ。
「お前の成長速度なら簡単だろう?私は知っているぞ?お前の持つ称号を......」
何かバレてるんだけど、最弱無敗君。
「......へぇ。ソルにも教えてないのに、何知ってくれてるんですかねぇ?」
「いや、そこは別に問題ではないだろう」
「......まぁ。で、どうやってレベルを上げれば?いや、その前にスキルを進化させないとダメか......」
「あぁ。それと、この森の奥に居る、とあるモンスターでレベルを上げるから経験値については心配するな」
「はぁ......取り敢えず進化させますね」
いつかは進化させようと思っていたが、このタイミングとはな。
俺はウィンドウを開き、進化出来る魔法を全て進化させた。
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『火属性魔法』が『炎熱魔法』に進化しました。
『風属性魔法』が『気体魔法』に進化しました。
『土属性魔法』が『岩石魔法』に進化しました。
『雷属性魔法』が『雷電魔法』に進化しました。
『氷属性魔法』が『氷結魔法』に進化しました。
『聖属性魔法』が『神聖魔法』に進化しました。
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あ、そうだ。ついでに戦闘系スキルも進化させておこう。
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
『剣王』が『剣帝』に進化しました。
『王弓』が『弓帝』に進化しました。
『槍王』が『槍帝』に進化しました。
『武闘術』が『闘王』に進化しました。
『刀王』が『刀将』に進化しました。
『操王』が『操帝』に進化しました。
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
ほ〜ん、キングの次はエンペラーか。効果は......補正の倍率が上がっただけみたいだな。
そして、これはレベルが上がり難いスキルとみた。
......直感だけど。
「し〜ん〜か、させましたっ♪」
「そうか。ここまで来て何だが......最後の確認だ。本当に空間魔法を習得するということでいいんだな?」
◆━━━━━━━━━━━━━━━━◆
『特殊クエスト:最強への弟子入り』
<概要>
現地人最強のエルフ『アルカナ』の
弟子になる。生半可な気持ちで挑む
と、強制終了となる。
<報酬>
・『空間魔法』の魔法陣
・称号の獲得
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こんなウィンドウが出てきたが、もう『やる』とソルに伝えているので、このクエストを受けるぞ。
「はい。ちゃんとあなたの技術、盗みますよ」
「言ったな?では、着いてこい。ヤツの元へ行く」
「はい」
そうしてクエストを受け、謎の森を歩くこと3時間。
マグマによって温められた、立っているだけでもHPが減っていく恐ろしい火山に出た。
「火口へ行くぞ。そこにヤツは居る」
「分かりました」
俺は短く返事をしてアルカナさんに着いて行く。
余計な話をしたら怒られそうだし、今の内に行動詠唱に『クロノスクラビス』をセットし、いつでもフーを呼び出せるように心の準備をしておいた。
◇◇
「着いたな。アレを見ろ。アレがお前の魔法の練習台だ」
火口へ着いてアルカナさんの指を指した方を見ると、そこには溶岩の海の中にポツンと立っている島があり、その島に何かが眠っていた。
オレンジに燃え盛る何かだ。
「アレは?」
「ふっ......『不死鳥:フェニックス』......御伽噺に出てくる幻獣の一体で、完全な不死の特性を持つ鳥だ」
そう言われて再度燃え盛る何かを見ると、確かに鳥のような姿をしていた。
翼を畳み、小さく丸まって寝ているようだ。
「お前、驚かないんだな」
「まぁ、神龍とか雷神と戦いましたし。それに俺も、一応不死鳥になれますからね」
「そうか。では今から、あの鳥と戦ってこい。1度殺せば経験値が入る。故にあの鳥でレベルを上げろ」
「アイツのレベルは?」
「お前のレベルによる。お前が強ければ強いほど、ヤツも強くなる」
クラーケンタイプか......もしかして、全部のボスがレベル相当とかになってないよな?
そうなったら俺、誰かとパーティ組んだら地獄を作るんだけど。
「ま、いいや。じゃあ、行ってきます」
「あぁ。逝ってこい」
俺はアルカナさんに背中を押され、溶岩の上を飛行してフェニックスに近付いた。
『......?ピィィィ!!!』
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
『不死鳥:フェニックスLv595』との戦闘を開始します。
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
こうして、俺の地獄のレベル上げが始まった。
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
名前:ルナ
レベル:395
所持金:53,845,290L
種族:人間
職業:『ヴェルテクスギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Bランク冒険者(0/300)
Pギルド:『ヴェルテクス』
所持因子:『稲荷』他6柱
所持技術:『魔力打ち』他多数
HP:20,710<1,000>
MP:20,710<1,000>
STR:19,710
INT:19,710
VIT:19,710
DEX:19,710
AGI:19,710
LUC:9,850
CRT:100(上限値)
SP:1,540
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100→『剣帝』Lv1
『魔剣術』Lv100
『王弓』Lv100→『弓帝』Lv1
『魔弓術』Lv100
『槍王』Lv100→『槍帝』Lv1
『魔槍術』Lv100
『武闘術』Lv100→『闘王』Lv1
『魔闘術』Lv100
『刀王』Lv100→『刀将』Lv1
『魔刀術』Lv100
『操王』Lv100→『操帝』Lv1
『魔糸術』Lv100
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
『戦神』Lv100
魔法
『火属性魔法』Lv100→『炎熱魔法』Lv1
『海魔法』Lv30
『風属性魔法』Lv100→『気体魔法』Lv1
『土属性魔法』Lv100→『岩石魔法』Lv1
『雷属性魔法』Lv100→『雷電魔法』Lv1
『氷属性魔法』Lv100→『氷結魔法』Lv1
『聖属性魔法』Lv100→『神聖魔法』Lv1
『闇属性魔法』Lv58
『自然魔法』Lv100
『龍神魔法』Lv89
『古代魔法』Lv1
『音魔法』Lv100
『妖術』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv100
『神匠:金細工』Lv100
『裁縫』Lv99
『調薬』Lv82
『神匠:付与』Lv100
『木工』Lv1
『料理』Lv83
『神匠:錬金術』Lv61
その他
『テイム』Lv4
『不死鳥化』Lv100
『マナ効率化』Lv0
『植物鑑定』Lv0
『毒物鑑定』Lv0
『動物鑑定』Lv0
<>内アクセサリーの固定増加値
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サンドバッグファイアーバード、キタ━(゜∀゜)━!
次回はレベル上げをしつつ、陽菜とのお砂糖生活が出来たらな、と思います。
お楽しみに!