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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第8章 夏の思い出
250/492

初日から大暴れ 3

初日はこれで、終了です。


それとソル視点が7割です。




「ルナく〜ん。どうかな〜?」


「......気持ちいい。柔らかくて好きだ」


「おほほぉ。照れますなぁ」



ソルの箒に乗り、砂浜へと帰ってきた。

アルスとセレナが、そこそこ人の少ない広い場所に、ブルーシート代わりの布を敷いてくれていた。



「にしても、本当に弱ってるね。どんな戦闘をしたの?」


「......まず、そっちのクラーケンはどんな見た目だった?」


「え?こっちは『大きなイカ』って感じだったね」


「......こっちのクラーケンは......全部の足の先が、武器になっていた。触腕は剣に。8本の触手は槍、盾、斧、杖に......」


「それは凄いね。パワーはどんな感じ?」




「俺が口を開いた瞬間、お腹に穴が空いていた」




「はぁ......無事で良かった......」



ソルは俺のお腹を撫でながら、俺の生還を喜んでくれた。


とても嬉しいが、とても恥ずかしい。でも、ソルの事が大好きなので許せちゃう。



「俺はこの太ももが無事で、安心したよ」


「ふふふ。ルナ君の為に、ノーダメージで倒したからね。この太ももと膝枕だって、ルナ君のものだからね」


「ありがとう......ソ......ル......」




俺は暖かいソルに撫でられながら、睡眠という名の深い海へ潜って行った。


暖かい海なんて、初めてだ。






◆ソルside◆






「あ、ピーちゃん」



寝ているルナ君を撫でながらリルちゃん達を見ていたら、ピーちゃん達がやって来た。


にしてもルナ君、寝顔が可愛いなぁ。



「来たよ〜......って、寝てるのね」


「まぁ、アレだけデカく戦ってたんだし、脳の疲労もマッハだろうな」


「僕なんて体が震えたよ。あの衝撃って何なんだろ」



それについてはルナ君に教えて貰った。



「アレは魔刀術だって言ってたよ。クラーケンに全力の魔刀術を使っても、余裕で耐えられたんだって」



「「「......アレが?」」」



「アレが。多分、シャコのパンチを大きくした様な物だと思うよ?」


「なるほど。速すぎたから水が衝撃を伝えたのね」



多分ね。詳しい原理とか、そういうのは分からない。

私はただ、ルナ君が無事に帰ってきた事が嬉しいから。



「......イ......カ」


「ふふふ。起きたら焼きそばにしよっか」



こんなに可愛く寝てる人が、私の愛する人。


戦いに置いては鬼すら逃げ出すような結果を残すけれど、他のことには弱いところもある。

忘れ物をしたり、意外に簡単な事に気付かなかったりする、私の大好きな人。



「母様、少し......って、動けなさそうですね」


「うん。リルちゃん、どうしたの?」


「いえ。海でお魚さんを採ってこようかと思いまして......良いですか?」


「いいよ。ただし、ちゃんとイブキさんやセレナちゃんと一緒に行くんだよ?」


「分かりました。では父様の事はお願いします」


「任せたまえ。ほら、行っておいで」


「はい!」



可愛いなぁ。リルちゃんは本当に、このゲーム内での私とルナ君の子供だよ。それぞれの特徴を受け継いでるし、本当にルナ君そっくり。


もしリルちゃんが狐の耳なら、100%私達の子供だね。


でも、狼っていうのもまた、私の内面や戦闘中のルナ君らしさがあるんだよね。



「お〜っす。俺らも来たぞ〜」


「ルナさん、しんどそうにしてましたけど大丈夫ですか?」



リルちゃんが行った後、マサキ君達のパーティも来た。



「大丈夫だよ。今はぐっすり寝てる」


「「「「おぉ......膝枕」」」」



4人とも同じ反応なんて、面白いね。息が合ってる感じがして、パーティとして良さそう。


私とルナ君は、それぞれミニマップで動きを確認しながら戦うから、基本的に同じ反応って無いんだよね。



「可愛いですね、ルナさん。私、もっと怖いイメージがありました」


「そうなの?イリスちゃん。ルナ君は可愛いよ?......甘えてる時は」


「意味深だね、ソル」



ルヴィちゃんが窺うように聞いてきた。



「だってルナ君、私に甘える時以外は基本的には戦闘してるから、可愛いというよりカッコイイんだもん」



「「「「「「「あ〜」」」」」」」



7人とも同じ反応だった。これに関しては分かる。

戦闘中のルナ君って、全力で遊んでる感じがしてカッコイイの。

いや、可愛くも見える......う〜ん、なんて言えばいいのかな......



好き。ただそれだけかな。



「分かります。ルナさんは臆せず戦いますからね。周りが動かない状況でも、1人で前に進む姿はカッコイイです」


「確かに。クラーケンの時のお兄さん、狐ちゃんから全力で距離を取るために、何度か攻撃を受けてまで誘導してたからね」


「えっ......知らなかった......もう、ルナ君は......」



聞いた限りの情報でも、クラーケンの攻撃がかなり痛いだろうに、私の為に進んで出てくれた。



「ルナ君。もっと自分を大切にして?」


「違いますよ。ルナさんは、自分の身の為にソルさんを守ってるんです。もしソルさんに何かあった時、自分がパニックになる事を知っているんですよ」


「だね。狐ちゃんを守る事が、自分を守る事に繋がっているんだよね」



あはは......私の考え、足りなかったな。


私はこんなにも愛されていた。私の愛する人に、沢山沢山愛された結果、自分を守る為に私を守るという、おかしな状況を作ってしまった。




「ありがとう......大好きだよ」



ちゅ



私はそっと顔を近付けて、ルナ君の唇にキスをした。



「ん......んむっ!?」



「「「「「「「えっ!?」」」」」」」



ヤバい!ここで寝起きのチューはヤバい!皆が見てる前でこれは、とんでもなくマズイ事になっちゃう!



「ん〜!ん〜〜〜!!」



「だ、大胆すぎる」


「俺の知ってるルナじゃねぇな」


「そう?僕の知ってるルナって、結構ガッツリいくけど」


「俺は初めてこんなシーンを見たからなぁ。幻滅と言うより、『あぁこいつも人間だなぁ』って思った」


「これは見て見ぬふりをしないとダメですね」


「はわわ......ル、ルヴィちゃん!」


「べ、別にあれくらい普通でしょ!......多分」



「ん〜!」



中々ルナ君が唇を返してくれない。この寝坊助さんめ、舌をねじ込んでやる。



「むっ!?......ソル!?」


「はぁ、はぁ......ようやく起きたね」


「ビックリした......おはよう。というか何で女性陣は顔を隠してるんだ?」



あ、本当に寝ぼけてやってたんだ。今度リアルの方で、起きてる状態でやろ〜っと。


私の勇気、ルナ君にも味あわせてやる!



「秘密だよ。それより、ご飯にする?戦闘にする?それとも......わ・た・し?」




「じゃあソルで」




「「「「「「「「え?」」」」」」」」



ちょっと待って冗談で言ったんだけど私の心の準備がまだ出来ていないって言うかルナ君が前から結婚するまではしないと言っていたのにどうしてここで私という選択を取ったのかちょっとよく分からないんだけど──



「モフらせてくれ。今の俺には癒しが必要だ」


「あっ......はい。それは確かに私ですね」


「じゃあ今度は俺が膝枕をする番だ。お前らも突っ立ってないで、適当に座れよ?」


「お、おう。じゃあ遠慮なく」


「失礼しマリモ」



アテナさんとマサキ君が座ると、他のみんなも座り始めた。

じゃあ私も、ルナ君の膝枕に甘えようじゃないか。



「あぁ〜、良い御御足ですな〜」


「ありがとう。俺とってはソルの足が1番だけどな」



あかん。ルナ君、それは嬉しすぎてあかん。

しかも頭も撫でてくれて......あぁ、ここが天国か......



「えへへ、ありがとう」



「ディープだよ......ディープだよルヴィちゃん!」


「な、何でもないでしょ!?あれぐらいが普通よ......多分」



まぁ、婚約者だしね。これぐらいなら普通でしょ。



「じゃあブラッシングするか。今日はもう、十分暴れたから癒しをくれ」


「うん!ルナ君はいっぱい頑張ったよ。まぁ、倒さなくてもいいのを倒した感もするけど、それでも頑張ったよ」


「ありがとう」



あ〜、やっぱりルナ君のブラッシングが1番だね。

ルナ君は、私がどんなにDEXを上げても感じられない、癒しのパワーを持っている。



「父様〜!見てくださ〜い!」



遠くからリルちゃんの声がして、ルナ君がブラッシングを中断して顔を上げると──



「え゛っ」


「どうしたの?......え゛っ」



「えへへ、採ってきました!『横ツナ』です!」



リルちゃんが、車ほどの大きさのマグロを背負って帰ってきた。


そしてその後ろにイブキさんとセレナさんが、申し訳無さそうな顔をして着いてきていた。



「ルナ様、ソル様。申し訳ありません」


「いや〜、私達も止めたのよ?ルナ達に心配かけるから、って。でも『やれます!』って自信満々に言うから見てたのよ......そしたら......あぁなったの」


「あ......あぁ」



流石にルナ君もポカーンとしている。

って言うか、全員ポカーンと口を開けてる。


ここはいっちょ、私が時間を進めないと!



「頑張ったね、リルちゃん。どうやって捕まえたの?」


「母様、簡単です。泳いで刺して、終わりです」


「ん〜???......糸術は使わなかったの?」


「はい。使えませんからね。ですので、このお魚さんと一緒に泳いで、ツクヨミさんでブスッ!と刺したのです」



確かに、大きなマグロの頭に刀の大きさの穴が空いている。

リルちゃん、マグロと並走出来る速度で泳げるんだ......



「リル、シェルフラグメントはドロップしたか?」


「はい!200個ほど手に入れました!」


「そうか......その横ツナ、レベルは幾つだ?」


「確かに200です!一撃で倒しちゃったので、そこまで強くありませんでしたよ?」


「......なるほど。シェルフラグメントはレベルの分だけドロップするっぽいな。ありがとうリル。今日のご飯はマグロにしようか」


「はい!」



「「「「「「「「えぇ......?」」」」」」」」



ルナ君、適応早すぎでしょ。私、まだリルちゃんの泳ぐ速度が飲み込めてないんだけど......



「あれ?メルは?」


「メルちゃんなら沖の方で、魔法を使ってお魚さんを採ってますよ。

岸に近いと、人に当たった時に父様に怒られるから

、と言って、遠くの方まで海を動かしながら移動してました」


「ありがとう。最初の方しか理解出来なかったよ」


「えへへ〜」



残念、私は最初から最後まで理解出来ませんでした。



「ソル、ブラッシングは完了だ。料理にしよう」


「あ......うん!」




私は考える事を辞め、ルナ君に着いていく事にした。




簡潔に。次回、『反転の空中神殿』お楽しみに!

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