初日から大暴れ 1
イベント初日です(*´ο`*)
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イベント: 夏の思い出を開始します
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「イベントが始まったぞ〜!」
「「「「「いぇ〜い!」」」」」
「海でのイベントだぞ〜!」
「「「「「いぇ〜い!」」」」」
「早速海に行くぞ〜!」
「「「「「いぇ〜い!」」」」」
遂にイベントが始まった。
俺がやるべき事は確立しているので問題ない。
シェルフラグメントを集め、ソルに渡し、後は遊ぶ。
レイドボスは出会えたら戦うスタイルで、自分からは探しに行かない。
いや、シェルフラグメントを大量にドロップする可能性を考えたら、ボスを狙うのも良いかもしれん。
「ふふっ、ルナ達は元気ね」
「主はあれくらい明るいのが、丁度良いのです」
「はっはっは、そうですな。ところで2人とも、混ざらなくて良いのですかな?私は見守るくらいが合ってましてな」
「あら、そうなの?まぁ、私も可愛いルナが見れたら十分だから、ここで良いわね」
「我は......アウェー感に襲われます」
「「分かる / 分かります」」
「何だろうね......一家団欒に混じりこんだ他人の気分になるのよね......」
「言い得て妙ですな」
「我、あそこに入る勇気が無いのです。その点主は、そういう勇気を持ってらっしゃるのでしょう」
「いや?一家団欒に入る勇気どころか、人と目を合わせるのも苦手だぞ?俺は」
後ろで3人が話しているのは聞こえていた。
俺としては皆で遊びたいんだが、人数が増えるとそう上手くいかないのは知っている。
だから、個人的に接する機会を増やしてるんだ。
セレナなら農場で話をして果物を食べたり、アルスとは戦闘をして遊んだり。
唯一、イブキだけはまだ遊べていないんだよな。
「ほら、全員で行くぞ。付喪神組は武器に戻ってくれ。アルスは......すまん、お前も戻ってくれ」
「承知しました」
「よし、3人とも、東と南、どっちの海がいい?前回のは東だぞ」
「じゃあ南〜!」
「私も南の海に行ってみたいです!」
「どっちでもいい」
「じゃあ南で決定だな。何があるか分からんから、初めての噴水ワープで行こう」
遂にワープを使う。多分、今の俺は『イニティ』『ロークス』『ディクト』の3つの街に行き来可能なはずだ。
今回初めてワープを使うが、便利そうならこれからも利用するようにしよう。
そして王都ロークスの、大きな噴水のある広場まで歩いて来た。
「Hey ソル。どうやってワープするの?」
「......すみません。よく分かりません」
「ソルクサ、ワープの仕方を教えて」
「こちらの検索結果が出ました......普通にウィンドウを出したら良いみたいだね。ワープは何処まで飛ぼうと、一律100Lだって」
「ありがとうソル。だっ......行こうか」
危なかった。公衆の面前でソルに抱きつく所だった。
幾らソルが可愛いからって、流石に外で抱きついちゃ──
「ぎゅ〜!」
俺から行かなくとも、ソルの方から抱きついて来た。
......しかも大きな声を上げながら。
凄いぞ。周りのプレイヤーや現地人が、一気にこっちを見たぞ。
「母様ずるい!私も!」
「じゃあわたしも」
リルとメルが両サイドから抱きついて来た......動きにくい。
って言うか、周りからの目が痛い。俺の胃も痛い。
「3人とも......やめて......早く行こ......?」
「しょうがないなぁ。帰ったら、ね?」
「『ね?』じゃねぇよ。取り敢えず行くぞ。貝とかカニとか倒しに行くぞ」
「は〜い」
そうして俺達は、噴水ワープでイニティまで飛んだ。
リルとメルはテイムモンスターなので、料金を払う必要が無かった。
馬車はお金が必要なのに、ワープは必要ない......
これは『運営』が用意した物と、『住民』が用意した物だと、そう区別されているのかな?
「うわぁ、懐かしい景色だと思ったけど......」
「あぁ、強くなったプレイヤーで溢れ返ってるな」
そう、今のイニティの広場には、ゴツゴツの厳つい鎧に包まれ、自身より大きい大剣を持ったプレイヤーや、キラキラと光る金色のライトアーマーを着た、如何にも『勇者』みたいなプレイヤーがそこかしこに見える。
「眩しいですね。皆さんは暑くないんでしょうか?」
「ここだったら、ぬげばいいのにね」
「ま、プレイヤーが楽しそうで良いじゃないか。皆海の方へ向かっているし、俺達も着いて行こう」
俺達は、適当なプレイヤーをガイドに、無事にイニティの南にある砂浜まで来た。
「「「「『『『うわぁ......』』』」」」」
お喋り7人組は、砂浜の人の量を見てドン引きした。
「アレだね、有名な海水浴場に来た気分だね」
「だな......帰りたい」
「ダメですよ、父様。ここまで来たら遊びますよ!」
「そ〜そ〜。かえるのはもったいない」
『まぁ、家から直ぐに来れますけどね』
『お姉ちゃん!そういう事言わない!』
チッ!シリカめ、俺がフーの言葉に乗ろうとした瞬間に止めやがってッ......!
「はぁ......イブキ」
「ここに」
「悪いが、ソルや子供達に何かあったら守ってくれ。これ、神鍮鉄の糸を渡しとくから、もし戦闘になったらこれで殺れ」
「承知しました」
イブキは糸術や弓術、刀術などの、DEXが必要になる武器が得意との事なので、護身用に糸を渡しておいた。
この糸、俺が普段使っているオリハルコンの糸の50倍以上強いけど、正直今のままで十分なんだ。
俺が私用で使うより、イブキが何かに役立てた方が良いからな。
「次。アルス、セレナ」
「はっ」
「な〜に?」
「リル達と遊ぶ為に場所の確保をしてくれ。端っこでも岩場でも良い。頼む」
「承知しました」
「分かったわ。アルス、行くわよ」
「はい!」
出来れば、戦闘が起きても邪魔にならない場所が良いが、それは難しいので2人に任せる。そこそこおバカな2人なら、いい感じのポジションを取れるだろう。
「フー、シリカ」
「暑いんで戻りたいです」
「暑いね〜」
呼んだ瞬間に戻ろうとしたので食い止めた。
「な、何をするダーッ!」
「暑いよぉ、お兄さん」
「『サーキュレーション』これで我慢しろ。2人には現状での見張りを頼む。ソルにナンパしようとする奴が来たら、神度剣で斬れ」
「え゛っ」
「いいな?」
「いや、あのっ」
「い・い・な?」
「はいっ!ソルさんをお守りします!」
「それで良い。シリカはサポートだ。もし強いプレイヤーが力尽くで来た時に、ボコボコにしろ」
もしレベル300とかのプレイヤーが来たら、フーどころか、ソルですら相手にならないかもしれない。
そういう時は、STRがイカれてるシリカにサポートしてもらおう。
シリカのパンチなら......多分、クリティカルが出たら頭が消し飛ぶ。
「りょうか〜い。ってかお兄さんはどうするの?」
「そうですよ!ルナさん、何も仕事してないじゃないですか!」
「いや、今から行くんだけど。ソルも来るか?」
「どこに行くのかは分からないけど、ルナ君が行くなら私も行きたいな」
「父様、どちらに行かれるので?」
そりゃあ勿論、挨拶にだよ。今回の目玉らしき存在にな。
「クラーケンに挨拶して来ようかと」
「「「「クラーケン?」」」」
「ルナ君、分かるの?」
「あぁ。南に......80キロくらいかな。海底に2体いる」
しかもどんどん北上してるから、このままだと数時間もしないうちにここまで来るぞ。
でもまぁ、俺の目的はそこじゃないんだけどな。
「80キロかぁ......空飛んで行けるかな?」
「それで行けると思うぞ」
「父様。私とメルちゃんはどうすれば?」
「アルス達と遊んでてくれ。海で泳いでも良いし、新しいモンスターを狩っても良い。俺とソルが戻るまで待っていてくれないか?」
すまないなぁ。俺もリル達と遊びたいのだが、水着の素材ってクラーケンの方がドロップ量が多そうなんだよ。
今日は少し、イカ狩りに行かせてくれ。
「分かりました。またお城を作ろうと思います」
「こんどはもっと、おおきいのつくる」
「あぁ。ごめんな、2人とも。クラーケンが触手でなければ、2人も連れて行くんだけどな......」
「ちょっと待ってルナ君。今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど」
「大丈夫。万が一の時は俺が助けるから」
「......良し。もし何かあったら、リアルで襲おう。うん、そうしよう。そうした方がいいよ私」
やべぇ......軽い気持ちでソルを誘ったが、全力で守らないといけない気がしてきた。
「ルナさん、死んできてくださいね!」
「お兄さん。シリカはお兄さんのお兄さんが無事ている事を祈っているよ」
「嫌だ!シリカにそんな心配されたくない!」
どうしよう、クラーケンの所に行きたくなくなってきた。
「さぁルナ君、行くよ!」
「待って!お願い!待ってぇぇぇ......!」
「「「「行ってらっしゃ〜い」」」」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は箒を出したソルに手を掴まれ、そのまま南の空へ飛ばされた。
大人数ならではの役割分担ですね!
次回はそのまま大暴れの2話目です。
クラーケン.....一体どんなモンスターなのでしょう。
意外な展開もあるので、お楽しみに!