自称最弱vs槍星
いつかの刀王
「その遊びとは......一緒に依頼を受けるという事かい?」
「まぁ、それもある。でも違う。俺はお前に『槍術』を教えて欲しいのだ!」
「え?持ってないの?」
「あぁ。剣と弓、刀と拳。そして糸......それが俺の戦闘系スキルだ」
「嘘でしょ?君、仮にも総合部門を優勝してるんだよね?たった5つのスキルで遣り繰りしてるの?」
「そうだ。あの時は魔法9割で戦っていたからな。それはもう、酷い無双ゲーだったよ......あれから皆も成長して、これからの戦いは楽しくなるだろうな」
うんうん。魔法でワンパンを繰り返す作業なんて、戦闘とは言わないもんな。
次の大会がいつ来るのかは知らないが、その時が楽しみだ。
「あぁ......アルカナさんタイプか。成程......よし分かった。この僕が君に教えてあげよう」
「ありがとう。ついでに依頼もやりたいんだが、良いのはあるか?あ、Cランクね」
「はいはい。えっと......これでいっか。どうせルナならやれるだろうし......はい、これでどう?」
そう言ってランザから渡された依頼書を見ると、驚愕する内容の依頼が書かれていた。
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『クエスト:雷龍核5個の納品』
受注条件:Aランク以上
人数制限:なし
場所:不問
報酬:500,000L
概要:ライトニングワイバーンから入手出来る『雷龍核』の納品。
アンバー渓谷のダンジョンにて、確定で出現する。
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「ドラゴン討伐かよ。ってか雷龍核なら何個かあるぞ?」
「あ、ホント?まぁいいじゃん。新たに集めに行こう。槍術を教えるのに、ドラゴンは丁度いいんだよね......っていうか、基本的な戦闘系スキルはドラゴンを練習相手にするのが、1番楽だね」
「......そんな事してると死ぬぞ?」
王女にワイバーンぶつけた俺が言える事じゃないがな。
「でも君も分かってるんだろう?ドラゴンから得られる経験値やドロップ品、更には気の持ちようの価値が......」
「まぁな。経験値は知らんが、気の持ちようとドロップ品は分かるぞ」
「だろう?じゃあ行こう。とりあえずアンバー渓谷でいいかな。ルナ、槍は持ってるかい?」
「あるぞ。丁度その渓谷の宝箱から出た、これが」
そう言って俺は、『海神槍:エリュシオン』を出した。
これはアルスをテイムした時に、急に出てきたライトニングワイバーンを倒した時の報酬品だな。
俺が初めて、自作以外で入手した神器だ。
あ、花鳥風月はソルからの贈り物なので、ノーカンです。
愛が違うからな、愛が。うん。
「はぁ......神器かぁ......まぁいいや。とりあえず渓谷へ」
「うぃっす。移動手段はどうする?飛ぶ?走る?馬車?魔刀術?」
「なんか2つほどおかしい選択肢があるけど......走って行こうか。準備運動にいいでしょ」
「了解」
そして俺はランザと共にギルドを出て、ペリクロ草原に出た。
ここからニクス山、果てはアンバー渓谷まで全力ダッシュとの事。
「じゃあルナ。本気の本気で走ってくれよ?スキルとか全開でいい。限界のAGIで走ってくれ」
「了解した。いつでもいいぞ」
「......え?魔法とか、使わなくていいのかい?」
「いい。使うスキルは一つだけだ。魔刀術以外なら、これしか無いからな」
「分かった。じゃあ行くよ3......2......」
よし、行動詠唱手を叩く事でサーキュレーションが発動するようにして、完了だ。
「1......0!」
「『戦神』」
ドバァァァァン!!!!!
風による爆音を発生させ、俺達は走り出した。
「えぇ!?付いてこれるのか!?」
「あぁ。これならリルとの鬼ごっこの方が負担が掛かるぞ!」
速度は知らんが、馬車なんかより圧倒的に速いと分かる。
これは、リルと遊んだ時の鬼ごっこの時にも感じた速度だ。
風を切る音、土を踏み締める音、どんどんと近付くニクス山の姿......あぁ、とても楽しい。
都会に来て、体育の授業くらいでしか走らなかったからな。
VRでの全力疾走......凄く楽しい!
「ははははっ!楽しいな!ははははは!」
「怖っ!笑いながら走る人怖っ!」
「別に良いんだよ!今くらい楽しませてくれ!!」
そして圧倒的なまでのVITとAGIによって、僅か数分でアンバー渓谷のダンジョン前まで来た。
現実の人間には出せないスピード走るこの快感......良いな。
そしてランザは地面に寝転がり、休憩した。
「ぜぇ......ぜぇ......ルナ......ちょっ......と」
「はいはいルナ君です。如何なされましたか?」
「待って......少し......休憩......を」
「分かった。とりあえずこれを飲みな」
「あり......がとっ」
俺はモスベリーの葉のお茶をランザに渡した。
これなら回復も早くなるだろうし、効果も高いだろうからな。
少しでも早く回復して欲しい。
お茶を呑んで2分後、ランザは立ち上がってから言った。
「よし、ありがとうルナ。助かったよ。まさかそんなに体力があるとは思わなかった」
「凄いだろ?それと、取り敢えず槍術見せてくれよ」
「......分かったよ。やるぞ?」
ダンジョンに入る前に習得をする為に、ランザに槍捌きを見せてもらった。
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『槍術』を習得しました。
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「おぉ、ありがとう。槍術取れたぞ」
「早いね。なら槍を持って、さっさと行こう。道中のトカゲで狙いを正確にして突いてくれ」
「了解」
そしてハイペースでダンジョンを攻略し、僅か40分程で20層までやって来た。
ここには例のライトニングドラゴンがいる。美味しく経験値とさせてもらおう。
『ガグァァァァァ!!!』
階段を降りると、黄色い鱗に黒の模様の入ったドラゴンが待ち構えていた。
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『ライトニングドラゴンLv220』との戦闘を開始します。
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「じゃあルナ。足に2点と腹に1点。そして目を1点穿てるように頑張ってみて」
「......めちゃくちゃ簡単だが、良いのか?」
「良い。現状のルナの技術が見たいからね」
「了解した。じゃあ......『戦神』」
俺はランザに言われた通り、ライトニングドラゴンの足に2点の突きを入れ、ドラゴンの体勢が崩れる前に腹に1点突く。
「『穿』」
『ギャァァァァァ!!!!』
エリュシオンの効果、穿によってドラゴンの腹に風穴が空いた。
そしてドラゴンが体勢を崩して頭を振った瞬間──
「『魔纏』......そいっ!」
エリュシオンに魔纏を施し、次に目が来るであろう位置に思いっきり投擲した。
そしてグサッ!とドラゴンの右目に刺さり、無事にランザの言い付けは守れた。
後はもう、煮て焼くだけだ。丁度ドラゴン君も、『そうだよ〜』って言ってるしな。
『ギャァァァァァァァァ!!!』
「グッバイ雷龍。次は白いドラゴンだと良いな。『顕現』『魔纏』......『穿』」
俺は手にエリュシオンを顕現させ、きちんと魔纏による強化をしてから、雷龍の頭を貫いた。
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
『雷龍(異常個体)Lv240』を討伐しました。
『雷龍核』×2入手しました。
『龍の血液:異常魔力』×5入手しました。
『槍術』スキルレベルが99上がりました。
『槍術』が『槍王』に進化しました。
称号『王を束ねし者』を獲得しました。
『四王の威光』は『王を束ねし者』に統合されます。
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
「ふぃ〜、異常個体って何やねん。まぁでも、経験値美味しかったからいいか」
それに、毒物として美味しそうな『血液』が手に入った。
何たる僥倖か。俺は今日、ランザと遊びに来て良かったと思っている!
「お疲れ様。所でルナ、僕と、槍で戦わない?」
「......いいぞ。魔槍術は?」
うん......何となくそんな気はしてた。仮にも槍星でもあろう奴が、ぽっと出のカス野郎が目の前で槍王になったら、そりゃあ確かめたくもなるだろう。
なので、ここは乗るぞ。
「使わない。純粋な槍での勝負さ。それなら文句ないだろ?」
「分かった。槍術のみか?それとも他の戦闘系はアリ?」
「ナシ。槍術......いや、『槍王』のみで」
「いいね。やろうやろう!」
戦神も使わない戦い、絶対に楽しいだろ。そう、これはアレだ。武術大会と同じだ。制限時間は雷龍のリスポーンまでで、注意事項は槍王のみという事。
あぁ、いいねぇ。楽しくなってきた。
「じゃあ、このリテが落ちたら開始の合図ってことで」
「りょ」
俺がエリュシオンを右手に持つのを確認すると、ランザが懐から金貨を取り出し、指で弾いた。
俺、何気にしっかりと金貨を見た事がないな。まぁ、そこまで興味が無いというのが大きいが、1度は見ておこうか。
いや、やっぱりいいや。次に気になった時に見よう。
そしてリテが地面に落ちた瞬間、ランザは白く長い槍で突進してきた。
凄まじいスピードだ。アルスと同等、いや、それ以上だな。
カカカカン!!!
うっわ。俺が横に避けた瞬間、一気に90度回転して、突きの4連撃をかましてきた。
落ち着いて全部弾いたが、予想してなかったら即死だぞ、今の。
「流石」
「ありがとう」
褒められちゃった!やったよ!槍術最強の人に褒められたよ!
「ふっ!」
ランザは1度距離を取ると、正確に俺の左手を狙って槍を投げてきた。
これ、避けたらダメな気がするんだよな。俺の勘が、そう囁いている。
いや、全力で叫んでいる。あの槍、俺が手を動かしたら心臓に向かって起動を変えやがった。
何なのこの槍。生きてんのか?
「......んっ!」
エリュシオンを捨てて右手に力を入れ、心臓の手前で槍をキャッチした。
「嘘!?」
「エリュシオン......殺れ」
ランザの槍を足元に捨て、俺はエリュシオンを投槍に形状変化させてから、STR全開でランザに向かって投げた。
ブォン!!
そしてエリュシオンがランザの太ももに当たる瞬間──
「顕現」
「顕現」
2人で同時に、それぞれの槍を右手に顕現させた。
「......何故戻した?」
「刺したら悪いな〜って思ってな。ま、そしたら予想外の情報が入ってきた訳なんだけどさ」
「はぁ......バレたくなかったのに......君、本当に勘が鋭いよね」
「まぁな。師匠ならこんな効果無くても、槍に糸を括りつけて操りそうだからな。ある程度の予想が出来なきゃ、そもそも師匠とは打ち合いにすらならない」
「化け物を生み出した者は化け物......か」
化け物は辞めろ。俺は鏖殺天使だ......ゴリゴリの男だけど。
「で、仕切り直しか?」
「いや、いいよ。僕の負けさ。今の顕現だって、実は間に合ってないからね」
「そうか?その子なら守れると思うが」
「......どこまで気付いてる?」
「その槍に付喪神が宿ってる事は分かる。俺はこれでも、3人は付喪神がいるからな。ただ、その神が何の神までは知らん。そういうのは、ウチの付喪神が教えてくれていたからな」
「ほぼ全部バレてるのか......怖いなぁ」
はっ、闘志に燃える目で何を言ってんだか。
「取り敢えず戦いは終わりで?」
「あぁ、ありがとう。楽しかったよ、ルナ」
「こちらこそ。良い経験が出来た。感謝する」
そしてランザと握手をして、2人でダンジョンから出た。
「なぁ、その槍って何?」
気になっていたのだ。白くて長い、それなのに邪魔にはなっていない不思議な槍。
「あぁ、これ?僕の相棒さ。名前は『フィロ・アルボ』と言って、イニティの鍛冶屋、フェルさんに作って貰った槍なんだ」
フェルさん......あなた、ランザに槍を作ってたんですね。
でも、この槍をフェルさんが作ったと言うのなら、納得の性能だな。
空中での軌道変更や形状変化、色々と納得の出来る代物だ。
「へぇ。なら俺も槍を作ろうかな。師匠対弟子の、仁義なき神器の戦いをしたいな」
俺もちゃんとした不壊の槍が欲しい。メンテナンスの手間や、耐久値を気にして戦闘に集中出来ないのは嫌だからな。
「え?弟子?フェルさんの?」
「え?知らなかったの?まぁ、言ってないんだけど」
「......だからそんなに神器を作ってるのか......」
なんか納得されちゃった。フェルさんの弟子って、神器を作りがちなのか?
「ま、気が向いたら作るとしよう。ソルが欲しいと言えば、その時にでも俺の神器を増やそう」
「神器を増やすって、とんでもないパワーワードだね」
「化け物呼ばわりされるんだから、それぐらいいいだろ?」
オレ、ニンゲンジャナイ。ブキ、ツヨイ。イイデショ。
「まぁね。これからもよろしく、ルナ」
「あぁ。よろしく、ランザ」
最後にランザと握手をしてから、俺達はギルドに帰った。
「あ、僕に勝った特権として、Bランクに上げておくから」
「えぇ......?まぁ、分かった」
そうして、何故かBランク冒険者に昇格してしまった。
「試験は......?」
「そんなの、僕に勝ったんだから合格に決まってるだろ?」
「あっ、はい」
Bランク冒険者ルナ、頑張ります!
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名前:ルナ
レベル:344
所持金:53,845,290L
種族:人間
職業:『ヴェルテクスギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Bランク冒険者(0/300)
Pギルド:『ヴェルテクス』
所持因子:『稲荷』他6柱
所持技術:『魔力打ち』他多数
HP:17,160
MP:17,160
STR:17,160
INT:17,160
VIT:17,160
DEX:17,160
AGI:17,160
LUC:8,575
CRT:100(上限値)
SP:1,540
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100
『魔剣術』Lv100
『王弓』Lv100
『魔弓術』Lv100
new『槍術』→『槍王』Lv1
new『魔槍術』Lv1
『武闘術』Lv100
『魔闘術』Lv100
『刀王』Lv100
『魔刀術』Lv100
『操王』Lv100
『魔糸術』Lv100
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
『戦神』Lv100
魔法
『火属性魔法』Lv100
『海魔法』Lv30
『風属性魔法』Lv100
『土属性魔法』Lv100
『雷属性魔法』Lv100
『氷属性魔法』Lv100
『聖属性魔法』Lv100
『闇属性魔法』Lv58
『自然魔法』Lv100
『龍神魔法』Lv81
『古代魔法』Lv1
『音魔法』Lv100
『妖術』Lv1
生産系:非表示
その他
『テイム』Lv4
『不死鳥化』Lv100
『マナ効率化』Lv0
『植物鑑定』Lv0
『毒物鑑定』Lv0
『動物鑑定』Lv0
<>内アクセサリーの固定増加値
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ライトニングドラゴン.....君の住処、よく別の生き物が戦ってるね。セキュリティ大丈夫?ALS◯Kしてる?
次回、『夏だ!海だ!イベントだ!』です!
お楽しみに!(誤字報告ありがとうございます!)