遊ぼうぜ!
音ゲーのAPが取れなくて泣きそうな作者です。どうも。
1greatって.....なんなん?ウチ、ちゃんとタッチしてるやん。なんで1だけ取るん?
あ、今回はほのぼの回です。やりましたね!
「え〜と、陽菜さん。大丈夫ですか?お家......行きましょうか?」
「ダメ!......来たら襲うよ?性的に」
「おぉ。行ってみたいけど辞めておくか。とりあえず大丈夫って事でいいんだな?」
「うん!ちょっと感情のフェスティバルがボンバーしちゃった」
「そうか。じゃあ俺はゲームに戻るけど、落ち着いたらまた遊ぼう。くれぐれも体調には気を付けてくれよ」
「......うん。ありがと。大好きだよ」
「はははっ、儂もじゃ。愛しとるぞ〜」
そうして俺は電話を切り、ユアストの世界へ帰ってきた。
◇◇◇
「どうでした?襲われましたか?......性的に」
「うわっ、帰ってきたら埋められてる上に、とんでもねぇ事を言うぞ、このメイド」
目が覚めると、首から下が砂浜に埋められ、俺の顔を覗き込むようにしてフーが話しかけてきた。
っていうかリルとメル、まだ砂を持ってくるのね。お兄さん、もう起きてるよ?まだ埋めちゃうの?
「で?襲われましたか?」
「いや?ソルが『来たら襲うよ?』って言うから、辞めておいた。年齢が年齢だけに、そう易々と襲われる訳にはいかんからな」
「しっかりしてますね。で、ルナさん。埋められてる気分はどうです?」
「そうだなぁ......リル、それにアクアスフィアと風の魔法を使って、少し湿らせると乗せやすいぞ。メルもやってみな」
「「はい!」」
砂遊びって、やってみれば楽しいからな。水を使って強度を高めたり、流木を中に仕込むことで耐久力を上げたり、意外と奥が深くて楽しい遊びだ。
「あれ?辞めさせないの?お兄さん」
「う〜ん、見えないけど声と喋り方的にシリカか。まぁ、辞めさせなくていいんだよ。子供のうちは、沢山遊ぶ事で沢山学べるって、俺の両親も言ってたからな」
「「「へぇ〜」」」
あ、3人目の声はセレナか。何気に皆、砂遊びしてんじゃん。
「ねぇルナ。今の貴方の状態、分かってる?具体的に言えば、ルナのお腹の上にある物」
「いや?高すぎて何も見えん。カメラ使って見てみるか」
セレナに答えたように、今の俺は下を向いても砂の壁しか見えない。
俺の上に何が建てられているのか、想像もつかん。
そしてカメラ機能で外から見てみると、とんでもない物が映っていた。
「え゛っ......城?」
何と俺の上には、高さ4メートルはある、ギルドハウスと同じ形の城が建設されていた。砂で。
「はい、父様。皆さんと頑張って、父様の上にお家を建てて見ました!」
「がんばった。ほめて」
「手が伸ばせないけど......よくやったな。凄いぞ」
俺は浴衣姿で近寄ってきた2人を誉め、次にどうするか考えた。
動きたいのは山々だが、少し動けば崩壊しそうなんだよな。
かと言ってこのまま動かずに居れば、俺の家がここになってしまう。
時々カニっぽいモンスターも出るようだし、レベルがアホほど高くない限りは死なないが......それでも痛いのは嫌だからな。
「なぁ、動いてもいいか?」
「「えっ......」」
やべ、2人が泣きそうな顔になった。これは不味い。
さぁルナ君、頭を回そう。ここで求められるのは1つ。
『城を崩壊させずに脱出すること』だ。
もし、仮に俺が転移魔法を使えたとしよう。
そして俺がここから転移すれば......地盤が無くなったことにより、城は崩落するだろう。
そして土属性魔法で砂を埋めつつやっても......多分脱出する時にぶち壊してしまうだろう。
でも、こんな時に役に立つ物がある。それがこれだ。
「『魔糸術:土蜘蛛』」
これは土属性魔法の魔糸術だ。効果は単純。『糸を張った箇所に土を生成する』という、トラップの為の魔糸術だ。
俺は今回、これの使い方を間違えてみる。
「......よし。『戦神』『像』......そしてスルスルするり、と」
糸を貼った箇所に像を生成する技で、俺の居た箇所に俺そっくりの像を作る事で、俺は何とか脱出した。
ちゃんと後ろの砂を糸で掻き分けながら出たので、城が壊れる事はないだろう。
『主、流石です。このアルス、魔糸術の可能性を感じました』
「まぁな。これで子供達の笑顔が守れるってもんだ」
そして服に付着した砂を魔法で払い、リルとメルの頭を撫でた。
リル、モフモフやな。メル、サラサラやな。最高やで。
「2人とも、よくやった。楽しかったか?」
「はい!またやりたいです!」
「ん。ちょうたのしかった」
「なら良かった。それじゃあ帰ろうか。ソルは帰ってこないかもしれないから、今日は俺がご飯を作ろう」
そうして今日は家に帰り、俺が晩御飯を作って終了した。
結構楽しい日だった。アルスと戦い、ソルにキスをし、リル達に埋められ......いいな。凄く楽しい。俺は今、幸せを感じている。
◇◇
「おはよう」
「ぅ......ん......」
「......」
おぉ、メルは9割方寝ながら返事して、リルは完全におやすみモードだ。まぁ、昨日は砂遊びで疲れただろうし、寝かせてあげるか。
「よし。今日はランザと遊ぼうかな。ついでに王女の様子も見に」
「パ............パ......」
「よしよし」
俺はメルの頭を優しく撫でてから、音魔法を使って部屋を出た。
うわ、閃いてしまった。もしここにソルがいたら、こう言ってやりたかった。『音魔法の方が、覗きに使えそうだぞ』って。
んな事はいいや。朝ごはん作って、置いておくか。
そうして軽く朝ごはんを全員分作り、フー達にギルドに行く事を伝えてから家を出た。
「暑いなぁ。でも、サーキュレーションを使ったら何か寂しいし、今日は使わなくてもいいかなぁ」
王都を歩きながら、夏の暑さを肌に感じる。
この暑さは魔法で消すことは出来るが、それをしてしまっては味が無い。例えるなら、キャンプだな。『不便を楽しむ』という考えがあるように、ゲーム内くらいでは、夏の暑さを感じるのもいいだろう。
リアルでは直ぐにエアコンを付けるような暑さを、ゲーム内では心地いいと感じれるように、俺はこのゲームを楽しみたい。
「すみません。ランザに会えますか?」
いつものように受付嬢さんに聞いてみた。
「会えますよ。呼んできましょうか?」
「いえ。それなら自分で行きます」
「案内は必要ですか?」
「大丈夫です。部屋は覚えてるので」
「分かりました。では、何か困った事があれば、またお聞きください」
「ありがとうございます」
周囲の視線にも慣れたものだ。いや、暑さに掻き消されているだけかもしれんが。
そしてギルドマスターの部屋の前まで行き、ドアをノックした。
コンコンコン
「──は〜い。入っていいですよ〜」
ランザから返事を貰ったので、そっとをドアを開けて入室した。
「よっ、久しぶりだな。ランザ」
「ルナ!?君が来るとは......また幻獣絡みかい?」
「幻獣?まぁ、宵斬桜なら倒したぞ。今は庭で育ててる」
「......はぁ。それってもしかして......苗木?」
え?ランザ、知ってんのか?それなら聞きたいこともあるぞ。
「そうだ。ランザは宵斬桜について、どれ程知ってるんだ?」
「文献程度さ。とりあえず座ってくれ。お茶を出そう」
「さんきう」
そうして俺が執務室のソファに座ると、アルスから念話が飛んできた。
『主。我がやりましょうか?お茶を淹れる技術に関しては、フー様から教わりました』
「あ、マジ?ランザ、うちの執事にお茶を任せてもいいか?」
「執事?ちょっと言ってる意味が分からないんだけど。もしかしてイカれた?」
おうおう。メルみたいな事を言うじゃねぇか、コイツ。
とりあえずアルスを呼び出そう。カモン!
するとソファの横にパチッと静電気のような音がなり、アルスが出現した。
「参上致しました。アルスです」
「うわぁ!!」
アルスが執事服で出てくると、ランザが情けない声を上げた。
「し、執事!?ってか誰!?」
「我はアルスと申します。主であるルナ様に仕える、執事でございます」
「じゃあアルス、お茶は頼んだ。ランザの目の前にあるやつだな」
「直ちに」
「え、えっと。状況が飲み込めない......なんだこれは」
「まぁまぁランザ君。とりあえず座りたまえ」
「うん。ここは僕の部屋なんだけどね。まぁいいや」
そしてランザは俺の正面に座り、アルスの方を見てから言った。
「......彼は何者だ?」
「ははっ......誰だと思う?」
強者であるランザには分かるだろう、アルスの強さが。
俺には分からないけれど、多分足さばきや身のこなしから判断しているのだろう。
「ルナの中から現れたところを見るに、付喪神かテイムモンスターの2択か。そうだ、ヒントをくれ。彼の武器はなんだ?」
うわ、答えるのが難しい質問が来ちまったよ。
「何でも、だな。剣も槍も弓も体術も仕える」
「はぁ......何か特化したものは?」
「知らん。知る前に殺したから」
「殺した!?」
えぇ。剣を持って突っ込んで来たのを、そのまま拘束して心臓をブスッとね。お陰でアルスの得意技とか、得意な魔法とか、そこら辺は何も知らない。すまん。
「おまたせしました。紅茶でございます」
「ありがとうアルス」
「あ、ありがとうございます?」
「いえ。これも役目ですので」
そう言ってアルスはパチッと雷を出して、俺の中に戻ってしまった。
「で、彼は何者?ルナは知ってるんだろう?」
「まぁな。アイツはアルス。俺がダンジョン出会った時は雷を使う虎で、雷神の『インドラ』という男だ。なんやかんやあって、俺の執事に勝手になった」
「インドラ......勝手に......ってか、どこのダンジョンで会ったの?僕の予想じゃ、アンバー渓谷の最終層なんだけど......」
「正解だ。ギルド『カラーズ』と行った時に、俺がテイムした」
「やっぱり......アレを解決したの、ルナだったんだね」
およよ?もしかしてインドラの存在には気付いていたのか?
「アレが何かは知らんが、インドラはダンジョンのボスである、ライトニングドラゴンを餌に、あそこに住み着いていたぞ。お陰でカラーズが全滅したが......アルスをテイム出来た」
「ありがとう。とりあえず感謝を。あのダンジョンにいた虎はね、Aランク以上を目安に、依頼として張り出していたんだよ。あのダンジョンにいる謎の虎を討伐して、ってね」
「へぇ。テイムしちゃったわ」
「うん。まぁそれはいいんだよ。1番の目的は『ダンジョンの正常化』だからね。その点に関しては、ルナは1番平和的な解決方法を取ってくれたよ」
「そっすか。で、今日来た目的話してもいい?」
「えぇ?......まぁ、いいけど。国王は隣の部屋で執務してるよ?」
「いや、それについてはどうでもいい。別に興味無いし」
「......で?」
そう、今回の俺の目的はただ1つ!!
「遊ぼうぜ!!!」
遊びの内容、今までのルナ君の遊びからして、ロクな遊びでは無いでしょうね。
ちょっとワクワクします。では、次回もお楽しみに!