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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第8章 夏の思い出
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執事の悩み 後編 上

どうしてもイチャついてしまうんですよねぇ.....





◇ルナside◇





王都から東に向かって飛び、ペリクロ草原を抜けると、大きな海に出た。

この、青い大地とでも呼ぶべき海は、見る者の悩みなど、ちっぽけなものだと言ってきそうなものだ。



俺は堪らずお姫様抱っこ状態のソルに言ってみた。



「おぉ!海だ!海だぞソル!!」


「ふふっ、海だねルナ君!」



綺麗な笑顔で返された。ずっとこの笑顔をさせてあげられるように、頑張っていこうか。



「父様、あの砂浜で遊ぶのですか?」


「そう......だな。人も殆どいないし、アルスと戦うのにも丁度いい」



広い砂浜には、チラホラとプレイヤーが見えるが......何百メートルか間隔があるので、大丈夫だろう。



「アルス君と戦うの?」


「まぁな。本気で殺しに来るらしいから、俺も楽しみなんだ」



俺がそう言うと、ソルは俺の首に手を回してから、潤んだ瞳で訴えてきた。



「死んじゃ......やだよ?」



はい、死ねなくなりました。ありがとうございます。



何なの?この破壊力は。


首から伝わるソルの体温とか、ルビーより綺麗な紅い瞳とか、重くないのに存在を感じさせてくれるところとか......もう、全部好き。



「任せてくれ。友達が親友になるくらいだ。アルスと戦って、人柄や性格なんかを見てくるよ」


「うん......見てるからね。頑張って」


「勿論。ソルが見てるなら、俺も全力で戦わざるを得ない」


「もう....大好き」


「俺もだぞ?お姫様」



そうして砂浜に降りると、俺はさっそくアルスを呼び出した。



「主、早速やりますか?」


「待て待て。フー、シリカ、セレナ。降臨じゃ〜」



俺は付喪神ズを降臨させ、砂浜に集めた。



「お〜!海ですね!」


「海だね!強いモンスターとかいるかな〜?」


「いるわよ?きっと。私は雑魚狩りじゃないと怖いから、その点、海は半分しか活躍出来ないわね」



あ、もしかして漁に使えるの?セレナって。



「よし、これでいいか。アルス、お前の武器はなんだ?」



俺はソルをゆっくりと降ろしてから、アルスの武器を聞いてみた。



「我の武器は、何でも......ですね」


「何でも?」


「はい。我の作る(いかずち)から、武器が作れますので。我はそれで戦います」


「おぉ!いいな、それ!俺も真似するとしよう」


「真似?」



俺は『指南書:桜器(おうき)』を取り出し、使用した。



◇━━━━━━━━━━━━━━━◇

技術『桜器』を習得しました。

◇━━━━━━━━━━━━━━━◇



「よし、これで良いだろう。アルス、これで俺の武器も『何でも』になった。まぁ......花びらの数次第だけど」


「今のは......」



さぁ、気になる桜器ちゃんの実力はこちら。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

桜器(おうき)

神の御業とも呼べる錬金術を扱えるようになる技術。

1枚の花弁から1つの武器を創造し、1枚の神の花弁からは、

1つの聖具、魔具を創造する。

その身に限界など無く、使用者の意のままに振れる武器は、

維持に魔力を消費する事だろう。


『新月の桜の花弁』消費時、桜器の錬成。

『神月の桜の花弁』消費時、宵斬ノ桜器の錬成。


武に通ずる者が扱えば、それは武神とも例えられよう。

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



桜器とは、錬金術の技術の1つらしい。でも、血神の武器は、れっきとした『血魔術』から作っていたが......違いが分からんな。



「ソル、見てて。こうやって新月の方を手に出すじゃろ?」


「うん」


「で、このちっちゃい花びらに......『太刀』と言えば、ほれ」



俺は新月の桜の花弁に桜器を使い、桜色の刀身をした太刀を作った。



「凄い!綺麗だね!」


「だろ?ただ、毎秒......幾つだ?これ。10かな。それくらいMP持ってかれる」


「って事は......サーチとの併用は」


「無☆理」



正確に言えば『範囲が狭くなる』って感じだな。これじゃあ半径100メートル程しかサーチ出来な......十分っすね。



「あらま。それじゃあその刀、強いの?」


「ん〜微妙。ほら」



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『桜器:人知れず咲き誇る太刀』


Rare:15


攻撃力:550

耐久値:∞(MP消費)

特殊技:〖鏡花水月〗

付与効果:『桜器』『斬』『魔纏』

◇---------------------------------------------------◇

『桜器』

・『新月の桜の花弁』から作られる武器。

・耐久値は、絶えず消費するMPになる。

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「シンプルだね。シンプルに強いね。シンプルに綺麗だね」


「シンプルお姉さん、帰っておいで」


「お姉さん......良きかな。帰ってきました。ソルお姉ちゃんです」



ソルが耳をピコピコと動かしながら帰ってきた。可愛い。



「はいはい。ソルお姉ちゃんは可愛いですね〜」


「くっ!......うへへ。もっと撫でてくれたまえ」


「はいはい。ソルは立派なお姉ちゃんですよ〜、可愛いですよ〜」


「えへへへへ」




そしてソルを撫で終えると、皆とは少し離れて、俺はアルスと向き合って言った。


あ〜あ。もっとソルを撫でていたかったな〜




「じゃあアルス、やろうか」


「御意に」


「審判はフーが頼む」


「分かりました!」



ソルが見てるんだ、頑張ろう。絶対に、絶対に適当にやらないようにしないと。

そう、これは殺し合いだ。リルの時とは少し違うが、それでもこれは殺し合いなんだ。




「では、両者構えてくだすぁい」


「......」


「......」



待て、ツッコむな。フーがポンコツなのは今に始まった事じゃない。

おいアルス、肩がピクピクしてるぞ。大丈夫か?




「ごほん......では。始め!」




フーから合図が来ると、アルスは体に雷を纏った。



「主よ......我は本気でいきます」


「あぁ。是非とも本気で来てくれ。じゃないと楽しめないからな」


「......主は本気で来てくれますか?」


「え?まぁ、本気だぞ?早くしないとリル達と遊ぶ時間が短くなっちゃうからな。本気で首を落としにいくぞ?多分」


「......多分、ですか」


「いやまぁ、本気で来る奴ってさ......もう殺しに来てるはずなんだよなぁ。『斬』」



バチィ!



「ッ!」



俺はアルスに一気に近付き、首の高さで刀を真横に振るった。



「あらあら、肩から血が流れてるではないか。どうしたアルス。早く来い。雷神とはそんなものか?」


「いえ......『雷器』......いきます」



アルスは雷で作られた直剣を持ち、突っ込んできた。


これは......突きに見せかけた切り上げかな?なら横に避けよう。



ブォン!



速いな。見てから動いていたら真っ二つにされていたぞ。


速い......速い、ねぇ?なら動きを止めてやろう。



「アクアスフィ「させませ......」


パチン!



残念、その詠唱は完全にブラフだ。早めに決めよう。



「『斬』」


「『雷盾』!」



バチバチと音を立てながら、アルスは首に雷の盾を出現させ、俺の刀を弾いた。



「『魔糸術:停糸』『戦神』『魔刀術:炎纏』」


「ぐっ!これしき......んなっ!」


「『蔦よ』〖鏡花水月〗......王手だ」



クロノスクラビス、魔糸術、蔦ちゃんの拘束からの鏡花水月。

これで決まらなかったら、また1から練り直そう。



「『不死鳥化』『(ほむら)』」



俺はアルスの背後に回り込み、真っ赤に染まった太刀をアルスの心臓に突き刺した。



「負......けま......した..........」


「うん。俺の勝ちだ。再戦はいつでも受け付けよう。ソルをモフっている時以外、だけどな」



そしてアルスは光となって、俺の中に戻って行った。




「勝者、ルナさん!」


「いぇ〜い」



案外あっさり勝ててしまったな。まぁ、理由は分かるが。

アルスはスピードタイプ故に、剣で受けたら勢いで押し負けるかもしれない。そう思い、剣で受けなかったのが俺の勝因だろう。


アルスの雷は、防御に使う面には大丈夫だろうが、攻撃で使おうとすれば、多分剣で受けた瞬間に痺れるだろう。


カラーズの時のように、離れた位置から痺れるのではなく、完全に間合いで痺れたら......まぁ死ぬわな。



これからはアルスと戦闘訓練でもしようか。攻撃の雷に防御の雷、色々と学べるかもしれない。



「お疲れ様、ルナ君。あっさりしてたね」


「ありがとう。まぁ、鏡花水月もあったし、それも原因だろう」


「それ!それ気になってたの!その特殊技ってなんなの?」


「体験した方が早いぞ。ほら、〖鏡花水月〗」



俺は鏡花水月を使い、ソルの背後に回った。



「ルナ君?」



ソルはまだ正面を向き、首を傾げている。



「......ここだぞ」


「ひゃう!」



ソルの後ろから抱きついて、耳元で囁いてみると、とても可愛い反応が返ってきた。



「あれ?目の前のルナ君は......触れない!」


「そう。これは俺の幻影を作り出す特殊技だ。見えるが触れない。聞こえるが触れない。斬っても斬れない......良い技だろ?」



この技、フェイントなどの不意打ちには強いだろうが、1度バレたらもう使えない、という欠点がある。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

〖鏡花水月〗

・MPを500消費し、使用者の幻影を作成する。

・1度幻影と認識されると、その相手には再使用できない。

・幻影を作成した後5秒間、完全に透明化する。

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「アレだね......エッチだね、これ」


「それはソルの思考がやばいぞ。どう考えても戦闘用だろ、これ」


「でもこれ、お風呂とか覗けそうじゃない?」


「安心しろ。ソルなら一緒にお風呂に入れば全て解決する」


「確かに!!!」



全くもう......大体、昔は一緒にお風呂に入っていただろうに。

......小2くらいの話だけど。


今だとめちゃくちゃ緊張するだろうな。ドキがムネムネする。




「何言ってんですかね、あのバカップル」


「面白いよね!あはは!」


「愛されてるわねぇ〜」


「ここまで来ても、まだ臆病ですね。母様」


「ん。ママはもっとパパをしんじるべき」



うわ、なんか横からショットガン撃たれた。俺にもソルにも刺さりまくってるんだけど。痛い、痛いよぉ!



「もう、私はルナ君を信じてるよ?ただ、信じた上でそういう事をするのかを聞いてるの。少年心を失わずにいるのか、それとも大人の考えをしているのか。それを知りたかったんだよ!」


「で、ソルさん。答えはどうでした?」


「想像の5倍はエッチだった!」


「それは......ルナさん、どう思います?」



そこで俺に振るか!?このピンク狐をどうしろと!?




「フー、お前自分で火をつけた松明を俺に向かってぶん投げてきたな。俺は今日いっぱい、お前を許さないだろう」




「いやいや!ソルさんをそんな思考にさせたルナさんが原因でしょう!?」


「いやいや。ソルに感想を聞いたフーが原因だろう?」


「なっ!それなら、ルナさんを信じるべきと言ったメルさんはどうなんですか!?」


「お前、メルは子供だろ?そんなメルに責任を擦り付けるのか?大人気ないなぁ、フーは」



「かぁ!あぁ言えばこう言いますね!?大体、ソルさんはルナさんの女でしょう?」



「それがどうした。ソルは俺の女だ。何か文句あるなら言ってみろ。その文句、全て叩き斬ってやるからな。

というか早くしてくれ。ソルの尻尾が俺をシバいてきて痛いんだ」



現在、後ろからソルに抱きついているのだが、ソルの尻尾が俺の横腹をぶん殴ってくるのだ。モフモフのサラサラだが......尻尾の骨がとても痛い。


実はHPが10程、一撃で持っていかれてる。


どんな威力で尻尾振ってんだよ、ソル。可愛すぎだろ。



「はぁ......何か、言いたい事全部忘れました」


「そうか。ところでソル、尻尾抑えてもらっていい?」


「む、無理!ルナ君が抱きついてる限り、おさまらないの!」


「......離れたくないしなぁ。どうしようか」




不味いな。究極の二択だ。



1、尻尾が痛いのでソルから離れる。

2、尻尾を我慢して抱きつき続ける。



ちくせう。1も2も、同じくらいの強さをしてやがる......!!



こんな時、どうすれば......あ!アルスに聞こう!




『アルス。おい、アルス!聞こえるか!』


『はい、主。如何なされましたか?』


『ここでソルから離れるか抱き続けるか、どっちがいいと思う!?』


『......主の好きな方にすれば良いかと』


『それが決めれないから聞いてんの!なぁ、どっちがいいかな』


『う〜ん......分かりません。申し訳ありません。このアルス、主からの命を遂行することが出来ません。ですが、1つ、良い案があります』


『何だ!?』


『思い切って接吻すれば良いかと。さすれば意識が乱れ、尻尾も落ち着くでしょうし、抱き続ける事も出来るかと』


『お前......天才だな』


『いえ。主の方が、より良い選択を取れるでしょう』


『いや、今回は助かった。ありがとな!』


『復活の方が出来れば、また何時でもお呼び下さい。このアルス、主に付いて参ります』



「ソル、ちょっとこっち向いて」


「なぁに?......んむ」



俺はアルスの教え通り、ソルにキスした。可愛いな。何秒くらいすればいいのか、聞くのを忘れていたな。


とりあえず10秒くらいでいいのかな?分からない。




「「「「「あ」」」」」



「ん〜!んっ............」



ソルが強制ログアウトされてしまった。



「何が原因でソルは落ちたんだ......!!」


「どう考えてもお兄さんが殺ったんだよねぇ」


「今のは父様が不意打ちしましたからね」


「たいせいのないママには、クリティカルヒット」


「しかも、かなり長かったしね......アレは幸せでしょうね、ソルも」



くっ!皆して俺が原因だと言い張る!酷......くない!



「ルナさん、ソルさんに会いに行って下さい。それと、ごめんなさい。まさかキスしに行くとは思いませんでした」


「えっ......あ〜、うん。じゃあ、行ってきます」



でも、もう少し海で遊ん「早く行ってください」



「は〜い......アルス、後で一緒に反省会だ」


『......御意』




そうして俺は、ログアウトした。

はい、桜器さんの登場です。

ここに来て『新月の桜の花弁』と『神月の桜の花弁』が出てきました。

違いは宵斬桜との戦闘にて、メルが拾ったのが『新月』ルナ君がドロップで入手したのが『神月』です。


次回は執事の悩みが解決したのち、アレが始まります。


お楽しみに!

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