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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第8章 夏の思い出
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お義父さんと呼ばんかぁ!!!

お義父さん!?おギフトさん


「じゃあ、また来るわ」


「お邪魔しました!」




今日は、昼ご飯を食べて実家を出て、陽菜の両親に会ってから帰る、という予定になった。


という事は、この帰省で1番のイベントが来てしまった訳だな。

こわい。




「何時でも来ていいからな?陽菜ちゃん1人でも、実家だと思ってまた来てくれ」


「月斗の恥ずかしい話、聞かせてね!」


「はい!沢山のお話ししますね!」


「辞めておくれ......俺のライフの上限値を削らないでくれ......」



恥ずかしい話を作らないように、俺はこれから頑張っていこう。



「でもよ、月斗。減ったライフの上限は、陽菜ちゃんに回復してもらうんだろ?」


「......まぁ」


「ならもっと、恥ずかしい話を作るといい!父さんが全部、文字にして保存してやるぞ!」


「なるほど。下げて下げて下げる作戦か。やるな、父さん」


「まぁな!」



俺の父親は生粋のデバッファーのようだ。酷いね。

その点陽菜は、バフもヒールも戦闘も家事も出来る、ある意味最強の存在だな。頼りにしよう。



「じゃあ、陽菜のとこ行ってくる」


「行ってきますね!」


「おう!ちゃんと挨拶してこいよ?」


「そのまま婚約してもいいのよ?ウチはオッケーだから!」



ねぇ、ラスボスにバフ掛けるの辞めない?その上で俺の心にデバフを掛けるの、悪質すぎないか?



「......あっちが認めてくれたらな」


「大丈夫だよ、月斗君。何かあったら私が守るから!」



陽菜よ。それ、『絶対に何かある』というフラグだぞ?



「分かった。頼りにしてるよ、これからも」


「うん!」


「ほら、覚悟決めて言ってこい!......じゃなかった。行ってこい!......でも無かった。逝ってこい!!!」


「骨は父さんが拾うわよ〜」



この2人......ちくせう。いいぜ、やってやる。俺は負けないからな?



「「行ってきます」」


「「行ってらっしゃい」」



そうして俺達は手を繋いで、陽菜の実家へと向かった。



「はぁ......言わないとダメだよなぁ」


「まぁ、私が月斗の為に東京に行ったのは認めてるし、普通にオッケー貰えるんじゃない?」


「おかしいなぁ。タダの帰省のはずだったのになぁ......何で婚約の話になったんだろう」


「そりゃあ......もう夫婦だからだよ」


「まだだよ!」


「まだ......ふへへ」



何だこれは。話せば話すほど地雷をばら撒き、その全てを踏み抜いてしまうぞ。

......でも、陽菜の両親には、ちゃんと自分の気持ちは話しておかないとな。付き合っている身として、意識はハッキリさせておいた方がいいだろう。知らん




「──着いた。着いてしまった。ラスボスの家に......」



俺の実家から歩く事30分。陽菜の実家に着いてしまった。



「月斗君。覚悟はいい?」


「え?そういうスタイルで行くの?マジ?」


「覚悟はいいね?セーブポイントはもう無いよ?回復アイテムは持った?武器は?防具は?」



の、乗ってやるよ!



「回復アイテムは陽菜が。武器は陽菜。防具も陽菜」


「なるほど。防具も......じゃあ抱きつきながら入る?」


「すみません嘘です覚悟決めましたんで許してください」



流石ラスボスの娘......強い。俺のような木っ端の魔王じゃ、この勇者には太刀打ち出来ない。

でも、やるしかない。



ピンポーン!



陽菜がインターホンを鳴らした。



『はい』


「お父さん。私!陽菜だよ〜」


『おぉ!待ってろ、今行くから!』


「は〜い」




そして鍵を開けて出てきたのは、見た目25歳くらいの、若々しい男の人だった。



「陽菜!......それに(つき)君!?」


「お久しぶりです。太一(たいち)さん」



この人は鈴原太一。陽菜の父親だ。いつも明るい人で、陽菜は太一さんの、そういう所を受け継いでいる。



「これは......まさか?」


「まさかだよ、お父さん」


「おっほほほぉ......楽しみだねぇ。さぁ、入ってくれ」


「ただいま〜!」


「お邪魔します」



あぁ、遂に来てしまった。ラスボスの城だ。ラスボスに出迎えられ、そのまま乗り込んでしまったぞ。



そして太一さんに言われてリビングで待っていると、陽菜のお母さんが来た。



「久しぶりね〜!月斗君!」


「お久しぶりです。陽奈(あきな)さん」



陽奈さんはアレだな......陽菜をそのまんま大人にした感じの人だ。

もしお稲荷さんがリアルにいたら、2人はとても仲良くなれると、俺は信じてる。



「月斗君が来たって事は......まさか?」


「まさかだよ、お母さん」


「おっほほほぉ......楽しみね!とりあえずお茶出すね!」


「頂きます」


「ありがとう!」



タイムリミットが刻一刻と近付いてきた。

次に太一さんと陽奈さんが来た時が、全ての始まりだ。


......緊張して気持ち悪くなってきた。



「月斗君、大丈夫?」


「だいじょぶ......じゃないかも。豆腐メンタルにはキツい」


「う〜ん......ならこうしよう!」




そう言うと、陽菜は俺の隣の椅子に座り、手を握ってきた。


すると驚く程気持ちが軽くなり、落ち着いてきた。




「どう?落ち着いた?」


「......あぁ。ありがとう陽菜」


「ううん!私も緊張してるからね、一緒だよ!」



確かに握られた手は、震えていた。やっぱり陽菜も緊張してするんだな。



「頑張ろうか」


「うん!」




そして数分後、太一さんと陽奈さんが、4人分のお茶を持ってきて椅子に座った。



「ありがとうございます」


「いいのいいの!それにしても、月斗君が来るのは久しぶりねぇ」


「多分......5年ぶりか?」


「そうですね。中学1年のとき以来ですかね」


「おぉ、ジャストだ!」



太一さん、明るいなぁ。俺もこんな人になれたら、陽菜を優しく照らせるようになるのだろうか。



「それで陽菜、上手くいったの?......大体分かるけどっ」


「うん!でもそれに関しては......月斗君が言う?」


「ん?あぁ、そうか。その方が良いか」



バッサリいこうか。後からダラダラやって野垂れ死ぬより、ここでバッサリ斬られた方が気持ちが軽い。






「太一さん。陽奈さん。陽菜を俺にください」




「「「え?」」」




「え?」




待て。なんで陽菜まで『え?』って言ってるんだ?こっちが困惑するんだが......



「つ、月斗君!?付き合ってる報告じゃないの!?」


「............ア゜」




やらかした。死んだ。終わった。俺の人生バッドエンドだ。

そうじゃん、まず付き合ってる事を言うんじゃん。それからこれを言うんだろ!?なにやってんの俺!


あぁ......死って、こういう事なのか......




「おぉ、凄いな......予想の15倍くらい上の言葉だった」


「陽菜。結婚する前に花嫁修業する?」


「ま、ままま待って!?いいの!?」


「お母さんとしてはいいのよ?.....いやぁ、まさか結婚まで話が進んでるとは......お母さん、嬉しくて泣きそうよ?」




あ、あれ?大丈夫......っぽい?


本当に?本当にいいの?




「た、太一さ「お義父さんと呼ばんかぁ!!!」......」



......危うく机を蹴りあげるところだった。とてつもない気迫だ。



「いいか?月君。いや、月斗君」


「はい」


「そこまで話が進んでいるなら、これから僕の事は『お義父さん』と呼びなさい」


「......はい」


「それで月斗君は今、こう思っている事だろう。『結婚式のお金どうしよう』って」


「いえ。お金は数億ほど稼いでいるので心配ないです」



「「「え?」」」


「え?」



また幻の地雷を踏み抜いたぞ。やったね月君!心が消えるね!



「......本当かい?」


「はい」


「合法なのよね?」


「はい」


「月斗君のお金なの?」


「あぁ」



こうなったら全部話すか。その方がスッキリしてくれるだろう。



「お金の出処を言いましょうか?」


「あぁ。今の君の言葉が本当なら、こちらも色々と考えないとならないからね」


「分かりました。では、このお金はゲームで稼ぎました。中学の時からやっていたゲームの大会で優勝して、チームに......20億だか30億だか、それぐらいの賞金が出たんです」



「「20億......」」



「それで、俺のチームは俺含め、4人しかいないので簡単に分配出来たんですよ。特にプロチームでもないから、事務所とかに払わなくていいので、そのままマルっと」


「そ、それで?」


「ですので、お金に関しては心配しなくてもいいです。式のお金も、生活費も、暫くは俺が出せますので」



立て。ちゃんと心を立てて言え。目的、理由、後の事。その全てを話せ。




「今回俺の言いたい事は、『陽菜との婚約』です。理由としては、『陽菜の良い所、悪い所、その全てを愛しているから』ですね。小さい頃から知っている事も、高校に入ってから知った事も、全てを受け入れています。そしてそれは、『生涯変わらない』と、断言します」



引くな。進み続けろ。.....フェンリル戦より緊張するが、耐えろ。



「......なるほど。では最後に質問をしてもいいかな?それに僕が満足すれば、陽菜との婚約を許そう」


「はい」



ラスボスとの最終決戦だ。命を懸けて答えよう。



「では......月斗君。陽菜の事は好きかい?」


「いいえ」



「「えっ?」」



「続けて」


「はい。陽菜の事は、好きではありません。『愛しています』

好きなんて次元じゃありませんよ?陽菜の良い所も、悪い所も、ほんの小さな癖からその心の持ち方まで、全てが好きで、大切なんです。ですので、『好き』ではありませんね」



紛れもない本心だ。


正直、陽菜が居なかったら俺は、俺は......精神的に死んでいただろう。


例え肉体は生きていても、心は死んで、何もせずにただ時間を浪費して朽ちていく、ただのゴミに成り下がっていただろう。


でも、それを陽菜は食い止めてくれた。

それどころか、隣にいて、一緒に歩いてくれた。


例え1人で遠くに行っても、陽菜は追いかけてきて、また隣に来てくれた。


そんな人と一緒に居たいと思うのは、悪い事なのだろうか。

許されない事なのだろうか。



.....そんな世界なら、俺は今すぐにでも逃げ出したい。陽菜を連れて。



「......」


「......」



太一さんが真っ直ぐに見つめるので、俺も見つめ返す。

口が滑った事から始まったとはいえ、多少の順序が入れ替わっただけだ。

もし順序が正しくても、俺は一言一句、同じ事を言うだろう。




『陽菜を愛している』と。




「......分かった。陽菜との婚約を許そう。陽菜の事を、これからもよろしく頼む」


「こちらこそ、陽菜に頼ってしまう事が多いと思いますが、幸せにしてみせますよ」



言ったぞ。ちゃんと俺は言ったぞ。陽菜には言えてないが、太一さんにはちゃんと言えたぞ。



「月斗君......ありがとう」



陽菜が横から抱きついてきたので、頭を撫でながら、出来る限り、優しく言った。



「まだ陽菜には言えないけどな。これからもよろしく頼むよ」


「うん!よろしくね!」



やっぱり陽菜の笑顔は綺麗だな。陽菜をずっと笑わせられるような、そんな人にもなりたい。


この人の為に、俺は生きたい。



「はぁ......陽菜が結婚かぁ......もうそんな時期なの......?」


「ふふふっ、最初からそれは分かってたでしょ?陽菜が月斗君と出会ってから、どれだけ変わったと思ってるの?」


「でもさぁ......まだ高校生だよ?早くない?」


「確かに早いけど、月斗君なら大丈夫だよ。ちゃんと陽菜を幸せに出来るし、寧ろ陽菜が何かやらかさないか心配よ?」


「んなっ!?私はやらかさないよ!?」



おっと、その反論はよろしくなくってよ?



「路上でキスした事はやらかしに入らないと?」


「あ、あれは......その......」



「「へぇ?路上で、ねぇ?」」



「あの、その..........え、えへへ」



可愛いな。でも、外でそれはやらない方がいいんだよな。

もし学校なんかでやらかしてしまえば、教員にバレた瞬間に人生が終わりそうだ。



「月斗君。こんな陽菜だけど、よろしく頼む」


「勿論です。こんな陽菜だからこそ、俺は大好きなんですよ」


「良かったわねぇ、陽菜。普通なら嫌われてもおかしくない事よ?ちゃんと月斗君に感謝しなさいよ?」


「も、勿論だよお母さん!いつもお礼のぎゅ〜をしてるもん!」



「「それがダメなんだけど......」」



お礼のぎゅ〜、最高ですよ?天にも昇る思いになれますよ?



「でも月斗君は喜んでくれるもん! ね!」


「そうだな。いつも一緒に居てくれるし、ぎゅ〜は暖かいし、俺は幸せだよ」


「ほら!」




「「大丈夫かな、うちの娘」」




最高ですよ?お宅の娘さん。俺が保証します。

これはYARAKASHIですネぇ.....お付き合いの報告ではなく、婚約の話にジャンプするとは.....



次回、帰ります。ユアストに戻れ.....ると信じてます。


楽しんでくださいね!( 'ω' و)و"♪

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― 新着の感想 ―
[良い点] 甘々イチャイチャ最高かよ。 真面目に書くなら心情の描写が多くて読みやすい点。 楽しく拝見させてもらってます。 [気になる点] ない。最高。好みと完全にタイプ一致してます。 [一言] お義…
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