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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第8章 夏の思い出
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寂しがり屋な月の兎

次回まで、リアルでのお話です( 'ω')




「今更だけど陽菜ちゃん、今日は泊まってくの?それとも実家に?」


「泊まらせてもらいます!実家には明日向かおうかな、と」


「そっかそっか!なら部屋はどうする?月斗と同じ部屋に......はダメか。う〜ん」


「別に一緒でいいですよ?よく一緒に寝てるので」


「月斗、話しなさい」



おかしいなぁ。風呂上がりに縁側で、麦茶を飲んで涼んでいたら、背中から火矢が飛んできたぞ〜?



「最初は陽菜が俺のベッドに潜り込んだ。以上」



完全☆勝利



「あれ?そうだっけ。でも最近、毎日寝てるから変わらなくない?」


「月斗、話しなさい」


「最近は1人で寝るのが寂しくなったからな。一緒に寝てもいいや、って思った。しかもそれ、ゲームの話だぞ?母よ。リアルじゃ1人寂しく......じゃない事もあったけど、基本は1人だ」



父さんが来た時とか、リアルで一緒に寝たっけ?

あと、膝枕の時は『寝た』に入れるのか悩む。

アレは......そう、『寝落ちした』というものだろうからな。



「寂しがり屋になっちゃったもんね、月斗君」


「兎ね」


「誰が月の兎や!別に寂しくても、俺は死なないからな?」


「本当?もし陽菜ちゃんが居なくなっても大丈夫?」



ヒッ!



「ごめんそれは無理かも。ちょっと人生諦めるわ」



陽菜が居なくなるって、俺の生きる意味が8割方消える事を意味してるからな。



「うへへ〜、月斗君の生殺与奪の権を握っているのだ〜」



陽菜が後ろから抱きつきながらそう言った。


アレですね。お胸がヒットなアタックでスーパーなウルトラボンバーしてますね。

でも大丈夫。師匠から習った心の落ち着かせ方その1、『動かない物を見る』という方法で落ち着こう。



ここから見える、動かない物......月か!



「......月が綺麗だ」


「......ありがと」



そう言って陽菜は、後ろから頬にキスをしてきた。



はい、完全に俺の選択ミスですありがとうございました。



何故俺は、寄りによって月を選んだ?

何故俺は、素直に感想を口に出した?

何故俺は、陽菜が抱きついている事を忘れかけた?



いや、抱きつかれてるからこそ、忘れようとしたんだろ?



いやダメだ。今この瞬間を全力で楽しむんだ。こうやって抱きついてくれるのも、今だけかもしれないんだぞ?そうなった時、絶対に後悔するだろう。



「もっと抱きしめて欲しかった」と。



「いいよ?はい。ぎゅ〜!」


「ん?......あっ、口に出てた?」


「うん。思いっ切り。素直だな〜って思ったよ?」


「俺はいつも素直だぞ?ほれほれ、その頬っぺたをムニムニしてやろう」


「うひぇ〜」



おぉ、陽菜の頬っぺた、めちゃくちゃ柔らかい。



「はははっ、可愛いな陽......菜............ッ!」




ハロー地獄。グッバイ天国。俺は今、後ろで母さんが見ている事を思い出したぞっ☆




「あ、続けていいのよ?母さんはもう寝るから」


「待って。今見た事全て忘れてくれ」


「いいよ?ただ携帯には保存してるから、いつか思い出すけど」


「......」



絶句した。この人、本当に魔王じゃないか。



「あ、一緒に寝るのはいいけど、する時は静かにねっ!じゃあ、おやすみ月斗、陽菜ちゃん!また明日!!」


「逃げんなぁ!!お願いだから消してくれぇぇ!!!」


「あははははは!!!」



鬼だ。悪魔だ。魔王だ。人の恥ずかしい所を保存した上に、笑いながら走って逃げて行ったぞ。



「月斗君。するの?」


「しないよ。結婚するまではしないからな」


「それって......1年半くらい後?」


「さぁな。2年後かもしれんし、10年後かもしれない」


「えっ............うぅ」



陽菜がぽろぽろと涙を流し始めた。



流石に今の発言は酷いな。これまで散々話してきたのに、いざ聞いてみたら何年も後だなんて......



「ごめん。嘘だ。3年以内にすると、約束しようか」


「......ほんと?」


「本当だ。ただ、どのタイミングでするかは分からないから、楽しみにしてな?」


「うん......待ってる......いや、私からもやる」


「え?」



これはまさか......早い者勝ちになってしまうのか!?



「私、いつも月斗君に前を歩かれてばかりだから、私は隣を歩きたいの」

「だから、私は待たないよ?あの公園の時みたいに、私が後からぶちまける......そんな事、もうしないからね?」


「お、おう」



決意に満ち溢れている表情で、陽菜はそう言った。



「月斗君......少しでも辛いと感じたら、隣を見てね?私が居るから。寄りかかってね」


「.....あぁ、そうさせてもらうよ。それと、そろそろ離れてくれ。部屋に行けないぞ?」


「えぇ〜!このまま運んで〜!」



ワガママだな。でも、そんな陽菜もとても可愛い。出来ることなら、何だって叶えたくなるくらいには。


あぁ、好きすぎて辛い。



「しょうがないなぁ。隣を歩くんじゃなく、俺に背負わせるのが、陽菜の流儀なんだな?」


「うっ......で、でもぉ!」



俺は後ろから抱きついている陽菜を背負い、陽菜の手に麦茶の無くなったコップを持たせてから移動を始めた。


......あれ?麦茶って、こんなに早く蒸発するっけ?



「いいよ。今日くらいは好きにしてくれ。明日から、一緒に歩いていこうか」


「......うん。大好き」


「ははっ、そこはいつも陽菜が最初に言うよな」



俺から『好き』って言うの、あんまりない気がする。普段は陽菜が言ったのに同意する、完全に後手にまわって言っている感じだよな。




「──ほら、コップそこに置いて」




そうして部屋に着くと、2枚の布団が置いてあった。


一応、実家に残していた私物も置かれていたので、ちゃんと俺の部屋になっているみたいだ。



「もうちょっと下げて。手が届かない」


「はいよ」


「置いた」


「それじゃあ布団にぶん投げられるかお姫様抱っこで降ろされるか、選ぶといい」


「ぶん投げたら本能に身を任せるよ?」


「......分かったよ、お姫様」



怖い。怖いよこのお姫様。ちょっとでも乱暴に扱った瞬間、野生の獣と化すと、宣言してしまったよ。



「えへへ〜、カッコイイね、月斗君」


「陽菜の方が可愛いぞ?......よいしょ、っと」



陽菜を布団の上に降ろし、俺はもう片方の布団に入った。



「おやすみ、陽菜」


「うん。おやすみ月斗君」



布団から布団へ手を繋ぎながら、俺達は眠った。






◇◇






「ぅ......」



脳が太陽光をキャッチし、その刺激で脳が覚醒を始めた。



「......ん?............ん!?」



目を開けると、目の前に陽菜がいた。


おかしい、俺達は昨日、別々の布団で寝たはずだ。

それなのにどうして陽菜が俺の目の前にいる?


いや、違うか。潜り込まれたな、これは。



「んぅ......おはよ......月斗君」


「おはよう陽菜。昨日も潜り込んだのか?」


「いや?......昨日は月斗君の方から来たよ......?お陰で私、3時間くらいしか寝てない......」



ん?聞き捨てならないな。俺の方から来た?それはつまり、どういう事だってばよ!?



「昨日ね、完全に寝たあと、月斗君がごろごろ〜ってやってきたの」


「ほ、ほう?」


「それでね、月斗君だけ布団の上にいたら風邪引いちゃうから、私の布団の中に入れたの」


「ほう」


「そしたらね、ぎゅ〜って、ずっと抱きしめてくれたの」


「......」


「お陰で私は興奮して、寝るのに困りましたよ。全く......したいなら言ってよね!」



なるほど。理解した。完全に無意識で陽菜の所へ行っていたようだ。

そして俺は、それを記憶には残せていないようだ。


つらい。



「......すまん。寝相が悪すぎた」


「全く......したいなら言ってよね!」


「野性味溢れてるなぁ、陽菜」


「全く......したいなら言ってよね!」


「おい、NPC化すんな。とりあえず起きよう」



俺のせいで睡眠不足になっているだろうけど、許してくれ。



「や!このまま寝る!二度寝する!!」


「......俺に抱きついたまま?」


「......抱きついたまま」



どうやら俺は抱き枕になるようだ。やったね!



「分かった。なら昨日のコップとか片付けて来るから、少し待っててくれ。それと、昼までには起きるぞ?」


「うん。なら待ってる......いや、私から行くべき?」


「そこでその精神を持ってくるな!ここは大人しく待ってろ。戦いに『待ち』は必要だろう?攻めるだけじゃ、自分の望む物は手に入らんぞ?」


「そうだった......じゃあ、待ってます」


「はいはい」




そうして俺はキッチンにコップを持っていくと、朝ごはんを作ろうとしている母さんに出会った。




「おはよう」


「おはよう月斗。昨日はしたの?」


「コップぶん投げるぞ?してないよ」


「わぁ、本当に凄い精神力ね。自慢の息子だわ〜!」


「そうかい。それと二度寝するんで、朝ごはんはいらねぇす」


「......したの?」


「してねぇわ!何で女はそんなにするするするする言うんだ!?動物か!?」


「失礼ね。人間だって動物よ?」


「かぁ!朝からしんどいなぁ!?もう寝る!」



コップも片付けたので、部屋に戻るとしよう。



「静かにね〜」


「......今のは反論しなくて正解だ。きっと『何を言ってるの?』って言われるだろうからな」


「......チッ」


「聞こえてんぞマイマザー」


「早く寝なさい」


「全く......」




そうしてトイレに行ってから部屋に戻り、陽菜の抱き枕として二度寝をサポートした。

二度寝サポート機能付き抱き枕『TSUKITO』今ならなんと、定価15万8000円のところを.....12万円でのご提供となります!


更に!下の☆評価やブックマークして頂けたら、次回の更新が早くなるという特典まで付いています!


どうです?1発ポチッと、やっちゃいますか?



.....というのは冗談でして、次回は結構大きなお話となります。

それが終われば、またユアストに帰ってきますので、その時をお楽しみにて頂けると嬉しいです。


では!

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