閑話 ルナの幸せ、ソルの幸せ
閑話です。番外編は季節物や設定集などてにする予定なので、ごく稀に閑話が本編に出てきます。
是非楽しんでください!
「ソル〜!モフらせて〜」
「いいよ〜。耳?尻尾?」
「全部」
「欲張りさんだね〜。いいよ、モフれるものなら全てモフってみなさいな」
「やったぁ。ほら、おいで」
「うん!......およ?膝枕?」
「あぁ。こっちの方がモフモフを感じやすいし、ブラッシングしやすいし、ソルも楽だろう?」
「ふふっ、ありがとう。そういう細かい気遣い、大好きだよ」
「......どうも」
「あ〜もう、最高。ルナ君と一緒に居れて最高だよ」
「それは俺もだよ。例え狐の耳が無くても、尻尾が無くても、ソルが居るだけで俺は幸せだよ」
「あぁ好き!大好き!......んふふ〜!」
「こらこら。お腹に激突するな。はい、まずはお耳を梳かしていくぞ」
「──嗚呼、気持ち良き也」
「良かったよ。サラサラになったし、触り心地がとても良くなった......それに、いい匂いがする」
「我、嗅がれてる也。嬉しさと恥ずかしさで潰される也」
「なりなり。ソルはいい匂いがするなりよ〜」
「おざなり」
「上手すぎるだろそれ。そのセンスは心から尊敬するよ」
「えへへ、ありがと」
「ん〜でも、本当にいい匂いがする。こう、なんて言いますか......嗅ぐと凄く落ち着く」
「それってどんな匂い?」
「ソルの匂い。永遠に包まれていたい......そう思えるよ」
「それはリアルでもする匂い?」
「残念ながらリアルではもっといい匂い。あっちでこんな触れ合い方をしたら、俺の意識は飛んでいくぞ?」
「えへへ、なら今度、意識飛ばしちゃお〜」
「寝てる間にイタズラされそうだ」
「イタズラして欲しい?」
「......ハロウィンである事を祈ろうかな」
「ざ〜んねん。イタズラっ子の私は、ハロウィンでなくてもイタズラしちゃうのです。ほれほれ〜」
「刺さるッ!ソルの頭が俺の腹に刺さるッ!!」
「シャキーン!耳ドリル!!」
「あら可愛い。驚いた時のリルみたいな耳だな」
「おやおや。私と2人っきりの時に他の女の話かい?」
「娘を女と言う人を初めて見たよ」
「ふふっ、冗談。でも今は、私だけを見て欲しいな」
「......分かった。ならばギューッと、抱きしめてあげよう」
「やった〜!」
「──ほら、これならソルしか見えてないぞ?」
「......そうだね」
「尻尾もサラサラだな。でも、しゅんって垂れ下がってる。どうしたんだ?」
「......どうして」
「ん〜?」
「どうして前で向き合って抱きしめてくれないの!?」
「そんな事したら恥ずかしすぎて死ぬだろ!!」
「私も一緒だよ!......ねぇルナ君。一緒に死の?」
「嫌だ。でも......しゃ〜ない。これは今回だけだぞ?」
「──あはは、何か......恥ずかしいね」
「......だな」
「うぅ、ルナ君の顔が見れないよぉ」
「ソル、顔が真っ赤だぞ?尻尾もとんでもなく逆立ってるし」
「ル、ルナ君こそ真っ赤だよ?」
「見えてないだろ?」
「んぅ......ほ、ほら!見えてるもん!真っ赤だもん!」
「はははっ、バレてしまったか。そうだ。今の俺は真っ赤だろう。ソルには特別に『ストロベリームーン』と呼ぶ事を許可しよう」
「私だけのストロベリームーンだね!大好きだよ。んっ」
「んむっ......イチゴのお口は食べられてしまった」
「頂きました!ごちそうさまでした......えへへ」
「可愛いなぁもう。モフモフがチュッチュに変わったら、もう一生モフれなくなっちゃうぞ?」
「ん......それは嫌だね。仕方ありません、今回はこれでチュッチュを終わりにしてあげましょう」
「.....俺から言い出した事だが、チュッチュって表現は何か変だな」
「そう?......アレじゃない?一回しかキスしてないからじゃない?」
「そういう問題か?でも、何だろうなこの違和感は......」
「答えは私の尻尾にあるのです。私はルナ君に抱きついておくので、尻尾を触って見つけてください」
「良かろう。では尻尾を......って、めちゃくちゃ胸当たってんですけど」
「当ててるのです。というか、私のお胸は嫌?」
「そんな訳ないだろ?ソルの胸はこの世に存在する胸の中で最高のお胸だよ」
「ありがと。ふっふっふ、理性との戦いに持ち込んでやるのです!」
「自慢じゃないが、俺は自制心が強い。理性が蹂躙して終わるのだ」
「な、何ぃ!?私のおっぱいパワーが足りないのか!?」
「逆だ。私が強すぎるのだ。残念だったな、少女よ。私は少々、鍛えすぎたようだ......」
「くぅ、こうなったら私が強くなればいいだけの事!絶対にお前を倒してやる!」
「ちょ、尻尾がとんでもない速度になってる。や、やめ」
「ふんっ!尻尾モフり付けアタック!どうだ魔王!」
「つ、強い!これが勇者の力か......!うわぁ!浄化されていく〜!」
「こうして魔王ストロベリームーンは、勇者ソルと結婚したのでした。めでたしめでたし」
「ははっ、それは良い終わり方だ。是非ともノンフィクションにして欲しい物語だな」
「えっ」
「あっ」
「......気にするな。ただの独り言だ」
「う、うん。これからも勇者活動、頑張るね」
「俺は魔王か?」
「魔王だよ。剣も強くて、弓も強くて、魔法も強くて......でも、ちょっと抜けてる所があったり、私を大切にしてくれる......そんな魔王だよ」
「......ありがとう。俺も魔王活動を頑張ろうかな。ソルの気持ちを乱す、時給1100円の仕事を」
「高いね。それ、結構ハードな仕事なんじゃない?」
「勿論ハードさ。1歩間違えれば死ぬからな。1歩引きすぎたらクライアントに嫌われてゲームオーバー、1歩進みすぎたら不純異性交友と見なされて人生ゲームオーバー......だから、ベストな付き合いをするという、とてもハードな仕事なんだ」
「えへへ......確かに定期的に撫で撫でしてくれなかったら、魔王様を嫌っちゃうかも」
「大丈夫。撫で撫でしなくても、ぎゅ〜っと抱きしめてから頭をぽんぽんするから」
「それは確かに大丈夫だね。寧ろ好かれるよ?」
「本当か?なら今すぐ試すとしよう」
「──んぅ......大好きです」
「俺もだよ。はぁ......この幸せな時間が惜しいが、尻尾の仕上げにかかろうか」
「え〜、今日はずっとこうしていたいよぉ......」
「よし、今日はずっとこうしていようか。ソルの為にオーク肉の生姜焼きを作ろうと思ったけど、ずっとこうしていようか」
「......ずるい。私の好物で釣るなんて」
「安心しろ。俺も大好きだ」
「私が?それとも生姜焼きが?」
「どっちも。俺は欲張りさんだからな」
「もう......じゃあ、お買い物行く?」
「いや、材料はあるからこのまま作る。ソルも一緒に作ろう。2人で作れば、美味しさは2倍にも3倍にもなるぞ」
「うん!じゃあ、作ろっか!」
「あぁ」
「......この時間は、俺の宝物だな」
ヴッ.....(尊死)
次回は帰省編です。お楽しミニミニミニ!