1人対530人
集団行動とは、一人一人の動きを阻害することもある。
ルナside
「では父様。頑張ってくださいね!」
「がんばれ〜」
「あいよ。一対多のちょうどいい訓練だからな。楽しんでくるよ」
しかもトッププレイヤーが沢山紛れているんだ。武術大会より、もっと楽しくなるだろう。
『ルナ、準備はいいか?』
「いつでもどうぞ。死ぬ気でかかって来な」
『あぁ。じゃあ、戦闘開始!!!!』
そうアテナからチャットが飛んでくると、150人程度の塊がやって来た。
「セレナ、『戦神』......よっ!」
ドパァァァン!!!ドパァァァン!!!ドパァァァン!!!
俺は100人との距離がまだ500メートルといったところで、後ろに向けて矢を18本放った。
「んで、前にも......そいっ!」
ドパァァァン!!!ドパァァァン!!!ドパァァァン!!!
これで計算上、36人のプレイヤーが死ぬはずだ。
「セレナ。戦績は?」
『34。2人守られたね』
「そかそか。ステラ、『鼓舞の光』んでもって俺は着替えて、と」
俺は『天使シリーズ』から『花鳥風月』に着替え、男の浴衣に変更して、更に矢を放った。
『52』
「う〜ん。ちとペース悪いか」
『神器持ちが31人ね。盾の神器もいるから、それででしょうね』
「ほぇ〜、盾ねぇ?まぁいいわ。『魔力矢せい......は縛ってるんだった。そのまんまの矢をどう......ぞっ!」
矢を番え、300メートル先のプレイヤーを射抜いていく。
『61。神器6人落ちたわ』
「了解。魔法が飛んでくる前に先遣隊を潰すぞ」
『えぇ。頑張って、私の可愛いルナ』
「俺はソルのだからな。セレナのではない」
ドパン!!!
『えぇ〜?ケチね。きっとソルも、撫で撫でくらいなら許してくれるわよ?』
ドパァァァン!!!
「それは有り得るな。俺もこの前、フーに膝枕されたけど許されたし」
ドパン!!!
『あら、それはアウトじゃないの?フーってば、ソルに殺されてない?』
『殺されてないですよ!!!』
ドパァァァン!!!
『93』
「ん。神器」
『7』
「残り全員か。ならフー、シリカ。出番だ」
『『よし来た!!』』
『あらあら、はしゃいじゃってまぁ......子供ね!』
『いや私、セレナさんと同い年ですよ?』
『シリカはみんなより年上だよ!』
「どうでもいい事を延々と話すのやめようぜ。仮にもアイツら神器持ちだぞ?」
『『『それが何か???』』』
え?......もっとこう、『引き締めないと!』ってならないのか?
『大体、見てくださいよ?弓の神器も無く、剣と盾と槍と斧の神器ですよ?雑魚中の雑魚です』
「それは舐めすぎだろ......まぁいいや。全力ダッシュの抜刀で2人落とすぞ」
『『了解』』
俺は左足を前に出し、左側に布都御魂剣を佩いてクトネシリカを右側に装備した。
「行くぞ......『戦神』」
戦神でAGIを3倍にし、全力ダッシュを開始した。
バァァァン!!
と、凄まじい音を立てながら7人に接近し、勢いを付けてクトネシリカを抜刀し、続く二の太刀で1人を、そしてその後に布都御魂剣を抜刀し、同じように2人目を斬った。
この間、僅か4秒である。
「「「「「うわぁぁぁ!!!」」」」」
あまりの速度で近付いてしまったので、風圧で残りの5人が吹き飛ばされていった。
......いつかの俺のように。
「よし、まずアテナから。『斬』」
「ちょ、ちょ待っ」
ザンッ!!!
「次、近いやつ。シリカ、飛んで来い」
『あいあいさ〜!』
クトネシリカを真っ直ぐに投げ、起き上がりかけていたプレイヤーの喉に刺さり、プレイヤーはポリゴンとなって散った。
「顕現。次」
ズバンッ!!
続く2人目もクトネシリカが刺さり、ポリゴンとなって散る。
『力技ですねぇ、ルナさん』
「馬鹿言え。この後300人以上いるんだぞ」
『そういえばそうでした。てへぺ「行ってこい!!」ろぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
バシュッ!!!
そうしてクトネシリカと布都御魂剣の投擲により、先遣隊は全てポリゴンとなって散った。
「さ、あと350人ちょっと。どうやって倒そうか」
『私を使えば?』
「そうだな」
『私の霊剣はどうですか?』
「それも面白そうだな」
『シリカは......お兄さんが使ってくれるなら別にいいや』
「助かる。じゃあまず、【霊剣】」
俺はMPを1万5000消費し、霊剣を作成した。
左手に現れた霊剣は、布都御魂剣の『透明化』を使った時と同じような感覚だった。
「斬れるのか?これ」
『バッチリ、バッサリ、ズバッ!ですよ!耐久値は1万5000ですが、その他の能力は私の複製体ですからね!』
「全部の能力を複製してるのか?」
『えぇ、モチのロンです』
「......ふへへ」
今の俺、相当悪い顔をしているだろうな。
何せ、最っ高に楽しい事を思い付いたんだから。
「じゃあこいつを削除。そして【霊剣】を15本」
『え?ちょっと、何する気ですか!?』
「それ、本陣が来たぞ。霊剣達、行ってこい!『戦神』『斬』......オラァ!!」
俺は霊剣に『斬』を発動させてからぶん投げると、霊剣の通った道にいたプレイヤーは皆、ポリゴンとなって散った。
「ふぉぉ!!無双ゲーが始まっちまったぜぇ!!!!」
『やめてぇぇ!!!私の複製体がぁぁぁ!!!!!』
「『斬』オラァ!!ぶっ飛べぇ!!!」
それから15本投げると、本陣のプレイヤーが一気に近付いて来た。
残り200人、殺るしかねぇぜ。
「はぁぁぁ!!」
「そいっ」
ザンッ!!
「オラァ!!」
「そいっ」
スパッ!
「死ねぇ!!」
「大豆っ」
ズバンッ!
「やぁぁぁ!!」
「醤油っ」
バスッ!!
「皆退いて!今か......ら......」
「お味噌......」
何か大きな物を持ってきていたプレイヤーがいたが、新しく作り直したオリハルコンの糸により、首と体をさようならさせられた。
「よし。『戦神』......は〜い、今から縄跳び大会始めま〜すっ!跳べないプレイヤーは足が無くなるので、頑張って跳んでくださ〜い!はいセーノッ!い〜ち!」
「「「うわぁぁ!!!」」」
操王スキルと戦神による強化を施した糸で縄跳び大会を始め、十数人ものプレイヤーの足が斬られていった。
「に〜いっ!」
「「「ぎゃぁぁぁ!!!」」」
「さ〜んっ「おらぁぁぁ!!」てんごっ!」
スパッ!
途中で男が近付いてきたが、いつの間にかポリゴンとなって散っていた。
アレレーオカシイナー。ボクハナニモシテナイノニナー。
『ちょ、ルナさん!地獄です!地獄が広がっています!』
『これは......リルちゃん達にも刺激が強すぎるんじゃなかな?』
『メルなんて泣くわよ?これは』
そう、プレイヤーの殆どが大変な事になっていて、とても子供が見られるような状況ではなくなっていた。
「それ不味いな......仕方ない。『癒しの光』」
ステラを取り出し、太陽の光で回復させて足を治してあげた。
「じゃあな。『戦神』」
足が治って起き上がろうとしたプレイヤー全員の首がさようならして、残りの敵は2人となった。
「翔と......コキュートス君か」
「せいか〜い」
「お久しぶりです」
「どもども。俺が言うのも何だが、今のをよく耐えたな」
「僕は糸で相殺したからね」
「俺は全部弾きました」
「『『『やるぅ!』』』」
あの縄跳び大会を技術で耐えるとは、本当に凄いぞ。
『ルナさん、下から糸が来てます』
「翔、見えてるぞ」
「......マジ?」
「マジ」
「何で見えてんの?心眼?」
「いや?相棒の目があるからな。生憎、俺の刀は生きていてな。しかも俺より目がいいんだ」
『いや〜、魔法を使ったルナさんには負けますけどね〜』
肉眼の話なんだけどな。
俺、リルやフー見たいに魔力反応を目で見てみたいけど、それはそれで辛い気がする。
見たくもない物を見せられそうだからな。
そして俺はクトネシリカを抜刀して構え、2人と向き合った。
「じゃあどうする?2人共、やるか?」
「「降参は??」」
「なし」
「「デスヨネー」」
「『斬』」
ガンッ!!!
コキュートス君の左腕を狙って突きを放ったが、コキュートス君の盾に防がれた。
「強いね」
「それほどでも......ないですよっ!『カウンター』」
「ぐふぅっ!」
コキュートス君が唱えると、俺の左腕が吹き飛んでいった。
今のは衝撃の反転と......糸か。
「翔、やるな」
「2人だからね。『魔糸術:雷糸』」
「ふむ......」
バチバチと音を立てて糸が俺に刺さったが、全て受け入れた。
「「えっ」」
「へぇ......見ろよこれ。翔の雷、貰ったぞ?」
俺は右手に雷を纏わせて見せた。
咄嗟の思い付きでやってみたが、上手くいった。
これは翔『雷の』魔糸術を体で受け、取り込むことで『雷神』の称号効果で操れるかを試してみたのだ。
すると、上手いこと思い通りにいき、翔から雷をいただくことに成功した。
「ふぅ......左手も生えたし、再戦といこうか」
ブリーシンガメン、ありがとう!
「「嫌だぁぁ!!助けてママー!!!!」」
「仲良いな。そこに痺れる憧れるゥゥ!!!」
そう言って俺は雷を飛ばし、2人を感電させた。
「ぐっ......物理的に痺れる......」
「痛いですね......これ......」
「ほら、辞世の句を詠め」
「儚くも、散った私を、誇らせて」
ザンッ!!!!
「次、コキュートス君」
「......ありがとう、戦えた事、誇りです」
ザンッ!!!!
「ルナ君、大勝利〜!」
上で見ていたソルが降りてきて、俺に抱きついてきた。
「ありがとうソル。530人、全員殺ったよ」
「実は532人殺ってるけどね!」
「え?」
「2人の観戦者も巻き込んだの!」
「......俺、ガッツリPK?」
やばい、多分セレナの時だよな?やっちまった。やってしまった。俺は人をぶっ殺してしまった!!
「大丈夫だよ。ちゃんと『ファールボールには気を付けてください』って言ったから」
「ならいいや!......よし、アテナから金もらって帰るか」
「うん!」
「帰りましょう!」
「おつかれさま。パパ」
「ありがとう。じゃあこれから、浴衣を着て遊びに行こうか」
「はい!」
「「うん!!」」
そうして王都の噴水でアテナと合流し、5300万Lをもらって帰った。
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名前:ルナ
レベル:343
所持金:811,850L→53,811,850L
種族:人間
職業:『ヴェルテクスギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Cランク冒険者(94/200)
Pギルド:『ヴェルテクス』
所持因子:『稲荷』他6柱
HP:17,110
MP:17,110
STR:17,110
INT:17,110
VIT:17,110
DEX:17,110
AGI:17,110
LUC:8,550
CRT:100(上限値)
SP:1,540
『取得スキル』:省略
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瞬間VIT5万越えの人間の腕を斬った翔、凄いですね。
次回は閑話を挟みまして、実家に帰るお話となっております。
楽しんで頂けると、とても嬉しいです(´;ω;`)