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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
228/492

神月二咲キ誇ル幻ノ桜 上

月明かり

咲いて誇るは

桜の木

美しくあり

儚くもあり





「おい見ろ!マジで桜が咲いてんぞ!!」



ニクス山への飛行中、山頂に巨大な桜が咲いているのが見えた。



「綺麗......ですね」


「でもあれ、かなりつよそうだね」


「あぁ。今まで挑戦した語り人は、み〜んなあの桜に殺されてるからな。それで、俺達の任務内容は覚えてるな?」



「はい!花びらを集める事です!」


「......そのために、こうげきをゆうはつさせる?」



「あぁ、2人とも正解だ。良い子だぞ」



俺は抱きかかえてる2人を褒め、更に加速した。



『お兄さん、もう気付かれてるよ!』


『ですね。1本の枝がこちらを狙っています』


「飛ばしてくるか?」


『いえ、それは無いですね。あのトレントには、そもそも枝を飛ばす力が無さそうなので』


「把握した。ありがとう」



今回はフーは刀に、シリカは太刀になってもらっている。


これまでの経験的に、シリカは太刀になってもらった方が、抜刀速度、攻撃力、攻撃速度、納刀速度の全てが俺と合うのだ。


今回の戦いは皆浴衣を着ているので、刀と浴衣、桜と月と、とても見栄えが良くなり、戦っていて楽しいだろうからな。



「そうだ。ここから録画していくか。後でソルに見せてあげよう。『ボイスチェンジ』......よし、リル、メル、準備はいいな?」



「「はい!!」」



「じゃあ行くぞ?......ゴー!」



合図を出して録画を開始し、2人を下ろして桜に近付いた。



◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

『神月穿樹:宵斬桜Lv???』との戦闘を開始します。

◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆



『また人間が来たか。これでもう何百人目か......本当に、愚かよのぉ?』



ウィンドウが出てきた瞬間、小夜さんのような声が聞こえた。



『リル、メル。俺の後ろに来い』



『『はい!!』』



ちょっと忘れていた事があったので、2人を念話で呼び戻した。



「そういえば、幻獣は喋るんでしたね。初めまして、ルミです」



まずは挨拶だ。出来ることなら俺は、交渉して花びらを手に入れるのが最善だと、今考えた。



『お?私に話しかけるとは、何とも不思議な者よのぉ?』


「不思議ですか?私としては、あなたと話す人は沢山いるとと思いますけど」



カカカカカン!!!バキィ!!



話しかけていたら、5本の枝を刃の様にして攻撃してきたので、布都御魂剣とクトネシリカで全て弾いた。



う〜ん、音が気持ちィィ!!



『おぉ!これを防ぐか!本当に不思議な者よのぉ?お主』


「そうですか?それで、宵斬桜さん。花びらを少し、私に分けきて頂けませんか?ほら、この可愛い()達に贈りたいんです」



俺はそう言って、チラッと後ろのリルとメルを見せた。



『ほう?私と同格の獣と......神に近い......いや、近かった龍か。お主、何者だ?』


「そんな怖い声を出さないでくださいよ。私はただ、この子達の親をやっている語り人ですよ?」



ガッツリ2人の正体がバレてるが、俺は出来る限り、当たり障りのない口調で話しかけた。



ガガン!カカカン!!ガガガガガガン!!!


2連、3連、6連撃と飛んできたが、この数ならまだ余裕で弾く事が出来る。



『ふむ......強いな、お主。我を殺す事が望みか?』


「いいえ、違います。花びらを少し、分けて欲しいのです。あなたの命を奪うなんて、考えるだけ無駄じゃないですか」


『ほう?何故無駄と思える?私は私の価値を自覚している。故に、人間が私を襲うこともな。それ故に、何故お主は、私を殺すことを無駄と言える?私には理解が出来ないぞ』



ガガン!バキッ!!



俺は宵斬桜の質問に、満面の笑みで答えた。




「だってあなたを殺したら、二度と花びらが取れないでしょう?」



すると宵斬桜は、約35本もの枝を刃にし、斬りかかってきた。



『リル』


『はい!』



リルを隣に呼ぶと、リルはツクヨミさんを構え──



俺と一緒に、全ての枝を弾いた。



「──あぁ、宵斬桜。枝の音がとても気持ちいいです。もっと私に聞かせてはくれませんか?」


『それがお主の本性か!!』


「いいえ?私の本性は花びらを集める方です。今は、そう......ちょっと、このタイミングで枝を飛ばさないでください!」



人が話しているタイミングで20本も後ろから斬りかかってくるな!危ないだろ!!



「全く......メルちゃん。花びらを集めてください。私とリルちゃんで、何とか......何とか攻撃を防ぎたいと思います」


「は〜い」


『まだまだ余裕の癖に、ぬかしおる』




それからは、リズムゲーが始まった。宵斬桜が枝を伸ばし、俺が弾く。そして背後からの枝は、左手の布都御魂剣で弾き、正面はクトネシリカで弾く。


それだけならまだ、リズムゲーとは言えない。だが......



カカカン!ガンガン!!カカカカカン!!!




「3・2・5、ですか。あなたはもしや、『ディレイ』というのをご存知なくて?」



そう、全ての攻撃がブロック分けされているのだ。


1つのブロック攻撃と、次のブロック攻撃の間には必ず0.15秒の間隔があり、まるでリズムゲーをやっているかのような、綺麗なテンポで枝が弾けている。



『でぃれい......とな?もう時期散る花だ。最後に私に教えておくれ?』


「散るのは私ですか?あなたですか?」


『無論......お主よのぉ?』



ガガガン!!!カカカン!!ガガガガン!!!!



重い攻撃と軽い攻撃、そしてまた重い攻撃。


普通ならこの組み合わせも、相手を翻弄する事が出来るのだろうが......残念ながら、布都御魂剣とクトネシリカの前じゃ、ただのリズムに変わってしまう。



「いいですよ。ディレイを教えてあげましょう。ディレイとは......そうですね。こうです。『魔力刃』」



バシッ!バシッ!......バシバシッ!!バシッ!



『ぐぅ!!』



宵斬桜に5つの斬撃痕が刻まれ、その体を大きく揺らした。



「あつめてくるね!」


「行ってらっしゃい......さて、ディレイと言うのは先程のように、一定間隔で繰り出される攻撃の間に、ワンテンポ遅らせて攻撃することの名前です」



俺は懇切丁寧にディレイについて教えてあげた。



ガン!カカカン!!ガン!!



『ぬぅ......難しいものよな、『でぃれい』とは』


「そうですね。あなたのような単細胞な木偶の坊では、ディレイを交えた攻撃は出来ないでしょうね......嗚呼、悲しきかな悲しきかな」


『お主!私を舐めるのも大概にしろ!私にも出来るわ!!』



ガガガン!!!ガガガン!!!......ガガガン!!!



「はい......全くもって、出来ていないのです。嗚呼、なんと哀れな桜なのでしょう。化け物の身になり、戦おうとも、何も得られはしないなど......」



この煽り方、結構気に入ってしまったぞ。コイツ相手にはこれからも使ってみようかな。



『......お主、私を化け物と言ったなぁ!!!!』


「えぇ、言いました。だって、桜のトレント......それも幻獣など、化け物以外の何者でもないでしょう?あなたは少し、ご自身を客観的には見ては如何ですか?」



ガガガガガガカカカカカン!!!!!



おぉ、今までで1番良い攻撃だ。重く、軽く、強く、速い斬撃だった。



『殺す......殺してやる!!!』


「あら、沸点が低いですね?そんな事では、ご自身の体は発火してしまいますよ?『イグニスアロー』」



バキィ!!



宵斬桜はイグニスアローを、自身の枝を犠牲にする事で、幹に当たる前に叩き落とした。



『何としてもお主は殺す......私を化け物と言った事、その身が果てるまで切り刻んでやる!!』


「おぉ、怖い怖い。この化け物は、なんと恐ろしい事か。(わたくし)、チビってしまいますわよ?」


「父様、煽りすぎです。お陰で攻撃が単調になってるのはいいですが、メルちゃんが動きにくいです」


「おっと、それはいけませんね。では1つ」



パチン!



確かにメルが遠くから見ることしか出来ていなので、クロノスクラビスで動きを止めさせて頂いた。



『何!?動かせない!?』


「メルちゃん?花びらは集められましたか?」


「うん!ほら、こんなに!!」



そう言ってメルはインベントリから花びらを出し、俺に全て渡してきた。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『新月の桜の花弁』×517入手しました。

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



『お主!いつの間に!?』


「ありがとう、メルちゃん。お友達情報によると、200枚の花弁で1つのインゴットだそうですので、これで揃いましたね?」


「うん!がんばったよ!!」


「はい。良い子ですね。よく頑張りました」



俺はメルの頭を撫で、クトネシリカを構えた。



「それじゃあメル、俺の中に戻りな。こっからは武器のないメルにはキツいからな」


「え〜、わたしもたたかう〜!」


「なら1発、ここから魔法を使ってみろ......全力で。それで全て分かるさ」



俺の予想だと、あの桜......多分魔法が効かない。だって魔力刃で試した時、2つほど火属性と雷属性で放ったんだが、一切燃えたりしなかったのだ。


だからここで、メルには戦うのが厳しい事を伝えた。




「うん!『滅光』......うそ!?」



宵斬桜に当たった滅光は、綺麗に霧散していった。



「やっぱりな。アイツには、拘束系の魔法以外は物理しか効かない。魔法メインで攻撃するメルとは相性が悪い......すまないが、ここは引いてくれ」


「......うん。こんどわたしにも、刀をつくってね」



マジか。まぁ、良かろう。集めてくれた花びらを使って、メルの刀を作ってやろう。



「分かった。じゃあ、俺の中から見ててくれ」


『うん!』



そうしてメルが光となって俺に入ったのを確認し、リルに合図を送った。



「メインミッション完了につき、これからサブミッションを進める。リル、全力でやれよ?」


「勿論です、父様」





じゃあここからは、ボイチェンも切って、本来の俺で行こうか。





「宵斬桜、お命頂戴すぅゆ」




「......」


『パパ......』





大事なところで噛んじゃった。

次回もすぐに出ます。楽しんでください(小声)

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