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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
227/492

新月二咲ク幻ノ桜 終

散る花は

蕾に戻り

朽ち果てる

花から蕾は

存在しない


↑『花から』は『端から』のダブルミーニングでしゅ



「何で俺の部屋にいるのか、どうやって入ったのか、どうして俺の手を握ってるのかは知らんが......おはよう、陽菜」


「おはよう!それとね、合鍵で入ったよ?後は......デスゲームに入ったのかと思って、心配して握ってました!」


「そんな事ある訳ないだろ?ちょっと運営に誘われただけだ。『入社しませんか?』って」



ちょっと待って。言ってから気付いた。陽菜、合鍵持ってんの?



「えっ何それ!?聞かせて聞かせて!!」



俺が聞きたい。何で合鍵待っているのか聞かせてくれ。




それから少し、陽菜にカズキさん達から言われた、『公開してもいい情報』や、合鍵についてを話し、昼ご飯を食べた。



「じゃあ月斗君、卒業したら入社するの?」


「いや?直ぐには入社しないよ。ちょっと色々な事を片付けてからだ。それまでは陽菜と一緒にいるよ」


「そうなんだ〜!えへへ〜」



まぁ、『それまでは』ってのは間違ってるがな。『それまでも、これからも』ってのが正解だ。俺はもう、覚悟を決めているからな。



「あっ、メンテナンス終わったみたいだね。ログインする?」


「する。それとフーと話さないといけない事があるから、陽菜も来てくれ」


「分かった!じゃあ月斗君の部屋に行くね!」



持ってきてたのね、ヘッドセット。用意周到だな。



そうして少し話してからユアストにログインすると、とんでもない数のエラーウィンドウと共に、アップデートの内容が記載されたウィンドウが出てきた。



「ん〜なになに?」



◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

『お詫びと告知』

この度は「種族変化」につきまして、種族の変更が出来ない一部の種族の状態で種族変化をすると、エラーが発生してしまう不具合を緊急メンテナンスとして対応させていただきました。


プレイヤーの皆様には、大変ご不便をかけてしまい、申し訳ございません。


つきましては、本エラーの原因である『隠し種族』について、そして全てのプレイヤーの皆様に、ゲーム内通貨『1万 L(リテ)』を配布させていただきます。


そして今回のメンテナンスで、ささやかながらアップデートをさせて頂きましたので、アップデート内容についても記載させて頂きます。

◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆



「まさかの金と情報。お詫びが独特すぎる」


「どうしましたか?ルナさん」


「フーか。気にするな。それとリル達は?」


「セレナさんと遊びに行きましたよ。今回はアルトム森林で狩りをするそうです」


「......そうか」



子供達がいないなら、ちょうど話しやすい。良いタイミングだな。



「アップデに関しては後で見るか......フー、ちょっと来い」


「はい?分かりました」




そうして俺を看ていたフーを連れ、リビングにやってきた。




「あ、ソルさん!おはようございます」


「おはようフーちゃん。さ、座って座って」


「はい?......分かりました」



俺とソルはフーが据わったタイミングで話し出した。



「フー。俺はお前の気持ちについては知っている。フーが俺にどう思い、どうしてあの血が出来たかも、な」


「フーちゃんの気持ちは分かるよ。私もルナ君の事が大好きだからね」


「え?え?......あの、え?」



困惑している様子だな。まぁ、無理もない。急に自分の中の心を知っていると言われて、それが周りにバレたら困惑するよな。



「血......ですか?何のことなのか分からないのですが......」



え?



「いやいや。俺が倒れた時、フーの血を俺が飲んだだろ?」


「いえ!ルナさんは魔毒肉の血を飲んだ後、『少し寝る』と言ってそのままお部屋に戻りましたよ?」


「「え?」」



何だこれは。話が合わない。ツギハギというか、バラバラというか......何かがおかしい。



『ルナ君。もしかしたら改竄されてるんじゃない?カズキさん達が、フーちゃんがルナ君に恋をしないようにした......とかじゃない?』


『......なるほど』



ソルからチャットが飛んできた。そしてその内容は、本当の事なら納得のいくことだった。



「あの、どうしましたか?」


「いや、何でもない。フーは俺の事、どう思ってる?」


「大切な主......ですかね?その強さと優しさは、とても尊敬しています」


「そうか。なら良かったよ。これからもフーに尊敬されるような人間になろう」


「はい!頑張ってくださいね?」


「頑張りまぁぁぁす」


「尊敬メーター、減りましたね」


「嘘嘘。頑張るって。これからもよろしくな?」


「改まりましたねぇ......もちろん、私からもよろしくお願いいたします!」



多分、解決した?恋愛感情がゴッソリ抜け落ちた感じかな?


神度剣の効果は死んでるかもしれないが、それでもドロドロの鬱展開にならないならそれでいい。



「それで、話は変わるが、毒についての話をしていいか?」


「はい、私も気になります!」


「結局良い毒は出来たの?」



まぁまぁ。それについてのお話だ。






「それがな......毒を作るの、諦めようと思う」




「「えぇぇぇ!?!?」」



「正確に言えば、宵斬桜との戦いを終えてから再開する。だから、今日中に作る事を諦める」



「「あぁ......」」



語弊のある言い方をしてすみませんね。毒に関しては、じっくりやらないとダメだと知ったからな。焦って作ろうとしたところで、何も上手くいかないだろう。



「ルナ君が諦めるって、相当の事だよね。何かあったの?」


「あった。主に『血』に関して、ちゃんと研究しないとダメだと言う事がな。これは隠し種族『吸血鬼』にも関する事だ」


「吸血鬼......ですか......関わるなら、面倒な事になりそうですね」


「そうなのか?語り人の吸血鬼しか俺は知らないが、この世界本来の吸血鬼ってどんなやつなんだ?」



カズキさん達にテストと称され、吸血鬼は試したからな。

それも、『血神』を。


その時は目が赤くなり、HPを代償に血の剣、盾、槍や弓など、武器を自身の血で作る『血魔術』を扱えた。


面白いのは、吸血鬼は『血魔法』で、血神は『血魔術』だというところだな。


詳細は教えてくれなかったが、魔術の方が圧倒的に強いというのは、体感で分かった。




「自分の事を上だと思っている、太陽弱者です」



「「うわぁ......」」



今の説明で大体分かったぞ。話してたらストレス溜まりそうな人だと言う事がな。




「まぁ、血に関してはゆっくりやるさ。とりあえず今日さ、宵斬桜との戦闘だ。フー、頼むぞ」



「任せてください。流石に幻獣は斬れないでしょうけど、弾くくらいは出来るので。シリカさんと上手く使ってください」


「言われなくても」



今回は勝つ事が目的じゃないからな。『花びらの回収』がメインミッションだ。サブミッションで『討伐』だ。



「じゃあお話は終わりかな?それじゃあ私、お仕事に行ってくるね!」


「仕事?」


「そう。冒険者のお仕事さ......」



ソルがキメ顔で言ったが、どんな反応をすればいいか分からない。どうしようか。



「頑張れ。ソルちゃんなら出来る。頑張れ」


「適当だね。じゃあ行ってきます!お家にいるならお留守番を、出掛けるなら気を付けてね!じゃあね!」



「「行ってらっしゃい」」



そう言ってソルは、冒険者ギルドへ向かって行った。



「ふわぁぁ......なんか、疲れたなぁ」



毒の研究をしてたと思ったらエラーが起きて、緊急メンテナンスに入って、運営陣に呼ばれて、会社に誘われて、フーの元の気持ちを知って、戻ってきたらそれが消えてて......



「疲れた」



「お休みになりますか?戦闘は夜ですし、それまで休むのも手ですよ?」


「いや、いい......って思ったけど、そうしようかな」



ツインテール、早く終わらないかなぁ。


そう思いながら俺はソファへ移動し、寝転がった。



「もう、ちゃんとベッドで寝ないと、帰ってきたリルさん達にイタズラされますよ?」


「......風邪じゃないのか」


「疫病なんて、その浴衣とステラで何とかなるでしょう?」


「まぁな......癒しの光は...つよつよだから......な」



うつ伏せになって目を閉じると、そのまま意識が落ちていった。






◇数時間後◇






「......重い」


「あ、起きましたね」



お腹に感じる重さに目が覚め、目を開けるとフーの顔が見えた。



「フー、重い」


「私じゃないですよ!!」


「え?」



てっきりフーが重いのかと思ってたが、違ったようだ。ならこの重さは何だ?と思い、お腹の上を見てみた。すると──



「「すぅ......すぅ......」」



リルとメルが、俺の上で寝ていた。重い。



「重い」


「女の子に重いとは、かなり失礼ですよ?ルナさん」


「すまん。リルとメルは重くないわ。可愛いわ」


「暗に私は重いと言ってるの、気付いてますよ?」



フーが顔をぺちぺちと叩いてきたが、全然痛くない。VIT、流石っす。



「冗談だよ。それで、2人が帰ってるって事は、セレナはどこだ?それとアルスも」


「アルスさんは朝から鍛錬の為にニクス山に行きました。それとセレナさんは、シリカさんと一緒に農場で白銀マンゴーを育ててますよ」


「え?アレの発芽ってめちゃくちゃ条件無かったか?」



俺が前に確認した時は確か......『気温0度以下』『土は魔力が多く含まれていること』『水やりは魔力から作った水を、定期的にあげること』みたいな、農業ガチ勢がやるような条件ばかりだったはずだが......



「そうですね。でも、殆どセレナさんがやってますよ」


「アイツ、そんなにあのマンゴーが気に入ったのか」


「昔からそうなんですよ。気に入った事に関しては、根っこから......というか、その存在そのものを好きになるんです」


「1つの物事に没頭できるのは、良い事だな」


「ルナさんにそっくりですよね」


「そうか?......そうか。ソルにも言われたが、周りが見えなくなる事もあるんだろうな、俺とセレナは」



没頭しすぎるんだろう。1を知ると、0から10まで知りたくなり、気付いたら100にまで到達している。


故に、その過程で入る横槍を、全て跳ね除けてしまうからな。


常に前と上を向き、進んでしまうんだ。



「私はお2人の、そういう所が好きなんですけどね」


「そうか......よし、流石にそろそろ起きるか。宵斬桜に備えないと。ほら、起きろリル、メル」



「「すぅ......すぅ......」」



2人の頬をぺちぺちと叩いてみたが、全然起きない。



「フー、メルの鼻を塞いでやれ。一瞬で起きるぞ」


「嫌ですよ。反撃貰いそうですもん」


「よく分かってんじゃん。やってくれよ」


「何でですか!!今言ったじゃないですか!反撃が来ると!」


「おう。だからやってくれ」


「い〜や〜!!」



頑なに拒否するが、お前に拒否権などない!!



「いいぞ。ならフーがやるまで、俺はここから退かないからな。自分で膝枕をした事、よ〜く後悔するといい」


「んなっ!?私の善意を武器にしましたね!?」


「はっ、何とでも言え。俺は武器になる物は何でも使うからな」


「クズだ!人間のクズがここにいる!!」


「おやおや、メイドさんなのにそんな言い方をするのかね?」


「えぇ、言いますよ!何度でも言ってやりましょう、ルナさんが退くまでね!や〜い!人間の屑〜!善意を武器にするヤツめ〜!」


「君、凄い暴言吐いてるからね?自覚ある?」


「あるから言ってんでしょうが!!!」




「「2人ともうるさい!!」」




「「あっ......すみません」」



お腹の上で寝ていた2人に怒鳴られた。


おかしくない?何で俺まで怒鳴られてんの?



「全く父様は......ゆっくり寝れもしないじゃないですか!」


「パパ、ねるならふとんでねて?」



「うん。2人とも、俺に向かって1番言えない事を言ったね」



「「......??」」



「可愛く首を傾げても無駄だぞ?......ほら、起きろ。もう夕方だし、早めにご飯食べて、ニクス山まで行くぞ」



「「は〜い」」



手のかかる子達だな、全く......可愛いな!ちくしょう!



「フー、シリカとセレナを呼んでくれ。俺はアルスをよぶから」


「分かりました。今日のご飯はルナさんが作りますか?」


「あぁ。ソルが出てってるから、久しぶりに俺が作ろう」



「楽しみですね!父様のご飯!」


「はじめてかな、パパがひとりで作るの」


「いつもと変わらんさ。じゃあ、動こうか」




そうしてアルスを念話で呼び出し、シリカとセレナはフーに呼んで貰った。




そしてソルに連絡し、先にご飯を食べる事を伝えてから、皆と食べた。




そして思ったのだ。



このメンツは『ルナ』という、1人のプレイヤーが出せる今の最高の戦力だ。


リル、メル、フー、シリカ、セレナ、アルス。


3人のテイムモンスターと、3人の付喪神。




宵斬桜との戦いでは、最悪、全員を出すことになるかもしれないな。





「......頑張ろう」





サブミッションクリアを胸に、俺はニクス山に飛んだ。

あれれぇ?まだ宵斬桜と戦ってないのに、新月二咲ク幻ノ桜が終わってしまったァ!


/(^o^)\ナンテコッタイ


んふぁぁ!!これは神龍戦の時の様に、『宵斬桜戦』になるのかぁ!?!?



.....おほん。えぇと、次回、宵斬桜と戦います。お楽しみに!

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