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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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新月二咲ク幻ノ桜 拾弐

運営よ

それは少し

強引だ

普通の人は

受け入れないぞ



「簡潔に言おう。ルナ氏がフー氏の血を飲んだ事が、全ての元凶だ」


「血を?」


「あぁ。あれは隠し種族『吸血鬼』に『変化』する方法なんだが、ルナ氏は既に種族変化の限界にきている。それなのに、吸血鬼に変化しようとした事でエラーが出たんだ」


「な、なるほど。出来ない事をやろうとして、エラーを吐き出したと」


「そうだ」



うん。俺いなくても大丈夫だろこれ。運営陣で俺と同じ状態でテストすれば、何の問題もないだろ?



「いや、そうでもない。これはルナ氏の中身......君本人に聞きたい事もあるから、ここに呼んだんだ」


「......リアルについて、ですか?」


「そうだ。これは最後に話すから、とりあえず今は種族についてだ」


「分かりました」



何で俺のリアルについて聞きたいんだろうか。色々とやらかしすぎたか?いやでも、俺の知らないところで俺が起こした事以上の事が起きてるはずだ。


それなのに、どうして俺が呼ばれるのか......分からないな。



「まず、今回は不運が重なった事だというのを、理解して欲しい。1つ目はルナ氏が血に気付いた事。2つ目は誰かの血を飲んだ事。3つ目は......あろう事か、付喪神の、神の血を飲んだ事だ」



見事に真っ赤だな。そりゃエラーのレッドランプも光るわな。



「まず1つ目は、プレイヤーの2割が気付いた事だ。このゲームでの血がどういうものか、知ってみたいと思ったのはな」


「2つ目はモンスターとの戦闘で、たまにある事だ。ただ、それだけでは吸血鬼にはなれない。何故なら、『血を飲むという意思』が無いからな」


「そして3つ目。これが今回のエラーで1番大きな事だとわかっている」


「フーの血......ですか」


「そうだ。本来、神の血というのはアイテムとして存在する。神を殺した時のドロップ品だな」



う〜ん、知ろうともしない情報のネタバレを喰らったぜ。



「すまない。それで、今回のエラーは付喪神『フー氏』だからこそ起きたエラーなんだ。他の神じゃダメだ」


「フーが?どういう事ですか?」



もしエラーの原因だからフーを消すなんて言われたら、俺このゲーム辞めるぞ。



「それはしないから、このゲームを楽しんでくれ。それで何故フー氏じゃないとダメなのか、だが......フー氏の感情に全てある」


「感情?」


「そう。神の血ってのは感情で変化する物なんだ。その神の感情次第では、熱くて苦い、毒の効果を持つ物から、冷たくて美味しい、種族を変える物までな。ルナ氏。ルナ氏はフー氏の血を飲んだ時、どんな味だったか覚えてるか?」



会話の内容がヤバすぎるぜ、カズキさん。



「えっと、鉄のような味でしたね。それこそ、人間の血と同じような味でしたよ?割れた唇から出た血と同じ感じで......」



普通だと思ったが、それが原因なのか?



「あぁ。フー氏の血は、極めて人間に近かった。ルナ氏やソル氏と長く触れ、人間という物を知り、人間になりたい......ルナ氏と共にいたいと、強く思っていた」



そうなんだ。それの何がいけないのかは分からないけど、まぁ、理解したという事にしよう。



「まぁ、味については正直どうでもいいんだがな」


「なら何で聞いたんですか!」


「誰も試してない事だったから、感想を聞いてみたかっただけだ......それで、問題なのは効果の方だ」


「はぁ......一体どんな効果で?」


「ルナ氏を神にする効果」


「ぶふぅ!!!」



意味が分からねぇ!何で俺が神にならなきゃならんのだ!!

そんでもって、何でそんな効果になってんだよ!!!



「言っただろ?『ルナ氏と共にいたい』って」


「でも『人間にもなりたい』とも思ってたんだよね! フーちゃんは!」


「キアラさん......ん?その2つの感情なら、俺を神にする必要はなくないですか?フーが人間になりたいと思ってるなら......」


「そうだな......俺もそう思うんだけどな......ルナ氏、女の子ってのは難しいんだ」


「はい?」



何故そこで女の子の話が出てくる。よく分からんぞ。



「ルナくん。端的に言うとね、フーちゃんはルナくんに恋をしています。一緒にいる時間......それも、降臨した状態で一緒にいる時間が長いせいで、ルナくんの良い所や悪い所を知り、そのままコロッとね」


「はぁ?」



なんでやねん。落ちる意味も落ちる原因も落ちた先も酷すぎるだろ。

俺には陽菜が......ソルがいるから他の人なんて、正直どうでもいいと思ってるぞ?



「そうなの......それが原因なのよ」


「ルナ氏がソル氏と付き合ってること。それも、めちゃくちゃ仲がいいことを知ってるからな」


「だから、自分を人間に近付けるんじゃなくて、ルナくんを自分に近付けようとしたの。まぁ、その......ね?ソルちゃんから、ルナくんを取ろうとしちゃったんだよね。悪い事と知ってても......」



恋って怖いなぁ。そして女の子の行動力って怖いなぁ。

ってかおかしくない?フーの愛って、主従愛じゃないのか?


仕える者が、主を尊敬する......みたいな、そんなんじゃないのか?



「ルナ氏、それは勘違いだぞ」


「そうそう!主従愛は言わば、禁断の恋だよ?」


「はい?」


「メイドが主に恋をするのが、主従愛だ。ちなみにルナ氏がフー氏に贈った刀、あれはギャルゲーで言う『好感度』又は『愛情度』的なやつだ」


「本気の本気、マジ恋心だよ!」


「えぇ......?」



このゲーム、凝りすぎた故にめんどくさいぞ。ただのNPCのステータス上の数値かと思えば、それは『この世界で生きる者の感情』だなんて、超絶めんどくさいぞ。


め〜んめ〜んめんどくさ〜い!


ソルとイチャイチャして永遠にゲームしていた〜い!



「キアラ、スキャン切れ。ルナ氏が壊れてる」


「切らないよ!ルナくんの感情を暴露するんだよ!!」


「いや、流石にプライベートがあるだろ?......はぁ」




今、嫌な予感がした。俺、リルやメルの好感度がカンストしていることを思い出した。

故に......いや、それはない。そんなクソ展開はないし、させない。


フラグは建たせる前に折るのが定番だ。フーは失敗したが、今後、他の人物の時は、小春さんよろしく、全員叩き折っていこう。



「あ〜、あの2人っていうか、フーちゃん以外は大丈夫だよ!フーちゃん以外は落ちてないから!!」


「だな。フー氏以外は、恋心というより家族愛だからな」


「あ、そうなんですね。良かったぁ......で、テストは?」



それが知れたら満足だ。フーにだけ、ちょっと色々OHANASHIが必要だが、他は要らないみたいだ。



「あ〜、それは簡単だ。まずはテストというか、質問だな」


「質問?」


「ルナ氏、吸血鬼になるか?」


「なりません」


「ルナ氏、神になるか?」


「なりません」


「ルナ氏、ウチで働くか?」


「働きません......ん?」



なんか今、変な質問が混じってなかったか?



「そっかぁ。ウチで働かないのかぁ」


「働く?の意味が分からないんですけど」




「単純だ。月見里月斗君。俺達と一緒に、ゲームを作らないか?」


「え?お断りします」



リアルについてはこの事か。ならお断りさせてもらおう。



「理由を聞いても?」


「いいですよ。まず、俺はプレイヤーである事です。ゲームをプレイする事に楽しみを覚えてますが、作る事はしたくないと思ってますので。ゲームの裏を知りすぎて、本来のゲームを楽しめなくなるのを防ぐ為ですね」


「ほう」


「それと、そちらは知ってると思いますが、俺はリアルでは高校生です。将来を考えはすれど、今から働くには厳しいというものがあります。それに、高校卒業したらプロポーズして、大阪に帰......あ!」


「プロポーズするのか!?」


「おぉ!!それは凄いね!!!!」



違う!今、母さんに言われた事を思い出した!!



「大きな問題を抱えて帰ってくるって......この事なのか......」


「およよ?ルナくんのお母さんは、ルナくんがプロポーズする事を知ってたのかな?」


「いや、ルナ氏の顔的に、予想してたか、元々仕組まれてたんじゃないか?それか、大きな問題ってのが、そもそも別の案件という事がある」



多分......仕組まれてたな。母さん、陽菜とグルだったみたいだし。



「なんかアレだね、ソルちゃんと人生を掛けた読み合いのゲームしてるね」


「だな。恋は心理戦とは言うが、ここまで来ると予定調和だな。最初から全て、仕組まれてたんだろう」


「凄いねぇ......同じ女の子として尊敬するよ......」



今日の情報量、多過ぎだろ。もう頭パンクするぞ。




「はぁ......とりあえず、お誘いは有難いですが、お断りさせていただきます」



「保留という形はどうだ?内定みたいなもので」


「どういう事です?」


「月見里君の様々な問題が片付いた後、正式に入社......入社?おいキアラ、ウチは会社か?」


「会社だよ〜!レイジが社長になってくれたからね!ってか何で知らないの?バカなの?死ぬの?」


「おっほん......で、片付いた後に入社ってので、どうかな?」



自分の属している組織が会社かも分からない人の所に入社したいと思う人がいるのかどうか、俺は疑問に思うぞ。



「痛い......胸が痛いぞ......」


「今のはカズキのやらかしだね。で、ルナくん。どうかな?お給料とかお仕事の内容とか、ここで話しちゃおうか?」



なんだろう。陽菜の読み合いのせいで、もう入社が決まった気がするぞ?



「......聞きましょう」


「ありがとう!じゃあね、まず──」




それから仕事の内容や給料の話、出勤についてなどを聞いた。



仕事は、デバッグや宣伝用の映像の制作などに俺を使いたいらしい。ユアストでの隠し要素となる部分を見つけ、自分のモノにしているから、という理由らしい。


給料は......まぁ......高かったっすね。


出勤に関してはVRで出来るとの事だ。だから家から仕事が出来るので、その辺は気楽だと言われた。



「う〜ん......普通に良い気がしてきましたね......」


「別にそこまで大変な事は任せないぞ?制作もかなりゆっくりだし、AIを多用してるからな。大まかな骨組みを作り、肉付けはAIに任せ、最後のチェックに月見里君の出番という感じになる」


「大変なんだよなぁ......」


「カズキは使い物にならないね!人を呼び込む才能が、マイナスに振り切ってるね!」


「嘘......だろ......!?」



まぁ、この人達と働いてみたいっちゃみたいんだよな。

正直お金には困ってないから、経験を積むにはいい機会だからさ。



「では、入社のお話は保留という事で。どちらかと言うと働きたいので、良いお返事が出来ると思います」


「ホント!?やったぁ!じゃあ、その時を楽しみにしてるね!」


「待ってる......それじゃあ最後に、ルナ氏には隠し種族でのテストをしてもらう。それも、フー氏の血を飲んだ時の種族だ」



え?マジで?



「本来は出来ない、『血神(けつじん)』という、『血魔術』が扱える種族だ。今からそのテストをして、お別れとしよう」




そうして俺は、入社のお誘いと、その餌の為に、今では変化出来ない種族のテストをしてログアウトした。


どうやら今回のメンテナンスはアップデートも兼ねているらしく、楽しみにしていて欲しいと言われた。




「──ふぅ、ようやくログアウト出来た」


「月斗君!良かった......起きたんだね!」




そしログアウトしたら、何故か部屋に陽菜がいた。

フーさん.....やっぱり落ちてたんですね.....


そして餌を強引に食べさせられたル...月斗君。果たして彼の運命や如何に!?


なんちゃって。てへぺr


次回で諸々が終わり、遂に奴の出番です。お楽しみに!

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