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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
225/492

新月二咲ク幻ノ桜 拾壱

おやすみと

おはようだけを

繰り返す

その幸せを

分からないのか



「天狗になってたのは俺だったか......」



毒が......出来ない。組み合わせが......分からない。

今までやってきた殆どの事はぶっつけ本番で出来ていたから、俺は何でも出来ると勘違いしていた。



「誰か毒のスペシャリストとかいねぇかなぁ」


「ルナさん、神界に行けばそこそこ居ますよ」


「流石に神界は......はぁ。遊びたいなぁ」



調合室でフーと一緒に毒の研究をしている。主に人を殺す毒を、だ。そして毒肉やら毒液やらを調べていたんだが.....毒、猛毒、劇毒と、種類が多すぎて流石に1人じゃ無理と判断した。



「割とマジで魔毒肉食うか。アイデアが出るかもしれん」


「......どうぞ。あ、そっちの席で食べてくださいね。太陽光が当たるので」


「ほいほい。では......いただきマンモス」



デバフ回復の為に太陽光を浴びながら、魔毒肉を生のまま食べてみた。



「毒った......けど美味しいな。馬刺しみたいだ。フーも食べるか?」


「私を殺したいなら、このお口にぶち込んでもいいですよ?ほら、あ〜ん」


「ならいいや。それと、1個の肉では俺は死なないみたいだな。新たな発見だ」



HPとMPが物凄い勢いで減っていったが、浴衣の効果とブリーシンガメンのお陰で、1つの肉では死なない事が判明した。



「これ、肉汁はどうなんだ?.....どっちかって言ったら血なんだけどさ」


「さぁ?気になるならやってみましょうか。ほらほら、こっちにセットしてください」


「あ〜い」



フーの目の前にある、成分を抽出する道具に魔毒肉をセットし、ハンドルを回して、肉から液体を取り出した。


そして液体を4つのコップに均等に分け、横に並べた。



「飲みますか?」


「いや、4つに分ける。そのまま飲むのと煮沸してから飲むのと、凍らして食べるのと腐らしてから飲む」


「正気の沙汰とは思えませんが、分かりました。煮沸と冷凍はしておくので、腐らせるのと常温はどうぞ」


「ありがとう。『プログレス』」



俺は新作の自然魔法、『プログレス』を使い、1つのコップの中の血を一瞬で腐敗させた。


これは本来、味噌を作る用に作ったのだが......こういう使い方も出来るのだ。



「では生を......うげぇ、ゲロマズ」



不味い上に猛毒と劇毒と魔毒の状態になった。これは地獄だな。


魔毒のせいでMPがゴリゴリと削れ、劇毒の効果でHPも削れていった。



「ふぃ〜じゃあ次、腐敗」



悪臭のする血を飲んでみた。



「......ん?......臭いが美味いぞ、これ」


「本当ですか?......ってこっちに近付けないでください!」


「何でだよ、美味いぞ?」


「臭い物を近付けないでください!」


「ならチーズはどうなんだ!あれも臭いだろ!!」


「あれは美味しいのでノーカンです!」


「この血も美味いんだからノーカンだろ!」


「そんな物誰が飲むんですか!!!」



「......さぁ?俺はもう飲まんぞ」


「不味いんじゃないですか......ばか....」



いや、美味いっちゃ美味いんだよ。そう、例えるなら豆乳の様なイメージだ。砂糖や他の味付けをすれば更に美味しく感じる様な、こう......プレーンな足がするんだ。


ただ、俺はこの1杯で満足だな。



「そういえば、毒は?」


「あ〜、無かったぞ。ただ臭くて美味かった」


「時間経過......ですか。ではシャーベットをどうぞ」


「さんきゅ。 ......やばい!『不死鳥化』」



あ〜シャリシャリしてる〜って思った瞬間、猛毒と劇毒、麻痺劇毒と魔毒の症状が出た。

これは流石に、癒しの光で回復しても死ぬので、不死鳥化を使った。



「グッバイ俺の切り札。頑張れ夜の俺」



現在は朝の8時だ。不死鳥化の残りは約16時間......切れるタイミング的に、戦闘中に切れそうだ。



「そんなに効果が高まりましたか。では煮沸したのをどうぞ」


「サンクス。 ......?」


「どうされました?」


「う〜ん、毒になるっちゃなるんだけど......魔毒が消えてる」


「おや、まさかの毒抜きですか。成程、魔毒は熱に弱いと」


「猛毒は残ったがな。まぁ、もう回復しなくていいか」



これにて血の検証は終了だな。次は『俺の血』だ。



「フー、俺の血飲む?」


「え?.....あ、そういう事ですか。頭狂ったのかと......」


「元々狂ってる。で、飲んでみる?」


「......その権限はソルさんにあげたいですね。なんか、嫌な予感がするので。

逆に、私の血をルナさんが飲んでみますか?」


「そうするか......ってか会話の内容エグすぎない?」


「元々毒物の実験ですので、多分大丈夫ですよ」



そうかな?会話の内容的に、完全に吸血鬼のソレだったけど。


まぁ、とりあえず『生物の血液』が、どれほど人体に有害なのかを検証していこう。まず『魔毒肉の血』は『扱い次第で劇毒に変化』としておこう。



「じゃあコップに入れますね〜」



そう言ってフーは神度剣を取り出し、自身の腕に突き立てて血のポリゴンをコップに入れていった。



「......散らないんだな」


「え?どうされました?」


「いや、何でもない」



ボソッと呟いたが、何故かこのポリゴンは消えない事に疑問が生まれてしまった。


......もしかしたら今までの血も、地面には吸われているだけで残っているのかもしれない。



こういう考察は、怖いけどワクワクする。



「ほれ、『癒しの光』」


「あ、ありがとうございます!」


「うん。じゃあ飲むか......怖いけど」



今更だけど、フーは人じゃないんだよな。この実験で使っても大丈夫なのだろうか。



「まぁいいや。よし!飲みます!」


「複雑な気分ですけど、どうぞ召し上がってください」



俺はゴクッと、1杯のコップに入った血を一気に飲み込んだ。




「うわぁ......血の味がゴブゥ!!」



フーの血を飲み込んで数秒後、味の感想を言おうとしたら、俺自身の血のポリゴンが口から行ってらっしゃいした。



「ルナさん!?」


「......あ......や...ば......」



血を吹いて倒れ、今度は体が動かなくなってきた。



「と、とにかく!ソルさんを呼んできます!ですので耐えてください!!」


「......」



返事も出来ない。


さっきからHPが1になっては回復し、また1に戻るという、面白い挙動をしている。



あぁ、目も見えなくなってきた。足音は聞こえるが、かなり聞き取りづらい。



「......ナ...ん!ね...ナく...ん!!」



小さくソルの声も聞こえる。けれどごめん、体が全く動かないから返事が出来ないんだ。本当にごめんよ。


一旦ログアウトしてもいいが、なんかそれは嫌なんだよな。


自分から始めた事を途中で投げ出すみたいで、気が引けるんだ。だからこの症状がいつまで続くのかは知らんが、できる限り耐えるつもりだ。



「!......!!」



遂に声も聞こえなくなってきた。背中に置かれてる手の感覚も、多分リルやメルも来たのか、3本くらいはあったのに......今はもう、分からない。



おぉ、体が引き摺られて太陽光の当たる位置に持ってこられたが、全然回復しない。寧ろ減る時のスピードが『スーッ』って感じから『ガクンッ!』って、一気に減ってる。


なんでや?我、太陽光で回復するんやで?何で減るスピードが早なってんの?



そして俺は、気絶の状態異常になり、そのままおやすみした。



━━━━━━━━━━━━━━━

『種族変化』を実行します。

Error:実行できませんでした。

打開策:『限界突破』を実行します。

Error:実行できませんでした。

打開策:『種族進化』を実行します。

Error:実行できませんでした。

━━━━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『緊急メンテナンスを開始します』

プレイヤーの皆様を強制ログアウトします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




こんなウィンドウが出てる事も知らずに、俺は目が覚めた。



俺は寝転がったまま目を開くと、果ての見えない草原に寝転がっている事が分かった。



「うぅ......ここは私?何処は誰?」


「ここは開発者用ルームだよ!」


「......?」



キアラさんの声が、どこからともなく聞こえた。



「幻聴かな」


「いやいや。ルナくんの後ろに立ってるんだけどね!」



そう言われて横に転がって仰向けになると、確かにキアラさんが立っていた。



「やぁ!ルナくん。緊急メンテナンスルームへようこそ!」


「何ですか?それは。まるでアニメのラスボスが使う、異空間にある部屋に閉じ込めたみたいな言い方は」


「正にその通りだよ!ここはユアストのゲーム内だけど、あの世界には無い場所だからね!」



マジかよ。キアラさんラスボスだったのか。



「緊急メンテナンスルームって、何ですか?」


「お、気になる?まぁ、気になってもらわないと困っちゃうんだけどさ!それでここはね、言っちゃえば『バグやエラーを治す為に、打開策を練る場所』だね!」



それってさ



「それは開発陣が入る場所であって、俺がいる意味ないじゃないですか」


「......正論パンチ、クリーンヒットしたね」


「まぁ、それでも俺がいるって事は、何かさせられるんですよね?テストとか、垢BANとか」


「テストはするけどアカウント停止はしないよ!!!」


「あ、良かったぁ」



『貴様は知りすぎたようだ......消えてもらおう』って展開ではないみたいだ。良かった。



「それで?一般ピーポーの俺に何をさせるんですか?」


「一般ピーポーじゃあないけどね。それでね、ルナくんには種族の変化について、テストをしてもらおうかと」


「パンピーで無いのも気になりますが、種族の変化ですか?」



パンピーなのは確かだが、種族の変化は分からない。

あ、もしかして俺の今の種族が『人間』だから、色々な種族に『変化』できるとか?


今までは限界突破、及び種族の『変更』だったけど、それが『変化』になる......的な?



「大正解だよ!!凄いね!!」


「あ......もしかして口に出てました?」


「ううん!私の方で頭の中の考えを垂れ流してるの!!」


「イッツ、情報漏洩。あーゆーおk?」


「のーおk」


「......普通に犯罪では?」


「いやいや、利用規約にもあるでしょ?『ゲーム改善の為に思考をスキャンする事がありますが、第三者の手に渡らせない』旨の事をさ!」


「......覚えてねぇっす」



まぁ、それでゲームが良くなるならいいかな。一人のゲーマーとしてそう思う。


ただ、今のところ気になるのは宵斬桜の事だな。それどころの話じゃないのは分かってるが、この為にそこそこ動いてきたんだ。気になってしまう。


もし新月が過ぎてたら、また何日も待たないといけなくってしまうからな。



「あ、それは大丈夫だよ!全員のログアウトを確認したら時間の進行を止めてるから!」


「そうなんすね。ってか言っちゃって良かったんですか?」


「ゲーム改善の協力者に、何の対価も渡さないと思ってるの?」


「そういう見方ですか。分かりました」



はい、逆に言えば『もう情報渡したんだから逃げるなよ?』って事ですね分かりますちくしょう。



「それじゃあ早速テストを始めるよ! カズキ!」


「おっす。こんにちは、ルナ氏」


「あ、どうも。お久しぶりですカズキさん」



そう言えばカズキさんはモーション担当なんだっけ?知らんけど。




「ちゃっちゃと進めるぞ。まずルナ氏、君に何があったのかを話そうか。それが今回のメンテナンスの原因だからな」



何があったか......か。めちゃくちゃ知りたいな。




「お願いします」

お〜まいが〜、緊急メンテ入っちゃった.....


何があったのか、それは次回に分かるかと。( 'ω')


さぁ、新月二咲ク幻ノ桜の、真の始まりはもうすぐです。あと少し、お付き合いくださいませ。



では、次回も楽しんでいただけると嬉しいです!


★誤字報告、いつもありがとうございます!★

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