新月二咲ク幻ノ桜 拾
良き仲間
出会いが全て
特異なり
一期一会と
言ったものよな
「ふ〜ん、神がモンスターに、ねぇ......美味い話だな」
『美味い......で御座いますか?』
「あぁ。俺達語り人からすれば、それは神をテイム出来る事と同義だろ?なら、魔落ちというのは美味い話としか取れんよ」
現在、モスベリーのお茶を飲みながら情報交換をしている。
ついでに白銀マンゴーもカットして、小さなお茶会となっている。
「美味しいわね、この果物。気に入ったわ!」
「そうか。で?結局魔落ちってのは、強い恨みの意思で、憎悪に狂った結果、モンスターになると言う事でいいんだな」
「いいよ!」
「合ってるわね」
『その通りで御座います。我がヴリトラと争ったのが、全ての原因であります』
そう、インドラはなんと、あのヴリトラと争っていたらしいのだ。
何千、何万年と前から強さを競い、賢さを競い、様々な物事において競い合った、言わばライバルなのだ。
だけど、ヴリトラはインドラから離れ、下界に降りたとの事。そしてそれを良く思わなかったインドラが、ヴリトラに対して強く恨み、気付けば雷の虎となって下界に『落ちた』らしい。
そして自分の身に何が起きたのかを察したインドラは、自分が何をしてきたのか。何があって地に落ちたのかを反省し、このダンジョンの奥で隠居していたらしい。
そこにたまたま、俺達がやってきてしまった訳だ。
「ってかさ、インドラ。これまで色んな奴が来なかったのか?このダンジョン、王都でも知ってる人は多かったんだぞ?」
『さて......私の知る限りでは、この地に他の者が来た事はありません。ですが、思い付く原因を挙げると......』
「挙げると?」
『上の蜥蜴達に全て屠られているか、或いは我の雷で息絶えたのでしょう』
「うん。圧倒的後者だろうね」
レベルの高い真白さん達でさえ、近付いただけで完全に痺れていたからな。確実にコイツの仕業だろう。
「ねぇお兄さん。インドラに名前は付けないの?」
「名前?......そうか、名前がいるよな。流石にインドラのままじゃ嫌......だよな?」
『はい。恨みに狂った神など、もう死んでおります故』
メルみたいな事を言うな、この男。真っ直ぐというか、バカというか......まぁ、愛されるバカだろうな。
「じゃあお前は『アルス』だ。由来は......何かカッコイイから。宜しくな」
『はっ!このアルス、命の限り、ルナ様にお仕えします』
アルスがそう言うと光に包まれ、再び目を開けるとアルスの姿が変わっていた。
「白い......虎?」
「どっちかって言うと銀だよね」
「銀ね。白銀ね。きっとルナに寄せたんでしょう?」
『はい。仰る通りで御座います。主に仕える為、主に姿を近付けた次第です』
悲しい事に俺、『仕えて欲しい』とは言ってないんだよな。
完全にアルスの思い込みというか、勘違い?なのかな。
まぁ、なんか面白そうだし放置でいいや。
「じゃあリザルト見て帰るか。早く毒作らねぇと、宵斬桜にも今後にも響きそうだ」
「あ、そうだ。リルちゃん達ブチ切れてたよ?『何で帰って来れないんですか!もう!!』って」
「......帰りたくないな」
「まぁ、狐ちゃんも説得してたし、今は落ち着いてるよ。ただ、帰ったら謝った方がいいよ?」
「元よりそのつもりだ。一人で行って一人で帰れば、こんな事にはならなかったのにな」
反省です。これからはソロを貫こう......そう思いながら、俺はリザルト画面を出した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『D・ワイバーンモドキ』×298討伐しました。
『D・バジリスクモドキ』×311討伐しました。
『虹色蜥蜴』×5討伐しました。
『ララ・バジリスク』を討伐しました。
『インドラ』を倒しました。
『魔毒肉』×511入手しました。
『バジリスクモドキの激毒液』×210入手しました。
『岩石の蛇革』×20入手しました。
『高純度ルビー』×15入手しました。
『高純度サファイア』×15入手しました。
『高純度エメラルド』×15入手しました。
レベルが201上がりました。
『龍神魔法』スキルレベルが58上がりました。
『テイム』スキルレベルが1上がりました。
称号【神を従えし者】を獲得しました。
『神獣を従えし者』は【神を従えし者】に統合されます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「チートじゃん......『最弱無敗』君......」
どうも。初期の頃からの付き合いのあるベストフレンドが経験値を1,540パーセントも上げたせいで、見たことも無いレベルの上がり方をしたルナ君です。
「ってか龍神魔法、全然レベル上がらねぇな......」
「まぁ、魔級の魔法だしね。逆に今80レベルを超えているお兄さんの方がおかしいんだよ?本当は人間の寿命じゃあ、絶対に100は無理だからね」
「やっぱ最高だな!最弱無敗君!!」
これで龍神魔法を使う時の『溜め』の時間が大幅にへり、威力も上がった。それに、古代魔法の為にMPが必要だし、最弱無敗君にはこれからもお世話になろう!
「ってか称号、何気に最終段階まで来たけど前回のやつチェックしてねぇじゃん。どんな効果なんだ?」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『神獣を従えし者』
・テイムしたモンスターの全ステータスが2倍。
・モンスターに与えるダメージが1.3倍。
・モンスターから受けるダメージが15%減る。
・幻獣に対して与えるダメージが1.3倍。
・幻獣から受けるダメージが15%減る。
・『幻獣を従えし者』を統合する。
神の領域に至った幻獣をテイムする事で獲得。
【神を従えし者】
・テイムしたモンスターの全ステータスが2倍。
・モンスターに与えるダメージが1.5倍。
・モンスターから受けるダメージが20%減る。
・幻獣に対して与えるダメージが1.5倍。
・幻獣から受けるダメージが20%減る。
・『神獣を従えし者』を統合する。
・『テイマー』の最終形態称号。
魔落ちした神をテイムする事で獲得。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「圧倒的『塵も積もれば山となる』だな。たかが1.5倍、たかが2割減と舐めていたら、いつかその恩恵の重要性に気付き、自分に絶望するんだろうな......」
「「何言ってるの?」」
『主?』
「気にすんな。独り言だ......よし、そろそろ帰るぞ」
時間的に、もう日が暮れる頃合だ。早く帰らないと晩御飯に間に合わなくなってしまう。
「じゃ、皆戻ってくれ。引き返すのに時『グルァァァ!!!』間が......」
背後に真っ白な鱗に、所々金色の鱗が混じったドラゴンが現れた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ライトニングドラゴンLv180』との戦闘を開始します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ガァァァァ!!!』
ドラゴンが、自身の口の前に雷の球体を作り始めた。
「黙れ。『不死鳥化』『アクアスフィア』『戦神』『ライトニングブレス』」
いつものHP1の超火力コンボに、今回はドラゴンと同じ、ライトニングブレスで抵抗した。
そして俺のライトニングとドラゴンのライトニングブレスがぶつかり合うが、こちらの方が火力が高いので、そのままブレ押し返し、ドラゴンがポリゴンとなって散った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ライトニングドラゴンLv180』を討伐しました。
『雷龍核』を入手しました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ボスを倒した事により、宝箱と魔法陣が出現した。
「箱開けて帰るぞ。お前ら早く戻れ」
「「う、うん......」」
『主......先程より倍以上強くなっておられませんか?』
「先程より倍以上のレベルに上がったんでな。ほら、アルスも戻れ」
『は、はい!』
シリカが太刀に、セレナが弓になり、アルスが俺の中に光となって入ったのを確認してから宝箱を開けた。
「はい、ごまだれ〜」
宝箱の中には槍が1本入っていた。青色に輝く、美しい槍だ。
実戦用と言うより、美術品のようなイメージを受けた。
「何ぞ?これは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『海神槍:エリュシオン』
Rare:──
製作者:──
攻撃力:3,300(刺突時)1,500(斬撃時)
耐久値:310,000/310,000
付与効果:【形状変化:槍】『魔槍術補正:大』
【穿】『槍術補正:中』『魔纏』
【海神の加護】【顕現】
◇-----------------------------------------◇
【穿】
・物質、空間、魔力を穿つ攻撃になる(任意発動)
・全てを穿てる訳ではない為注意が必要。
【海神の加護】
・水中で装備した時、全ステータス1.5倍。
・【顕現】効果を付与する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「神器出た。ラッキー」
『『『いや、ラッキーどころじゃない......』』』
「いいんだよ。ただのおまけだ、これは。それに使わないならソルにあげたり、誰か他の語り人に売ればいいしな。まぁ、多分俺が使うから大丈夫だとは思うけど」
お兄さん、ユアストで初めて槍をゲットしたぞ。
だから『槍術』無いので、今エリュシオンを使おうとすると、とても面白い事になるんだよな!
大丈夫......ちゃんとランザに教えてもらいますよ、えぇ。
そうして魔法陣に乗ると、ダンジョンの入口である、滝の裏まで転移した。
「おぉ、渓谷だからもう太陽が見えん。ちゃちゃっと帰らんとな」
こうして目的のアイテムである、『魔毒肉』が大量に取れたので、俺はルンルン気分で城に帰った。
「ただいま〜、遅くなってごめん」
「おかえりなさい!父様!」
「おかえり、パパ。たのしかった?」
玄関を開けると、浴衣姿のリルとメルが出迎えてくれた。
リルは猛ダッシュで抱きついて来たが、メルは大人しく横に着いてきた。
「そこそこ、かな。一人で行けば良かったという後悔と、あそこでカラーズと関わらなかったら得られない物があったから、少し複雑だな」
「そうなの?......まぁ、パパがぶじで良かった」
「ありがとう、メル」
無事を祈ってくれていたメルの頭を撫でた。優しい子になったな、メルは。
「わ、私も心配しましたよ!?」
「はいはい。リルもありがとうな。それと2人ともごめん」
「お出かけの事なら母様から全て聞きましたし、明日の戦いの後に行くんですよね?」
「あぁ。それでも今日の予定を遅れさせたからな。本当にすまない」
「「気にしないで」ください!」
優しい。2人の優しさが心に染みる。これからは気を付けないとな。何かあっても、直ぐに帰れるようにしよう。
「そうそう、今日は新しい仲間が2人も増えたんだぞ」
「新しい仲間、ですか?」
「かみ?」
「そうだ。リビングで紹介するよ。片方は中々ビックリすると思うからな。心の準備はしとけよ?」
「「は〜い」」
そうして3人でリビングに入ると、ソルとフーが料理をしていた。フーが料理をするなんて、かなり珍しいと思ったが......何か嫌な予感がする。
「ただいま、ソル、フー」
「おかえりルナ君!晩御飯そろそろ出来るからね!」
「死ぬ覚悟をして座っていてくださいね!!」
「......良かろう。とりあえずシリカ、戻りなさいな」
「はいは〜い!狐ちゃん、手伝おっか〜?」
「おかえりシリカちゃん。それとお手伝いは大丈夫だよ!」
「分かった!じゃあお兄さんと待っとく〜!」
そうして俺は椅子に座り、思考に耽る。
多分、フーが出すのは毒物だ。それもあの、アニメであるような『ダークマター』である事は確実だろう。
これは罰だ。俺が約束を破り、皆で浴衣を着てお出かけが出来なかったことによる罰だ。甘んじて受け入れなければならない。
どうしてそこまで出掛けたかったのか、どうしてそこまでの恨みがあるのかは理解できないが、俺が反故したのが全ての原因だ。
今のリビングは太陽光が入らないので、もし劇毒だったりすれば『癒しの光:常駐』が発動しなくて、そのままポックリ逝ってしまうだろう。
そして忘れてはいけないのが『デスペナルティ』だ。
今のレベルは合計543。つまりデスペナルティは約18時間ほど喰らってしまう。そうなると俺は、毒物の開発に充てる時間が殆ど無くなる。
故に俺は、例え毒物を胃にぶち込もうと、死ぬ訳にはいかないのだ。
不死鳥化を解除している今、俺に残された回復方法はブリーシンガメンと聖属性魔法だ。
俺は行動詠唱に『クリア』を設定し、時が満ちるのを待った。
「主......物凄い集中力ですね」
「でしょ〜?ルナ君ってば、1つの物事に集中すると、凄く深く入っちゃうんだよね〜!もう、そういう所も大好き!」
「ソル様は主を愛しているのですね」
「そうなの!好きで好きで堪らないの!!」
「主は幸せ者ですね......にしても、全然帰って来ないですね。大丈夫でしょうか?」
「う〜ん......こういう時はね......ふふっ」
ちゅ
「うひゃい!!!!......え?ソル??」
死を回避する方法を考えていたら、ソルに思いっ切りキスされてしまった。ビックリしたぜぇ......
「お目覚めですかな?白雪王子」
「寝てない。っていうか何でアルスは出てんの?ってかお前、アルスだよね?」
気付いたらアルスが人型になり、俺の斜め前の席に座っていた。
「はい。我はアルスです。ちゃんと主に一声......いえ、二声三声かけてから、こちらの姿で出てきましたよ」
金髪金眼にバシッと決まったショートヘアの男の姿なんだな、アルスは。意外とモテそうな感じだな。清潔感もあるし、背筋も伸びていて、とても男らしい。
ただ一つ、気になる点がある。
「なんでお前、執事服なんだ?」
「主に仕える為です」
即答されてしまった。アルス君、真っ直ぐすぎるぜ。
「ならセレナは?セレナはどこだ?」
「あちらのソファでお嬢様と遊んでいますよ」
アルスが手を向けた方を見ると、ソファにセレナが座り、セレナの膝の上にメルが座り、魔導書を読んでいた。
「......順応早くね?」
「早いですね。流石セレナ様、と言ったところでしょう」
アルス......人を立てるのが上手いな。
「ん?リルはどこだ?見当たらないのだが......」
「ここですよ?父様。私はずっとここにいましたよ?」
膝の上にリルが乗っていた。全く気付かなかったでござる。
「はぁ......VITが上がりすぎたからかな......落とそうかな」
多分、VITとSTRが高くなりすぎたせいで、リルが乗っている事に気付かなかったんだろうな。
そろそろマジで『半呪の腕輪』の出番かもしれない。
「さぁ、晩御飯が出来たよ!皆座って〜!」
「ふふ......ルナさん、お覚悟......ふふふっ」
ヤバい。フーが恐ろしい顔で何かを持って来ている。
「アルス。俺を助けろ」
「申し訳ございません......我にフー様を止める事は、敵いません......!!」
「さぁ、ルナさん。覚悟を決めてこれを食べてくださいね?フーちゃん特製ですよ〜?」
「ヒィ!!!」
俺の前に何かを置き、首を90度近く傾けて言ってきた。
怖すぎない?ホラーなんだけど。
そう思いながらフーの持って来た料理を見ると......
「え?味噌汁?」
「はい!頑張って発酵させて、お味噌を作ったので、ソルさんに教えて貰いながら作ってみました!!」
......全然、毒物なんかじゃなかった。
「ありがとう、フー」
「ふふふっ、どういたしまして、ですね!」
そうして、8人で晩御飯を食べた。
そして寝る前──
「......人、増えたなぁ」
「大家族だね!」
「3人は使用人、1人は謎だけどな」
「いいのいいの。ルナ君と楽しく居られたら、それでいいの〜!」
「......だな」
「じゃあ、おやすみルナ君」
「あぁ。おやすみソル」
そうして『神月穿樹:宵斬桜』の出現する、新月の日を迎えた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
名前:ルナ
レベル:142→343
所持金:845,590L→845,290L
種族:人間
職業:『ヴェルテクスギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Cランク冒険者(94/200)
Pギルド:『ヴェルテクス』
所持因子:『稲荷』他6柱
HP:7,060→ 17,110
MP:7,060→ 17,110
STR:7,060→ 17,110
INT:7,060→ 17,110
VIT:7,060→ 17,110
DEX:7,060→ 17,110
AGI:7,060→ 17,110
LUC:3,525→8,550
CRT:100(上限値)
SP:1,540
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100
『魔剣術』Lv100
『王弓』Lv100
『魔弓術』Lv100
『武闘術』Lv100
『魔闘術』Lv100
『刀王』Lv100
『魔刀術』Lv100
『操王』Lv100
『魔糸術』Lv100
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
『戦神』Lv100
魔法
『火属性魔法』Lv100
『海魔法』Lv30
『風属性魔法』Lv100
『土属性魔法』Lv100
『雷属性魔法』Lv100
『氷属性魔法』Lv100
『聖属性魔法』Lv100
『闇属性魔法』Lv58
『自然魔法』Lv100
『龍神魔法』Lv23→81
『古代魔法』Lv1
『音魔法』Lv100
『妖術』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv100
『神匠:金細工』Lv100
『裁縫』Lv99
『調薬』Lv82
『神匠:付与』Lv100
『木工』Lv1
『料理』Lv83
『神匠:錬金術』Lv61
その他
『テイム』Lv3→4
『不死鳥化』Lv100
『マナ効率化』Lv0
『植物鑑定』Lv0
『毒物鑑定』Lv0
『動物鑑定』Lv0
━━━━━━━━━━━━━━━
ルナ君、遂に全ステ5桁になる(*`н´*)
そして神器を一般的な入手法でゲットしましたね!
これが本来の、神器の入手法なのです。ダンジョンに潜り、ボスを倒し、宝箱から稀に出る.....これが理想だったんです。
では次回も楽しんでいただけると嬉しいです!
それと更新頻度が落ちるかもしれないかもしれないかもです。(1日1〜2本更新)