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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
223/492

新月二咲ク幻ノ桜 玖

魔に落ちた

雷神なれど

獣よの

月の色達

屠りに参る




アンバー渓谷のダンジョン、地下20階層に入ると、そこは巨大な空間だった。


ここまで洞窟だったのに、ここは部屋となっている為、多分ボスエリアなのだろう。



『グルゥ......』



階段を降りた先100メートル程の位置に、フェンリルと同じくらいの大きさの、雷を纏った虎が丸まって寝ていた。


あれがヴリトラ以上の強さを誇る敵だというのを、忘れそうなくらい可愛い寝顔だ。



「......虎?......ボスか」


「まさかのボスっすか。やるしかないっすね!」



真白さんと茜さんが闘志に燃えている。



「......セレナ」


『ルミ、手加減はもうやめて。アイツはルミでも苦戦するよ。アレと戦うなら、私を使うのはオススメ出来ない事を最初に言っておくね』



やっぱりか。あの虎のHP、幾つあるんだろうな。



「はぁ......シリカ」


『どしたの〜?』


「シリカの出番だよ。セレナは背中に置いておく」



装備する事で得られるステータスアップを全開で使いたからな。意地でもセレナを装備するぞ。



『おにぇさん、アレを殺るの?』



混じってる混じってる。でも、アレを殺るのは確かだ。



「うん。太刀になってもらっていいかな?刀じゃ厳しいからさ。それと、今回は魔刀術の制御は一切しなくていいよ」


『任せな!ふっ......シリカの前に、アイツは散る......』



何キャラだ?それは。



そうしてクトネシリカが真っ赤な太刀に変化したのを確認し、俺はカラーズの最後尾に来た。



「あれ?ルミさんは前で戦わないの?」


「はい。ちょっと怖いので、皆さんに先に攻撃してもらおうかと。それと今回、弓ではなく魔法で援護させていただきます」


「おぉ!遂に魔法が見れるんだよ!分かった、私と一緒に皆を援護するんだよ!」


「宜しくお願いします」



前衛は真白さん、蒼さん、茜さんが。後衛は俺と翠さんが。

これで前衛組の誰か1人でも欠けたら、俺が前に出よう。



「......じゃ、行ってくる」


「後ろ、任せたっす!『魔刀術:雷纏』っす!」


「お願いします!『魔糸術:停糸(ていし)』」



「気を付けて」



前衛組が突っ込んで行った。これで虎の動きが──



バチィ!!!



「「「ッ!?」」」



『グルゥ?......グルゥ!!』



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『インドラLv280』との戦闘を開始します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



すげぇ。近付いた真白さんと茜さん、それと虎に糸を付けた蒼さんが思いっきり麻痺している。流石雷神だ。



『ガァァ!!!』



「助けるんだよ!!『エリアクリア』」


『ガッ!』


「『マグナ』」



パチッ!



『ガルッ!?』



翠さんが3人のデバフを治した瞬間、インドラが雷を飛ばそうとしたのでマグナに吸わせた。



「真白さん!今です!!」


「うん。『白剣(びゃっけん)』......『斬』」



『ガルゥ!ガァァァァ!!!』



なんだアレ。真白さんが持ってる双剣が合体して、1本の長剣に変化したぞ。



「......蒼」


「はい!『クローズアイ』『アクアランス』『魔槍術:雷柱(らいちゅう)』」


「ナイスっす!『魔刀術:炎纏』......『炎舞(えんぶ)』」


「バフ掛けるんだよ!『ストレングスエンハンス』『インテリジェンスエンハンス』『アジリティエンハンス』だよ!」



おぉ、この4人の連携めちゃくちゃ良いな!!

俺もやってみたいけど相手が......ニヒルくらいしかいねぇ。


それにアイツらならバフやデバフのサポートが無く、全員アタッカーとかいう、超脳筋パーティになるか。



『おにぇさん、感心してる暇あるの?』


『ないわよ。ルミ、余裕ぶっこいてるから死ぬかもね』


「そんな事ないよ。見てて?『サンダーブレス』『ライトニングブレス』」



俺は両手の手のひらを向かい合わせ、左手からサンダーブレスを、右手からライトニングブレスを出し、2つをぶつけている。



『『......?』』


「私、雷神だからさ。こんな事も出来るの」



バチバチバチバチ!!!!



2つの雷をぶつけ、制御し、2本の雷の線を作った。



「これに......アクセサリー用の鉄球を出して、と」



雷を左手の上に移し、右手で鉄球を取りだした。



「飛んでけ。レールガンだ」




鉄球を、雷で作ったレールガンに乗せた瞬間──




ポロッ......



━━━━━━━━━━━━━━━

この攻撃方法は使用できません。

━━━━━━━━━━━━━━━



『『ぷふっ......』』


「............」



鉄球が俺の足元に転がってきた。



バチ!バチバチ!......パァン!!



八つ当たりとしてレールガン(笑)から超強力な雷を取り出し、鉄球に纏わたら鉄球が破裂した。



「............皆、離れて」



「「「え?」」」



「早く離れろ!」



「「「はい!!!」」」



『ガル?......ガルゥ!!!』



インドラが雷を俺に飛ばしてきたが、左手のバチバチ君に吸われて行った。



「インドラ。私は今、物凄く悲しい気持ちなんだ。だから八つ当たりだよ。飛べ、雷霆(らいてい)



今決めた名前だ。俺、これからこの2つの雷を合わせた雷を雷霆と呼ぶことにする。気が向いたら専用の魔法として作ろうか。



バチバチ......パァン!!!



雷霆を槍の形に変形させ、使用者である俺でさえも認識できない速度で飛ばした。



『ガフゥゥ......ガラァァ!!!!』



俺ではなく、真白さん達を狙ったインドラの腹部に雷霆が刺さり、インドラはエリアの端までぶっ飛んで行った。



『ガァ!』



だがインドラは猛烈なスピードで戻りながら、俺を体当たりで突き飛ばし、俺は壁に激突した。



「んっ!」


━━━━━━━━━━━━━━━

『守護者の加護』が発動しました。

『最弱無敗』が発動しました。

『死を恐れぬ者』が発動しました。

━━━━━━━━━━━━━━━



俺よりレベルが低い癖に、俺を一撃で殺すパワーを持っている......流石モンスターだ。インドラ君、君は一体、どれだけのSTRを持ってるのかな?



「ルミさん!!大丈夫!?」


「よゆ〜......です」


「いや、明らかに死にかけなんだよ!?......って、何その回復速度!」


「......お守りの効果ですよ。それよりインドラを」


「う、うん!」



『おにぇさん、不死鳥にならなくていいの?』


「いい。ここでバレるくらいなら、俺は死んで家に帰る」


『ルミ?それは思い切りすぎじゃない?』


「いや?寧ろ都合がいい。晩御飯までに帰れるし」


『うわぁ......おにぇさんならやりかねない理由だね』



ソルの料理を食べれるなら、死んでも俺は家に帰りたい。

というか早く帰りたい。いや......帰りたくないかも。


リル達に怒られるのは確定しているし、ちょっと帰りずらい。



「しょうがない。皆にバレないように戦うしかない」



俺はクトネシリカから手を離し、ウィンドウの高速操作で行動詠唱を切り替え、地面の下に大量の蔦ちゃんを準備させた。



『ルミ!?何それ!!私知らないよ!!!』


「ルミちゃん☆テクニック。努力の賜物だよ」



さて、ここで刀を使うか魔法を使うか、結構な賭けだ。




『ガオォォォォォン!!!!!』



インドラが真白さん達と戦っていたら、急に遠吠えのような行動をしてきた。



「嫌な......予感」


「翠ちゃん。盾貼れるっすか?」


「盾は無いんだよ!......ってかどうするの!?」


「不味いですね。水餃子のダイ○ンのような感じですね」


「それ......誰にも伝わらない」



カラーズがインドラに備えているが、今も尚インドラは咆哮を続けている。



『う〜ん、あの子達はアレで死ぬね』


『耐えれるの、おにぇさんだけだろうね』


「何が来るか分かるの?」


『『まぁ......元神だし』』



『ガオォォォォォォォォォン!!!!!!!』



インドラが吠える度に部屋の部屋の中に雷が落ち、凄まじい轟音に体が包まれる。



『『来るよ!!』』


「間に合うかな?『戦神』『マグナ』」



何が来るのか知らないけれど、避雷針で何とかなるならと思い、俺はカラーズから少し離れた場所に強力なマグナを設置した。



『ガァ』



体から雷が弾け飛んでいるインドラが小さく鳴くと、カラーズは全滅した。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

パーティメンバー『真白』が死亡しました。

パーティメンバー『蒼』が死亡しました。

パーティメンバー『茜』が死亡しました。

パーティメンバー『翠』が死亡しました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



何が起きてカラーズは死んだんだ?っていうか──



「......俺だけノーダメなんだけど」



『それはそうだろう。貴様は雷神故、我の(いかずち)は効かぬからな』


「シャベッタァァァァァァ!!!!!!!!」



虎が流暢に喋りだした!!怖い!!!何なのこいつ!李○子なのか!?



『?......我も雷神なのだぞ?喋りもする』


「またシャベッタァァァァァァァァァ!!!!!!!」


『......貴様、見た目の割に、存外煩いのだな』


「いや、ネタだ。ちゃんと2回目も再現してるんだぞ?」


『知らぬ』



こいつにあの伝説のCMのネタは伝わらないみたいだ。



『まさか喋るとはね......もしかして魔落ちしたのかな』


『あ〜、確かに。インドラ君ならやりかねないね』


「魔落ち?なんぞそれ」



この虎に関わる事なら少し知りたい。カラーズが死んだ今、ようやく俺も喋れるってもんだしな。



『貴様、我を知っておるのか?』


「いや?ウチの付喪神がお前の事を知ってるみたいだぞ。シリカ、セレナ。出るか?」



小夜さんの時みたいに、意外と知り合いなのかもしれないしね。また話したいというのなら、俺は機会を作ってあげたい。



「やった〜!ありがと、お兄さん!」


「久しぶりね。インドラ」


『その方達が......付喪神......だと?』



なんかインドラが『伏せ』のポーズをとったんだけど。何これ?



「なんでお前伏せてんの?猫気分か?」


『馬鹿者!アレス様とアルテミス様の前だぞ!貴様も伏せんか!!』



インドラに聞いたら怒られちゃった。何で?何で俺が伏せなきゃならんの?



「あらあら。インドラは私の可愛いルナに伏せさせようとしてるのかしら?私から近づいた子なのに......そう思われるなんて悲しいわね」


「う〜ん、もしお兄さんと戦闘になったら負けるのはコッチだからね。寧ろ伏せるべきは私たち?」



『は?......な、何を仰っているのですか?』



「だって私達、ルナの付喪神よ?主なのよ?彼は」


「そ〜そ〜!」


「ども。みんなが宿る神器を作った、お兄さんです」



声は女の子だけど。



『......ほ、本当ですか?本当にそのおん......男?』


「ボイチェン解除.....おほん。今は訳あって女装してるが、男だ。ちゃんと恋人もいるぞ。可愛い狐の子がな」


『......狐は貴方では?女に化かしてますし......』


「ははっ!上手いなお前!シリカ、こいつ頭良くね?」



まさか狐で返されるとは思ってなかった。インドラ......テイム出来ないのかな。結構気に入ったぞ。



「まぁ、元はこの子も神だからね!歳だけはとってるよ!」


「なるほどな。勉強したんじゃなく、長年かけて積もった知識か。いいな......持って帰りたい」


「ねぇルナ。この子テイムする気なの?」



いぇす!ウチの番犬......もとい番虎とペットになってもらいたい!



「あっ、でもボス判定だからテイム出来ないんだっけ......仕方ない、殺すか」



思い出したぞ。幻獣はテイム出来ても、ボスはテイム出来ない事を。

しょうがない。心苦しいがインドラはここで滅んでもらおう。その方が、キッパリと割り切る事が出来るからな。



『ま、待て!待ってくれ!待ってくださいお願いします!』


「辞めてくれ。命乞いされると心に刺さる」


『ち、違います!そう、テイム!テイム出来ますから!我はテイムが出来ますから!お願いします!殺さないでください!!』


「え?......でもお前、ここのボスだろ?」


『違います!本来のここの主はライトニングドラゴンです!それを我が、出現する度に食料にしているのでここに居ないだけです!』



ん?という事は、インドラは完全に外部のモンスターという事か?そんなやつが、このダンジョンを半ば乗っ取っていたと?



「うん。インドラがダンジョンの主って事は無いと思ってたよ。お兄さん、どうする?」


「魔落ちしてすぐにダンジョン主になるのは難しいものね。ルナ、どうするの?」


「え、え〜と......」


『お願いします!殺さないで!寧ろテイムしてください!』



何か一気に悲しくなってきた。


タダの雷の虎かと思えば元神で、魔落ちとかいう訳の分からない事で下界に来ていて、そいつがダンジョンのボスを食っていたから擬似的にダンジョンボスなっていて......意味が分からない。



「テイムしたらさ、魔落ちとは何なのか、魔落ちした理由は何なのかとか、全部聞かせてくれるか?......あとシリカ達を見てビビった事も」


『勿論で御座います!!全てをお話しします!!!!』



あ〜あ。こんなのに殺られたカラーズがマジで可哀想だ。

ごめんね。真白さん、蒼さん、茜さん、翠さん。

騙した上にデスペナと屈辱的な思いまでさせて、マジでごめん。



「はい。『テイム』」



━━━━━━━━━━━━━━━━━

『インドラLv280』をテイムしました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━



『おぉ、これから宜しくお願いします!我が主!』


「その呼び方は辞めろ。長いし恥ずかしいわ!」


『では、(あるじ)と呼ばせて頂きます』


「それを辞めて欲しいんだけど......もういいや」



色々とごちゃごちゃになってきた。一旦、ちゃんとした休憩を取るか。



「はぁ。取り敢えず休憩にしよう。情報の整理をしてから帰るぞ」


「は〜い!」


「分かったわ!」


『承知しました!』




そうして、情報交換会が行われた。

『おにぇさん』がお気に入りです。



次回も.....おた.......の...し.....み.........に...........(ガクッ)

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