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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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新月二咲ク幻ノ桜 陸

色を知り

一人を連れて

稲妻へ

着いた雪山

新たな果実




「紹介するよ!こっちの白い髪の子が『真白(ましろ)』だよ!

それで、青い髪の子が『(あお)』、最後に赤い髪の子が『(あかね)』だよ!」


「「どうも〜」」


「よろしくっす!ルミさん!」



「よ、よろしくお願いします」



どうしてこうなった。俺は翠さんに着いて行ったはずだ。それがどうして、茜さん達のパーティに入っているんだ?



「ルミさんは見ての通り、弓使いなんだって!3人とも、頼んだよ!」


「うん。......ルミさん。私は真白。剣と魔法、弓も使う」


「はい、よろしくお願いします。ルミです。弓だけ使います」


「あれ?......刀は?」


「対人戦、若しくは人型の敵の時だけしか使えません」



適当に設定を追加しちゃったけど、多分大丈夫だろ。

インフィル草原のダンジョンと同じような感じなら、基本的にノーダメージでボスまで行けるだろうからな。



「そうなのね。じゃあ、魔法は使えないの?」


「雷属性メインで使いますよ」


「そう。なるほど......遠距離タイプか」



そうなんです。ルミちゃんは遠距離からペチペチ攻撃する子なんです。

か弱い女の子なので、守ってくださいね?



「ルミさん!私は蒼です。一応、『カラーズ』のサブマスターをしています!」


「カラーズ?」


「はい。私達のギルドの事です。私達、皆名前に色が入っているので『カラーズ』という名前に。ちなみにギルドマスターは真白です」


「ども」


「あ、はい。よろしくお願いします」



どうも、『ヴェルテクス』ギルドマスターのルナ君です。

ギルドメンバーは2人ですが、2人の合計レベルが450を超えてます。



「はいはい!私は茜っす!大会の刀術部門で2位だったっす!」


「大会なんてあるんですね。しかも2位だなんて、凄いじゃないですか!よろしくお願いしますね、茜さん!」


「はい!よろしくっす!」



あの時は刀を斬ってごめんよ?まさかあんなに綺麗に斬れるとは、思ってなかったんだ。



「じゃあ最後に、私は翠だよ!回復とかバフとか、あと魔法で援護するんだよ!」


「おぉ、それは有難いですね。よろしくお願いします」


「ん......翠、MP回復の装備付けてるから、時間さえあればHPは回復できる。だから、ポーションとか無くても大丈夫だよ」


「そんな装備があるんですね」



ブリーシンガメン以外のMP回復系装備か。気になる。



「翠の腕輪は特別製なんだよ!特殊クエストの報酬で貰ったんだよ!」


「特殊クエスト......」


「あ〜、あの私には合わない、クッソ面倒なクエストっすか」


「クソとか言わないの!......ルミさん、ルミさんはご存知無いと思いますけど、ディクトという街にいる『ジン』という鍛冶師の方がいるんですけど、その方からの特殊クエストで貰えるんですよ」



やべぇ、めちゃくちゃ知ってるぞ。あのドワーフのおっちゃんだろ?



「そうなんですね。ちなみに、内容は?」


「ジンさんに『奇抜な武器を見せる』というのが内容ですね。私達3人は普通の武器しか持っていませんけど、翠だけは特殊な武器を持っているんですよ」


「特殊な武器?」



なんだろう。暗器とか?



「これだよ!......じゃじゃ〜ん!連接剣!!」



そう言って翠さんは、鞭のように(しな)る、蛇腹の剣を取り出した。



「おぉ......確かに奇抜、特殊ですね」


「これは翠の持つ『錬金鍛冶』という技術でしか作れない、貴重品なんですよ」


「錬金鍛冶......難しそうですね」



多分、刃を一つ一つ合金化させて繋げたんだろうな。

面倒くさそうだけど、完成したら楽しそうだな。



「とまぁ、そんな感じで回復には翠を頼ってください」


「分かりました」


「では早速、ニクス山へ向かいましょうか。アンバー渓谷はその先にあります」


「はい!頑張りましょう!」




そしてこの時の俺は、気付いていなかった。



空を飛んで移動出来るのは、ウチの身内しかいない事に──





ガタガタ......ガタガタ......



「馬車......暇ですね」


「ルミさん......面倒だし、呼び捨てでいい?」


「いいですよ」


「......じゃあ。ルミは馬車、初めて?」


「数回だけですね。でも、ここまで長い距離を乗るのは初めてです」


「......そう。やっぱり、この移動って面倒だよね」


「そうですね......走った方が早いですし、荷物もありませんしね」



「「「「え?」」」」


「え?」



俺、なにか間違った事を言ったかな。荷物か?



「......走った方が早いって......この速度で?」



真白さんが馬車の後ろを見ると、そこそこの速度で景色が進んでいる事を指さしてきた。



「えぇ。全力で走るか魔刀術を使えば、あの雪山までなら直ぐに着きますからね」



魔法 is 秘匿。空飛んだら1発K.O.貰うぞ。



「ルミ......本気?」


「はい。なんだったら、試して見ますか?」


「......た、試す?」


「はい。私がどなたか1人を背負い、魔刀術で進みます。それで移動してみますか?」


「ちょ、ちょっと......相談する」


「はい!」



初めての試みだし、怖いよな。分かるよ。




-------------------------------------------------------

真白side



魔刀術で移動?そんな事、私は聞いた事もない。



「蒼、どうする?私、やってみたい気もする」


「......勇者かな?」


「勇者っすね」


「勇者だよ!でも、面白そうだよね!」



うん。ちょっとしたアトラクション気分もある。



「じゃあちょっと、お願いしてくる。死んだら......その時はごめん」


「大丈夫。私が責任持って渓谷までルミさんを連れてくから」


「うん。蒼に任せる。じゃ」



「「「ファイト!!!」」」



-------------------------------------------------------

ルミ(ルナ)side



「ルミ......お願い」


「分かりました。ではまず、馬車から降りるので私の背中に掴まってください」


「うん」



真白さんがちゃんと捕まったのを確認したら、後は飛び降りるだけだ。


......ちょっと怖いな。頑張ろ。



「......あ、そうだ。『サンダー』」


「......え?何を?」


「まぁまぁ」


「え?......きゃあああ!!!」



俺は靴を脱いで足の裏にサンダーを出し、一気に飛び降りた。



「......成功ですね」



ペリクロ草原に降り立ち、馬車が去っていくのを確認した。



「え?何をしたの?」


「魔法に乗りました。じゃあ、山まで行きますよ?」


「え?」



(顕現、シリカ)



俺はシリカを顕現させ、太刀の状態にした。



「ちゃんと掴まっててくださいね......『魔刀術:雷纏』」


「う、うん」



俺は足の裏に付けてるサンダーをニクス山まで伸ばし、雷の線路を作った。



「......凄い」



これは『雷神』だからこそ出来る芸当だ。この上を光の速さで進むぞ。


リニアモーターカー?ノンノン。時代は魔刀術だ。



「行きます......『雷』」



バヂイ!!!



足元のサンダーとクトネシリカが光り、俺と真白さんはニクス山の中腹に到着した。



「着きました」


「............」



真白さんは無言のまま俺にしがみついている。



「あ、寒いですか?」


「............」


「あ、あの〜......大丈夫ですか?」



流石に無言は辛いので振り返って見ると、真白さんが痙攣していた。



「あ、不味い。『クリア』大丈夫ですか!?」


「.....う、うん。まさか痺れるとは思ってなかった」


「あはは、私も初めて移動に使ったので、まさか魔刀術で触れている人が痺れるとは思いませんでした。すみません」


「......ううん。気にしないで。私から望んだことだから」


「そう言ってくれると助かります......それでは、これからどうしましょうか?」



1人ずつ運ぶのもいいが、それは毎回痺れさせる事と同義だからな。流石に申し訳ないぞ。



「......採取でもして待と」


「分かりました。私は採取を全然した事がないので、良ければ教えてくださいませんか?」


「......いいよ。こっち来て」



真白さんはモコモコの上着を着ると、俺を雪の積もった低木のもとへ連れて来た。



「......これは『モスベリー』マンモスが好きなベリー」


「そうなんですか」



真白さんが雪を払うと、オレンジ色の小さな実を採ってくれた。



「......食べてみて」


「ありがとうございます。いただきます」



渡されたので食べてみると、めちゃくちゃ酸っぱかった。

けれど、酸味の中で感じる優しい甘さがとても美味しかった。



「これ、美味しいですね!」


「でしょ?この実、葉っぱも乾燥させたら茶葉になる」


「そうなんですね!それは良いですね!」



俺と真白さんは、モスベリーの実と葉を摘み、次の場所へ移動した。



「......これ、『過冷草』箱に入れたら冷蔵庫になる」


「なるほど。でも冷蔵庫は間に合ってますね」


「......家、あるの?」



あ、やっちまった!!......ここは追加設定、『ルナの妹』を出すか。



「はい!兄が何かで優勝して、お城を貰ってまして......その中に冷蔵庫のような、冷たい状態にする貯蔵庫があるんですよ」



アレは電子レンジの逆バージョンだな。箱の中に食べ物や飲み物を入れて魔力を流すと、その中の物が冷える仕組みだ。



「......もしかしてお兄さん、ルナ?」


「兄をご存知で?」


「うん......一緒に戦ったり、私と戦った人」



やべ、いつ真白さんと戦ったか覚えてねぇ。フォレストウルフの時は記憶にあるけど、武術大会は記憶にねぇ。



「そうなんですね!兄がご迷惑をお掛けします......」


「ううん。ルナは凄い。誰よりも強くて、誰よりも上手いプレイヤーで......それに、結構カッコイイ人」


「カッコイイ......ですかね?あんなのを好きな人って、ソルさんくらいだと思いますが」


「ううん。結構色んな人に好かれてる。掲示板じゃ、ファンクラブとかもあるよ?」


「は?......ごほん。そう......なんですね」



危ない危ない。素が出ちゃうところだったぜ。



「まぁ、あの人はソルさんしか見てませんからね......」


「うん。ソルちゃん、いつもルナの事を楽しそうに話してる。私、ソルちゃんとフレンドで、時々一緒に遊んでる......」


「そうなんですね!......まぁ、あんな兄ですが、ソルさんを楽しませられてるなら、大丈夫そうですね」


「......うん。あの2人は早く結婚すべき」


「え!?......そ、そうですか?」



やべぇ。聞きたいけど聞きたくない。俺がルナ本人って、絶対にバラせなくなっちゃうからさ。



「......だってあの2人、傍から見たら完全に夫婦だもん。仲良く手を繋いで歩いて買い物して、2人で遊んで、しかも同じ家に住んでる......あ、これはルミの方が知ってるか」


「えぇ、まぁ。でも私もお城にいるのは時々ですからね」


「そうなの?......まぁ、それで、あれだけ幸せそうにいるのにまだ恋人って、ちょっと違和感すら感じる」


「.......そうですか?」


「うん......あれで結婚してなかったら、どっちかが他に好きな人ができた時、別れるでしょ?......それは、見てる私達が絶望するルート」



なぁ、俺とソルのデートを目撃されすぎでは?

いや、デートっていうか、ただの買い物の時も含めて、めちゃくちゃ見られてるよな?



「じゃあ、兄に言っておきます。『ソルさんを幸せにしろ〜!』って」



まぁ、もう決めてるんだけどな。



「......うん。お願い」



そう言えば俺、身長高いけど怪しまれてないのかな。

まぁ、ルナの血筋は身長が高いって思われとけばいいか。




「......それで、これ。レア植物」


「レア?」


「......うん。『白銀(はくぎん)マンゴー』」



真白さんが指をさした木には、真っ白な実を大量に付けた、大きな木がそびえ立っていた。



「......私は弓で撃ち落とすけど、ルミもそうする?」


「う〜ん......私は魔法で取りましょうかね」


「......魔法で?」


「はい。『ヘルバハーベスト』」



俺は木に魔法を使い、50個ほどの白銀マンゴーを採取した。



「何それ!!......ねぇ、もし良ければ私のも......」


「勿論ですよ。『ヘルバハーベスト』」




まるで雪玉の様に白く、冷たい実を沢山採取し、真白さんと半分こした。




「ありがとう......皆の分も採ってくれて」


「いえいえ。弓でやったら傷がつきそうですし、効率も悪いですからね。こういうのは、専用の魔法を作るのが1番良いんですよ」


「採取しないのに......採取用の魔法を作ったの?」


「はい。魔法のスキルレベルを上げるのにも使えますから。それに、こうやって輝く場所を見つけられるのは、いい事じゃないですか」


「......そうだね。私も、作ろうかな」


「それがいいですよ。想像力の強化にスキルレベルの上昇、正に一石二鳥です」


「......うん」



この魔法、お米の収穫くらいでしか使ってなかったからな。

ちゃんと使ってあげれて嬉しいよ。




「お〜い!真白ちゃ〜ん!ルミさ〜ん!!」


「あ、茜だ。行こ、ルミ」


「はい!」




馬車でやってきたカラーズと合流し、俺達はアンバー渓谷へと向かった。

いいですねぇ、私もマンゴーが食べたくなってきました。

アップルマンゴーやドラゴンフルーツとか、南国のフルーツが私は好きです。


では次回、いよいよダンジョン攻略です。


お楽しみに!

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[一言] マンゴとパイナップルのミックスジュースも美味しいよ w
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