表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
216/492

新月二咲ク幻ノ桜 弐

散る花よ

蕾へ戻り

咲き誇れ

終わりは生まれ

始まりは死ぬ





ソルの部屋にて──



「へいルナちゃん!浴衣、出来たよ!」


「あぁ......俺の黒歴史が誕生する訳だ......お祝いしないとな......おめでとう、ブラックルナちゃん」



裏鉱山で狩りをした翌日、ソルから浴衣を貰った。

もちろん、女物だ。これが男物ならまだ助かったものの、ガッツリバッチリ女物だ。


しかも綺麗な花柄だ。月と花、鳥なんかも刺繍されていて、これは『花鳥風月』と言えるような、美しいデザインだ。



「ありがとうソル。ってか黒がメインの服って、これが初めてか?」


「どういたしまして。黒って初めてだっけ?記憶にないや!それとルナ君は銀髪だから、黒より白の方が合うんだよね。だから天使のやつも、白がメインで、黒でアクセントを付ける感じになったんだよ」



良く見てくれている。これ程までに嬉しい事は無い。



「ほぇ〜......良く考えてるなぁ。ありがとう」


「えへへ〜」



可愛い。浴衣もソルも、めちゃくちゃ可愛い。



「じゃあ早速着ようかな。ブラックルナちゃん誕生の瞬間だ。最初はソルが見てくれ」


「それは良いけど......ブラックルナちゃん?」


「これは俺の黒歴史になるからブラックルナちゃんだ。男の娘になったり、黒い浴衣を着たり......ちょうど良かろ?」


「まぁ、気にしないから大丈夫だよ!」



それが1番辛い反応だけど、可愛いので良しとしよう。



「それじゃあ......変身!」



俺はウィンドウから装備欄を開き、浴衣を装着した。



━━━━━━━━━━━━━━━━

天神衣(てんしんい):花鳥風月』


Rare:━━

製作者:ソル


防御力:2,200

耐久値:660,000/660,000

魔法適正:『装備者の全魔法:大』

付与効果:【完全調整】『月光強化』

『耐久値回復:月光』『星の煌めき』

『癒しの光:常駐』『鼓舞の光:常駐』

【感情超強化:愛】【刀術補正:特大】

【弓術補正:特大】『専用装備:ルナ』

━━━━━━━━━━━━━━━━



「ほへ?」


「うんうん!とっても似合ってるよ!夏らしいね!」


「あ、あの......ソルさん?この浴衣......神器じゃね?」



装備の頭に神の文字、それに消されているレア度。これは俺の経験的に神器のはずだ。



「そうだよ。初めての神器なの!」


「おぉ!!やったなソル!凄いぞ!!」



俺は嬉しさのあまりソルに抱きついた。


神器は本当に製作難易度が高いんだ。ちょっとでも不備があれば聖魔武具に落ちるし、何より格段に性能が落ちる。


ステラの様に、バランス良く性能の伸びるならまだしも、尖った性能が一つだけ、とか、使いどころが限られる装備なんかは、本当に弱いからな。



「えへへ、やっばり髪型と服が違うだけで、ルナ君はルナ君だね。暖かくて好き〜」


「......暑い、の間違いじゃないか?このゲームでもかなり気温も上がってきたしな。暑苦しいだろ?」


「そんな事ないよ。ルナ君は『暖かい』のであって、

『暑い』訳じゃないの。もう」



あぁ、俺はなんて素敵な人と出会ったんだろう。

ずっとこうしていたい。ずっと一緒にいたい。そう思えるよ。



そうして一旦離れ、浴衣の解説タイムに入った。



「ルナ君ルナ君、その浴衣の『完全調整』って効果ね、実はとっても凄いんだよ!」


「うん?そうなのか?っていうか、今までの『自動調整』との違いはあるのか?」



普通に体に合わせて調整してくれるんじゃないのか?



「違う、全く違うのだよ。その効果はね、なんと」


「なんと?」


「なんと!男物に変えられるのです!!」


「な、何だってぇ!?......でも、お高いんでしょう?」


「そう思うでしょう?ところがなんと!この解説を聞いてから5分以外にお買い上げの方には!特別価格、『私を1回ハグ』する事で購入可能です!」


「えぇ!?本当ですか!?......でも、本来のお値段は?」


「ふっふっふ......安心してください。本来のお値段だって、特別に安くなってるんですよ」


「おぉ!それはおいくらでして?」


「本来のお値段!それはズバリ、『10億L(リテ)』にてお買い求めいただけます!」



高ぇ。俺の所持金を2倍にしても届かねぇ。



「何だこの茶番。ってかマジで男物に変えれんの?」


「うん!だからルナちゃん状態じゃなくても、いつでも着れるようになってるんだよ!」


「ありがてぇ......本当にありがてぇ......!」



感謝の気持ちでフェンリルが倒せそうだ。



「ふふふっ、ゲームでも浴衣デートをしようね?」


「あぁ、もちろんだ。一緒に楽しもう」


「うん!花火とか、色々やりたいね!」


「だな。神龍戦でも使った時みたいに、銅や鉄の粉で、一から作ろうか」


「そうしよう!他にも友達呼んで、皆で見たいね!」


「あぁ。そうしよう」



あれ?話が脱線してる気がする。最初は何の話をしてたんだっけ......



「あそうだ。浴衣の性能についてだ。この『常駐』って、マジで常駐してんの?」



『癒しの光:常駐』と『鼓舞の光:常駐』についてだ。これ、本当に常に発動してるなら、ゲームバランスが壊れるのもいい所だぞ。



「してるよ。ただね、効果が垂れ流しなんだよね......」


「垂れ流し?って事はあれか?常にオンの状態だから、オフにして光を貯める事が出来ないって事か?」


「いぐざくとりぃ。だから夜ならバフだけ、昼なら回復だけって感じだね。ちなみにこれ、ルナ君のステラからイメージを得たんだ〜」


「それは見れば分かるよ。でもな、1つ間違いがある」



そう、今のソルは、絶対に間違えちゃいけない事を間違えた。



「間違い?」


「あぁ。ステラはな、『俺とソルの物』だ。俺だけの物じゃない。それだけは理解してくれ」


「あっ......うん!忘れちゃってた。えへへ」


「全く。初めて2人で作った物なんだから、忘れないでくれ」


「うん!」



ステラは昔から、俺やソル、それに他のプレイヤーを助けてくれた。そんなステラを作ったのは、他でもない俺とソルなんだ。


俺1人では絶対に作れない、2人だからこそ出来た、最高の聖魔剣だ。




「じゃあ折角だし、今日は1日、これを着て過ごそうかな」



「ありがとうルナ君!大切にしてね?」




「あぁ。これからも着させてもらうよ」






そして夜──






「リル太郎、ニクス山へ行くど〜」


「分かりました!狩りですか?採取ですか?」


「地形把握」


「ちけいはあく......?」


「そうだ。(きた)る宵斬桜との戦いの為に、ニクス山山頂の地形を覚えるんだ。鬼ごっこでも多少は培ったが......今回はじっくりと、時間をかけて覚えるぞ」


「なるほど。というか私もその、よいぎりざくら?の戦闘に参加するんですか?」


「お願いします。1人じゃ無理そうなんです。情報だけで、俺にはステータスが足りないのが分かりきってるので、どうかお助けください」



ピギーの刀も掛かってるんだ。成功確率を上げたい。



「あの......それなら私よりメルちゃんの方が良いのでは?」


「......それもそうだな......メルも行くか?」


「行く〜!」


「なら3人で行くか。宵斬桜戦のリハーサルといこう」



口調の幼さのせいで、リルよりメルの方が強い事を忘れていた。

取り敢えず、この3人なら死ぬ事はないだろう。


多少ボロボロにはなるかもしれんが、死にはしないはずだ。

だから多少の無茶......もとい、アドリブが効く。


これなら花びら集めも出来るだろう。



「ふむ......話は聞かせてもらったよ!」


「あ、あなたは......!」


「あのでんせつの......!!」


「ソルえもん!!!」




「は〜はっは!そう、私こそが......って誰がソルえもんじゃい!!!」




銀髪3人組の渾身のネタを、ソルはきっちり拾ってくれた。



「拾ってくれてありがとう。で、どうしたんだ?ソルも参加したくなったのか?」


「そりゃあ参加はしたいけど、どうせなら今回は裏方に回りたいな〜って思ってね」



「「「裏方? / うらかた?」」」



「うん。今のところ浴衣を着てるのって、ルナちゃん......もといルナ君だけでしょ?」


「そうか?......そうか」


「うんうん。だからね、今回はリルちゃんとメルちゃん、それにフーちゃんやシリカちゃんの浴衣も作りたいな〜って思った訳ですよ」



「「「おぉ!」」」



リルは何となくイメージ出来るが、メルのゴスロリ以外、それも浴衣などの和服は、全然イメージが湧かない。


お兄さん、結構気になります。



「という訳でですね、御三方には桜戦の本番、浴衣で戦って欲しいのですよ」


「......マジ?これは動きやすいけどさ、リル達のも大丈夫なのか?」


「でぇじょうぶなんです。この『神匠裁縫師ソルちゃん』の手にかかれば、戦闘用浴衣......『バトル和服』が作れるんです」



それなら大丈夫かな?ソルの作る服はどれも防御力が高いし、今の2人の服よりも圧倒的に強いだろうからな。



「分かった......じゃあ行ってく「待って」......ん?」



どうしたんだろう。って言っても、だいたい予想は出来る。

多分、素材が無いんだろうな。こういうのは基本、おつかいをしてから、その報酬で貰えるってのが定番だ。



「ルナ君の予想通り素材は足りないんだけどね、それともう1つ足りないのがあるの」


「ナチュラルに思考を読むねぇ?で?足りない物は?」




「それはなんと、お金です!!!」



「「「お金?」」」



「はい。実は和服を作るのに『反物(たんもの)』というアイテムが必要なんですが、それが如何せん高くて......あと一人分で、破産します。ちなみに、リンさんから格安で買ってます」


「幾らだ?俺がガッツリ出すぞ?」



8000万もあるからな。使うには丁度いい。



「1人分で大体2000万ぐらいかな?あ、これ最高品質での値段ね。時点なら1000万くらいだよ」


「たっっっか!!ってかよく俺の作れたな!?」


「ルナ君のは、日頃の狩りで集めたアイテムと王都防衛で集めたアイテムを殆ど売ったからね。3000万ちょっと、稼がせて貰いましたわよ。おほほ」



凄いな。俺もドラゴンの素材を売れば、それぐらい稼げるのかな?



「え〜っとつまり?俺の所持金8000万、全部吹っ飛ぶ訳か?」


「......残念ながら」



これは久しぶりにギルドにお世話になろうかな。何週間ぶりかの、お金稼ぎをしなければならない。



「はい、取り敢えず8000万。これで4人に最高の物を頼む」


「......ホントにいいの?7500万でもいいんだよ?」


「いいよ。俺のバカみたいに拡張されたインベントリに、バカみたいにドラゴンの素材を詰め込んで、それをバカみたいにギルドに売れば稼げるだろうからな」



レベル300越えのインベントリ容量、舐めんなよ?3000スロット以上あるんだからな?

今使ってるので200未満ってところだが、1000スロット分くらいのレア素材を集めれば、億や兆まで稼げるだろう。



「分かった。ごめんね?ATMみたいな扱いをしちゃって......」


「思ってもない癖にそういう事を言うな。こういうのは2人で出し合ってこその物だろう?自分だけを悪者にするような言い方をするな」



「うん......ごめんね」



そんな申し訳なさそうな顔をして言うやつが、人をATM扱いするか?本当にそういう扱いをする人は『金が出てきて当然』って顔をするはずだ。


それに、ソルだって技術を使うんだ。材料費くらいは出さないと、対等になれない気がする。



......これまで武器プレゼントしまくってるけど。



まぁ、俺のは自分で集められる素材だから、関係ないか。



ソルがわざわざリンさんから買わないといけない物って事は、確実に俺達には作れないだろうからな。

だからこういう時は、2人で目標を達成するために金くらいなら俺が出そう。技術はソルに、全て任せる。


信頼関係とは、こういう事も指すんじゃないだろうか。



「じゃあ、改めて地形把握してくる。夜だし寒いから、2人は離れるなよ?」



「「は〜い!!」」



「うん!気を付けて行ってらっしゃい!」


「あぁ。行ってきます」



「「行ってきます!!」」




そうして銀髪3人組は、ニクス山へ地形把握に向かった。





花鳥風月の効果、見やすくないですか?見やすいです。

そうですよね、私もそう思います。


そして宵斬桜戦のメンバーが決まりましたね。

何故か女装したルナちゃんと、鏖殺天使の姉(笑)のリルちゃん、そしてゴスロリメスガキドラゴンのメルちゃん。


.....紹介文の癖が強いですね。


では!次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ