表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
215/492

新月二咲ク幻ノ桜 壱

和テイストな幻獣は如何?


桜散り

陽炎が立つ

夏の色

新月の時

溢れる花よ





「ほい、完成だ。それと神器化したぞ」



「「おぉ......凄い......」」



俺は2人の注文通り、真っ赤に燃えるような大剣と、長剣と見間違える様な外見の弓を作成した。


そしてそれぞれ、神器となって完成したのだ。



「壊れないし高火力。付与効果も2人が欲しいと思ってた物だし、顕現も出来るから出し入れが簡単。さらに、使い込めばお前らに適した付喪神が宿る」


「ありがとう。感謝しかないぜ、ルナ」


「僕も。FSで頑張ってくれて、その上こんな神器も貰っちゃって......本当にありがとう」


「気にすんな。それに1番の大仕事、ピギーの刀がまだだからな。まだ前座よ前座。こっからが本番だ」



まさか幻獣の素材を求められるとは思ってなかったからな。


それも今までに出会った事の、そもそも知らない幻獣だ。

これまで俺が作ってきた武器の中で、製作難易度がトップクラスに高いだろうな。



「まぁ、気長に待ってるから焦らなくていいよ?」


「いいや、仕事は先に終わらせておきたい。だから新月が待ち遠しいぜ、全く」


「何か用事でもあるの?正直、私のはもっと後回しでもいいよ?」


「用事ってか......ソルと遊んでる時に、刀の事がチラついたら嫌だろ?」



「「「......」」」



折角2人で過ごしている時に、やらなければいけない事を思い出した時の絶望感。あれは大っ嫌いだからな。

やるべき事は、早めに済ますに限るんだ。



「それにリアルでデートの予定とかあったら、その分ここじゃあ8倍の速度で遅れるからな。仕事は早めに終わらせたいんだ」



俺の実家に行くとか言ってたけど、本気なのかな?

まぁ、また聞いておこう。2人で楽しめるのが、1番いいからな。



「そういえばそうだったね......お2人さん、いつも一緒だもんね」


「まぁ、仲がいいのは良い事だ。それにルナはしっかりしてるし、ピギーも甘えるのがいいだろう」


「甘えるって言うか、ルナのポリシー的に後回しに出来ないだけだろうけどね」



「ま、そゆことだ。次の新月、楽しみにしときな」



「うん。じゃあ完成したらチャット頂戴。直ぐに行くから」


「ほいほい。じゃあ3人とも、ここまでご苦労なこったな。適当に帰りな」



「「「は〜い」」」




そうして3人は帰ったので、俺もリビングに戻った。




「あ!父様!お洋服を変えたんですね!」


「あぁ。ソルから貰ったやつだな。前までの真っ白天使から、普通の男になったぞ〜」



半袖のシャツに薄い素材の長ズボン、それに付けているアクセサリーのおかげで、見た目も性能もかなり良いだろう。



「よく似合ってますよ!」


「うんうん。でも1つ、私は気になるなぁ」


「ん?ソル?何が気になった?」




「それはズバリ!『髪の長さ』でしょう!!!」



「「あぁ〜」」



そう言えば俺、結構長い髪に設定したもんな。暑く感じる事は無いけど、印象的に暑そうだよな。



「本当は床屋さんに行った方が良いんだけど、今回は私が切ってあげたいのです!」


「ソルが?......まぁ、別にいいけど。ソルの好きなようにしていいぞ」


「え?ホントに?やったぁ!!じゃあ、お庭に来て!」


「はいよ。じゃあリルとメルも行くか?」


「行きます。髪でどれだけ印象が変わるのか、見たいです」


「みる〜」




そうして俺達は庭へ出て、ソルの取り出した椅子に座った。




「いや〜ルナ君の魔法、ホントに便利だね〜!」


「かなり涼しいですね。ありがたいです」


「ひんやりしてる!かいてき!」


「俺の事をエアコンと思ったら、その瞬間に解除するんで気を付けてくれ」



「「「っ......は〜い」」」




有罪(ギルティ)。だけど今回は見逃してやろう。運が良かったな。


そうしてソルから布が掛けられ、準備が整った。



「じゃあチョキチョキタイムに入りま〜す。ルナ君、お覚悟!!!」


「殺さないでくれ。じゃあお願いします」


「は〜い」



そしてソルが俺の髪を持ち、ハサミで切ろうとした瞬間──



バキン!!!



「「「「えっ?」」」」



ハサミの刃が砕け散った。それはもう、ふわふわと飛ぶシャボン玉の様に散っていった。



「ん、ん〜?お姉さん、ちょっと理解出来ないなぁ」


「なんで切れなかったんだろうな。VITのせいか?」


「今幾つなの?」


「感情強化含めたら2万ちょっと」



今の服装は『感情強化:愛』があるので、元のステータスの3.375倍のステータスだ。だから大体、2万2000くらいのVITとなっている。


とても......高いです。



「い、いやいやいや!それでもでしょ!高々2万ちょっと、そんなのでハサミが壊れる訳が」



バキン!!!



2丁目のハサミも、綺麗に砕け散っていった。



「そ、そんな......この時の為に用意した、アダマント製のハサミが......嘘でしょ......?」


「う〜ん、流石に髪は諦めないか?別に切らなくても、結ぶ事は出来るんだしさ」


「う、うん......分かった。ならルナ君の髪、結んであげるね」


「あぁ。ありがとう。お願いするよ」



床屋とかあれば、髪を切れるんだろうけど、今回ばかりは仕方ない。ソルの気が済む解決策でいこう。



「おぉ、ルナ君の髪、すっごくサラサラだね」


「返り血を浴びまくった美しい髪だろ?」


「今すぐ切り落としたくなっちゃった」


「嘘だから安心してくれ」



まぁ、返り血は本当なんだけどな。

魔刀術とかで斬ると、モンスターの血のポリゴンが噴水かと思えるくらい飛ぶからな。

頑張れば血シャワーも実現できるぞ。このゲームは。




「はい!出来たよ!」


「どれどれ?......って、見れないな。リル、メル。どんな感じだ?」


「プフっ......え、えぇと、に、似合ってますよ?」


「さっきのパパみたいで、バッチリきまってるね!」


「やべぇ全く分かんねぇ」



どんな結び方をされたんだろうか。気になるぞ。



「あ、フー!シリカ!こっちに来てくれ!!」



「「は〜い!!」」



農場の方にいる2人を呼び、感想を聞いてみよう。



「どうしまぶふぅ!!ははははっ!!!」


「あはは!お兄さん、ははは!いや......おねえさん?あはは!!」



盛大にフーが吹き出した。今の俺、どんな髪型なんだ?



「あ、カメラ機能で見るか」



このゲームで唯一、三人称視点で見る方法だ。これならチェック出来るだろう。



「えっ......あ、あの。ソルさん?」


「ん〜?どうしたの〜?」


「あの、なんで俺、ツインテールになってんですか?」


「可愛いから!!」


「ノォォン!!!」



そう、今の俺は、完全にツインテールになっていた。それもロングツインテールだ。可愛いね。



「ちなみにその髪留め、呪具だから。このゲームで1週間経つまで外せないよ」


「嘘だろ......俺、桜もツインテールでやらなきゃならんのか......」


「あ、桜に挑戦するんだね!じゃあ、浴衣も着ちゃう?」


「俺に女装させようとするな!!」


「えぇ〜良いのに〜!絶対似合うよ?」



似合わん。だって俺、完全に男だぞ?FSならまだしも、ユアストじゃ100パーセント男なんだぞ?



「まぁ、ルナさんは男性の中でも、それなりに女性よりの顔ですから似合うと思いますよ?」


「そうだね!今の状態も、初めて会う人ならお姉さんだと思うよ?」



「えぇ......?嫌だなぁ」



「大丈夫です、父様。私と一緒に着れば大丈夫です!」


「たしかに!リルちゃんといっしょに着たら、お姉ちゃんといもうとに見えるかも!」


「その援護射撃は要らなかったなぁ......」



はぁ......まぁ、1つくらいの黒歴史、作っておくか?

何年か後に、『こんな事あったよなぁ』って話せる為にも、ちょっと挑戦してみようかな。



「どうする?本当に浴衣着てみる?」


「......まぁ、リルと一緒なら......」


「うん!それじゃあ、材料はあるから、ちゃちゃっと作っちゃうね!明日の朝には出来てると思うから、その時に渡すね!」


「......あぁ......頼むよ......ソル......」



つらい。1週間強制ツインテールに、女装まで......つらい。



「父様。こうなれば楽しみましょう!いつも父様は言ってるじゃありませんか。『まず楽しめ。楽しめなきゃ何も出来ない』って!ですから楽しみましょう?」



リル、逞しくなったな。俺はもうダメかもしれないよ。



「そう......だな。そうだ。こうなったら、1週間外では女性ロールプレイをしよう。それにリルやメルと居たら、外だって歩けるはずだ」



もう引き返せないんだ。突っ切るしかない!



「はい!その意気です!頑張りましょう、父様!!」


「あぁ!......じゃなかった。うん!!」



「「「順応早いなぁ......」」」


「パパらしいね。がんばれ」






そうして、1週間ルナちゃん状態がスタートした。







「はい、ルナちゃん生活初日は、『声』を何とかしたいと思います」


「声、ですか?父様」


「あぁ。ツインテールの人間の声が低かったら、少し違和感があるだろう?だからまず、音魔法で声を変える」


「なるほど。父様が本気なのは伝わりました」



顔は大丈夫と皆が言ってたから、声を変えたい。どうせやるなら、1から10まで頑張りたいからな。本気も本気だ。






「って言っても、もう魔法のイメージは出来てるからな。直ぐに作ろうか」




「作りました。じゃあリル、いいか?」


「はい!父様の新しい声を聞かせてください!」


「よし。じゃあ......『ボイスチェンジ』」



今回作った音魔法は『ボイスチェンジ』だ。名前の通り、使用者の声を変更する魔法だ。この魔法はそこそこ便利で、パターン登録をする事も出来るようになっている。


つまり、『パターン1:俺本来の声』という項目と『パターン2:女性の声』という風に、簡単に入れ替えが出来る。



では、女性の声にしますかね。



「あ〜、あ、あ〜......どうだ?じゃなくて、どう?」


「か......完全に女の人の声です......」


「だね!さぁ行こう!ソルに聞かせてあげようよ、リルちゃん!」


「......これは私が、元々は父様という事を認識してるから、違和感を感じるんでしょうね。今の父様にちゃん付けされると、何だかムズムズしますね」


「そう?じゃあ行こう、リル」



下手にちゃん付けをせず、普段の口調を柔らかくして話そうか。それなら違和感を最小限に抑え、リルも接しやすくなるだろう。



......というか、1つ気付いたぞ。



「ねぇリル、俺の今の状態ってさ......」


「そうですね。オケアノスさんと同じ状態ですね」


「っすよねぇ......はぁ。まぁいいや。それじゃ、倒そうか」


「はい!」



今更だが、俺とリルは裏ドゥルム鉱山に来ている。少し、いや、かなり大量に欲しい物を集めるついでに、レベルを上げに来たのだ。



『グギ、ギギギ!ガガガ!』


『ギャ!ギャガガ!』



イビルゴブリンがやって来た。今回の目当てはコイツだ。



「リル、分けっ子する?」


「いえ。父様が倒しちゃってください」


「分かった。『インフェルノブレス』」



『『『ガギャ......』』』



6体のイビルゴブリンがポリゴンとなって散った。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『イビルゴブリン』×6討伐しました。

『オリハルコンの剣』×2入手しました。

『瘴気の毒牙』×6入手しました。


『龍神魔法』スキルレベルが2上がりました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「美味い......けど不味い......」



瘴気の毒牙、コイツを集めに来たんだよな。俺の新しい武器と、調薬の実験に使いたいのだ。



「どうしましたか?拾い食いでもしましたか?」


「それはリルじゃないの?俺のは龍神魔法のレベルの上がりにくさを『不味い』と言ったんだよ」


「んなっ!?私は拾い食いなんてしませんよ!!」


「え〜?......本当は?」


「......まぁ、倒した敵のお肉なら......」


「......」



絶句した。冗談のつもりで聞いてみたんだが、マジで拾い食い......いや、殺し食いをしてるとは......



「もしかして俺がいない間、夜に抜け出してたのって......」


「......うぅ」


「大丈夫だ。これからはご飯の量を増やせばいい」


「はい......」



そう言って優しくリルを抱き締めた。うんうん。成長期なんだね。



「大丈夫、大丈夫だから。俺にもあったよ、沢山食べる時期が......」



実は家を出る前に、ソルに言われたんだ。


『ルナ君が戻ってくるまで、リルちゃんとメルちゃんと一緒に寝てたんだけどね?リルちゃんが時々、夜中に部屋を出てってるの。だから、もしタイミングが合ったら、何してたか聞いてくれない?』


ってな。


まさかお腹が空いていたとは。驚きですわよ?



「よしよし。それじゃあゴブリン倒して、しばらくしたら帰ろうか」


「はい!!」




そうして俺とリルは、裏ドゥルム鉱山で狩りをした。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前:ルナ

レベル:135→142

所持金:80,845,590L

種族:人間

職業:『ヴェルテクスギルドマスター』

称号:『スライムキラー』

所属ギルド:魔法士・Cランク冒険者(94/200)

Pギルド:『ヴェルテクス』

所持因子:『稲荷』他6柱


HP:6,710→7,060

MP:6,710→7,060

STR:6,710→7,060

INT:6,710→7,060

VIT:6,710→7,060

DEX:6,710→7,060

AGI:6,710→7,060

LUC:3,350→3,525

CRT:100(上限値)


SP:1,540



『取得スキル』



戦闘系:非表示



魔法



『火属性魔法』Lv100

『海魔法』Lv30

『風属性魔法』Lv100

『土属性魔法』Lv100

『雷属性魔法』Lv100

『氷属性魔法』Lv100

『聖属性魔法』Lv100

『闇属性魔法』Lv19→58

『自然魔法』Lv100

『龍神魔法』Lv1→23

『古代魔法』Lv1

『音魔法』Lv100

『妖術』Lv1



生産系:非表示



その他



『テイム』Lv3

『不死鳥化』Lv100

『マナ効率化』Lv0

『植物鑑定』Lv0

『毒物鑑定』Lv0

『動物鑑定』Lv0


<>内アクセサリーの固定増加値

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この、新月二咲ク幻ノ桜編では、前書きの短歌にこだわりたいです。


拙い詩ですが、楽しんでくれたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ