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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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その天使、化け物につき 後編

天使(女)(男)(71kg)(高校生)(元世界6位)




現在、森エリアを疾走中──



「あと10人か。皆今なんキル?」


「5だ」


「はち〜」


「よ〜ん。アルは?」


「18だ。合わせて35キルか?そこそこって感じだな」



タリナイ......血ヲ......モット、血ヲノマセロォォ!!

って感じだからな。『35キルはそこそこ』なんだよ。



「3割殺ってるんだけどな。普通ならお腹いっぱいだわ」


「足りないぞ......だって!」


「私達!」


「ニヒルは!」



「「「キルが大好きなんだもん!!!」」」



「仲良いな、お前ら」


「えへへ」



褒められちゃった。我らにニヒルは仲良しなのだ。

仲良し虐殺者なのだ。フーハハハ!!!!!



「「「なに今の可愛い」」」



「仲良いな、お前ら」



まぁ、姿が天使なのだから仕方がない。最強(さいきょー)なのだ。


可愛ええやろ?でも惚れたらアカンで。あの子のパパさん、めっちゃ怖いらしいから。

少しでもいやらしい目で見たら、炎の槍が飛んでくるらしいで。



バゴォ!!!!!



「ん?撃たれてんな。弾痕的に右からの射線だ」



「「「了解」」」



地面の抉れ方から敵の位置を割り出し、皆に報告した。


う〜ん、この穴の深さからして、多分スナイパーライフルで撃たれたんだろうな。

でも少し、穴が深すぎないか?いくらサナでもここまでは抉れない。


......となれば──



『アイツ物資武器持ってる。しかも神の目インドラだよ』


「やっぱりな。最強武器とか怖すぎだろ」



10分に1度、衛星から射出される『サプライポッド』がエリアに降りてくるのだが、そこには様々なアイテムが入っている。


このポッドに入っているのが、武器が4種のうち1つ。

最高級品の回復アイテムか、そのワンランク下の回復アイテムが1つ。

防具が最高級品のヘルメット、又は防弾ベストがどちらか1つ。


そして最後。低確率で入っている『神の目』というスコープだ。


これは射線が通っている限り、どんな敵でもエイムを合わせることの出来る、公式チートアイテムだ。



『インドラとかクソ過ぎんだろ。しかもゴッダイとか......アイツ、上半期の運全部使ったな』


「わかりゅ。とりあえず頭抜こうか。ピギー行けゆ?」


『無理。アイツ宇宙服ヘルメだもん。やり切れない』


「りょ。なら俺がやる」



宇宙服ヘルメとは、補給物資であるサプライポッドに入っている、最高級品ヘルメットの事だ。

見た目が完全に宇宙服のヘルメットな事から、そう呼ばれている。


ちなみに、サナとインドラ以外のヘッドショットを耐える、化け物性能となっている。



「位置出せる?」


『無理。顔出したら死ぬ。さっきみたいにコッキングしてなきゃ100パー無理』


『僕も。ドール貫通するし怖すぎて無理』


『俺もだな。ゴッダイインドラは流石にキビい』



ゴッダイは『神の目』を『ゴッドアイ』に変換し、それを縮めた略称だ。



「ったく、しゃねぇなぁ。この天使様が直々に見てきてやるよ。ついでに頭ぶち抜いてくるわ」



『『『逝ってこい!!!』』』



「任せなベイビー」



そう言って木の影からちょっとだけ体を出した瞬間──



ドゴォォ!!!!!



右腕にインドラが命中し、マイライトアームがぶっ飛んで行った。



「ンヒィィ無理ぃ!インドラ(かす)っただけでHP8割持ってかれたぁ!!!」


『乙。死ななかったって事は手に当たったか?』


「Yeah! 右腕ガ吹き飛びましたネ!」


『アルの利き腕じゃん。どうする?流石にヤバいよ?』


「いや......やる。まだ左手は生きてるからな」



インドラ......ポッドの4種の神器である、ハンドガンの『ゼウス』ショットガンの『ヘラ』アサルトライフルの『ヴリトラ』そしてスナイパーライフルの『インドラ』


インドラはボルトアクション方式のライフルで、

装弾数は5、威力は生身の胴体なら一撃、最低品質の防弾ベストでも一撃という化け物威力。

弾はポッドからしか入手不可の、30発の特殊マグナム弾。

スコープは好きな物が付けられ、アイアンサイトも見やすい神仕様だ。


それに公式チートアイテムの神の目が付いているだと?



「いいじゃん......萌えるねぇ!燃えるねぇ!」


『お前も大概戦闘狂だよな』


鏖殺(おうさつ)天使、アルテミス』


『それいいね!ピギーセンスある!これからアルは鏖殺天使だ!』



コイツら......俺の名前で遊びやがって......でもセンスが有るのは認めよう。


いや、寧ろ気に入った。


化け物呼ばわりされるより、『鏖殺天使だ!』って呼ばれた方がマシだからな。



「じゃあ録画するか。後で運営に送り付けようか、アテナが」


『俺かよ!......で?タイトルは?』


「『鏖殺天使、神の目インドラにサナ・エクシトゥムで勝利したwww』だな。昔の動画っぽく、草を3つ生やそう」


『おk。なら後でデータくれ。編集して送るわ』



俺は録画を開始した。

これなら俺の視点からの映像と、試合後のリプレイ映像の2つの視点から試合をチェック出来る。


FSの動画配信者は、皆2つの映像を組み合わせてキル動画を作成している。



「頼んだ。公式クリップに採用されたらユアストでお前らに武器作ったるわ」



『『『マジで!?』』』



「あぁ。こういうのがあった方が盛り上がるだろ?」


『アル、アンタは最高だよ....!』


『私達の、日本の希望だ......!』


『アルしか勝たん!』


「まぁ、採用されなかったらナシだからな。とりあえず、やれるだけやる」



『『『頑張れ!!!!!!』』』



コイツら......ったく、じゃあねぇなぁ。べ、別にアンタのために作るんじゃないんだからね!


ば、罰ゲームだから!勘違いしないでよね!!

公式が鏖殺天使を認めた時の罰ゲームなんだから!



そんなツンデレ思考と共に、どうやってアイツを倒すか考えた。



失った右腕、全快したHP。方向的には街からの狙撃。

距離は不明、だがやるしかない。



そうだ。弾丸と弾丸をぶつけたらいいんじゃね?



「なぁ、誰か弾丸と弾丸がぶつかった時の反応知らね?」


『待ってろ、今試す............マジかよ!?』


「どうだった?」




『消滅した。両方の弾丸が、綺麗に弾けて消えた』




ビンゴ。だけどまだ足りない。



「それは同じ弾でだろ?違う弾ならどっちが勝つ?」


『アル、消えたよ。今7ミリと9ミリ弾をぶつけたけど、どっちも消えた』


「ナイス翔。それが聞きたかった。じゃあ俺、やるわ」


『......マジで言ってんのか?』


「あたぼ〜よ。世界6位、日本1位を舐めんなよ?」


『いくらボルトアクションじゃないからって、マジでやる気なの?流石に私も正気を疑うんだけど......』


「サナを信じろ。ピギーくらいの砂使いなら、サナを信じてやれ」


『アル、失敗した時のことは?まさか僕に丸投げ?』


「そうだぞ。俺の死体から5ミリを回収して戦え。あと使いたかったらサナも使ってくれ」


『......まぁ、成功する事を祈ってるよ』



今回ばかりはガチの賭けだ。ソシャゲの新キャラ排出率1パーセントのガチャ?え?0.005パーセント?

ぬるいぬるい、こちとら天文学的な確率に挑むんだ。格が違う。



でもな、運も実力の内。FPSにおいて『運=実力』でもある。



常人がやって天文学的な確率......なら化け物が、『鏖殺天使』がやれば?



きっと、天文学的に低い確率から、一気に現実的な確率になるだろう。




「俺は......やれる......よし、やるぞ」



相手の位置は、経験と勘によりビルの屋上と推定する。

これが間違ってたら、まず俺は死ぬ。

だけど当たっていたら、今度は相手の射線を読む。


ほんの1ミリメートルでもズレれば、その瞬間に俺は死ぬ。


最後にサナを2連射した時に、ヘッドショットじゃ無ければ次弾で俺は死ぬ。



チャンスは1度だ。楽しんで行こう。



「ふぅ................ゴー!」



木から出てサナを左手で構える、そして0.8秒待ち、経験と勘による判断で3番目に高いビルの屋上にエイムを合わせる。


そして0.18秒後、2回引き金を引く!



ババンッ!!!!



「ピギー、確認を」



一言そう言い、俺は地面の草に寝転がった。






『......死んでる......アイツ、死んでる!!!』






その言葉を聞いた瞬間、とてつもない達成感に包まれた。




「ッシャァァァ!!!!俺の勝ちだぁ!!!!!!」




そう叫ぶと、3人が俺の所へやって来た。



「やりやがった......マジでやりやがったよコイツ......」


「これ、逆に運営が公式で出さなかったらヤバいよね!」


「うん。今のは大会優勝とか、そんな事と比にならない、歴史的瞬間だからね」


「やったぁぁぁ!!!!やったよぉ!!!!!」



嬉しい、楽しい、最高だ!!!あぁ、このゲームをやっていて良かった!このゲームを楽しんでいて良かった!


このゲームが、好きで良かった!!!



「じゃあラスト9人、オールキルするぞ。アル、立て」


「うん!!!」



よし、ここからは街での戦いになりそうだし、気を引き締めていこう。




そうして俺達は街に向かい、最終的に残りの敵全てをキルする事が出来た。



◇--------------------------------------------------------◇

YOUR WINNER!!! おめでとう!


【アルテミス】«MVP»23kill

━━━━━━━━━━━━━━━

【4thenA】8kill

━━━━━━━━━━━━━━━

【Piggy】8kill

━━━━━━━━━━━━━━━

【翔タイム】6kill

━━━━━━━━━━━━━━━


上記の者がバトルロイヤルで優勝した!

◇--------------------------------------------------------◇




「やっちまったな、俺。神プレイを録画した上に、ウィンナーも取れた」


「今回のお前は確実に『鏖殺天使』だった」


「うんうん。最っ高に可愛くて、最っ強に強かった!」


「最早1周回って化け物に帰っていたね。今回の事全てを動画にするなら、タイトルは正に、『その天使、化け物につき』って感じだね」



試合後、広場に転送される前に雑談をした。



「いやぁ、このゲームやってて良かった。次の公式大会とかあるなら、一緒に出ようぜ?」


「そうだな。ストレリチアを抜けてでも、お前らと一緒に出たいな」


「私も出る!ニヒルの2連覇、成し遂げたい!」


「いいね。僕の通り名がまた有名になるのは、少し楽しみだよ」



次の公式大会、いつだろうな?また賞金も9桁か10桁は出るだろうし、お金稼ぎ的にもやりたい。


いや違うな。このゲームをもっと『楽しむ為に』、大会で勝ちたい。




そう思い、決意を固めてると、俺達は広場に転送された。




「......っし、アテナ、今の試合の俺視点、送っといたぞ」


「ん。受け取った。じゃあ後でリプレイと一緒に編集して、YouBrownと運営に送っとくわ」


「おう!任せたぞ、ベストフレンド」


「任されたぞ、ベストフレンド」



俺とアテナは固く握手をした。



「絵面ヤバいよ?幼女とガチムチの男の握手とか、犯罪の臭いがするんだけど」


「確かに。でもこれの面白い所って、ガチムチの男より幼女の方が強いとこだよね」


「そうだね。翔の言う通りだね!」



そんな2人の会話が耳に入ってきたが、気にしない。



「じゃあ満足したし、俺は落ちるわ。ユアストで俺ん家に来たら武器作ってやるから、公式動画のチェックは忘れずにな」


「「「了解」」」


「じゃあな。お疲れ様」


「乙〜」


「お疲れ!」


「楽しかったよ。お疲れ様」




そうして俺はFSからログアウトし、VRヘッドセットを外した。




「......そうか。確か陽菜にキスされた困惑から始めたんだっけか」



今になって、どうしてFSをやったのか思い出した。



「ファーストキス......だよな。なら、アレだ。アレしかない。いや、別にファーストキスとか関係ないけど、単なる理由の1つに過ぎないけど、でもいい。俺は決めた!」




父さん、母さん。俺、これからの人生を選ぶよ。見てて。




「陽菜と結婚する。それが俺の、これからの目標だ」




陽菜に助けられてから救われた俺の人生、全部陽菜にベットしようじゃないか。

辛い時に傍で支え、楽しい時は一緒に楽しむ。


そんな笑顔溢れる人生を、陽菜と一緒に過ごしたい。


これは俺の人生だ。高校を卒業する時、ちゃんと言おう。



それまでは、今までのような恋人関係でいよう。

最初から最後まで、ツッコミどころ満載でしたね。


そして月斗君の人生の第一目標が決まったようですね!


2人が幸せになる事を祈ります。頑張れ



では、次回『鏖殺天使、爆誕』お楽しみに!


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