その天使、化け物につき 前編
この日最後の更新です。前編で終わっちゃってごめんなさい!また明日、後編が出ますので、何卒お許しを.....!
( ´;ω;` )
「翔、俺の分のワイヤーやるわ。1本残してあとはお前にやる」
「あり。じゃあ僕の弾あげる。7ミリと5ミリ、どっちがいい?」
「5で。AR持ってるから」
「おk」
現在、他のプレイヤーがいない集落を二手に分かれて漁っている。
今回の作戦は、最初に物資を揃え、中盤あたりから一気に殲滅を開始する作戦だ。
作戦の要は俺とピギーのエイム力だ。アテナと翔はカバー要員だな。
「にしてもアルがSR持つとか、豚も焦りそうだよね」
「んな訳ないだろ。俺スコープねぇんだぞ。大体さ、このゲームにスコープの付けれねぇSRを追加するのがおかしい。なんでシモ・ヘイヘみたいな事をしなきゃならんのか......」
『全部聞こえてるよ?翔、頭消えたくなかったら黙りな?』
「スマソスマソ」
「軽いなぁ」
「そう言えばアル、体重はどうしたの?少女体重にしたの?」
「いや?前と変わらず71kgだ。だから体を動かす時の筋肉の動きが全く変わらん。最高ッピ!」
「へぇ〜、体重って筋肉と同期してるんだ。知らなかった」
「これは昔アテナに教えられたんだよ。アイツの体重、125kgの筋肉の塊だぞ」
「「ははははははは!!!」」
『どうも、筋肉の塊です。誠に遺憾ですが、SMGで幼女と青年を蜂の巣にしたいと思います』
「「すんませんっしたァァァ!!!」」
安定の雑談だ。ニヒルでやる時は、漁る時の雑談がメインとも言える。
例え大会であっても、俺達はワイワイガヤガヤと雑談をしていたぞ。
「あ、北西310メートル、2人走ってる」
「マジか。ピギー、抜けるか?」
『1人は。もう1人はアルがやって』
「アイアンサイトのSRで?......いいぜ、やってやろうじゃねぇか!!」
『「ふぁいと〜」』
カバー組は応援しか出来ないもんな。ちくせう。
......よし、まずは家の屋根に登り、目標を確認する。
「......南下してるのか。風は北向き、距離は360。いいね」
そろそろスコープ持ちのピギーから詳細が来るはずだ。
『先頭ARとSG、後ろSMG2丁。装備弱者』
「了解。俺が先に撃つから、後手よろ」
『は〜い。エイム合わせてるから、先どうぞ』
「ん」
相手は近、中距離しか戦えない。300メートルなんて距離はSR系統じゃないと無理だからな。
安心して殺れる。
「......ははっ......よし」
上がる口角をなんとか下ろし、エイムを敵に合わせた。
スコープ無しで約400メートル狙撃。どんな変態がこんな事をやるんだか......俺がやる。
バンッ!!!
俺の撃った弾丸は、見事に先頭の人間にヘッドショットし、ダウンを取った。
あとは後ろのやつもHPを0にすれば、あのパーティは終わるはずだ。
「ダウン。よろ」
パチッ!!
小さく弾ける様な音がしたと思ったら、後ろの人間も倒れ、同じパーティだった先頭の奴と一緒に死んでいった。
「ナイスヘッショ。完璧だな」
『そっちこそ。この距離サナで頭抜けるとか頭おかしいよ』
「ぶへへ」
『サナ』というのは、このスナイパーライフルの名前だ。
正式名称『サナ・エクシトゥム3014』
どんなヘルメットでも貫通する威力を誇り、装弾数は8、弾丸はまさかの5.56mm弾を使うスナイパーライフル。
アサルトライフルと同じ弾を使える性能故にか、この武器はスコープを装着する事が出来ない、超ピーキー性能なスナイパーライフルだ。
但し、スナイパーライフルの中で唯一、連射する事が可能な武器だ。
反動の癖がかなり強いが、俺が武器に合わせて制御してやれば、全く問題ない。寧ろ可愛いもんだ。
「じゃ、そろそろ移動しますかね。蹂躙といこうぜ?」
「主にアルが蹂躙するよね」
「まぁな。言うてアテナも前に出そうだけど」
『当たり前だ。後ろでじっとしてるなんて、俺の性格には合わん』
『「「知ってる」」』
『おう。だからこっちは1・1で動く。アルのとこだけ2で動け』
「うぃ〜っす。あ、そっち1人でも死んだら詫びドリンクな。俺ライムピーチで」
「じゃあ僕アルティメットレモンで」
『私はトロピカルサンダーで』
『え?俺死ぬ前提?お前ら酷くね?』
ピギーのやう、もう何味か分からないな。
多分フルーツ系なんだろうが、サンダーは何を意味してるのかが分からない。
強炭酸かな?
そんな雑談をしながら、次の戦闘エリアに入っている大きな街を目指した。
「ド〜はド〜ラゴン〜の〜ド〜♪レ〜はレベルのレ〜♪」
「何その歌」
「この前リルとメルが歌ってた。ミ〜はミ〜ンチ〜の〜ミ〜♪ファ〜はファ〇クのファ〜♪」
「クソだ。クソみたいな歌詞をしてる......それ、本当に君の子が歌ってたの?」
「ファは違う。このゲームに合わせたテイストで俺が改編した」
「なるほど。でも最悪だね。才能ないよ」
「アル、その姿でその歌はやめて?私の中のリルちゃんへのイメージが壊れるから」
「俺もだ。あの子がファ〇クとか言ってたら......この世を憎むかもしれん」
おっと、不評のようだ。流石にリルと同じ姿で歌うのは、綺麗な歌じゃないとダメそうだ。
「あぁ〜心がぴょんぴょんするん......敵だ。街の手前、検問所の左に3人」
「「「了解」」」
違う歌を歌おうと思ったら敵を発見した。
「アイツらは......サブマシンガン、ハンドガン......アサルト2本、スナイパーだね」
「短歌になってんぞ、ピギー」
「え?」
「え?」
わざと5・7・5・7・7にしてるのかと思ったけど、違ったようだ。
あぁ......ダメだ。やっぱり俺の思考回路がバグを起こしている。
陽菜よ、俺の頭を破壊するとは......やりおる。
今度は俺からぶっ壊してやろう。うへへへ
「何でもない。じゃあ殺ろうか」
「OK。アテナ、先に出てヘイト買って。翔はアルと一緒に動いて」
「「「了解!!!」」」
ピギーも指示が出せるようになってるな。昔とは大違いだ。
「じゃあ、行くゼェェェェ!!!」
アテナは離れた所で大声を上げ、そのまま敵の方へ突っ込んで行った。
「うるさ。ヘイト買うのに大声上げるやつがいるか?」
「「いるじゃん、あそこに」」
そんな会話を終え、俺は黙ってSRを構えてエイムを合わせた。
そして撃つ前にチラッとピギーを見てみると、わざわざサイレンサーを外してから構えていた。
......多分、俺の銃声に合わせる気なのだろう。
「......1」
ドバンッ!!!!
重く、響くような銃声が重なり、2つの弾丸は正面の敵の頭に吸い込まれていった。
『はははは!!終わりだァ!!!』
残った最後の1人をアテナが倒し、無事に正面のパーティは全滅した。
「ナイス。それと東で2パーティやり合ってるのと、後ろから車来た」
『遅れるから先に殺ってくれ』
「んよ。任せろ」
アテナに現状分かっている敵の位置を教え、俺は振り返ってARを構えた。
「じゃあ翔はワイヤーよろ。俺凸ってくるから」
「は〜い。殺しきれなかったら纏めて僕のキルポイントだね」
「はっ、戦場の天使舐めんな。......鏖だ」
最後にニヤッと笑い、俺は走り出した。
『天使怖い。僕、トラウマになっちゃう』
『ホントにね。しかも中身がアルだから余計に怖い!!』
『......はい、ワイヤー完了。アルちゃんガンバ〜』
「あぁ」
そして遠くから車が走ってきた。450メートル......射程圏内だ。
人数は6、武器は不明。強さも不明。
そして持ってるアイテムも不明。
だけど......大丈夫。
自分を信じ、仲間を信じれば絶対に勝てる。
「置きグレしとくか」
6秒後に爆発する手榴弾を、丁度車が6秒後に通過する位置に転がす事で、相手から勝手にグレネードを踏んでくれるという作戦だ。
カランカラン......
「ゴー」
車に近付きながらサナに持ち替え、一瞬だけアイアンサイトを覗き、射撃した。クイックショットと言うやつだな。
バンッ!!!
「運転手、ダウン」
2人に報告しながらARに持ち替える。この時点で王手だ。
他のプレイヤーが車を止めるか、時速100km以上の車から降りない限り、置きグレによって確実に全滅するからな。
ダダダダン!!ダダダン!!!
ARで確実にヘッドショットを狙い、2人ダウンさせる。
敵さんはここに来て、ようやく自分達が撃たれた事に気付いたようだ。
......もう遅い。チェックメイトだ。
「ハロー、敵さん。自分から地獄へ行くか、俺に地獄へ落とされるか、50%のガチャタイムだ」
俺はそう言ってスタングレネードを車に向かって投げた。
パンッ!!
「はははっ!全員目が潰れてらぁ!ははは!」
ダン!ダン!!
俺は笑いながら車のタイヤを割り、減速させた。
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「うぐっ......おい!誰か目を開けられるか!」
「無理だ......あと10秒は無理」
「私も。これ、どこから飛んできたの?」
「分からない!取り敢えず気を付けろ!」
ダダン!!ダダダン!!!
「「うがっ!......」」
「おいどうした!?おい!!」
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未だに目を開けられない最後の1人除き、合計5人をキルした。
そして完全に車が停止しても尚、まだ最後の1人は目を開けられないでいた。
相当綺麗にスタングレネードが決まったらしい。ラッキーだな。
カツ、カツ、カツ......
「誰だ!!」
俺の足音に最後の1人が気付いた。
「うゆ?どうしたの?お兄さん、大丈夫?」
「子、子供!?......すまねぇ、俺はまだ目を開けられないんだ」
おいコイツマジか?このゲーム、民間人とかいないんだから、仲間以外の声は絶対に敵なんだぞ?
......あぁ、noob(初心者)か。
「まってね!いまなおすから!!アイテムはあるよ!!!」
精一杯のロリボイスで男に言った。
「あ、あぁ、すまない。助かるよ」
そして男は座席に座り直した。もう、ダメだね。
「じゃあなおすね!......はははっ!」
「え?」
バンッ!!!
男の頭にサナを突きつけ、そのまま引き金を引いた。
「車は全滅させた。東はどうだ?」
『いやぁ......アルさぁ......』
『今のはエグいね。僕、これから美少女には気を付ける事にするよ』
『俺もだな。にしても最後のプレイヤー、キルシーンを見たらトラウマになるんじゃねぇか?』
『『なるね』』
そんな事は無いだろう。たまたま運が無かっただけだ。
「そうか?で?東はどうなったんだ?」
『私が横槍入れて、2人ダウンしてる......あ、今死んだね』
「失血か?」
『うん。救助が間に合わなかったみたい』
「OK。なら敵の方に走るわ。アテナ、ゴリラダッシュで先に行きな」
『あいよ』
残り48人、ここからはノンストップで蹂躙するぞ。
体重71kgの天使がいるらしいですね。凄い。
そしてアル君.....アルちゃんのエイムは、例え身長が縮んでも変わらないみたいです。これも凄い。
才能が無いと自分で言ってますが、ことゲームにおいての才能は素晴らしいものをもってますね!
では、次回も楽しんでください!