テストの結果と大きな進展
夏休みに入った初日、テストの結果がメールで通達された。
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月見里 月斗の2年中間テストの結果
数学:96/100
現代文:98/100
古典:78/100
世界史:92/100
英語:96/100
以上、合計点460点です。
頑張りましたね!素晴らしいです!
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「なぁ陽菜〜、テスト何点だった〜?」
「462点だよ〜」
「マジか。2点負けたわ」
俺達は昨日、晩御飯を食べた後に膝枕をさせてもらっていたら、そのまま2人して寝落ちしてしまったのだ。
そしてつい20分程前に起き、陽菜が朝ごはんを作ってくれている。
「満点の自信のある月斗君、どこでやらかしたの?」
「古典。多分漢字のミスだろうな......」
「あ〜......私も古典は80点で、結構やらかしてたね」
「80点でやらかすってのも変だけどな。俺達、普通に上位に入ってるぞ?」
「そういえばそうだったね!......はい、朝ごはん出来たよ〜」
「ありがとう陽菜」
「いいえ〜」
陽菜が作ってくれた朝ごはんは、完璧なまでの和食だった。
白米にお味噌汁、鮭の塩焼きにきんぴらごぼう、そしてだし巻き玉子だ。
「「いただきます」」
まずはお味噌汁から頂いた。
「あ〜美味しい。これは毎日飲みたくなる......」
「ぶふぉ!!!げほっ、ごほっ!」
「だ、大丈夫か陽菜!?」
陽菜が盛大に味噌汁を吹いた。大丈夫かな。
「げほっ!......ふぅ、ふぅ......月斗君、今の言葉......」
「ん?」
机を布巾で拭いていたら、陽菜がさっきの言葉と言った。
さっきの......言葉?なんだろ、古典の点数か?
「古典の話?」
「じゃ、じゃなくて!お味噌汁の方!」
「お味噌汁?......まぁ、美味しいぞ」
ワカメと麸の入った、鰹出汁の効いた美味しい味噌汁だ。
これは結構お気に入りの味だ。それこそ、毎日飲みたいくらいに。
「そうじゃなくて!プ、ププ......」
「ププ?」
「プ、プロポーズなの!?」
なんかとんでもない事言い出したぞ陽菜。
一体、どこをどう捉えたらプロポーズになるんだ?
「えぇ?俺、プロポーズするならストレートに言うぞ?」
「えっ......え?」
「あっ......な、なんでもない......」
月斗、盛大に自爆!!!
これは何とも愚かな事でしょう!!!
自分で気付かぬ内に地雷をばら撒き、そしてそのまま地雷原に腹から飛び込んだではありませんか!!!
彼は勇者だ!愚者であり、勇者でもある!!!
「あ、あははー。だし巻きもオイシイナー」
「か、顔......真っ赤だよ?」
「そそそそ、そう言う陽菜こそ、顔がルビーより赤いぞ?」
これは......2人して死体を蹴り合っているのではないだろうか。
もう既に『恥ずか死』している2人の死体を、俺達はお互いに蹴っているのではないだろうか。
そして時は流れ、気付いたら完食していた。
「「ご、ごちそうさまでした」」
やばいぞ。緊張が全然解れない。寧ろ、陽菜を見る度に緊張が増していく。
あぁ、心臓がうるさい。体が熱い。今ならファイブレスが吐けそうだ。
「あは、あはは......呼吸が苦しいね」
「......だな。恋人とは、かなり体にダメージが入る物なんだな......」
「恋人以上になれば、解消されそうだけどね......あっ」
陽菜、盛大に自爆!!!
自分で気付かn(ry
「と、とりあえずソファでゆっくりしててくれ。俺は洗い物をして精神統一を図る」
「わ、私もやる!!!」
「なら2人でやろう。そうすれば完璧だ」
2人で洗い物をする事で、俺の精神統一と陽菜の精神統一も出来る、正に一石二鳥だ。
そして2人で洗い物をして気付いた。
これ、明らかなに恋人のライン越えてるわ、と。
よくよく考えてみたんだ。テレビやマンガとかで見る恋人って、朝ごはんはそれぞれの家で摂るし、昼ごはんを一緒に食べるにしても、外食じゃないか?と。
それに夜はレストランでディナーってイメージだし、そう考えると俺達は恋人ってより、家族の様な気がしてきた。
そして俺は気付いたのだ。いや、気付いてしまったのだ。
「そうか......陽菜は家族だったんだ」と。
家族と思えば一緒に朝ごはんを食べてもおかしくないし、一緒に洗い物をしても何ら変ではない。
昼も同じご飯を食べても、な〜んにもおかしくない。
夜ごはんなんて、その最たる物だ。同じ家にいるのなら、一緒に食べない方がおかしいだろう。
「そうだ。陽菜は家族だったんだ」
俺、もしや天才なのでは?
これはかの、アインシュタインやトーマス・エジソンにも勝るとも劣らない、天才的な閃きだと思う。
いや、トーマス・エジソンは努力する天才のタイプだったな。ならこの場合、ニコラ・テスラが正しいかな。
そうして洗い物が終わり、俺は完全な精神統一が完了した。
「じゃあ陽菜、帰......どうした?」
陽菜がじっと俺を見つめてきた。
いやん、照れちゃう....../// なんつってな。
「月斗君」
「はい」
なんだこれ。めちゃくちゃ真剣な声で言ってきたぞ。
思わず「はい」って、師匠に言うように答えてしまった。
「私は月斗君の事が大好きです」
「は、はい。存じ上げております」
「いや、足りないよ。月斗君の想像の10倍は好きって気持ちが大きいからね」
「お、おぉ......嬉しい限りでございます」
これはキッチンで話す事なのか?......まぁ、嬉しいからいいんだけどさ。
「寧ろ、愛してると言っても過言ではないでしょう」
「あ、ありがとう存じます」
きゅ、急に告白っすかパイセン。俺、心の準備が......あっ
「そんな月斗君にはこれをあげます」
「な、なんで御座いましょう?」
「こっちに来て......?」
そう言って陽菜は手を招いたので、俺は陽菜に近寄った。
「受け取ってね?」
そう言って陽菜は、キスをしてきた。
「ん?......ん!?」
気付いた。これ、唇と唇がごっつんこしている。
今までの頬っぺにちゅ〜ではなく、完全なキスというやつだ。
「ふふ......どう?私の気持ち、伝わった?」
「そ、それはもう......バッチリ」
「じゃ、じゃあ私は帰るね!これ以上ここにいたら、月斗君を襲っちゃうかもしれないから!!」
「あ、はい」
「じゃあね!バイバイ!また来るね!!」
「お、おう。また来てくれ。気を付けて」
「うん!」
そう言って、陽菜は物凄いスピードで帰って行った。
「......」
まだ、状況が掴めない。
俺は何故、キスをされたのだろうか。
陽菜が俺の事が好きだから?......それは知ってる。
何故、頬っぺではなく完全に唇だったのだろうか。
「うん。今の俺、まともな思考回路をしていないな」
ちょっと、おかしい。いや、かなりおかしい。
それが自覚出来るくらいには、今の俺は緊張しているのだろう。
「緊張?なんで緊張してんだ?俺は洗い物で緊張を解し、精神統一をしたはずだ」
陽菜にキスをされてから緊張したのか?
「いや違う。プロポーズのくだりから緊張していた」
では洗い物での精神統一は何処へ?
「精神統一は出来ていた......のでは無く、根元が歪んでる上で、俺は精神統一をしていた?」
本来は心の根っこから先までを統一するのに対し、俺は歪んだ根元の、数メートルから上を精神統一したんじゃないか?
「なるほど。そう考えると納得がいく。でも何故、今もこんなに心臓がうるさいんだ?陽菜はもう帰ったぞ?」
これも違うな。
今『キスをされたと理解した』んだろう。多分。
だから、その分が今になってやって来たのかな?
「は、ははは......ダメだ。思考が纏まらん」
こういう時は、一旦ゲームをして落ち着こう。
「ユアストは......ダメだ。ソルに会ったらドギマギしてまともに話せないだろう」
なら、こういう時はアレだ。アレをやろう。
『アルテミス』
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『ニヒルのメンバーへ
ちょっと4人で暴れない?主に俺の気持ちの発散で。
バトロワがつまらなかったら適当な配信者の試合に参加するか、タイマン若しくは1v3をやろう』
これだけで皆には伝わるだろう。
『Piggy』
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『秒で行く』
『翔タイム』
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『もはやing』
『4thenA』
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『お前待ちって話する?』
「......ははっ、いいねぇ」
『アルテミス』
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『すまん。今行く。リーダーアテナで』
「無言は肯定、と。......さぁ、ちょっと気持ちの整理するか」
まぁ、気持ちの整理という名の、ただの殺戮だけどな。
そしてヘッドセット内のソフトを入れ替え、ベットに寝転がり、装着した。
「ゲームスタート」
月斗君、思考に呑まれすぎて、思いっきり口に出ちゃってますね.....
そして『大きな進展』.....小さいようで、本当に大きかった.....!!
では次回、『消しちゃうぞ☆』です!お楽しみに!
(^・ェ・^)誤字報告、いつも助かってます!!