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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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守るとは、殺すという事

思いは重く、気持ちは軽く。





「これより!語り人『ルナ』VS、語り人『ジル』の決闘を開始する。構え!」



闘技場を借り、あのクソ男と共に決闘を申し込んだ。



闘技場の内部は以外にも狭く、観戦席が大半を占めるような構造となっていた。



そしてその観戦席には、ソルとリル、メル。そしてラキハピさんが見ているが、他の席もほぼ満員にまでなったいた。


どうやら、ラキハピさんの配信を見てやって来たらしい。



「ジル......君はそんな名前だったんだね」


「だから何だよ?ここでお前を殺す!!」



何でそんなに殺意に満ち溢れているんだよ。

狙った女に彼氏がいただけだろ?それの何がおかしいんだよ。


それに、彼女が欲しいならゲームじゃなくて、リアルで自分磨きをしろよ。





「始め!!!」






「ほら、早く来なよ」


「黙れ!!『ファイアウォール』!!」



お、まず壁を作ったか。この子、意外にも頭が回る?



パチン!パキパキ......



クロノスクラビスにより、ファイアウォールは氷の粒となって消えた。



「んなっ!?『アイスニードル』!」



パチン!ポトッ......



切り返しで放ったアイスニードルも、クロノスクラビスによって空中で停止し、そのまま地面に落っこちた。



「はぁ......君にはガッカリだよ。ソルが欲しいんだったら俺より強い人じゃないと。

......そんなんじゃソルが守れないだろう?」


「うるせぇ!!」



お、どうやら剣で攻撃を仕掛けてくるようだが......後ろに隠している短剣を、俺は知ってるぞ?



......何せ、毒が塗られているからな。



「ふっ!死ねぇ!」



予想通り、途中で歩みを止めて短剣を投げてきた。



「『フラカン』......ふ〜ん?これもアダチェウス製の短剣かな?『斬』」



飛んで来た短剣を魔法でキャッチし、布都御魂剣を抜刀した。



スパン!!カランカラン......



「はっ、脆いなぁ。こんなんで刺そうと思ったの?ねぇジル君。君、こんな脆い短剣で俺を殺そうとしたの?......笑わせんなよ?」



せめて『不壊』は付いてないと、布都御魂剣で簡単に斬れちゃうぞ?



「うっ、クソっ!『フレアボム』!!」


「弱いよそれ。『戦神』『ファイアウォール』」



ジル君の飛ばしてきた炎の爆弾は、綺麗に俺のファイアウォールに吸い込まれて消えてった。



「なっ!?」


「ほらぁ、次の手はぁ?もっと強い魔法がぁ、ぼくは見たいなぁ?」


「くっ......」



めっちゃ歯軋りしてる。そんな事をしてると歯が削れるぞ?

もっと自分をいたわりなさい。



「はぁ......つまんなくなってきたな。フーとシリカはどう思う?」


『元からこの男がつまらないです』


『うんうん!お兄さんから狐ちゃんを取ろうとしただけでもバカなのに、お兄さんを殺そうとしたのもバカだよね!!あはは!!!』


「良かったなジル君。シリカにはウケたぞ」


「うるせぇ!!!!」



つまらないな。

何せ、『うるせぇ!』『死ね!』しか言わないもん。

FSプレイヤーの掛け声的なのは、もっと凄かったぞ?


『あれれ〜?君の弾、僕に当たらないねぇ?でも、僕の弾は君に当たるねぇ?』


とか


『いや〜ごめんごめん。君、全然動かないから頭当てちゃった☆てへぺろッ!』


って、頑張って弾を避けてるプレイヤーをめちゃくちゃに煽りながら撃ってくる奴もいるぞ?



ユアストでも、もっとセンスのある掛け声を聞きたいものだ。



「ま、もういいや。『蔦よ』」


「ふんっ!」


「おっ」



おや、俺の蔦ちゃんを斬ったか。まだ冷静なのかな?



「じゃあこんなのはどう?」



俺は布都御魂剣を納刀して、空いた左手で行動詠唱の設定をし、右手でそれぞれのアクションをした。


親指を立てたり、握り拳を作ったり、そんなアクションを。



すると、どこからともなく、大量の蔦と茨がジル君に襲いかかった。



「嘘っ!」



ん?最後『クソっ!』って言ったのか?よく聞こえなかった。



「あ〜あ。綺麗な緑のボールになっちゃってまぁ......」



今、この緑の球体の中で茨ちゃんによってジワジワとHPが削れている事だろう。



「さ、これの出番だな」



俺は『龍神魔法』のスキル書を取り出し、使用した。


━━━━━━━━━━━━━━━

『龍神魔法』を習得しました。


『龍魔法』が進化しました。

━━━━━━━━━━━━━━━



うむうむ。ちゃんと進化のログも出るようになったね。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

プレイヤー『ルナ』が『魔級』の魔法を習得しました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「お、ワールドアナウンスが出ちゃった。ってか魔級なのな」



初めての最高位魔法だ。メル、ありがとう。



「じゃあこの、あらかじめ貰っておいた魔法陣を見て......と」



どこかのタイミングで龍神魔法を覚えた時の為に、事前にメルに魔法陣を書いてもらっていたのだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『インフェルノブレス』を習得しました。

『グレイシア』を習得しました。

『テンペスト』を習得しました。

『滅光』を習得しました。

終焉開始(おわりのはじまり)』を習得しました。

終焉終了(おわりのおわり)』を習得しました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━



消費MPはそれぞれ上から、6000、6000、5000、1万、10万、30万となっている。



感情強化によって増えたMPを考えて、滅光までが使えるな。


ソル、大好きだぞ。



「じゃあやるか。『戦神』......そして本邦初公開、『グレイシア』です!!」



もう懐かしく感じる、俺の足を持って行った魔法だ。



バキバギバキ......バキン!!



凄まじい勢いでリングが凍りつき、ジル君のいるはずの緑のボールは、蔦がそのまんま凍った様な、美しいアートに変わっていた。



「ふぉぉぉ!!!めっちゃ綺麗だな!」


『これは美しいですね!』


『アレに薔薇が生えてたら、もっと綺麗になるね!』


「氷の薔薇か......それは確かに綺麗だな」



シリカ、君の美術センスは最高だ。尊敬する。



「ではここで、蔦ちゃん達を解除してみましょう」



パチン!



指を弾くと同時に、蔦ちゃんと茨ちゃんを解除した。



「う......うぅ......って何だよこれ......」



分厚い氷の丸い部屋に閉じ込められた、囚われのジル君が完成した。



「ほらほら〜、今回復してあげまちゅからにぇ〜『戦神』『エリアヒール』......さらにぃ、『リジェネレーション』!!」



INT爆上げからの範囲回復、その上に持続回復効果をジル君に掛けた。



「さぁジル君。元気になったところでそこから脱出しよっか。ほら、立って立って!その脆く、弱く、製作者の愛を踏みにじった剣で、この氷を砕いてぇぇ!」



あの剣の耐久値を見た瞬間、『小春』という人が可哀想に思った。

小春さんが作った剣を、コイツはメンテナンスもせず、乱暴に扱い、高い耐久値を半分近くまで減らして放置していた。


そりゃああの剣も脆くなるだろう。弱くなるだろう。

武器に対し、真摯に接しない奴の剣なんて、木の枝よりも弱い。



ガン!ガン!......ガキン!!



「あれれぇ?全然壊れないねぇ?ほら、もっと力を入れて?ほら、ワン、ツー!ワン、ツー!」


「うるせぇぇぇぇ!!!!!」


「ぼくちゃんの為に、チアダンスを踊ってあげようか?まぁ俺、1度もチアダンスを見たことないんだけど」


『ぷぷっ......ならどうしてチアダンスを......ぷぷぷ』



こういうのはノリと勢いなんだよ。察せ。



ガン!ガン!



「はぁ......それ以上やると、その剣が折れるぞ?」


「黙れ!!」



ガン!ガン!



俺が忠告しても尚、ジル君は氷に剣を突き刺した。



「チッ......『クロノスクラビス』グレイシア、解除」


「んなっ!?動けねぇ!!」



ジル君を拘束し、グレイシアを解除した。



「この剣は貰うぞ?......ほら、もう耐久値が15しかないじゃないか。これは俺が責任をもって修理し、製作者である小春さんの元へ返そう」


「んなっ!?それは俺の剣だ!!」


「そうか?でもこの剣は、君を主と認めて無いみたいだよ?」



この剣を改めて手に取り、よ〜く確認してみると、なんと付喪神が宿っていたのだ。



『そこのお主!助けてくれてありがとうなのじゃ!』



剣からお姉さんの声が聞こえてきた。



「どういたしまして?かな。知らんけど」


『おや?その声は狐子(ここ)さんの声じゃないですか?』


『あ〜!シリカ知ってる!10年くらい前に神になった下級神の子だよね?』


『ですです。狐子さ〜ん、お久しぶりです〜』



どうやらフーとシリカの知り合いだったようだ。後輩かな?



『あぁ......もしかして、イシス様とアレス様でございますか?』


『はい!』


『本当に付喪神になられて......という事はこの人間......』


『そうですよ。私とシリカさんのご主人様である、ルナさんです!』


「何言ってんだよ......そんな大層なもんじゃないんだし......」



わざわざご主人様だなんて言わんでええわ!



『ルナ様......先程の無礼な言葉、お許しください』


「なんで俺は付喪神に謝られてんだよ。寧ろアイツから奪った側だぞ?」



マズイ、情報量が多くなってきたぞ。俺の頭が限界を迎えそうだ!



『いえ、あのイシス様が付喪神になろうとする方には最大限の敬意を、と思いまして......そしてそこの男は、我が友である『小春』から、この剣を奪った男です......』



飲み込め、頑張って情報を飲み込め俺ェ!!!



「へぇ......盗品か。これは益々小春さんに返さないといけなくなったなぁ?」


「ち、違う!!俺は小春から貰ったんだ!!」


『否です。彼奴(あやつ)は小春から私を奪い取り、私で小春を刺し殺した後、逃走しました......』


「お前......マジで終わってんな」



強盗殺人か......クソの極みだな、ジル。



「付喪神さん、君の今の名前はなんだ?」


『わ、私ですか?私は......『小夜(さよ)』という名前を小春から頂戴しました』


「小夜さんね。分かった。俺が君を小春さんの元へ返そう。それまでは俺が持つが、我慢してくれ」



俺は剣に軽く頭を下げ、お願いした。



『そ、そんな!頭を上げてください!助けて頂いた上に、小春の元へ返してくれるなんて......私......嬉しくて、涙が止まりません......』



小夜さんは元々、小春さんの付喪神だ。

少しの間でさえ、俺が持つのも申し訳なくなる。



「じゃあインベントリで待っていてくれ。ちゃんと修理した後、小春さんを探して送るから」


『はい......ありがとう、ございます......』



そう言って俺は『アダチェストソード』をインベントリに仕舞った。



『はぁ......付喪神に優しすぎませんか?』


『ホントにね!シリカ、結構驚いたよ?』


いや、死にかけなのよ?あのアダチェストソード。


「あの子の耐久値の減り方的に、あの子に対する扱いの酷さや、小春さんが小夜さんに対して、どれ程の思いかを知ったからな。

せめてもの礼儀だ、これは」


『はぁぁぁぁ......こんな人に愛されるなんて、ソルさんが羨ましいですねぇぇ!!!』



ふふ、そう言って貰えて嬉しいぞ。



「じゃあ、早く終わらせようか。おいお前、死ぬ覚悟は出来てるな?」



ここまで結構痛めつけたし、もう終わらせよう。



それで、さっさと小春さんの元へ小夜さんを送ろう。



「最後だ......何も出来ず、死ぬ恐怖を味わうといい。『アクアスフィア』『クロノスクラビス』」



男の首から下をアクアスフィアで包み、クロノスクラビスで凍らせた。



「じゃあな、人間の屑。これからは真っ当に生き、人には真摯な態度を取り、1度ゲームから離れるといい。『斬』」



男の首を斬った。



「そこまで!!!勝者『ルナ』!!!!」



『オォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!』



武術大会と同じか、それ以上の歓声が上がった。



「さ、帰るか。ラキハピさんには、もう解散するように言おう」


『そうですね!そうしましょう!』


『お疲れ様、お兄さん!』


「あぁ。2人ともごめん。それとありがとう」


『『えへへ〜』』



あんな奴との戦いに2人を使った事、申し訳なく思う。




そして闘技場を出ると、ラキハピさん達と合流した。




「ルナさん!今日はありがとうございました!」


「あ、あぁ、はい。最後は胸糞展開になっちゃいまして、すみません」


「いえいえ!あの男も倒してくれましたし、何よりルナさんのソルさんへの想いが、とっても強く分かりました!」



なんか......実の父親に言われると恥ずかしいな。



「まぁ、これでソルへ手を出す輩が減ることを祈ってます」


「そうですね!ソルさんも、こんなに強い彼氏さんに守られて羨ましいですね!」


「えへへ、ルナ君は私の光ですから!」



おい、それは後から悶えるヤツだぞ。言葉は慎重に選びなさい。



「ふふふっ、では!今日の配信はここまでです!皆さん、ご視聴ありがとうございました!」


「「ました〜!」」



って言ってもな?今挨拶をしたリスナーの何十人か、俺達の周りにいるんだわ。




「じゃあね!ルナさん!!!」



そう言ってラキハピさんはログアウトした。




「ルナさん!さっきの戦闘見ました!!凄かったです!!」

「俺もあんな風に戦いたいです!!!」

「終盤、誰と話してたんですか?気になります!」




「すまん!『フラカン』」




俺はソルとリル、メルを空に飛ばし、質問責めを回避した。




「はぁ......帰るぞ〜」


「「「お〜!!!」」」


『『お〜!!』』





そうして俺達は、王都ロークスへ......家へ帰った。

どう見ても放送事故ですありがとうございます。

でも、これでソルちゃんに手を出す人はいなくなるでしょうね。


何せこのラキハピさんの放送、同接250万人を超えてましたから.....


炎上というより、急上昇に載った感じですね。多分。



他にも色々語りたいですが、グッと堪えます。

では次回、『修理・テスト・夏休み!』です!お楽しみに!

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