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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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まぁ、楽しもうや

ぽりすめん

わたしはなにも

やっていない

ただそのひとが

わたしをよんだの


柑橘飴




「はいルナ君、85点です。ピーちゃんは70点」


「負けた......!勉強でもルナに負けた......!!!」


「ピギー、考え方を変えてみるんだ。『勉強でさえアイツは強いんだ』と......」


「クッソ腹立つぅぅ!!!」


「こらこら。煽らないの〜」



現在、3人で仲良くお勉強中だ。数学の点数で簡単な勝負をしたところ、10点差で勝った。



「にしても何でそんなレベルのゲーマーがちゃんと数学とか出来てるの?私の周りの高校生ゲーマーって、通信制の高校とか、全日制でも赤点ギリギリの子が殆どだったよ?」


「そりゃあ、今の学校に通い続けたいからな。FSを始める前からあの学校に行きたかったし、普通に勉強くらいしてるさ」



それに今は、陽菜と一緒にいる為にも頑張りたいのだ。

勉強が出来なくて実家に帰りました、なんて、俺はショックで病気になる気がするぞ。



「でもルナ君、勉強をちゃんとし始めたのは最近だよね?」


「そうだな。それまでは復習くらいか?授業をちゃんと聞いて覚えれば平均点は取れるし、テストだって事前に独自の覚え方で要点を押さえとけば、もう少し上は取れるからな」


「何それ〜ズルい〜!」


「砂使いが計算出来なくてどうすんだよ」


「私は直感タイプだから」


「その直感をより信じれるように勉強するんだよ。俺だって基本は感覚でやっている」


「正論パンチを喰らった私の気持ち、誰か理解者はいないのかね?」


「「「「いないね / いませんね」」」」



リビングに居る全員から否定されたな。



「くっ!やはりこの世界も私に厳しい!」


「でもルナ君、ピーちゃんのこの点数はもう少し上げれそうじゃない?」


「ソルちゃん......頼む!」



ソルじゃなくて俺に言えよ。



「ん?1つ案はあるぞ」


「本当ですか!?ルナ先生、是非ともワタクシにご教示を賜りたく......!!」




「まぁ、楽しもうや」




これだ。これが何事においても重要な事だ。



「あ、あの......案は?」


「だから『楽しめ』って。ゲームが楽しいのと同じように、勉強も楽しむんだよ。

知識が増えることを楽しむ。

本をめくる事を楽しむ。

紙に書くことを楽しむ。......何だっていい。

勉強に繋がる1つのアクションを楽しめばいい」


「楽しむ......か」


「あぁ。『好きこそ物の上手なれ』という諺があるように、この世界......俺達の人生は楽しんだ者が上に立つんだよ。大事なのは楽しむ心と向上心。それと少しの勇気だ」



『少しの勇気』これが1番大事だ。ピギーも分かっているだろう。


初めて配信する時にも勇気が必要だろう。

初めて戦うモンスターにも勇気が必要だろう。

初めて出会う人に話すのに、勇気が必要だろう。


何を成すにも、勇気が必要なんだ。



「......なるほど、世界6位はやっぱ違うね。ありがとうルナ。参考に......というより、まんま試してみるよ」


「好きにしな。これは飽くまで俺の考え方だからな」


「うん!改めてありがとね!」



これでいいかな?人に教えるのって得意じゃないから、ちゃんと伝えられてるか心配だ。



「むむぅ......ルナ君、私にも教えて?」


「今言った事が出来てる奴が何を言うんだか......ってかソルは成績どれくらいなんだ?」


「オール4」


「なら問題ないんじゃ「いや〜!私もルナ君に教えてもらうの〜!」......はいはい」



俺より賢いくせに、全く......可愛いな!好き!!




そうして暫く勉強し、ピギーも一緒にお昼ご飯を食べ、午後に入った。




「ん〜!!私、休憩がてらにスローターしてこよっかな」


「行ってら」


「ルナとソルちゃんはどうする?一緒に行く?」


「私も行く!ルナ君はどうする?」


「俺は行かない......というより行けない」


「行けない?なんでまた?」


「ステータス的に、2人に追いつけんからな」


「はい?あれだけ空飛んでポンポン魔法撃ってんのにステータスが足りないの?それに、別にそんなに難しいとこには行かないよ?」



ちゃうねん。



「今の俺、文字通り最弱だから。全ステータス10しかないぞ?」


「は?」


「あ〜、そういえば言ってなかったね」



伝え忘れていたな。ミスミス。



「ど、どいうこと!?今までそんなステータスで戦ってたの!?」


「違ぇよ。2度目の限界突破したらステータスが落ちたんだよ。それにまだレベル1だからな」


「じゃ、じゃあ貯めてた分のSPとか無いの?それ使って上げたら......」


「SP使うのも手だけど、それは何か嫌だ。今の種族はSPを一切振らずにやるか、振ったとしても全ステータスに満遍なく振りたいから、暫くは無振りのままだな」



これは俺の流儀だ。相当な緊急時でない限り、SPは振らない。


リルとの出会いのような、完全に未知のエンカウントなら使うが......神龍のような、いつでも会える奴との戦闘では振らない。


それに、低ステータスは自分を『上手く』するのに持ってこいなんだ。

力に頼らず、頭で戦う事になるからな。




まぁ、オワタ式っていう致命的な弱点もあるけど。




「ま、体育祭が終わるまでだから、それまで待ってな?直ぐにお前のステータスまで追いついてやる」


「ほほぉん?レベル98のプレイヤーに追いつくと?」


「ピーちゃん。ルナ君は直ぐに追いつくよ?」


「え?マジ?そんなに?」


「ルナ君のレベリングって、正直に言って常人じゃ出来ないレベルで戦うからね。多分、最初の10レベルくらいスライムで上げて、後は裏鉱山でやるんじゃないかな」


「せやで〜」



さっすがソル!ララバジの存在を覚えていて偉い!



「そ、そんな直ぐに上がるの?」


「もう......ガッポガッポだよ」



ソルが胸の前で手を上下させて表現しているが......なんかエロいぞ。



「くらえ!乳アタック!!」



あ、ピギーがソルのお胸にタッチした。



ドゴンッ!!!



「ぶへっ......」


「この胸はルナ君の物だよ!!誰にも触らせない!!!」



あら〜......あら〜?ピギーが動かないぞ。



「ピ、ピギー?生きてるか〜?」


「し、しぬ......えいちぴーが......1しか............」



わぁお......ソルの顔面パンチ、怖いぞ。

ってかちゃんと手加減されてるんだな。優しい。



「ほれ、『癒しの光』だ」



ステラを取り出し、癒しの光を使った。



はぁ.......ステラでさえ、両手で持たないと重いな。

今の俺が持てるの、愛剣と初期の弓くらいか。


ちくせう。



「た、助かり申した!」


「全く......これに懲りたら私の胸は触っちゃダメだよ?」


「は、はい!ルナしか触っちゃいけないんですよね!」


「うん!......って、あ......あぁ!!言っちゃったぁぁ!!!」



えぇ?今更?気付くの遅すぎっすよソルさん。



「うぅ......恥ずかしい......」


「大丈夫だぞ。俺としては死ぬほど嬉しい言葉だったから」


「で、でもぉ......」




「甘ったるいよね、2人とも。もう結婚したら?」




「年齢が足りないだろ!!」

「まだ学生だもん!これから!!!」



「あ、あれ?冗談のつもりだったんだけど......割とガチ?」



「「あっ」」




こみゅちからが高い奴ってのは、恐ろしいな。




「ま、まぁ。楽しんでね?私は何も言わないから」


「......スーッ......」



陰キャ特有の『スーッ』がこんにちはした。

ヤバいよ。俺の心がハリケーンだよ。テンペストだよ。カタストロフだよ。



「って、てかさ。左手の薬指に指輪してるんだし、いいんじゃ?」


「「......」」



やめて......それはソルにクリティカルヒットするから......



「し、しかもルナのはシルバーリングだし、もうそれって夫婦じゃ「「や〜め〜て〜!!!」」......おぉ」



「やめてくれぇぇ!!もう俺のHPは0なんだよぉぉぉ!!!!」


「私もぉぉぉ!!!恥ずかしくて死ぬ!死んじゃうよぉぉ!!!」



2人で床をゴロゴロ転がりまくっている。



「全く、うるさいですねぇ。静かに本が読めないではないですか」


「ホントにね。パパもママも、もう少ししずかにして?」



「「い〜〜や〜〜!!!!」」



まだゴロゴロは止まらない。その程度のブレーキじゃ止めることは出来ないぜッ!!



「......はぁ。メルちゃんは父様を抑えてください。私は母様を」


「わかったわ」



ガシッ!!!メリメリ......



「い、痛い痛い!めり込んでる!めり込んでるから!!」



メルに頭と腕を掴まれた。



「こちらも拘束しました。では行きますよ?」


「うん」



すると仰向けに固定された俺に、上からソルをゆっくり降ろしてきた。



「ちょ、ちょっとリルちゃん!?」


「ま、待って!メル、離してくれ!」



「「ダメです / ダメよ」」



「「ちょっと待......んむっ!」」



ソルが降ろされた事により、口と口が繋がった。




ファーストキスは、VRゲームで娘(仮)の手によって上からゆっくりと降ろされてきた彼女でした。




「「んんんん!!!!」」



ちょっと待って。いつまで続ければいいの?嬉しさと恥ずかしさで死にそう、ってか心拍数ヤバくない?強制ログアウトされそうじゃない?



「「んん!!!......」」




はい。ログアウトされました。安全装置よ、よくやった!




「し、しちゃった......キス......」




極度の緊張で頭に血が上り、ぽやぽやしてきた。




「あぁ......もう寝よ......体育祭もあるし......」




そうして俺は、夕方から思いっ切り寝た。



-----------------------------------------------

ピグレット(ピギー)side



2人が異様なシチュエーションでキスをしたと思ったら、強制ログアウトされてった。



「な......何この状況」



肝心の2人を強制ログアウトさせた娘2人は、あたかも『やりきった......!!』みたいな顔をして突っ立っている。



「あ、ピグレットさん。今日はもうお帰りください」


「パパとママもいないしね。わたしたちだけで外に出たら、ふたりに心ぱいかけちゃうもん」


「あ、うん。分かった。じゃ、じゃあね!」


「はい!また来てくださいね!」


「また色んなはなしをきかせてね?」


「うん!」



そうしてお城を出て、私はお庭にいるメイドのフーさんのところへ向かった。



「あの〜」


「はい!どうされましたか?」


「2人がなんやかんやあってログアウトしちゃったので、私は帰ります。ので、それを伝えに......」


「分かりました!......全く、ルナさんは......」



なんかアレだねこの子。世話焼き系幼馴染みたいな事言ってるね。



「じゃあ、お邪魔しました!」


「はい!また来てください!お気を付けて!」




そうして私はルナの城を出て、王都を歩く。




「だ、大丈夫かな?明日に響いたりしたら、どうしよ」



もし寝込みでもしたら、代打は私が出るか。


あの状況に持って行ってしまった原因でもあるし、私が尻拭いしないと。




「大丈夫な事を祈ろう」




それが今、私に出来ることだ。



「......ぃよし!アンバー渓谷の殲滅、いっちょ配信しますか!」




それから私は、アンバー渓谷でトカゲの殲滅放送をして、レベルを100まで上げた。

まさかのキス回でした.....いいぞ、もっとやれ。


にしても、本当に異様なシチュエーションでしたね。ムードもクソもない。


でも幸せなら、OKです!

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[一言] ルナ 85 点でピギー 70 点だから、10 点差ではなく 15 点差では?
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