正樹大先生の最高の授業!
最弱スタート
「寝よう。寝て忘れよう。おやすみ」
ステータスが落ちてるなんて次元じゃなかったのでふて寝する。
空腹値もミックスジュースのお陰で大丈夫だし、先に寝ちゃおう。っていうかログアウトしよう。
『ソルへ
俺はログアウトします。
ちょっぴりショックな事があったので、先にログアウトすることをお許しください。
出来れば明日の学校でお話を聞いてあげてください。俺は喜びます。
メルやリルの事を押し付けるのは申し訳ないので、拙いながらも机の上にミックスジュースを置いておきました。
冷やすために氷の箱に入れてるから、飲む時は氷の箱を砕いてから飲んでね。
何かあったらリアルの方でメールをください。駆け付けます。
ルナより』
「よし、チャットも送ったし、ミックスジュースも冷やしておいた。ログアウトしよ」
『ルナさ〜ん私達の事を忘れてますよ〜!』
「あっ」
やべ、完璧に忘れてた。
「もう、どれだけショック受けてるんですか?レベルをちゃちゃっと上げるだけでしょう?」
「そうだよお兄さん!シリカ達が一緒なんだから、大丈夫でしょ?」
「いや、もっと致命的な問題があるんだが......それは外に出る時に話すか。とりあえず、家の事を頼んだ。ソル達が帰ってきたら、思いっきり労ってやってくれ」
実はとんでもない問題に直面しているが......今はいい。
「分かりました。3人ともルナさんのベッドで寝かせますか?」
「え?」
「え?」
「別々じゃないのか?狭いだろ、4人なんて」
「それは大丈夫ですよ。ねぇシリカさん?」
「うん!............ほら! ベッド持ってきた!」
シリカがどこか部屋からベッドを調達してきた。
「よいしょ......っと。これで4人どころか、私達も寝れるね!」
「お前らとは絶対に寝ない」
「ふふっ、そう言うと思いましたよ。......とりあえず、メルさんとリルさんはこちらで寝かせます」
助かる。メルは知らんが、リルは絶対にここで寝るだろうからな。
「あぁ、ありがとう。それじゃあ......おやすみ」
「おやすみなさい」
「墨汁母さん!」
「親の墨でおやすみってか?黙らっしゃい!」
そうして俺は、ログアウトした。
「......やべぇな。ステータス低すぎて刀が持てないとか、アイツらに言ったらどういう反応するんだろう」
ルナの抱える大きな問題。それは『圧倒的低ステータスによる、武器の装備不可』だ。
「明日、陽菜に相談しようそうしよううんソレガイイヨ」
自分で自分を肯定していこう。それじゃあ現実世界よ、おやすみ。
ピロン!
『ルナ君を殺したギルドは壊滅させたよ。
王都に集まってた有名プレイヤーが沢山集まってくれたの。
それじゃあまた明日! おやすみ』
『P.S.
それと──』
夜も深まった頃に、そんなメールが来てたとさ。
「ん......せかい、かくせいのとき......」
朝だ。もっと寝ていたくなる、あの朝だ。朝田さんだ。
「──ぁああ。あ〜ねむ」
声にならない欠伸をしてから起き上がる。
「ん? 陽菜からメール来てんじゃん。どれどれ?......あら? あの人PKギルドの人だったんだ」
どうやら、あの人物は元から俺を狙っていたようで、他のギルドメンバーも協力して俺を殺そうとしたみたいだ。
「ふ〜ん、暗号で会話......ねぇ? 楽しそうじゃん」
俺も暗号で会話とかしてみたい!
だって、絶対カッコイイじゃん!
いいな〜、俺もスタイリッシュに暗号言いたいな〜
「って、んな事思ってる場合じゃねぇわ。学校行かんと」
そんなこんなで、登校しました。
「お〜はよ〜月斗く〜ん」
「おはよう陽菜。昨日はすまんかった」
「ううん。中々に熱い戦いが出来て、楽しかっよ」
PKギルドの壊滅が熱い戦いになったのか......
「そういえば『ちょっぴりショックな話』ってなに?」
それを聞いてくれるのは助かる。一緒に解決して欲しい。
「限界突破したら全ステータスが10になったから、刀が持てなくなった」
「......え? 装備も出来ないの?」
「いや、装備は出来るんだ。でも抜刀できなくなっちゃった」
「それ......結構不味いんじゃ? これからどうするの?」
「レベルを上げるしかないかな。今の俺、初期ステータスより低いから、最弱になっちまったんだ」
SP振れば化け物になるけどな。
「とりあえず、帰ったらステータス見せるから、そん時に色々と話そう」
「うん! それとお弁当作ってきたから、お昼は一緒に食べよ!」
「おぉ、ありがとう。楽しみにしてるよ」
......凄く......恋人らしいです。
いや、恋人なんですけどね。
「お〜っす月斗ォ! また色々とやらかしたらしいなぁ!」
「おはよう正樹。正直言って、いつもやらかしまくってるせいで、どのやらかしの話か分からんぞ」
「おはよう田中君」
「おう、おはよう。やらかしはアレだ、2つある」
「「2つ?」」
え? 何だろう。神界の写真と神龍を倒した事かな?
「あぁ、2つだ。1つは......お前、神龍テイムしたろ?」
「うん。ガッツリ」
「マジか......じゃああの2人目の女の子って......」
「そうだね。元神龍ちゃんですね」
「なるほどなぁ。『倒しました』って、やっぱりテイムなんだな。確信したわ」
あ、もしかしてカマかけられてた?
あ〜あ。まぁ、正樹なら言ってもいいか。害はないし。
「んで2つ目だが、昨日のPKギルドの事だな」
「それは知らん。死んだ後ログアウトしたから、情報を知ってるのは陽菜と正樹だけだぞ?」
「違う違う。それは知ってるから、お前を殺したやつがどんな奴かを言おうと思ってな」
「マジか! それはすまん。教えてくれ」
そんな所まで分かってるなんてな。
「まず殺した奴の名前は『下の夢』と書いて『ゲノム』だ。一般人を装い、これまでにトッププレイヤーを何人も殺している奴だな。
俺も2回ほど殺された上に、装備を持ってかれてる」
ん?
「装備を持ってかれた? どゆことっすかパイセン」
「そのまんまだ。プレイヤーに殺されたら武器とか防具とか、アイテムが何でも1つ、盗られるんだよ」
やばい......血の気が引いてきた。
なんだ? 何を盗られた? 神器? 指輪? ゴミ?
「帰りてぇ......俺、今凄く帰りてぇよ......」
「あ、それなら回収してるよ。私が持ってるね」
「マジで!? 何? 何を盗られてた!?」
「スキル書......龍神魔法の」
ヒェッ! よりによって神器の次に盗られたくないやつを!
「あぁ......良かったぁ。ありがとう陽菜」
「えへへ〜もっと感謝してくれたまえ〜!」
「よ〜しよし。よ〜しよしよし! 陽菜は最高だ!!」
髪の毛がぐちゃぐちゃにならない程度に頭を撫で回した。
「お二人さ〜ん。ここ学校ですよ〜」
「「あ」」
クラスメイトの殆どに見られた気がするが、気のせいだろう。
ここで正しく認識すると、俺の意識が飛ぶかもしれんからな。
自己防衛だ。
「で、話を戻すが、下の夢以外の協力者が2人分かっている。1人は『あんこ』という名前のプレイヤーだ。こいつはルナの殺し方を提案した奴だな」
「怖〜い」
「そんで2人目が『ウニ』って奴だ。こいつは下の夢が失敗した時の逃げ場所の確保と、殺し方その2を提案した奴だ」
「へぇ、用意周到だな。計画的犯行だよな?」
「勿論。今の説明聞いてたら分かるだろ? そんでもってコイツら......レベル100越えだ」
「「え?」」
つま〜りは何で〜すか? 限界突破済みの強いプレイヤーがPKという訳で〜すか?
「これは鈴原も知らんだろ? 何せ、今朝分かった情報だからな」
「うん、知らなかった。でもなんでそんなトップクラスのプレイヤーがPKを?」
「1つは装備の強奪目的だろうな。下の夢がルナを殺す時に使った武器は割れていて、モンスターのドロップ品で作られていたんだ」
「それが何かあるのか?」
普通に武器として愛用していたのでは?
「ある。アイツらのギルドを覗いたんだが、買った武器とか、作った武器とか、それらが一切無かったんだ。分かるか?『剣』とか『弓』とかが、一切無かったんだ」
「ん〜? つまりは俺から武器を奪おうとしたって事か?」
「そうだ。それで下の夢の武器の詳細だが、お前を刺した時の針は『アダチェウスの針』に『バジリスクモドキの劇毒』を塗った暗器なんだよ」
「なんじゃそりゃ。強そうな名前の針だな」
「マジで強いんだよ。アダマント製の針だぞ? それに10秒あれば広場行きの毒を塗りたくったんだぞ? どっちか片方でも強力な武器なのに、それを合体させてんだよ」
毒針を作って刺したって訳ね。や、やるじゃん。
ま、まぁ? それくらい予想してたしぃ?
別に、頑張れば対処出来たしぃ? 的な?
......今後の参考にしよ〜っと。
「ちなみに俺の今の武器は、アダチェウスの針にワイバーンの素材を使った剣だ。攻撃力1000越えだ」
「「ワー、ツヨーイ」」
「反応うっす!」
布都御魂剣の3分の1か。割とマジで強いな。
ってか神器って、もしかして最強武器ではない感じ?
いや待てよ。最強武器があのゲームにある訳がないか。
それに俺の武器って基本無属性だし、誇れるのは無限の耐久値と高い攻撃力だ。
毒とか麻痺とか、属性攻撃しか通用しない相手が出てきた時に、結構弱いんじゃないか?
やっぱり暗器を参考に、何か毒武器とか作るか。
「っとまぁ、あのPKに関しちゃそれぐらいかな。珍しい武器使ってますよ〜って感じだ。
これからは気を付けろよ? 鈴原もな」
「「は〜い」」
「ん。これで正樹大先生の授業は終わりだ」
キーンコーンカーンコーン
「グッドタイミングなチャイムじゃん。授業上手だな、正樹」
「だ、だろ? じゃあ、また後で」
正樹は照れた様子で席に戻っていった。
「ねぇ月斗君」
「ん〜?」
「夏休みさ、どっかデートに行かない?」
「それをこのタイミングで話すのか。まぁ、いいぞ? どこか行きたいとこがあるなら、そこに行こう」
急すぎるだろ。っていうかそろそろ担任が入ってくるぞ?
この話、続けるのか?
「やっぱり夏と言えば、あそこでしょ」
「そうだな。あそこだな」
やべぇ、何も分かんねぇ。適当に合わせてるけど後で怒られそう。
「じゃあ、せ〜ので言お?......せ〜のっ」
「プール / 月斗君の実家」
「なんでやねん!」
「おっ月見里。芸人にでもなるのか?」
なんちゅうタイミングで入って来とんや先生ェェ!!
「なりません。俺に人を笑わせる才能は無いので」
くっ! ここは何とか切り抜けろ! スタイリッシュに!!
「そうか? 見てみろよ、何人か笑ってるぞ?」
そう言われて教室を見てみると、正樹や他何人かのクラスメイトが笑っていた。
「......芸人には向いてなさそうです」
スタイリッシュな月斗君は無事に転びました。
「そうか。まぁ、生徒のを夢は応援するからな。お前らも2年生なんだし、将来の事は考えておけよ?」
「「「「「はい!」」」」」
「うん、よろしい。じゃあホームルーム始めるぞ〜」
先生......アンタの会話の繋げ方、天才だよ。
俺1人から周りの皆へ繋げるなんて、最高じゃないか!
そうして何事も無く、ホームルームが終わった。
「......あれ? 何の話してたんだっけ」
「ふふふっ、何だろね〜?」
色々とあったせいで、何話してたか忘れちゃった。
「ま、いっか」
これから夏休み編に入ります。
色々な事が起きますし、起こします。
ルナ君が最弱から抜け出すのはいつになるのやら.....
それでは次回もお楽しみに!
あ、影に生きるものスレの暗号、分かりますかね?
半ば連想ゲームのような感じなので、めちゃくちゃ分かりにくいです。
時間があれば、是非解いてみてください!