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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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神龍戦 後編

長きに渡る神界編、及び神龍編が.....

 



『お前は......化け物か?』



 酷い。化け物に化け物と言われてしまった。



「俺から見たらお前も化け物だぞ?」


『そうではない! 何故生きているんだ!!』


「生きてるから生きてるんだよ。ったく......現実はちゃんと受け止めないと、逃げ続けるだけじゃ追い抜かれるぞ?」



 いやね、言いたいことは分かるのよ。『どうやって耐えたか』を知りたいんだろう。




 今回俺は、二重のHPストッパーが働いた。




 一つ目は言わずもがな。『不死鳥化』だ。


 そして二つ目が『守護者の加護』

 こいつのお陰で『即死攻撃の多段ヒット』を喰らおうとも『HPが1残る』という事が起きた。


 神龍の魔法が即死攻撃じゃなかったら、『守護者の加護』は発動しなかったんだけど......ラッキーだな。



 そしてどちらもドゥルム鉱山で手に入れた物......あの黒ゴーレム君とジュエルゴーレム君には感謝だな。



『意味が分からない』


「分からなくても飲み込め。アルテ」



 さぁ、第3......じゃなくて、最終ラウンドだ。


 早速アルテを顕現させ、俺の後ろに向けて何度も矢を放った。

 1射目は平行に近く、2射目は少し上に、3射目はさらに上......と、段々と角度をつけて放った。


 必中効果をふんだんに使った、物理法則完全無視の合計5回のセクスタプルショットだ。


 30本の矢......たんと召し上がれ?




『な、何を......ガッ!』




 神龍が困惑した瞬間、全ての矢が同時に刺さった。



「面白いよなぁ。ソルもよく思い付いたもんだ......大会で当たりたくねぇよ、本当に」



『必中』効果を使った、時間差で同時にヒットする、面白い撃ち方だな。

 FSじゃ──銃じゃ出来ない射撃法だ。弓ならではの強さがある、良い戦い方だと思う。



『くっ......ガァァァ!!!』



 おやおや。初めて普通のブレスを吐いてきたな。当たりに行かなきゃ!


 もうね、ブレスはバフに感じるんだ。効率良くHPを1にする、めちゃくちゃ痛いけど効果の大きいバフだ。



「美味しく頂くぞ?『戦神』『イグニスアロー』『アウラ』『ファイアボム』」


『ギャァァァァァ!!!!!!』



 刺さるねぇ! 溶けるねぇ! 燃えるねぇ!!!



「良いじゃん良いじゃん! もっと楽しもうぜ!!」

 


 刀を構え、神龍の首の位置まで飛ぶ。



「そいっ!『斬』!!」


『フンっ!............危ない』



 惜しい! あと少しで肉に刃が入ったのに、ギリギリで鱗に防がれちゃった。



「ははっ!『蔦よ』『クロノスクラビス』『ダイヤモンドダスト』『アクアスフィア』『クロノスクラビス』『アイスエリア』」



 拘束魔法のパーティだ。楽しんで逝けよ?



『んぐぐ......ぐあっ!』



 動けない上に地面の氷で滑った神龍に追撃だ。



「ほらほらぁ!『戦神』『魔纏』『魔刀術:氷纏』『斬』......アルテ『魔弓術:氷槍』」



 舞い上がる細氷の中で使う魔刀術は、さぞ綺麗なことだろう。後でオケアノス達に感想を聞こう。


 それと神龍......いい加減ポックリ逝ってくれてもいいんだぞ?




『舐め......るなぁぁ!!!』




 もしかして俺の名前と掛けられてる?流石にそのギャグは高度すぎないか?



『ガァァァ!! 燃えろ!!!』


「ん?『ロックドーム』」



 目視した神龍のブレスは、黒と赤の混合のものだったので、安全のために防壁を展開した。


 すると、ジュワっと嫌な音を立て、ブレスはロックドームを溶かしながら貫通し、俺に直撃した。



「あ゛ぁっ!!......熱すぎだろ。火傷的なデバフも付いてんのかよ」



 HPゲージが真っ赤に染まり、ゲージ内のHPがゴリゴリと削れていく。



「不死鳥化が無ければ即死か......神龍、やっぱ強いな」



 気を引き締めないと。ソルもリルもいない今、自分1人で出来る行動が大分限られている。

 頭を回して戦わないと、負けは必至だろう。



『『龍神魔法:滅光』『グレイシア』『テンペスト』』


「うっ!『クロノスクラビス』」



 いよいよ神龍が本気モードに入ってきた。龍神魔法の連発とは、かなり恐ろしい事をして来やがる。



「ステラ、『癒しの光』『蔦よ』『茨よ』」



 流石にこれ以上魔法を連発されるの不味いので、上空に逃げながら回復と拘束をする。



『甘い!『龍神魔法:レイ』』


「うぐぅ!! なんだよそれぇ......レーザーとか知らねぇよ......」



 空をハエの如く飛び回っていると、神龍のレーザーで撃ち落とされた。



『奥の手は取っておくものだろう? まぁ、今のはタダの手札の1枚に過ぎん』


「はぁ、調子悪いなぁ。2人に依存しすぎたか?」



 何か、俺は焦っている気がする。


 多分、2人が負けた事を心の奥で何か思っているんだろうな。

 一旦深呼吸をして落ち着こう。



「すぅ......は『ガァ!』ぁ......すぅ......」



 ブレスはどうでもいい。グレイシアだけ気を付ければ問題は無い。




 そうして深呼吸を繰り返すと、段々と意識がクリアになってきた。



 すると頭の中で、ポッと考えが浮かんだ。



「鑑定してみるか」



 神龍のHPが分かれば、あとどれくらいの時間で倒せるかが分かるし、MPなんかも分かれば、魔法を連発させる立ち回りが出来る。


 思いついたら即実行だ。俺は『動物鑑定』を発動した。



 ━━━━━━━━━━━━━━━

 名前:『神龍:ノビリスドラゴン』Lv740

 HP:11,136,876 / 58,800,000

 ━━━━━━━━━━━━━━━



 HPだけが分かった。それと、もう既に2割くらいしかHPは無いようだ。


 これは......硬すぎると言うべきか? 俺の火力が低いと言うべきか?



 分からないな。DPSに物を言わせてる訳でもないし。



「こうして見ると、ちゃんとしたゲームなんだなぁ」


『何を言っている?『龍神魔法:テンペスト』』



 俺の周りに竜巻が現れ、その竜巻から大量の風の刃が飛んでくる。



「なに、鑑定というものを初めて使ったもんでな。こう......今までは『この世界で生きてる!』って感じだったんだが、鑑定を使う事で変わっちまった」


『意味が分からんな。『龍神魔法:終焉開始(おわりのはじまり)』』


「生きてるって実感から、一気に『この世界で遊んでいる』って感覚に戻っちまった」



 レベル上げも、ソルやリル、フーとシリカとの生活も、この世界で『生きる実感』を与えてくれていた。

 だけど、鑑定スキルを使っ瞬間に、一気に『これはゲームだ』って認識が帰ってきやがった。



 かなり悲しい気持ちだが、これは逆手に取れる。






「今だけは......生きることを忘れて遊ぼうかな」






 全力で頭を回転させて遊べる。

 ソシャゲでイベントを周回する編成を組むように、相手に合わせて的確に弱点を突くような、そんな立ち回りが。


 不死鳥化もあるし、俺は運がいい。



「神龍。俺と遊んでくれ」


『何を今更。これは命を掛けたゲーム(あそび)だろう?』


「ありがとう。じゃあまず、オリハルコンの糸を......やべ」


『どうした? 来ないのか?』


「先手を譲るんだよ。俺は基本、防御に見せかけた攻撃をするのが得意な奴だからな」



 嘘です。ただ単に翔にあげたオリハルコンの糸を思い出して、ちょっとパニクってるだけです。


 不味いよ、魔糸術を使おうと思ってなのに、思いっ切り空振ってしまった。



『そうか。『龍神魔法:終焉終了(おわりのおわり)』』


「終わらせるの早すぎぃ!!!」



 というか不味い、アレごと消されてしまった。



『やはり耐えるか。まぁいい。その隠してる魔法を消せたからな』


「ウチの蔦ちゃんは恥ずかしがり屋でねぇ......!」



 こいつ、俺がコソコソと擬似無詠唱で用意していた蔦ちゃんを破壊するためにあの魔法を使ったのか。


 なら次の手だ。ここで糸を作ろう。

 神龍の攻撃を避けながら、俺の手札を増やすんだ。



 そうしてオリハルコンを取り出していると、神龍がブレスを吐いてきた。



『ガァ!!『アクアブレス』『インフェルノブレス』』



 不味い! その水溜まりに炎は......!



 ドバァァァァン!!!!!



「がはっ......」



 水蒸気爆発......まさか神龍も使うとは。



「......へへへ」


『クソッ!『龍神魔法:滅光』!『龍神魔法:グレイシア』』



 残念、俺の悪巧みの方が早かったな。



「『魔糸術:風糸(ふうし)』......ふぉぉ!! 蜘蛛男ぉ!!!!」



 ブレスが当たる直前、闘技場の壁にオリハルコンの糸を刺し、魔糸術で一気に体を引き寄せた。



「あはははっ! これ面白いな! 翔め、教えてくれても良かっだろうに!!『魔糸術:糸雷』」



 バチッ!!



 よっわ。魔糸術......よっわ。神龍の鱗に弾かれてんじゃん。よっわ。



『効かん!『サンダーブレス』』

「おっと、『サンダー』」



 バヂヂヂヂィィィィ!!!



 神龍のブレスと俺のサンダーが拮抗している。



「某ハリーな魔法でもあったなぁ! こんなシーンが!」


『追加だ。『サンダーブレス』』


「メタだ。『マグナ』」


『何っ!?』



 追加でサンダーブレスを使ってこようとしたので、拮抗しているサンダーブレスごと一緒に、地面に貼り付けたマグナに吸わせた。


 よし、左手でずっとイグニスアローをブッパするか。

 チマチマとHPを削ってやろう。ぐへへ



「知ってるか? この世界の雷って簡単に操れちゃうんだぜ?」


『そんな訳あるか!『雷龍魔法:ライトニングブレス』』


「ほいっ『マグナ』」



 ジュン!! と悲しい音を立て、ライトニングブレスはマグナに吸われた。


 ってかライトニングブレスって、プレーンの龍魔法じゃなかったか?雷龍魔法なる物に出来るのか?



『何なのだその力は!』


「これも俺が勝ったら教えてあげるさ。どう? 知りたくて負ける気になった?」


『ほざけ!『海龍魔法:アビスオーシャン』』


「おっと嫌な予感。『クロノスクラビス』」



 左手でイグニスアローを連発しながら、口頭で目の前の魔法を打ち消す。



『くっ!『闇龍(あんりゅう)魔法:()らき世界』』


「だから嫌な予感がする魔法を使うな。『クロノスクラビス』」



 いかにもデバフか即死の匂いがする魔法名だ。辞めてくれるか?



「ほらほら。飛んだら簡単に逃げれるよ〜?」


『はっ! 上空にも魔法を張っているのだろう? 気付いているぞ!』


「勿論。相手を追い込み、自分で作った地獄へ誘導する......FSの基本だからなぁ?」



 ワイヤーで罠を張り、誘導するのと同じだ。

 ワイヤーが魔法に変わっただけに過ぎない。


 あぁ、この少しずつ追い込んでる感じ、ワクワクするなぁ!



「ほらほら。イグニスアローは美味しいか?」



 ついでにちょっと鑑定をば。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 名前:『神龍:ノビリスドラゴン』Lv740

 HP:4,131,227 / 58,800,000

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「あらぁ? 死にかけじゃないのぉ? だ〜いじょ〜ぶぅぅぅ?」


『お前ぇ!!!』


「沸点低いのは元からなのね」



 それによく見ると、神龍の体から結構な勢いでポリゴンが流れている。もう神龍の死は目前だ。



「最後にしようか。どうせだしド派手に決めようぜ?『サンダーチャージ』」


『......どうせ、私の持つ全ての攻撃から生き残る奴に殺されるとはな.....悲しい(せい)だった......』



 おいおい、辞世の句でも詠む気なのか?まだ諦めるには早いんでねぇの?



「『サンダーチャージ』お前は色々と変な奴だな。攻撃するのかと思えば喋ったり、喋るのかと思ったら攻撃したり。『サンダーチャージ』」


『仕方ない......他の龍を嫌い、嫌われてきた存在だ。多少狂ってしまうのも無理はないだろう?』


「『サンダーチャージ』何でお前は他の龍を嫌ったんだ? それに、仲良くできなかったのか?」



 あんまり聞きたくないけど、聞いてみよう。



『私を嫌っている存在に、私から近付けと? あの時の私はまだ幼く、力もない。その状態で、自分と同等以下、その上数も多い相手に近付けと?』


「『サンダーチャージ』......すまん。それは怖いよな......俺の言い方が悪かった。それで、仲の良い龍はいなかったのか? もしくは龍以外で」


『いる訳がない......全てを滅ぼし、神ですら殺す龍だぞ? 誰も近付いて来んわ』



 お〜まいが〜。コイツ、昔の俺にクリソツじゃないか。

 他人に嫌われたが故に他人を嫌い、他人から距離を置くことで近くにいる存在に気付けない。


 俺の場合、陽菜がいたから他人から距離を置くことは直ぐに辞めれたが......神龍はそういう存在がいなかったんだな。



 あ〜どうしよ。殺す気持ちが揺れている。



 あと数個質問して、殺すかどうか決めよう。

 それと、目的の答えを貰えたらアレを試してみようか。



「お前......家族は? エレボスと母親がいるんだろ? 2人は何もしなかったのか?『サンダーチャージ』」


『母上は知らない。ただ愛を込めて育ててくれたのは覚えている......そして父上はルナも知っての通りの方だ。愛情は込めてくれた......でも、色々と間違えた』


「そうだな。王城を、王都をめちゃくちゃにしてくれた。......お前を躾けるという名目で。『サンダーチャージ』」



 あれは酷かった。実に酷い戦いだった。

 だけど、あの戦いのお陰で得られた物もある。



「で? お前、もし生き残れるなら何がしたい? あまり意味の無い仮定の話だ。欲をぶちまけてくれていいぞ?」



 チャージは十分。イグニスアローを足に刺してHPを1に固定した。

 後はサンダーを撃つだけだ。




『私は......人に産まれたかった。人の姿なら、友好的に接してくれる者も多いのだろう? だから......人の見た目になる(すべ)を探しに行きたかった』




 その答えを待っていた。



「じゃあな、神龍。『サンダー』」



 俺は神龍の頭に、思いっきりサンダーを落とした。




 バリバリバリバリバリバリ!!!!! バヂィィィィ!!!






 そして神龍はポリゴンとなって────






「散らないんだよなぁ」


『うぅ............な、何故殺さない?』







「ノビリスドラゴン。俺にテイムされないか?」

終わりませんでした。(前書きより)


えぇ。「知ってた」の声が多そうな展開になってしまいましたが.....はい。


あっでも────(自主規制)かもしれませんからね!



では次回、『神なる龍は、龍を嫌う。』お楽しみゅに!

.....舌痛いです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここ、逆ですねー > 1射目は平行に近く、2射目は少し上に、3射目はさらに上......と、段々と角度をつけて放った。
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