神なる龍は、龍を嫌う 14
天城さんを狙って大型建造をしたら、土佐さんが来てくれました。
可愛いです。(^・ェ・^)
「う〜ん、本来は言う機会は無いんだけど......ようこそ。『神界』へ」
街のある島に上陸すると、オケアノスがニコッと笑いながら言った。
「......ん? ソルはお稲荷さんの所に飛ばされたんだよな?」
「そうだよ〜」
「なら俺とリルは、どこに飛ばされたんだ?」
あのカラフルな草原はどこだ? 何故あそこに飛ばされた?......疑問が増えるばかりだ。
「確かカラフルな草原だったよね? なら......心当たりはあるね」
「マジかオケアノス。誰の仕業だ?」
神龍と戦う前に、それだけは知っておきたい。
「多分『ハトホル』さ。繁殖と愛、そして運命の女神だよ。君の付喪神である、『イシス』の妹さ」
「え?......フーさん、何かお話はありますか?」
『いや〜忘れてました! 最後にハトホルちゃんと会ったのって、それこそ数千年前なんですよ。姉妹喧嘩をして、そのまま離れちゃって......てへ』
妹を忘れてやるな。大切な家族だろう?
「ハトホルちゃんがルナ君の中にある、イシスの......フーちゃんの気配を感じてルナ君を呼んだけど、肝心のイシスが見つからなかったんだろうね〜」
「そんな事あるのか?」
「「「割とある」」」
えぇ....? まぁ、今度会えたら何かアクションがあるだろう。その時のハトホル次第と言った感じかな? 知らんけど。
「さぁ、あとも少しで着くよ!」
急にオケアノスがそんな事を言った。どうした? 壊れたか?
「これ、どこに向かって歩いてんだ?」
街の風景は、住民がお店で買い物をしたり、出会った人と話していたり、酒場で酒を飲んでいたりと、至って普通の光景だ。
「ん? 皆にはあの闘技場が見えないのかい?」
そう言われ、オケアノスが向いている方向を見ると──
「「「わぁお......闘技場」」」
どうやら、壊れていたのは俺達だったらしい。目の前に、刀術部門の予選会場と思われる闘技場があった。
広さというか、壁の質感?......が、あの時見た壁と同じだ。
「神龍はあの中にいるよ。ニュクスちゃんも、結構面白い事するよね〜!」
もしかして神龍......あの鎖で縛られながらここに運ばれたのか?
......可哀想っすね。神龍さん。
いや、王城をぶち壊してくれたんだし当然なのか? 死者こそはいなかったが、衛兵さんが大怪我をしたってマサキが言ってたような、言ってなかったような......
まぁいい。死んでなければそれで。
そうして俺達は、闘技場の目の前まで歩いてきた。
「ほら、入るよ!」
俺達は黙って着いて行った。ちょっぴり緊張気味?
そして闘技場の中に入ると、まずは受付があった。
普通に受付嬢さんが立っている、ギルドと同じようなカウンターだ。
「こんにちは。今回は対戦ですか? 観戦ですか?」
「こっちの3人は対戦だよ! 僕は観戦」
「ではお名前を記入してください。観戦の場合は必要ありません」
「3人とも! 名前書いて!」
「ほいほ〜い」
まだ何と対戦するか言ってないけどいいのだろうか。
俺達は受付嬢さんの出した紙に名前を書き、間違いが無いかをよく確認してから提出した。
「それでは、今回戦う相手を選んでください」
「はい......ん?」
「どしたの? ルナ君」
「父様?」
「いや、これ見てみ?」
そう言って俺は、2人に紙が見えるように、隣に移動させた。
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対戦候補リスト
・『神龍』new!
・『マルス』
・『タケミナカタ』
・『タケミカヅチ』
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「下の3つは神様?」
「そうだな。マルスは火星の語源にもなっている戦神だし、タケミナカタも、龍神とか水神、風神でもある戦神だ」
「では父様、タケミカヅチさんは?」
これは......言ってもいいのだろうか。
「フー、いいか?」
『別に構いませんよ? この刀も私も、ルナさんだけの物ですから』
「さんきゅ。それで「ちょちょちょ! ちょっと待って!」......どうした?」
急に、ソルが焦った顔で遮ってきた。
「今のフーちゃんの発言! アウトです!!」
『ソルさん、大丈夫です。他意はありませんから』
「ほ、本当に?......まぁ、例えフーちゃんがその気でも、ルナ君はあげないからね!」
あ、そういう事か。今理解した。俺的には『刀に宿ったし、刀の持ち主はルナなんだから貴方の自由にしなさい』って言われてるもんだと思ってた。
「安心しろ。俺はソルだけが好きだ。それはこの先、変わる事がない」
「本当に? ホントのホントの本当に? 嘘偽り無く?」
「悲しいなぁ......そこまで俺は信用されてないのか......」
前から言ってる事なんだし、そろそろ信じて欲しいぞ?
「うぅ......信じる」
「で、父様。タケミカヅチさんは?」
忘れてた。ごめんオケアノス、受付嬢さん。それとシリカも。
「タケミカヅチは剣の神であり、雷神でもある戦神だ。それと......」
「それと?」
「布都御魂剣......この刀のオリジナルの持ち主だ」
「「えっ」」
「よく知ってるね〜、ルナ君。タケミカヅチ君と会ったことあるの?」
「単なる知識だ。それに、多分あっちの布都御魂剣は、この刀とは違う見た目だろ?」
「まぁね。どこまで知ってるの?」
「刃の方に湾曲している、片刃の鉄刀ってくらいか?」
「材質は知ってる?」
「知らん」
そこまでは知らない。ただ、ちょっと普通とは違う刀ってくらいしか、俺の知識には無い。
「そっか。で、対戦相手は書いた?」
「あ、まだだ。お姉さん、『神龍』でお願いします」
「承知しました。では、右側の通路を進んでください。控え室がありますので、そこで待機をお願いします。時間になったら係員に呼ばれますので、その時に入場してください」
「「「分かりました」」」
多分、武術大会の控え室と同じ気がする。
「じゃあね、5人とも! 僕は他の皆を呼んでくるから!」
「はいよ。負けても文句だけは言うなよ?」
「そりゃそうさ。文句は全部、僕に来るよ! 賭けの対価を決めたのは僕だからね!」
「なら良し。ここまで連れてきてくれてありがとうな」
「ううん! いいよ! 海魔法の力、見せてね! じゃ!」
そう言ってオケアノスは水飛沫となって消えた。
「何あれ」
「消えたね」
「お水になりましたね」
「まだ見ぬ魔法か......オケアノスの権能か......まぁいい。控え室に行こう」
「うん! そうしよう! お料理のバフも掛けようよ!」
そうして俺達は、手を繋いで通路を歩く。
「今日はなんだか、たくさん食べている気がします」
「気がする、じゃなくて、沢山食べているんだよ」
「稲荷ちゃんの所と、フレイヤちゃんのとこ。それにここだもんね」
しかも結構短期間に食べている。空腹ゲージは未だに1ミリも減っていない。
「ま、ソルの美味しい料理が食べられるならいいや」
「そうですね! 母様の料理はとても美味しいです!」
「えへへ、そう言って貰えるのは凄く嬉しいよ!」
そんな話をしていると、控え室に着いてしまった。
「やっぱり......武術大会は神界でやってたんだな」
「驚愕の事実だね。後で掲示板に流す?」
「いや、ここに来たプレイヤーだけが分かるようにしておこう。自分で見て、感じて貰わないと」
「了解であります!」
ソルが敬礼すると、尻尾もビシッとして、凄く可愛い。
そうして、控え室で待つこと30分。ソルの料理を食べ、3時間のSTR、INT1.2倍のバフを付けて待っていた。
「皆様、お時間です。入場してください」
「「「は〜い」」」
遂に再戦だ。ワクワクしてきた。
「よし、ハエたたきのお時間といこうか」
「「お〜!!」」
そして通路を出て、大きな闘技場に出ると──
「よぉ、神龍。やっぱりその姿の方がカッコイイじゃん」
『ルナ!?......ありがとう。それと、あの時はすまなかった』
「偉くしおらしくなったなぁ、お前。全力で戦ってくれよ?」
『勿論だ。それは約束しよう。私も死にたくないのでな』
すると神龍は、ぐっと立ち上がり、俺達を見下ろした。
あぁ、この威圧感。体が痺れるねぇ!
『これより、対神龍戦を開始します!』
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『神龍:ノビリスドラゴン』との戦闘が開始します。
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「名前あったんか〜い!!!」
お待たせしました!次回からバチバチの戦闘です!!
今までの戦闘とはかなり異なるので、楽しんで頂けたら嬉しいです!
(^・ェ・^)では!