神なる龍は、龍を嫌う 12
マシロさんを引けた喜びが大きい.....!!
でも推しは!シロコさんなんだ!!!
スキル書を使ってから1時間ほど経った頃──
「なぁオケアノス。『海魔法』って上級魔法なのか? 俺が頑張ってセーブしてた『水属性魔法』が進化しちゃったんだけど」
スキル書使ったら、水属性魔法消えちった☆
お陰で俺の魔法達は、レベル1かレベル100の、極端なレベル表示になっちまったよ。
「進化系なのは間違いないけど、海魔法は超級魔法だね」
「は?」
「普通は水属性魔法の次は、『液体魔法』っていう、ちょっとだけ便利な要素が増えた魔法になるんだけど......海魔法は、そこにパワーを持たせた感じだね!」
......悲しい。『古代魔法』とかいう、埃かぶった魔法と同じ超級魔法なのに、自分の手で進化させることが出来なかった......
「そ、そうか。ありがとうな......オケアノス」
「うん! 是非とも役立ててね!」
気持ちを切り替えよう。
「もちろん。神龍戦で使ってみるとしよう」
まぁその為に、ちょっとレベルを上げたいんだけどな。
「そうだ。称号も沢山貰ったんだった。ソルも見てみるか?」
「見る〜!」
リルを膝の上に乗せ、ルーナさんとお菓子を食べていたソルがやって来た。トコトコと歩いてきて、超可愛い。
「ほい、ど〜ん!」
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『修羅』
・モンスターに与えるダメージが1.5倍。
・『イクスティンクション』を統合する。
同エリア内にて、モンスターを1万体討伐する事で獲得。
【戦神】
・モンスターに与えるダメージが1.8倍。
・戦闘時にSTR、INT、VIT、DEX、AGIが1.5倍。
・『修羅』を統合する。
・『イクスティンクション』の最終形態称号。
同エリア内にて、モンスターを5万体討伐する事で獲得。
『魔天使』
・闇属性魔法の威力、効果時間が1.5倍。
・闇属性魔法の消費MPの半減。
・聖属性魔法の威力、効果時間が半減。
・聖属性魔法の消費MPが2倍。
『天使の翼』を使用した状態で、一度に1000人以上の人間にマイナス効果を付与する事で獲得。
『聖天使』
・聖属性魔法の威力、効果時間が1.5倍。
・聖属性魔法の消費MPの半減。
・闇属性魔法の威力、効果時間が半減。
・闇属性魔法の消費MPが2倍。
『天使の翼』を使用した状態で、一度に1000人以上の人間にプラス効果を付与する事で獲得。
【背理の天使】
・聖属性魔法の威力、効果時間が2倍。
・聖属性魔法の消費MPが半減。
・闇属性魔法の威力、効果時間が2倍。
・闇属性魔法の消費MPが半減。
・限界突破時に選択可能種族の増加。
・『天使の翼』の色が変化する。
・『魔天使』『聖天使』を統合する。
・『天使』の最終形態称号。
『魔天使』と『聖天使』が同時に存在する事で統合される称号。また、矛盾を貫く意志を持つ事で獲得。
『神の因子を持つ者』
・限界突破時に選択可能種族の増加。
『神の因子』を手に入れる事で獲得。
『神に好かれる者』
・神々からの好感度が上昇。
5柱の神から『神の因子』を受け取る事で獲得。
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「「えっ......」」
こいつぁすげぇや! 特に【背理の天使】がとんでもねぇや!
というか『矛盾を貫く意思』って、最弱最強を目指してることなのかな? よく分からん。
「あの戦いって1000人も参加してたのか?」
「うん......大体2000人くらい来てたんじゃないかな? 分かんないや。それよりマイナス効果ってデバフの事だよね? いつそんなの使ったの?」
「多分、初っ端のサンダーだ。アレで視力と聴力が何分か消えるっていうデバフが付いた」
超全力のサンダーさんだな。耳が痛いってより、急に何も聞こえなくなったアレ。
魔法使用者でさえデバフを喰らったんだから、他のプレイヤーは全員喰らってるよな。
「え? あの攻撃は覚えてるけど、デバフはあったっけ?」
「サンダーを撃った後すぐにステラで回復させたし、さらにバフも掛けたからなぁ」
「だからこの『魔天使』と『聖天使』があるんだね......納得だよ」
そう言いながら、ソルが尻尾で背中を触ってきた。これは何の合図だ? 分からないぞ。
「というかルナ君、戦神になっちゃうの?」
「「「「「戦神?」」」」」
ソルの言葉に神ズが食い付いた。
「いや、称号だからな? 戦神にはならん。大体さ、天使が限界突破したら神になるのか?」
単純な疑問だ。天使は文字通り、『天の使い』だ。一説には、神と人との仲介役という意味もあるが、まぁ......神見習いみたいなものだろう。
「あ〜......言っていいのかな? ヘルメスはどう思う?」
「僕は知りたいなら伝えるさ。伝令神としてな」
「俺もヘルメスに賛成だ。ルナが知りたいなら教えよう」
「お姉ちゃんも!」
「私も〜」
「じゃあルナ君。どうする?聞きたいかい?」
なんだこれ。5人の『聞け圧』が凄い。
聞くべきか? それともあと30レベルを楽しみにしとくべきか?
『神の因子を持つ者』で、限界突破後の種族も増えてる訳だし、1つくらい?
いや、自分で見つけてこそ、このゲームの楽しみなのでは?
そうだな。きっとそうだろう。そうだと信じよう。
「じゃあいいわ。別に神とか興味ないし」
「「「えぇ〜!」」」
「「だろうな」」
どうやらヘルメスとアグニさんは予想していたようだ。
「ルナの性格的に、自分で見つけるだろう。まぁ? 聞きたくなったら何時でもこの僕に聞くといい!」
「そうだな。自分の目で見るのが良いだろう。百聞は一見にしかず。ここで聞くより、自分で見るのが良い」
「そうですよね。自分見つけてこそ、ですよね」
アグニさん、いい人だなぁ......神だけど。
「お、お姉ちゃんもそう思ってました!」
「嘘乙」
もう、ダメだよルーナさん。あなたのお姉ちゃん力は『20』しかない。諦めたまえ。
ちなみにソルは『5万』くらいある......気がする。
「あ、そうだ。なぁソル。鑑定の使い方は分かるか?」
とっとと話を進めないと、無駄に時間を使ってしまう。
「あ、それパッシブだよ。アクティブにも変えられるけどね。植物鑑定なら、植物を見たら名前と効果、採取方法なんか分かるね」
「ほ〜ん。じゃあ毒物と動物は?」
「動物は一緒。モンスターの名前とレベルだね。で、毒物の方は植物と一緒に使われるね」
「これは毒草です......みたいな?」
「そうそう、そんな感じ。あと注意点はMPを使う事かな? 1回につき、5MPだね。だから勝手に発動しちゃう事があって、ちょっと厄介」
「ほぇ〜」
ブリーシンガメンのお陰でほぼ無限に使えるわ、鑑定。
まぁでも、余計な情報は削っておきたいし、アクティブ化しておくのが合ってるかな。
「ありがとうな、ソル。妖術についても、また教えてくれ」
尻尾を撫でながらお礼を言った。なんで撫でたかって? そこに尻尾があるからだよ。
「うん! なんで聞いてね! 粗方稲荷ちゃんに仕込まれたから!」
「あぁ。頼りにしてるよ」
尻尾がブンブン動き出した。可愛いな。
そして皆と雑談したり、トランプで遊ぶこと2時間、フレイヤさんが戻ってきた。......髪に芋けんぴを付けて。
「お待たせしました!」
「「......」」
「待ってたよ〜! ほら、フレイヤちゃん。早く早く!」
「まぁまぁ。まずは机の上を片付けてくださいね」
俺とソルは、フレイヤさんの髪を見た瞬間に固まってしまった。
「......ねぇルナ君」
「言うな」
「アレってさ......」
「だから言うな」
「芋け「じゃない!」......いやぁ......あれは」
はい、どう見ても芋けんぴですありがとうございました。
「皆、気付くかな?」
「そっちを気にするか? 俺的には、なんで芋けんぴを作ったor髪に付けてるんだって感じなんだけど」
「確かに。言われてみればそうだね」
誰か、あのセリフを言うのか? くっ! 誰か気付け!
あ、そうだ。思考をぶん投げたらヘルメス辺りが拾うのでは?
(髪に芋けんぴ髪に芋けんぴ髪に芋けんぴ髪に芋けんぴ)
ヘルメスに向かって念を飛ばす。
(髪に芋けんぴ髪に芋けんぴ髪に芋けんぴ髪に芋けんぴ髪に芋けんぴ)
「だぁぁ!! うるさぁぁあい!!!!」
「どしたの? ヘルメス」
「ルナ! さっきからうるさいんだよ!!」
(フレイヤさんの髪に芋けんぴ芋けんぴ芋芋芋芋)
「うるっせぇ!! フレイヤ! 髪に芋けんぴ付いてるぞ!!」
あ、言った。勝ったな。ブハハハ!!!
「あら?......あ、すみません。ありがとうございます......でも、どこですか?」
「おいルナ。取ってやれ! お前が見つけたんだぞ!」
「ダメだ!『トゥンク♥』だけはさせちゃダメだ! ヘルメスがやってくれ!」
「俺がやると嫌な予感がする。それに俺はまだ見つけていない。だから発見者であるお前がやれ」
「何ッ......!?」
見つけて......いないだと!?
これは不味い、俺が取るしかないのか? ソルは......リルを膝の上に乗せることで、立ち上がる事を防ぐだとッ!?
くっ! 1枚上手だったか......こうなれば!
「フレイヤさん」
「は、はい!」
「芋けんぴ、髪に付いてましたよ(ニコッ)」
一瞬で行動詠唱に設定した蔦ちゃんで取ってあげた。
完璧だ。パーフェクト芋けんぴだ。完全勝利だ!
「えっ......あ、ありがとうございます!」
「お気になさらず。それじゃあ食べましょう」
余計なフラグは建設途中に叩き折るに限る。
そうして神達とのお食事会が始まった。
「お、和食か〜。フレイヤちゃん、和食作れたんだね〜」
オケアノスが物珍しそうな顔をして言った。
「何百年か前に、稲荷さんに教えていただきました。結構頑張ったんですよ?」
「それは食べたら分かるよ。このお味噌汁とか、凄く美味しいもん」
そうだ。何気なく食事しているが、この白米とかお味噌汁って、ユアストでは初めて食べるぞ。
やべぇ......お米欲しい。お米があれば、前に食べたくなった焼肉定食とか、お弁当なんかも作れる。
それに味噌汁だって、水筒を作ってそこに入れたら、外でもお味噌汁が頂ける。
和食の素材......頑張って集めよう。
「フレイヤ、後で話がある。この後いいか?」
急にヘルメスさんが真剣な顔で言った。
「どうされましたか? ヘルメスさん。お仕事ですか?」
「まぁ、仕事と言えば仕事だ。ルナが行く前に終わらせられる用事だ」
「俺が? 何か関係あるんですか?」
何だろう。ヘルメスの表情見ても全く分からんぞ。
「気にするな。害にはならん」
「はぁ。そうですか」
『害には』ならん......ねぇ? 一応、心構えはしておこう。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「お粗末さまでした。ルナさん、ソルさん、リルさん。美味しかったですか?」
「はい、美味しかったです。ここで和食が食べれるとは思いませんでした」
「私もです! とても美味しかったです!」
「初めて食べる料理でしたが、美味しかったです」
「そうですか! それは良かったです!」
そう言えばリルは初めてか。気に入ってくれたなら良いなぁ。
「よし、フレイヤよ。行くぞ」
「あ、はい!」
フレイヤさんがヘルメスに連れて行かれた。
最高神うんぬんかんぬんは良いのか?後で殺されない?大丈夫?イグニスアロー揉む?
「じゃあ2人が帰ってきたら俺達は行こうか」
「観光? 神龍と戦う? それともお家に帰る?」
「神龍だ。アイツに説教(物理)してから帰るぞ」
「「は〜い」」
今後の予定を立てていると、オケアノスが手を挙げた。
「お~、ルナ君達は神龍と戦うの? なら僕達も見ていいかな?」
まさかの観戦希望?
「達って事は.......もしかして3人も?」
「あぁ。お前の魔法を見せてくれ」
「いざとなったらお姉ちゃんが守るからね!」
「見るよ〜」
「参戦はやめてくれ。戦うのは俺とソルとリルとフーとシリカだけだ。それさえ守ってくれれば別にいいぞ?」
「......分かった」
ルーナさん、やっぱりフーと似たようなタイプだ。初見のイメージとのギャップが物凄い。
「じゃあ4人で賭けでもする? ルナ君達が勝つか、神龍ちゃんが勝つか」
目の前で賭けるなよ。神龍に賭けられたら悲しく......はならないけど、ちょっと悔しいだろ?
「あ、負けたら勝った人の領域の掃除にしよっか!」
「了解だ。俺はルナに賭けるぞ。きっと熱い戦いにしてくれるだろうし、それだけで賭ける価値があるってもんだ」
嬉しいねぇ! アグニ、ありがとう。頑張るよ。
「もちろん私もルナ君に賭けるよ! 負けるわけないもん!」
「リルに負けたけど、俺」
「うっ......で、でも勝つもん!」
悲しきかな。ルーナさんの根拠が弱すぎる。
「私は〜......神龍かなぁ? だってぇ、単純なレベル差が大きいから〜」
妥当だな。俺達のレベルを150とすると、神龍は確か700だ。つまり550レベルもの差がある。
普通に考えて、神龍が勝つ確率の方が高いだろう。
「最後は僕だね。僕はルナ君に賭けるよ。僕は君の考え方が好きだからね! 神龍戦......何か案があるんでしょ?」
「そりゃな。考え無しに突っ込むほど俺は馬鹿じゃないし」
「だろう!? う〜ん、楽しみだね!......あ、もしかしたら他の神も来るかもしれないけど、さっきの事はよく言っておくよ」
あ〜、おかわりが来るかもしれないのか。
「それなら問題は無い。是非とも楽しんでくれ」
「やる気だねぇ? そんなに自信あるの?」
「自信なんて知らん。全力で楽しむだけだよ」
楽しめない戦いなんて、ただ虚しいだけだろ?戦闘に置ける大事な3つの要素。『力』『技術』『遊び心』これが大事なんだよ。
特に遊び心はな。ちょっとした嫌がらせや、一見無意味な行動が勝利の確率を上げてくれる。
「やはり面白いな。その心、他の戦神達にも聞かせてやりたい」
「そうか? どうせ他の戦神達も、『ヒャッハー! 戦うの楽しいぜー!』みたいな感じで、きっと心の芯は『楽しい』っていう感情だろ」
「それは......そうかもしれん」
戦神達は、絶対に楽しんでいるはずだ。
だって、楽しめないのに高みに到れる訳が無い。
「じゃ、下準備でもして待つか」
「私も〜!」
まさかのイクスティンクションが限界を迎えるとは.....驚きです。
そして次回!久しぶりの奴さんですよ!楽しみです!
次回も楽しんでください!