神なる龍は、龍を嫌う 11
お姉ちゃん
そうよばれたい
ルーナさん
だけどその座も
ソルも狙うよ
ゆずあめ
全員が席に着いたのを確認すると、フレイヤさんが手を挙げた。
「ではまず、私から自己紹介します。私は『フレイヤ』です。愛と戦い、そして豊穣の女神をしています」
亜麻色の髪に青と緑のオッドアイのお姉さんだな。
「じゃあ次は僕ね。僕は『オケアノス』だよ。海神なんだけど......最近はフラフラ遊んでるね。基本的には雲海の中にいるよ〜」
エメラルドグリーンの髪に空色の目の男の娘だ。
「次は僕だな。僕は『ヘルメス』さ。伝令神でもあり、錬金術の神でもある。よろしくな、ルナ達。それと、さっきはすまなかった。僕の配慮が足らなかったよ」
「あ、いえ。気にしないでください」
ごめんねヘルメス君。クソミドリなんて思ってしまって。とても誠実な人......神だったんだね。
「次は私かな? 私は『ルーナ』です。月の女神ですね。ルナ君には是非、『お姉ちゃん』と呼んでもらいたいです」
「お断りします」
ルーナさんはやっぱり。フーその2だな。外見は白く、とても綺麗で、いかにも『完璧美人』って感じなのに、その中身は結構なポンコツさんだ。......多分。
「男性陣最後は俺か。俺は『アグニ』だ。ルナの使う魔法や鍛冶が気に入った、ただの火の神だ。よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
燃えるような赤い髪のお兄さんだな。声も落ち着いていて、聞いていたら自然とパワーを貰えそうな、そんな優しい炎ってイメージだ。でも分かる。この神、ただの火の神ではないな。
次は俺のお隣さんの、ピンク色の髪の女神だな。
「私はぁ、『ヴィーナス』だよ〜。『ウェヌス』って呼ばれる事もあるね〜。あ、愛と美の女神だよ〜。よろしくね? 困った事があったら、なんでも聞いてね〜」
「あ、はい」
何故か頭を撫でられながら自己紹介された。
ルーナさんよりよっぽどお姉ちゃんでは? おっとりした感じといい、雰囲気から発せられる包容力といい、お姉ちゃんと呼ぶなら断然、ヴィーナスさんだろう。
そうして俺達の自己紹介もして、それぞれどんな人柄なのか、少し分かって貰えたと思う。
「あ、ルナさん。神の因子について、まだ話していませんでしたね」
突然、フーがそう言って立ち上がった。
「そうだな。フレイヤさんにも渡されたけど、あれは何なんだ?」
「「「「「え? フレイヤさん / フレイヤちゃんが??」」」」」
「はい。お渡ししましたよ?」
あ、神サイド全員の驚きようから、これは結構重要そうだな。
「ずるい! 僕も渡す!! はい! 受け取って!」
「それは僕もだね。面白い人間なら、渡してもいいだろうと思うし。はいどうぞ!」
「俺も渡したい。フレイヤに抜け駆けされるとは思わなかったぞ」
「ほら、お姉ちゃんのもあげるよ?」
「え? なら私も〜。はいど〜ぞ〜」
皆が俺の手に、それぞれの髪の色の玉を渡してきた。
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『神の因子:オケアノス』を受け取りました。
『神の因子:ヘルメス』を受け取りました。
『神の因子:アグニ』を受け取りました。
『神の因子:ルーナ』を受け取りました。
『神の因子:ヴィーナス』を受け取りました。
称号『神に好かれる者』を獲得しました。
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「だからこれは何なんだよ! 受け取ったら消えるし、訳分かんねぇよ!」
しかも称号付きだ、マジで理解できん。因子ってなんやねん。
「おぉ......まるでパンに寄ってきた鳩ですね。あ、神の因子と言うのは一言で言うと、『その神の欠片』のようなものです」
お、フー大先生の授業が始まった。
「欠片? フラグメント? 集めたら何かあるのか?」
「はい。その神の特性......権能ですね。その効果を少し、受けることが出来るんですよ」
「何柱分で受けられるんだ?」
持ってても意味なかったら悲しいからな。聞いておこう。
「最大効果を1とするなら、下級神なら因子3つで1です。中級神なら2つで1。上級神なら1つで1です。ここにいらっしゃる方は全員上級神ですので、全部最大効果ですね」
「えぇ......?」
何その生温い展開。ってかなんでそんな物をポンポン渡してるの?
「僕はついこの前上級神になったばかりだからね! ルナ君、ラッキーだね!」
「それはどうもありがとうございます......ところで効果は?」
「ふっふっふ、お姉ちゃんが教えよう!」
やべぇよ、1番喋っちゃいけない人が喋るようだぞ。
「フー......これはフーが「だめ! お姉ちゃんの仕事!」......はい」
小声でフーに言ったのに気付かれてた。ってかヘルメスがルーナさんの服を引っ張っていたし、さては伝えたな?
ちくせう。ヘルメスがいる限り、コソコソと伝える事ができないでは無いか。ちくせう。
「あ、ルナ君。ルナ君は他にも因子を貰ったりした?」
「はい。お稲荷さんから」
「おぉ、それは良いね! じゃあ全部解説しちゃおっか!」
「長くならない程度にお願いします」
「お姉ちゃんって呼んでくれたらいいよ?」
「じゃあ長くて結構です。続けてください」
すまんなソル達。俺はどうしてもこの人をお姉ちゃんと呼びたくないのだ。我慢してくれ。
「じゃあまず、稲荷ちゃんの因子だけど、これは『妖術の効果上昇』だね。『妖術』はもう覚えてる? お姉ちゃんが教えよっか?」
「いえ、スキル書貰ってるんでいいです」
「ちっ、あの狐め......こほん。それで次はフレイヤちゃんだね。フレイヤちゃんの因子は『農業の成功率上昇』だよ。確かルナ君、農場持ってたでしょ? だから役に立つと思うよ!」
「あ、はい」
なんかこの人、一瞬だけ真っ黒になったけど大丈夫?
お稲荷さん、ルーナさんに何かされたら逃げてくれ。頼む。
「それで次はオケアノス君のかな? オケアノス君のは『水中での呼吸を可能にする』っていう効果だね! 中級神の頃だったら『水中の移動速度の上昇』だったのかな?」
「そうだよ! めっちゃ便利でしょ?」
「水中呼吸は凄まじいな。そんな強い効果を貰って良かったのか?」
やばいぞ? これから来るであろう夏イベで、とんでもない活躍を見せる気がするんだが。
「だいじょぶだいじょぶ。代わりに生命力削れるから」
「ゴミじゃねぇか!」
「しかも1回の呼吸で最大生命力の半分だよ。これ固定ね」
「うわぁ外したい。これ凄く外したい」
「残念! 因子は取り外し不可です! ルナ君、ガンバ!」
うぜぇ。
不死鳥化してないと、水中で2回呼吸しただけで死ぬとか、ちょっと勘弁なんだが。
こうなったら『サーキュレーション』を改造して、完全に水中呼吸用の魔法を作ろうか。
頑張って覚えてろよ、未来の俺。
「それでヘルメスの因子は『錬金術の成功率上昇』だね。普通に役立つのが腹立つね」
「ルーナ、僕に当たりキツくないか?」
「私のルナ君にあんな事しておいて? 伝令神だからって、あれはダメだぞ?」
「違います! ルナ君は私のです!!!」
ルーナさんとヘルメスの会話に、ソルが割り込んだ。
「ルーナさんにルナ君は渡しませんから!!」
「いいですよ? 私はただ、お姉ちゃんになりたいだけですから」
「ダメです! お姉ちゃんポジも私の物です!!」
「な、何故! 恋人という枠でありながら、どうしてお姉ちゃんまで!?」
おいおい。めんどくさい事にしないでくれよ、2人とも。
すると2人を口論を見たリルが椅子から降り、静かに俺の膝の上に座った。
「その点、娘の座にいる私は無敵ですね、父様」
「せやなぁ。不動のポジだもんなぁ」
そうして2人の口論が終わるまで、俺はリルの頭を撫でていた。
「はぁ......はぁ......お姉ちゃんは私の物です!」
「.....はぁ......はぁ......幼馴染かつ数日生まれが早い、私の物です!」
「も〜、2人とも見苦し〜よ〜。お姉ちゃんなら、黙ってルナ君の為になることをすればいいじゃな〜い。ほら〜」
そう言ってヴィーナスさんが抱きついてきた。
「あと5秒続けたら殴りますよ」
「「「「「えっ」」」」」
俺がそう言うと、ヴィーナスさんは光の速さで椅子に戻った。
「ど、どうして〜?」
「そりゃあ、俺に抱きついていいのはソルだけですからね。好きでもない異性に抱きつかれて、嬉しいですか?」
「......ごめんね。私が間違ってたよぉ」
頼むよ、愛の女神様。察してくださいよ。
「いいですよ。これからは気を付けてくださいね?」
「は〜い......」
さて、皆が静かになった事だし、因子の話を続けて欲しいな。
「で、アグニさんの因子はどうなんですか?」
「......え、えっとね『火に関係する魔法の攻撃力の上昇』......だね......」
ルーナさんの勢いがどんどん落ちて行った。
「あらあら。ルーナさんはもう無理そうですね! 流石ルナさんです。では続き......というか、最後は私が」
「頼んだ、フー」
ルーナさん、惨敗だな。ドンマイ!
「ヴィーナスさんの因子は『金細工スキルのレベルが上がりやすくなる』という効果ですね。美の女神ですから、より美しいアクセサリーを作ると、より経験値が貰えたりしますよ」
「なるほど、ありがとう」
「いえいえ。これにて因子の説明は以上ですかね?」
「いや──」
まだあるぞ。
「そもそも、神の因子とはなんだ? 神の何の欠片なんだ? 俺に与えることによる神のメリットは?」
これだ。こんなにポンポンと俺に渡してきたが、ソルには渡していない。
これには何か、理由があるんじゃないのか?
「よく気付きますね、本当に。それで、ルナさんに神の因子を与えることによる神のメリット......と言いますか、理由。これは単純です」
何だろうか。
「皆さんが、ルナさんの事が好きだからですよ」
「は?」
「え?」
意味が分からない。
「あ、別に異性としてではないですから、ソルさんも安心してください。この場合の好きというのは、その人の性格や考え方などが挙げられますね」
すると、静かにアグニさんが手を挙げた。
「例えば俺の、『ルナの戦闘が好き』とかな。俺はお前が作ったその魔法を使った戦いが好きなんだ。だから因子を渡した」
「なるほど。理解しました」
好きというか、お気に入り? みたいな感じか。
「僕はそうだねぇ......初見で僕の事を男だと見抜いた所を気に入ったかな?」
「え? 女の子じゃないの!?」
「ソル、オケアノスさんは俗に言う、『男の娘』だ」
「そうだよ〜。あ、ルナ君。敬語とか無くていいよ? めんどくさいっしょ?」
「じゃあ有難く。これからもよろしく」
「うん! よろしくね!」
何故かオケアノスと仲良くなった。やったぁ! 友達が増えた!
「とまぁ、そんな感じです。紛らわしい言い方をしてすみません」
「いや、いい。フーの例えも合ってるからな。お気に入りとはズバリ、好きという事だからな」
好きはそれぞれ、ライクとラブがあるからな。
皆は俺の事を、ライクの方で好きになってくれた......のかな?
自分でこう思うのは、自意識過剰な気がして嫌だな。
「ふふふ、ではルナさん、ソルさん、リルさん。ここでもう少しお待ちください。私はお食事の用意をして参りますので」
「「「はい」」」
そう言ってフレイヤさんはリビングから出て行った。
フレイヤさん、最高神がうんたらかんたら言ってたけど、大丈夫なのだろうか。
「あ、そうだ。今のうちにスキル書使っとこ」
後でここに居る皆に、スキルのことを聞いてみよう。
そうして俺は、『妖術』『音魔法』『植物鑑定』『毒物鑑定』『動物鑑定』『海魔法』のスキル書を使った。
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名前:ルナ Lv70
所持金:80,845,590L
種族:天使
職業:『剣士』『ヴェルテクス:ギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Cランク冒険者(94/200)
Pギルド:『ヴェルテクス』
所持因子:『稲荷』『フレイヤ』『オケアノス』『ヘルメス』
『アグニ』『ルーナ』『ヴィーナス』
HP:3,690<1,000>
MP:4,192<1,500>
STR:4,690
INT:2,690
VIT:3,190
DEX:4,190
AGI:2,890
LUC:1,345
CRT:60(限界値)
残りSP:1,240
『取得スキル』
戦闘系:非表示
魔法
『火属性魔法』Lv100
『水属性魔法』Lv100→『海魔法』Lv1
『風属性魔法』Lv100
『土属性魔法』Lv1
『雷属性魔法』Lv100
『氷属性魔法』Lv100
『聖属性魔法』Lv1
『闇属性魔法』Lv1
『自然魔法』Lv100
『龍魔法』Lv100
『古代魔法』Lv1
new『音魔法』Lv1
new『妖術』Lv1
生産系:非表示
その他
『テイム』Lv2
『不死鳥化』Lv100
『マナ効率化』Lv0
『天使の翼』Lv0
new『植物鑑定』Lv0
new『毒物鑑定』Lv0
new『動物鑑定』Lv0
<>内アクセサリーの固定増加値
SP増加値:非表示
種族補正:非表示
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お稲荷さんも、実は上級神です。有名ですからね。
っていうかルーナさん、甘々になってますけど大丈夫ですかね?真っ白な外見で、真っ黒な黒歴史を量産してる気がしますけど.....大丈夫だと祈りましょう。
あとオケアノス君、効果がピーキーすぎます。最早無い方g(ry
あ、因子の効果は最大で5%分の上昇です。下級神で1%、中級神で2%という感じで。ですから、オケアノス君の因子が異質なんですよね。天鱗かな?
っとと、そうでした。次回から.....いえ、次次回から大きく動きます。神龍編、20まではいかないと信じてます。
次回も楽しんでくだすぁい!