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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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神なる龍は、龍を嫌う 9

男の娘の次は、あの方です。(^・ェ・^)←ヒント




「こんにちは〜! ソルちゃんいますか〜?」



 山頂にある神社に来た。いや、神社と言うより、日本家屋と言った感じか。それも結構大きな屋敷のようだ。



『ちょっと待ってな〜!......ほら、行くで?』



 推定、お稲荷さんの声が聞こえた。行くで? って事は、やっぱりソルがいるのかな?



『ほら、早う早う!』


「ちょ、ちょっと待ってください! 流石に恥ずかしいです!」


『何言うとんの? せっかく迎えに来てくれたのに、見せんでええんか?』



 なんか声が聞こえる。片方は確実にソルの声だ。



「声的に安全面は大丈夫そうだな。フー、シリカ。降臨」



 安全というか......多分、結構仲良くなってるだろうな。

 だったら皆で挨拶しておきたい。もしかしたら、今後も関係が続くかもしれないし。



『ルナはんよなぁ? もうちょっと待ってな〜?』


「は〜い!」



 なんと言うか......アレだ。友達を呼びに家に行ったら、その友達の用意が終わってなくて、友達のお母さんに『ちょっと待ってね』って言われてる気分だ。


 俺、陽菜の家しか行ったことない上に『ちょっと待って』とか言われたことないけど。



「母様、何をしてらっしゃるんでしょうかね?」


「さぁな。ってかあの声はお稲荷さんで合ってるよな?」


「「合ってます / 合ってるよ!」」


「なら良かった。適当に待っとくか」


「そうしましょう! それに父様、ここの景色、とても綺麗ですよ!」



 リルに手を引かれて山の麓の方を見ると、綺麗に紅葉(こうよう)した紅葉(もみじ)に小川といった、和を感じる景色が広がっていた。



「めっちゃ綺麗だな。テレビで見たような光景より綺麗だ」



 テレビで見た『紅葉特集!』みたいなやつより、数段と美しく見えた。



「ルナさん。実はここ、神界で最も空気が綺麗な場所だったりするんですよ?」


「そうそう! 落ち着きたい時とか、よく稲荷ちゃんとこに来るんだよね!」


「へぇ。だから景色も綺麗に見えるわけか」



 本当に綺麗だ。思わずスクショを忘れるくらいに。


 この写真は後でマサキ達やアテナ達に送り付けよう。『神界、ヤバい』と、語彙力の欠けらも無い文字を添えて。



『ルナは〜ん! ちょっと来て〜!』


「は〜い」



 景色を眺めていたら、お稲荷さんに呼ばれてしまった。



「行こうか。ソルに会いに行こう」


「はい!」


「結構長い時間用意してたみたいですし、楽しみですね!」


「狐ちゃんが何かされてたのは確実だよね〜」



 そして玄関前まで行くと、引き戸が開けられた。



「いらっしゃい。待ってたで?......ソルはんが」


「初めまして。ルナです」



 玄関には、まるでソルを大きくしたような、金髪に紅い眼をした狐獣人の人が出迎えてくれた。



「礼儀正しい子やなぁ。ウチ、結構お気に入りやわ〜」


「初めまして、リルです。父様と母様の娘です!」



 リルが小さく背伸びをしながら挨拶した。



「可愛いぃ! ルナはんにそっくりやぁ〜!」



 お稲荷さんはそう言いながら、リルを抱っこしてギューッと抱きしめた。



「むぐっ......苦しい......です......助け......て」


「ちょちょちょ! 緩めて! 優しくお願いします!」



 俺がそう言うと、すぐに力を抜いて優しく抱きしめた。



「あっ、ごめんな? あまりにも可愛いもんやからつい......」


「い、いえ。大丈夫です」


「ほんま可愛ええなぁ。で、2人はイシスはんとアレスはんか? 久しぶりやねぇ?」


「えぇ、お久しぶりです稲荷さん。今はフーですよ」


「シリカもだよ! 久しぶりだね! 稲荷ちゃん!」


「元気そうで何よりやわぁ。さ、皆入って〜な。奥でソルはんが待っとるで?」


「「「「お邪魔します」」」」



 屋敷の中は、よくアニメや漫画で見るような、如何にもって感じの屋敷だった。

 将来、こんな所に住んでみたいものだ。



「何もあらへん所でごめんなぁ?」


「いえ。寧ろこういう、『普通』といった感じが1番落ち着きます」


「それ、ソルはんも同じこと言ってはったわぁ。『ここは凄く落ち着く〜』『将来はこんなとこに住みたい〜』って」



 同じ事考えてた〜! やっぱり、こういう落ち着いた日本家屋って憧れるよなぁ。



「ほれ、あそこを曲がったところの縁側にソルはんがおるはずから、抱きしめたって?」



 どうやら今歩いている廊下を曲がった先にソルがいるようだ。



「分かりました」



 もう、人前で抱きしめることに抵抗はない。心の中にある、謎のラインを既に超えている。

 そして縁側に出ると、ソルが綺麗な和服を着て座っていた。


 ソルは笑ってこちらに手を振ってきた。



「ルナ君、久しぶり? 伝えるの遅「誰だ? お前」く......」


「「「え?」」」



 こいつ、ソルの見た目をした別人だ。見た目は完璧にソルだが、仕草が変だ。



「父様? この方は母様じゃ......」


「何言ってんだ? こんなやつがソルな訳ないだろ? 見た目こそ本人にそっくりだが、体の動かし方に目の動き、仕草や言葉選びがソルじゃないだろ?」



 違和感が物凄く大きい。いくらソルがあまり着ない服だからといって、ここまで変わるものでは無いだろう。


 それに、10年近く一緒にいたんだ。何となく、雰囲気も違うのが分かるぞ。



「ステラ。......おい、お前は誰だ?」



 万が一戦闘になった時ようにステラを出した。



「......凄いなぁ、ルナはん。ちょっとした遊びやと思うててんけど......とんでもないなぁ」



 喋り方的に、この人はお稲荷さんだな。

 すると、ソルモドキの体が光り、玄関で俺達を出迎えた狐獣人の人に姿が変わった。



「ごめんなぁ? ウチは『稲荷』言う、狐の神や」



 多分......本物だろう。いや、やっぱり信用ならん。



「......ソルはどこに? 確認するまで信用できんぞ」


「安心し。今厨房で料理しとるよ? もうじき出来るやろうし、こっち来ぃな」



 お稲荷さんに手を招かれ、着いて来るように言われたが............はぁ、いいや。着いて行くか。



「はいはい」



 ステラを仕舞い、お稲荷さんに着いて行く事にした。




「いやぁ、ほんまにごめんなぁ?」




 どこかへ向かっている途中、歩みを止めて謝られた。



「もういいですよ。ちょっとしたイタズラ心でしょう?」


「うん......ウチ、狐やからさぁ。ほら、『狐に化かされる』って言うたりするやろ? だから、ちょっと遊んでみてんけど......見破られた上に信用も失ってしもて......ほんまにごめん」



 誠心誠意、謝られた。



「気にしてませんよ。あなたのことはよくシリカが言ってましたし、悪い神じゃないんでしょう?」


「うん。ウチは善神や。運の神でもあるんよ」


「なら大丈夫です。信用は......まぁ、ソルが元気なのを確認できたら大丈夫ですから」



 こっちの目的はソルに会うことだからな。


 神界に一緒に来たかと思えば、ソルだけが別の場所に飛ばされていた。そんな事が起きたら心配して探......あぁ、きっとあの時のソルはこんな気持ちだったのかな。

 何も言わずにどっか行かれて、必死に探すこの感じ......

 ソルの時はリルというヒントが。俺の時はフーやシリカというヒントがあった。


 だけど、もし完全なノーヒントだったら?



 再会する確率は、極めて低くなるだろう。



 これからはちゃんと、どこに行くか、何をするか、伝えるようにしよう。

 この、何かを失いそうな気持ちはもうしたくない。



「ほな、ここで待っててな? ウチはソルはん呼んでくるから」



 そう言ってお稲荷さんに連れてこられたのは茶の間だった。大きな机と座布団がある、綺麗なお部屋だ。



「分かりました」



 そしてお稲荷さんはソルを呼びに行った。



「ふぅ......焦ったわ〜」


「父様、本当によく分かりましたね?私から見れば、あれはいつもの母様でした」


「私も騙されちゃいましたね〜」


「シリカも。悔しいね」


「まぁな......あれで本当のソルだったら俺、後で殺されてたかもな」


「「ですね〜」」


「うんうん」



 結構な賭けだったが、無事に勝利だ。



「愛のなせる技、でしたね。ルナさん」


「......そ、そうだな。それと真っ直ぐそういう事を言うのはやめてくれ。恥ずかしくなってくる」



 嬉しいけどやめてくれ! 顔からイグニスアローが出るぞ!



「はは〜ん? いいでしょう。もっと言ってやりましょう。このラブラブカップル〜!」


「神の魔法をも見破る愛の持ち主〜!」


「え、えと......母様が羨ましい〜!」


「「確かに」」


「何言うとんねん......全く」



 騒がしい奴らだよ、本当に。毎日飽きさせずに楽しませてくれやがる。

 そんな事を思っていたら、障子の奥から声がかかった。



「ルナく〜ん、入るよ〜!」


「呼んできたえ?」



 そして障子が開けられると、ソルが入ってきた。



 雰囲気、声、小さな仕草。紛れまもなく本物のソルだ。



「久しぶり、ルナ君!......おっと」



 思わずソルに抱きついてしまった。



「ごめん......この前は何も言わずに抜け出して。俺、ソルを探すの......つらかった」


「もう......分かってくれたかな? あの時の私の焦り様も」


「分かる。というか体感した」


「うん。私もごめんね? 連絡返さなくって。ちょっとルナ君を困らせようと思ったの」


「それはもうやめてくれ。これからは何処に行くか、ちゃんと伝えてから出るよ」


「うん。大好きだよ、ルナ君」


「俺もだ」






「もういいかえ? 話が進まなるから、後でしてもろうてええか?」






 たっぷり5分抱き合ってるとお稲荷さんにそう言われた。



「お稲荷さんが『抱きしめたって?』って言ったのに......」


「そうだそうだ〜! 稲荷ちゃん、ずるいぞ〜!」


「えぇ? 反撃飛んできてもうた」



 そしてソルから離れ、俺は座布団に据わった。



「まぁ冗談ですよ。で、どうしてソルを連れて行ったか、ですか?」


「冗談かいな......で、その事やね。理由は単純なんよ? ウチがソルはんを気に入ってるって理由やから」



 まぁ、その予想はしていた。



「そうですか」


「あ、別に敬語やなくていいんよ? あんな事してなんやけど......ウチはルナはんの事、少しは知った気になっとるからなぁ」



 フレンドリータイプか。助かるラスカル。



「じゃあ敬語は辞めようかな。で、ソル。今まで何して時間潰してたんだ?」



 ただ料理をして待ってた......なんて事はないだろう。



「えっとね、稲荷ちゃんから貰ったスキルの練習と料理だね」


「あ、せやせや。ルナはんにもはい、これ」


「ありがとう。これは......なるほど」



 ソルが答えると、お稲荷さんが本を渡してきた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━

『スキル書:妖術』を受け取りました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━



 ソルが『魔法』とは言わずに『スキル』と言った意味が分かった。確かにこれは、魔法に近くても魔法じゃないもんな。



「ありがとう、お稲荷さん」


「ええんよ。お詫びの意味と、これからもよろしゅう、という意味もあるからの」



 これで神界に来てから2つ目のスキル書だ。いや、レイドイベの報酬を入れたら6種類目のスキル書か。



「そんな感じだね。それじゃあそろそろご飯食べる? お腹、空いてるでしょ?」


「そうだな。何時間も飛びっぱなしだったし、結構お腹空いてる」


「私もです!」


「ふふふっ、皆の分もあるからね。じゃあ食べよ!」






 そうしてお稲荷さん含め、皆でご飯を食べた。






「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」



 結構本格的な和食が出てきた驚いた。このゲームの食べ物に、まともな色の野菜があるとは思わなかったからな。


 とても美味しかった。今度はリアルで食べたいと思ったよ。




「じゃあ今後の方針でも話すか」


「もう行ってしまうんかえ?......寂しなるなぁ」


「「大丈夫、また来る / 大丈夫、また来るよ!」」



 ソルとハモって答えてしまった。



「息ぴったりやなぁ。で? どこに行くん?」


「次は神龍......と言いたいところだが、フレイヤさんの所だな」


「あ〜、そう言えば手紙貰ってたね」


「ですね。母様の髪飾りの時に......」




「今、フレイヤ言うたか!?」




 リルがまだ何かを言っていたが、それを遮るようにお稲荷さんが大声を上げた。



「あぁ。『神界に来たら、是非遊びに来てね〜』って手紙を貰ったからな。......ほら、証拠」



 あの時に読んだ手紙を出した。



「うわ......ほんまや。本物や、これ......」


「稲荷ちゃんは何をそんなに驚いてるの?」



 それ、めっちゃ気になってた。



「2人ともなぁ、フレイヤ言うたら『次の最高神』とまで言われてる神やで?そんな神が下界の人間に、わざわざ直筆の手紙を書くなんて......正直言って、有り得へんのや」


「なんで有り得ないんだ?」


「最高神候補ってのはな? 下界で言うところの『王女』とか『王子』やで? そんな人物が個人的に手紙を書く時間と、それを忍ばせる時間があると思うてる?」


「......ないかもな」



 いやね? 王女の忙しさとか、正直知らん。俺の知ってる王女って、ワイバーンをちまちまと刀で殺したり、刀術を教えてくれ〜って言ってくるやつだったからな。




「ルナはん、これは絶対に行きや? 多分、最高級のおもてなしされんで」




「分かった......ってか次の目的地だからな」



 言われなくとも、ってやつだ。



「ルナ君、フレイヤさんの居場所は分かるの?」


「いや? 知らん。だからここで、お稲荷さんとかフーに聞こうかなって思ってたんだ」


「なるほど。稲荷ちゃん、フレイヤさんはどこに居るの?」


「ここから北西に行ったところの、空中庭園におるはず。亜麻色の髪に、右目が青、左目が緑色をしとるんがフレイヤはんやで」


「北西か......ありがとう」



 フレイヤ、オッドアイなんだな。カッコよさそうだ。



「ええんよ。せっかく神界に来たんやし、楽しんでな?」


「あぁ。そうさせてもらうよ。それじゃあ、そろそろ行くか?」


「うん!」


「「はい!」」


「おっけ〜」




 皆、準備万端だ。




 そうして玄関まで行き、最後にお稲荷さんに挨拶をする。




「あ、これあげる。下界からのお土産だ」



 どうせだし、ホープダイヤモンドをあげた。



「っ!?......これはまた、貴重な物を渡してきたなぁ。ルナはん、これがどれだけの価値があるか分かっとる?」


「価値というか、強さならな。それ、量産し易いから沢山あるんだよ」


「量産やて!? これ、神器と同等以上の性能の宝石やで!? それを量産!?」



 え? そんな価値なの? これ。やばいんだけど。王女とか衛兵さんとか、受付嬢やランザにまで渡しちゃったんだけど。



「......はぁ。人間、それも語り人は凄いなぁ? ほれ、ルナはん、お返し......って言うたら変やけど、そんなもんや。受けとりぃ?」


「どうも」



 お稲荷さんから小さな玉を貰ったが......受け取った瞬間に消えた。



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『神の因子:稲荷』を受け取りました。


 称号『神の因子を持つ者』を獲得しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「「あ! 神の因子!!!」」



 受け取ったらすぐにフーとシリカが反応した。



「稲荷さん......はぁ、まぁいいです」


「お兄さん、多分大丈夫だよ」


「ルナ君、今のは何?」


「私も気になります。とても強い魔力......魔力? のような力を感じました」



 そうなのか。何で出来てるかは知らんから魔力とか分からん。サーチも使えないし。



「今のは旅の安全を祈るお守りや。だから安心しぃな? お二人さん。それとフーはんとシリカはん、後で説明したりなや?」


「もちろんですよ......」


「爪痕残すね〜、稲荷ちゃん」




「ええんよ。ほな皆、元気でな〜?」




『『「「「行ってきます!」」」』』


「行ってらっしゃい」




 お稲荷さんに見送られながら、俺達は北西へ飛んだ。






「さぁ、フレイヤの後は神龍だぞ〜!」


「楽しみだね!」


「再戦です!次は勝ちます!」





 そうして飛ぶこと1時間。空に浮かぶ、島サイズの鳥籠のような物を発見した。




「デカ過ぎんだろ......」


ようやく登場、お稲荷さん!京都弁なのか関西弁なのか.....分からぬ。不思議な方です。


それと、最初のソルの「恥ずかしいです!」もお稲荷さんの分身体ちゃんの声です。

ルナ君達を出迎えたのが分身体ちゃんで、その分身体ちゃんを外に出そうとしていたのが本体さんです。


分かりにくくて、申し訳のぉござる。(´;ω;`)



そして次回はまさかの神龍編10話な訳ですが、まだ神竜は待機です。フレイヤさんが出番をむしり取りましたね!


あ、神龍の前にスキルと称号チェックしますよ〜(^・ェ・^)


では次回も楽しんでください!以上です!



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