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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
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神なる龍は、龍を嫌う8

ペネロピさんをお迎えしました。

イベントコンプ、楽しかったです。



 「お、頂上だな」



 空を飛んで山を登ること数分、何事なく山頂に着いた。

 山頂は、いかにも『岩山』という感じのゴツゴツとした地面が広がっていた。



 「母様は......いませんね」


 「チャットにも反応無いし、割とマジでヤバめだな」


 「どうしますか? また東へ飛びますか?」


 「う〜ん......どうしたものか。シリカ、フー。顕現」



 三人寄れば文殊の知恵と言うし、4人に増やせばより良い意見が出るんじゃないか?知らんけど。



 「おぉ、神界ですか! 久しぶりに来た感じがしますね〜!」


 「だね! この空気の薄さ、魔力の濃さ、空気の流れ......確実に神界だ!」



 よく分かるのぉ、お二人さん。



 「シリカ、フー。ソルが消えたから探してるんだけど、何か案はないか?神界出身の2人の意見が欲しいんだが」


 「私は一つだけ心当たりがあるくらいですかね」


 「私も!」


 「マジ? 教えてくださいな」



 流石元女神。流石元戦神。頼りになるよ、2人とも。



 「多分シリカさんと同じ場所を言うと思いますよ? 私」


 「シリカも! じゃあ一緒に言おっか? せ〜のっ!」



 「「稲荷さん所です! / 稲荷ちゃんの所!」」



 「やっぱりね! 多分、稲荷ちゃんが狐ちゃんを持ってたったんだと思うよ? お兄さん」



 あ〜、なるほど。前ならちょくちょくシリカが言ってた『稲荷ちゃん』とやらがソルを誘拐したと。



 「ほんほん。ってか稲荷って『お稲荷さん』か? 狐の神様の」


 「そうですね。本来は下界の神社か......」


 「ここから別の神界に行けば会えるね、稲荷ちゃんは」


 「「別の神界?」」



 え? 神界って複数個あるの? どういうことだってばよ?



 「はい。神界とは『もう1つの世界』と思ってください。ですから、この山をから草原までを下界の基準で考えるなら......そうですね......」


 どういう基準なのだろう。気になる。



 「あ! いい例えを思いつきました。この山からあの草原は、『家のリビングからキッチン』程度に考えてください!」


 「えぇ?」


 「それで、別の神界というのは『お隣さんのお家』って感じです!」


 「って事は何だ? リビングから別の部屋に行く通過点はどういう感じなんだ?」


 「それはこの島の端に行けば分かります。ふふっ」


 「だねだね! このまま東にず〜っと行けば稲荷ちゃんのエリアに出れるよ!」



 島......ねぇ? いつもの所を『下界』と呼んでるくらいだし、神界は浮島なのかな。だとしたら、相当景色が良いんじゃないか?



 「じゃ、2人は刀でよろしく。リル、行くぞ」


『『「は〜い!」』』



 ちゃっちゃと行こう。早くソルに会いたい。



 そしてリルを抱え、東へ飛ぶこと5時間。遂に島の端に着いた。




「「おぉ〜!!」」



 足元の草原がプツリと途絶え、眼前には雲海が広がっていた。



「凄いなこの景色! こんな雲海、初めて見たぞ!」


「雲が地面の様になっていますね! 綺麗です!」


「これはアレだな。雲の上を歩くしかないな」


「え? 雲って歩けるんですか!?」


『リルさん、無理ですよ。普通に下界に落ちて、そのまま死にます。まぁある意味神界に昇るんですけどね』




「誰が天国行きや。俺のちょっとしたジョークだろう?」




『『「え?」』』


「え?」


『ルナさん......本気で言ってるかと思いました......』


「私もです」


『シリカも。お兄さんならやりかねないからね』


「......そうか」



 俺は普段、みんなからどう思われているのだろう。能天気おバカで強いプレイヤー? モフりスト?



「それでフー。このまま真っ直ぐ飛べばいいのか?」


『はい。ちょっとした条件はありますが、ルナさんはクリアしてるので全く問題ないです』


「条件は何だ? 知っておきたい」


『簡単です。『狐獣人を見た事があるか』という事ですよ。神にはそれぞれルーツやコンセプトがあるので、それに対応する条件を満たすだけです』


「んなぁ〜るほど。少し理解した。じゃあ飛ぶぞい!」




 お稲荷さんの所へ行く条件を満たしている事を確認し、俺はリルを抱っこして東へ飛んだ。




「はい、飛んでから気付きました。これは何時間フライトなんだろうか」




 また数時間かかるなら精神的にかなりキツい。



『このままの速度でしたら、大体3時間程じゃないですかね? シリカさんはどう思います? 私、結構前に神界を降りたせいで感覚が鈍ってるかもしれないので......』


『ん〜? シリカも同じかな』


「うぃっす。ご意見感謝でござる。『ウィンドボム』」



 ブリーシンガメン頼りのボムボムエンジンで加速する。



『これなら30分もかからないでしょう。寧ろどうして今まで使わなかったのですか?』


「ただ単に忘れてたって話する? 俺、40分くらいかけて説明出来るぞ?」


『説明しなくていいので黙って飛んでください』


「は〜い」



 基本的な事ほど忘れがちだ。ボムボムエンジンくらいは無意識で発動できるようにしようかな?



 そして雲海を飛ぶこと20分。切り取られた様な森林の島に着いた。




「上陸、と。ここがお稲荷さんのホームか?」


『そうですね。この森の先にとても高い山があるんですけど、その山頂の神社に住んでますよ』


「オッケーオッケーオケアノス。なら飛んでくか」




 フーからお稲荷さんの居場所を教えてもらい、東に飛ぼうとしたら──




『呼んだ?』



「「!?」」



 少年のような声が聞こえてきた。



『ルナさん、この声は『オケアノス』さんの声ですよ。さっきのルナさんの言葉を聞いて、声をかけて来たのでしょう』


『お? その声はイシスちゃん? 付喪神になったって聞いてたけど......本当だったんだ』



 また神の会話が始まっちまった。こうなると俺、何も出来ないんだよな。



『お久しぶりですね、オケアノスさん。私は見ての通り、ルナさんの付喪神になりましたよ』


『おぉ! んじゃあ今の声が『ルナ』って子? どれどれ、少しお話しようじゃないか!』



 目の前に水色のスカートを履いた女の子が出てきた。



「ややっ! 初めまして! 僕は『オケアノス』だよ! よろしくね?」


「ルナです。失礼ながらお聞きします、あなたは男性ですよね?」


「お? おぉ!? よく気付いたね! その通り、僕は男だよ!」



 声も見た目も女の子だが、何か違和感を感じたので聞いてみたら、見事に当たっていた。



「父様......よく気付きましたね。私は女の子かと思いました」


「娘ちゃんが普通だよ? 逆にルナ君、君はどうやって僕が男だと気づいたの?」


「え?......う〜ん......」



 改めてよくオケアノスを見てみた。


 エメラルドグリーンの髪に空色の瞳。整った顔は完全に女の子。

 だけど、何か違和感を感じる。



「あぁ、分かりました。足ですよ、足」


「足?」


「えぇ。少しがに股というか、筋肉の付き方が男性なんですよ。ですから違和感を感じたんです」



 刀術の稽古の時に、筋肉の付き方を知ったから気付けた。

 人生、思わぬ所で学び、思わぬ所で活躍するもんだな。



「おっほぉ......もしかしてルナ君、普段から色んな女の子の足を見てる?」


「いえ。稽古の時に知ったのでそれで。それに見てるのはソルの足だけです」



 外では巫女服かローブを着てるけど、家じゃ普段着を来ているからな。時々見てます。はい。



「あ〜、聞いた事あるね、その名前。確か狐獣人ちゃんだっけ? ヘラのお気に入りナンバー2の」


『そうですよ。ルナさんとソルさんは恋人なんですよ』



 オケアノスの言葉にフーが返答した。



「なるほどね。そりゃ全身見るよね、納得した。それでルナ君はこれから何処に行く予定なの? 適当にほっつき歩いてるなら、僕の所に来ない?」


「すみません、それは出来ません。今からお稲荷さんの所に行ってソルを返してもらう所なんですよ。お誘いは嬉しいですが、またの機会に」


「それは......はははっ! ならまた今度、雲海の中の海においで。歓迎するよ!......後これ、お近づきの印に」



 オケアノスは1冊の本を俺に渡した。



━━━━━━━━━━━━━━━

『スキル書:海魔法』を受け取りました。

━━━━━━━━━━━━━━━



「え?......えぇっ!? これ、スキル書......」


「うん! それはプレゼントだよ! んじゃあ恋人探し、頑張ってね! ばいば〜い!」


「あ、はい。また今度」



 オケアノスは俺にスキル書を渡し、すぐに去っていった。



『思わぬ出会いでしたね。しかもオケアノスさんって上級神ですし、本当に幸運ですね』


「上級神が何なのかは知らんが、中々面白い人......神だったな。まさかの男の娘だったし」


『あれ、オケ君本来の姿だからね。お兄さん、本当に幸運だよ?』


「本来の姿? どゆことっすかシリカパイセン」


『そのままの意味だよ! 神というのは姿を隠したくなるものなの。だから本来の姿を見れる人って本当に限られてるの』


「ん〜?」


『それは説明不足ですね。ルナさん、神は本来の姿を見られることを嫌います。理由としては、それが弱点になるからなんです』


「弱点に? 姿を見られることが、か?」


『はい。神の使う魔法には、『見たものに作用する』魔法なんかもありますから、その対策なんですよ。昔、それで戦争があって、それ以来からですね。変装するようになったのは』


「怖いな。それは俺も姿変えるわ。変えれるのか知らんけど」


『あ、人間には効かないので大丈夫ですよ。人間や語り人、それにリルさんとか神の因子を持たないので、概念系統魔法は効きません』



 ま〜た変な単語を言いやがりまして。


 あまり難しい言葉を使うなよ......分からないだろ?



「そっか。なら良かったわ。じゃあそろそろ本格的にソルを取り返しに行くぞ。囚われのお姫様を助けるど〜」


「あのお家的に、姫は私では?」


『ですね。ソルさんは王妃様ですかね?』


『王妃を取り返しに行く王......おかしいね!』


「いいんだよ、姫で。女の子は誰でもお姫様だろ?」


『『「まぁ、そうですね / そうだね」』』



 ソルは可愛い可愛いお姫様なのです。





「じゃあ、行こうか。最悪戦闘になるが......そうならない事を祈って」

オケアノス君!?


次回は囚われのお姫様(笑)を救い、遂に.....!


お楽しみに!



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