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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第7章 神界と夏休み
175/492

神なる龍は、龍を嫌う 2

激アツ展開



 




『父様! 皆さんを連れて地下から出ました!』



 神竜の言葉に心を抉られていたらリルから念話が飛んできた。



『全速力で全員の避難を。時間は稼ぐから、焦らずに運んでくれ』


『分かりました』



 よし、後は神龍をぶちのめすだけだ。......ぶちのめされそうだけど。



「神龍、俺は性格が悪いんだ。すまないな『ファイアブレス』」



 ファイアブレスは直撃したが神龍は無傷だった。



『龍を侮辱する気か? 貴様』


「別に? 龍とか知らんし、侮辱なんてしてないぞ。ただ龍に龍魔法を使いたかっただけですぅ」


『くだらないな。『龍神魔法:テンペスト』......細切れになるといい』



 神龍をおちょくってみたら、大きな緑の魔法陣から風の刃が飛んできて、一瞬でHPが1になった。

 

 ラッキーだ。



━━━━━━━━━━━━━━━

『死を恐れぬ者』が発動しました。

━━━━━━━━━━━━━━━



 俺の必殺技、『我慢』により、ただのバフと化すのだ。フーハハハ!!............痛い。つらい。苦しい。



「くぅ......『戦神』『イグニスアロー』『アウラ』」



 魔法しか使えん......刀に手を伸ばせないくらい、神龍の魔法が痛いもん。

 あぁ、誰か助けて欲しいなぁ。1人で時間を稼ぐの、結構しんどいなぁ。



『ぐっ!......まだそんな力があったか!』


「お陰様でな」


『貴様、本当に人間か?』


「羽の生えた人間だ。よろしく」



 神龍君、攻撃するなら次はブレスの方でお願い。


 風の方はさ、なんて言うか、こう......紙で指を切った時みたいな痛さだからさ? ブレスで一気に削ってくれた方がストレスが無いんだよ。



「ふぅ......『戦神』『魔纏』『魔刀術:雷纏』」



 風が止んだ事だし、1度翼を斬ってやろう。



『無駄な足掻きをする気か?』


「......『雷』」



 一瞬で神龍に近付き、左の翼を3割ほど斬ってやった。

 クトネシリカと神度剣の二刀流、強い。



『なっ!?『龍神魔法:滅光』!!』



 お、デバフが痛いブレスか。10秒ステラを使ったらまた斬ろう。



 そして神龍の魔法のブレスを喰らいながら後退し、ステラを使ってからまた構えた。

 今度はクトネシリカの抜刀攻撃のみで行く。



「『戦神』『魔纏』『魔刀術:雷纏』......『斬』『雷』」



 今度は『斬』を付けていく。これで翼は落としたい。


 ザンッ!!!



『ギャァァァァァ!!!!!』



 神龍の左の翼が落ち、城の真上に落ちた。



「......城、もうただの瓦礫だな」


『『酷い......』』



 本当に。神龍ってのは酷いもんだ。



『酷いです。ルナさんがお城にトドメを刺しました』


『うん。お兄さんが神龍を落としたから......』


「あれ? 俺のせい? 嘘だろ?」



 ぼく、おしろにとどめをさしちゃった?



『まぁ、神龍に比べたら城なんて安い物です。今の、もう一度出来ますか?』


「無理。HP回復しちゃった上に、あいつはもう隙を作らないだろうしな」


『あ〜確かに。じゃあどうするの?』


「全力で隙を作って右の翼も落とすしかないだろう。ただ、1人じゃ100パー無理だ。援軍を待つ」



 リルかソル達。この2つの力にかかっている。


 今の俺が出来るのは『時間稼ぎ』だ。討伐は確実に出来ない。プレイヤーの総攻撃でもしない限り、アイツのHPを削り切るのは無理だ。



「そろそろ起き上がっ......おいおいマジか?」



 神龍はググっと起き上がり、両方の翼で羽ばたきながら上昇してきた。



『貴様、よくも私の翼を落としたな。賞賛に値するぞ』


「へ、へぇ〜? そりゃどうも。あと、なんで翼生えてんの? スペア? スペアウィング?」


『ただ再生しただけだ。貴様のようにな』


「いや再生なんて............してたわ」



 足、思いっきり再生したわ。普通に再生してましたわ。



『さぁ、戦うか、人間。いや......ルナ』


「急に名前で呼ぶの辞めてくれる? 狙われたみたいで嫌じゃん」


『はっ、その通りだぞ? 私は貴様を狙う。確実に死ぬまで、何度でも殺してやろう』


「怖っ!」



 でもまぁ、これでリルの時間が稼げる。ポジティブに行こう。



「『戦神』『魔刀じゅ『させん!』......ぐぅ!」



 いい感じのタイミングで攻撃しようとしたら、案の定尻尾ビンタを喰らった。

 地面に叩きつけられるの、全身に響く痛さだから精神も削られる。



『まだだな。『龍神魔法:グレイシア』』


「やべっ」



 俺の全身、地面ごと氷の彫刻にされた。

 不味い。デバフが全身にバツ印のマークを付けている。



『ルナさん! 大丈夫ですか?』


『お兄さん!』



 ごめん。口も動かせないんだよ、今の状態。



『不味いですね。このまま潰されたら』


『確実に死ぬね』



 いや、地味に不死鳥化してるんで死にはしないのよ。死には。

 ......というか、寧ろ潰してくれた方が動けるようになるから助かるんだよな。



『動けないのは本当に不味いですね』


『ホントにね! でもなんで潰しに来ないんだろう?』


『多分、ルナさんが復活する事を知っているからでしょう。仮にも翼を切り落とした相手です。神龍も、落ち着くなら今のタイミングでしょう』


『......なるほど』



 あ〜、口も動かせないのって暇だなぁ。デバフはあと10分もあるし、どうしようもない。

 不死鳥化は900分あるから......15時間? え?1 5時間!? そんなにあるのか......意識して初めて、不死鳥化の強さを知ったぞ。


 いや、前から知ってたけどね、うん。えぇ、知ってましたとも。



 ってか口が動かせないなら念話はどうだ?



『リル、リル、リルるんるん〜』


『父様!?』



 あ、普通に出た。やばい、聞こえてないと思って変な事言っちゃった。



『今のは忘れろ。リル、今大丈夫か?』


『はい。今運んでいる2人が王都に着けば、全員の避難が終わります。その後はそちらに......』


『あぁ、頼む。それとな......』


『どうしましたか? 何か緊急事態でも!?』


『まぁ、言っちゃえばそうだな。神龍に氷漬けにされちゃった☆』



 どうも。地面と一緒に氷のアートになっているルナ君です。



『え!? それは......大丈夫なのですか?』


『いや? 全然だいじょばない。一切の行動を封じられてるからな......念話以外。

 それと、今の神竜は休憩中だが、休憩が終わっても氷漬けにされてたら今度はそっちを狙うだろうからな。マジでヤバいぞ』


『んなっ! 父様。あと2分で避難を終わらせますので、それまで耐えてください』



 おやおや。助けに来てくれるのかな?

 まぁ、助けるって言っても、俺ごと氷を粉砕する手しか無いんだけども。



『あと14時間は死なないから、ゆっくり急いで焦らず慎重に全力疾走で来てくれ』


『何言ってるのか分かりません!......が、もう避難は終わりました。すぐに行きます!』


『ほいほ〜い。気をつけてな〜』



 リルのやつ、マジで全力疾走したな? 乗せてる人、風圧で飛ばされてないだろうな?


 そんな事を考えていたら、サーチにリルの反応があった。

 大きく強い魔力反応だから、ひと目でわかる。



『父様!』



 バキン!!!


 リルが、フェンリル状態で思いっきり体当たりをして氷が砕かれた。......と同時に、俺は城壁までぶっ飛ばされた。


 いや、城壁にめり込んだ。



「ごはぁっ!!!」



 口から赤いポリゴンが飛び散った。

 痛てぇ。超痛てぇ。リルのパワーなら全力でやる必要も無かっただろうに。



『父様っ!? 大丈夫ですか!?』


『ルナさん!?』


『あちゃ〜......』


「ゲホッ! ゴホッ!......で、でぇじょぶだ娘よ」


『父様!』



 リルがフェンリル状態で体を擦り付けて来た。

 暖かい。サラッサラのモッフモフでいい香りがする。



『何っ!? フェンリルだと!? 何故!』



 あ、神龍がリルに気が付いた。



『お前のせいで私は父様と会えなかったのです。その罪の重さ、良く知るといい!』



 リルさん!? キャラが、キャラが変わってます!



『ほざけ。狼如きが私に勝てるとでも?』


『いいえ? 私一人では勝てないでしょう。でも、父様と一緒ならお前を倒せます!』


「いや、それはちょっと......分かんないん『出来ます!』あっはい」



 強気だ。このリルさん、かなり強気だ。カッコイイ!



『......まぁいい。人間と一緒になったところで、力の差は歴然だ。無意味な事だと、知るといい』



 そう言って神龍は白黒ブレスを吐いてきた。

 あればデバフの無い、旨み成分しか入ってないブレスだ! 喰らいに行かなきゃ!



『なっ! 父様!?』


「ぐっ......リル! ブレスは俺が喰らう! お前は攻撃しろ!」


『は、はい!』


『可笑しな人間だな。ルナは』



 違いま〜す。いや、違くないけど違いま〜す。ちょっと称号を発動させるだけで〜す!


 心の中で神龍をおちょくりながら、俺は詠唱する。



「『戦神』『サンダー』『魔纏』『魔刀術:雷纏』」



 今回はなんと、足にサンダーを乗せるぞっ!

 まぁ、失敗したらサンダーが神龍に向かって飛ぶだけで、成功したらサンダーに乗って移動が出来るという作戦だ。


 称号、『雷神』がどれほど雷に影響を与えるのかテストも兼ねている。



「ふぅ......痛てぇ。『斬』『雷』!」



 ブレスでガリガリと体からポリゴンを撒き散らしながら、ブレスが止んだ瞬間に神龍に向かって突撃する。



 バァァン!!!



「ミスった!」



 あまりの速さで突っ込んだ為、切る前に神龍に激突した。



『はぁぁっ!!!......拾います!』



 同じタイミングでリルも突撃し、神龍の翼に噛み付いた後に背中に乗せて拾ってくれた。



「た、助かった......?」


『あ、そう言えば父様は飛べましたね』


「そうなんだよな。でも、ありがとうなリル」



 神龍から距離を取りながら走るリルの背中を撫でた。



『はい!』



 もう......リルはフェンリル状態でもリルだな。



『なるほどな。フェンリルと人間、手を組めば厄介になりそうだ』




 上空から神龍の声が聞こえた。



『私をただのフェンリルと思わない事ですね』


「そうだそうだ!」



 適当に乗ってみよう。背中にも、話題にも。



『犬はよく吠えると言うが、正にその通りだな』


『「うるさいトカゲだな / ですね」』


『貴様らぁ!!!』



 沸点が低いな、神。ヘイトを買う時に使えそうだ。

 そしてリルは、ブレスを躱しながら言ってきた。



『父様。月が上に登った時に私は月魔法を使いますので、その瞬間は父様が神龍の注意を引き付けてください』


「え?『月魔法』使えんのか!?」


『はい。フェンリルの状態なら使えます......ご存知ありませんでしたか? ステータスから見れると思うのですが......』


「え?」



 そう思い、リルのステータスを見てみた。



 だが、いつもと同じステータスだったので色んなところを触ってみた。

 すると、種族のところを切り替える事が出来た。



「は......ははっ......知らなかった」



 フェンリル状態のリルのステータスはこんな感じだった。



 ━━━━━━━━━━━━━━━

 名前:リル

 性別:メス

 レベル:151

 種族:幻獣狼 / 幻獣狼人族

 テイム主:ルナ


 HP:24,750 / (16,500)

 MP:9,150 / (6,100)

 STR:21,843 / (14,562)

 INT:13,050 / (8,700)

 VIT:7,350 / (4,900)

 DEX:15,510 / (10,340)

 AGI:15,510 / (10,340)

 LUC:1,530

 CRT:50(限界値)


『取得スキル』


 戦闘系


『剣術』Lv38

『弓術』Lv18

『闘術』Lv99

『刀術』Lv93


 魔法


『火属性魔法』Lv31

『水属性魔法』Lv19

『風属性魔法』Lv23

『土属性魔法』Lv8

『氷属性魔法』Lv9

『聖属性魔法』Lv15

『闇属性魔法』Lv4

『龍魔法』Lv5


 その他


『変身』Lv0

『月魔法』Lv(0)


()内変身時のステータス

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「1.5倍......知らなかった」


『父様。そういう事ですので、月が登った時はお願いします』


「あぁ、任せてくれ......と言いたいところだが、俺1人じゃあ無いみたいだぞ?」




 俺はリルの背中から指を指した。




「ルナく〜ん!! 援軍が来たよ〜!!!!」




 ソルが凄まじい数のプレイヤーを城跡地まで連れてきた。




『母様!』


「ソル! ヘイト買うから魔法を頼む!」


「任せて! 皆、聞いたね? 魔法を使える人はやるよ!!」



「「「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」」」




 レイドイベントに参加していた、殆どのプレイヤーが来たようだ。



 そして神龍は、集まったプレイヤーに向けて言った。





『たかが人間如き、数の力で勝てると思うな!』




次回も続きです。お楽しみに!

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