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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第6章 姫を守る騎士
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イベリス・ロークス 2

前書きに何書くか忘れました。てへぺrrrろ



 



「この絵本に出てきた、アルテミスが連れ帰った狼のフェンリル。この子は俺の娘だ」


「え?......どういう事ですか?」


「そのまんまの意味だ。俺の娘はフェンリルなんだよ。アルトム森林で出会い、戦って勝ち、テイムして仲良くなった......それで何故か娘になった子だ」



 全部ぶちまけちゃった。



「ルナさん、言っちゃっていいんですか?」



 フーが小声で聞いてきた。答えはもちろん決まっている。



「ヤバいに決まってんだろ。ついポロッとぶちまけたけど、これで国から狙われたら終わりだ」


「何やらかしてんですか!」


「いや、だってさぁ......ってかフーはアルテミスと友達なんだろ? ならアルテミスがフェンリルを育てたの、知らなかったのか?」



 知っていたなら事前に教えてくれることも可能なはず。

 リルの実親(?)的なアルテミスの事を、 さ。



「知りませんよ。アルテミスさんとは仲良しですけど、流石に個人でやっていた事を......それも数百年前の事なんて覚える気もありませんよ!」


「え〜マジか。まぁでも、狙われたら逃げるとしよう。皆で逃避行するぞ」


「そうですね......国は面倒ですからね......」



 あ、もしかしてフーさん、過去に国関係で何かやらかしたな? だから王女にもビビってたんだろう。


 するとイベリス王女が口を開いた。




「あの......妄想ですか?」




 おっとぉ? 精神異常者扱い受けちゃった?



「そう思いたきゃ思ってくれていいよ。信じるも信じないも、アンタ次第だ」



 俺の中では、このフェンリルの話はリルだと確信している。

 まぁ、この絵本がフィクションで、話の中のフェンリルも空想上の物なら......俺の勘違いってだけだ。



「まぁ......半分は冗談だと信じます。ですが、もし本当なら......」


「なら? 本当ならなんだ?」



 捕まる? 殺される? 実験台にされる? さぁ、どうする?



「本当なら、是非とも私の騎士になって欲しいです」


「「なんでやねん」」



 フーと一緒にツッコんだわ。なんで騎士やねん。



「王女、お前には騎士がいないのか?」


「はい、いません。話は戻りますが、私の騎士については依頼にも含まれているのですよ」


「へ〜そうなのか〜」



 イベントのタイトル的に、やっぱりプレイヤーが王女の騎士になるのかな?



「......」


「......」


「......」




「何この無言タイム!? 何か喋ろうよ!?」



 急に皆黙っちゃったよ。こういう時、どうすればいいんだ?



「あの......依頼、受けますか?」


「偉く下手に出たな。王女なんだし、命令とかしないのか?」


「しません。そんな事をしても、相手への印象が悪くなるだけですから」



 いや、『妄想ですか?』の時点でかなり印象が......まぁいいや。こんなの話せば、話がめんどくさくなるだけだわ。



「道理だな。で? 依頼は? 内容によっちゃ受けるぞ?」



 超上から目線で言っちゃった。俺、うぜぇ〜



「では、最初の依頼です。『自己紹介をしてください』」



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『イベントクエスト:自己紹介をしよう!』


 概要:王女イベリス・ロークスに自分の事を紹介しよう!

 相手に自分のことを知ってもらい、円滑にクエストを受けよう!

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「だってよフー。自己紹介してあげな」


「えっ! ?私ですか!? 今の、どう聞いてもルナさんに......」


「ほら。わっちゅあねーむ?」



 もうここまで来たらノリと勢いで進めていく。結果がどうなろうと、楽しませてもらうぞ。



「え、えっと......フーです。ルナさんのメイドをさせて頂いてます。元女神です」


「フーさん、ですね。宜し......くぉ元女神!?」



 あ、食いついた。アルテミスのファンらしいし、女神には興味あるのかな。



「はい、そうですよ。今はルナさんのメイド兼、付喪神ですね」


「え? ど、どういうことですか? 付喪神?」



 おぉ、なんか面白い事になりそう。傍観していよう。



「えっとですね、まず付喪神が何かは分かりますか?」


「も、もちろんです。父上である、陛下の武器も付喪神が宿っていますから」


「なら、それと同じようなものです」


「で、でも! あの方はフーさんのように、人として現れては......」


「あ〜......それは武器の質が悪いのでしょうね......私が宿ったのはルナさんのお作りになられた刀です。この世界に存在する刀で、2番目に高性能と言える程の刀でしたので、こうして降臨しているんですよ」



 全部言っちゃうのね。でも、2番目? じゃあ1番目は? ってか布都御魂剣ってそんなに強いの?



「ル、ルナ様がお作りになられた......あの、つかぬ事をお聞きしますが、1番の刀はどのような刀なのか、ご存知ですか?」



 ナイス王女。俺もそれは気になってた。



「そうですね、そちらの刀もルナさんが製作した『クトネシリカ』という刀です。付喪神的に言えば、私の妹にあたりますね」


「え!? そちらもルナ様が!?」



 え!? そちらもワタクシが!?


 シリカ......お前、刀で1番らしいぞ。良かったな。

 まぁでも、言われて見ればクトネシリカの方が『形状変化』や『魔纏』なんかも使えるし、高性能ではあるな。



「フー、そろそろ話を自己紹介に戻そう」


「そうですね、分かりました。え〜っとですね......どこまで話しましたっけ?」



 あ〜あるある。つい数十秒前の会話を忘れるの、分かるわ〜



「フーがメイド兼、付喪神のところだな」


「そうでした!......でも、それぐらいしか話すことがありませんね。強いて言うなら、もっと構って欲しいとか、それぐらいですかね?」


「ん? 時々遊びに行ってんじゃん。もっと遊びたいのか?」



 構って欲しいって自分から言う人ってあんまりいないよな。

 客観的に自分を見て、周りからの評価として『構って欲しい』と言えるのは良いと思うけど。



「そうじゃないんですよ! 最近のルナさん、1人で遊びに行ったり、ソルさんやリルさんを連れて行ってるじゃないですか!」


「せやな」


「わ・た・し・も! 2人で遊びに行きたいですぅ!」


「そうか。ソルに浮気と言われたくないから、シリカも連れてくけどな」


「うぐぐ............はぁ......」



 ソルの謎の浮気センサー、恐ろしいからな。

 2%でも引っかかるような言動をすれば、即プッチンしちゃう。


 だから、例え相手がフーでも気を付けなければならない。



「ふふふっ、仲良しなのですね」


「「そうか? / そうですか?」」


「ほら。同じ事を言っていますし、以心伝心しているのでしょう」



 まぁ、帯刀するならフーだからな。一緒に何処かに連れて行くとしても、神度剣を持っているフーを連れて行くだろう。


 そこそこ一緒にいれば、相手の考える事は分か............らねぇわ。俺にはそこまで相手の心を考えるのは難しい。



「で、フーの自己紹介は以上でいいか?」


「はい。フーさん、ありがとうございました。ではルナ様。ルナ様の自己紹介をお願いします」



 あ〜ダメか。身代わりで回避する事は不可能か......



「はいはい。じゃあ.....俺はルナだ」



 以上。



「「え?」」


「ルナさん! 他に言うこと沢山あるでしょう!?」


「何言ってんだ。大会優勝者とか、そこらへんはもう知ってんだからいいだろ?そうなりゃ言う事なんて無いんだよ」



 部屋の出待ち魔法の時、『流石ですね、総合部門優勝者様』と言ってたからな。



「え〜でも、種族とかはいいんですか?」


「王女さんよぉ。俺は見ての通り、人間だ。彗星と間違われたりするが、人間だ。あいむひゅーまん」



 天使だけどね。

 ってかフー、そんな『しょっぱいと思ってた物が激甘だった時』見たいな顔をするなよ。笑うだろ?



「そう......なんですね。彗星は気になりますが、ひとまず飲み込むとしましょう」


「あそうだ。あと冒険者やってるわ。Cランクだけど」



 忘れてた忘れてた。身分証でギルドカードが使えるんだから、この情報は必要だろう。



「おぉ、冒険者! いいですね。私も王族でなければ、冒険者をしてみたかったものです」


「あっ......そう」



 知ってるぞ、これ。『国に隠れて冒険者になろう大作戦』のフラグだろ?

 残念だったなぁ! そのフラグ、バキバキに粉砕してやるわぁ!!



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『イベントクエスト:自己紹介をしよう!』をクリアしました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



 あ〜これ、マジでフラグ立った? 折れ。折るんだ!



「あの〜......ルナ様、もし「ダメに決まってんだろ。仕事しとけ」......えぇ!?」


「ルナさん? いいんですか? 何も聞かずに答えちゃって」


「当たり前だ。どうせ『私、冒険者になりたいんです! どうか一緒に登録させてくれませんか?』的なやつだ。で、それが王に見つかって面倒な事になる。テンプレだからな」


「へ〜そうなんですね。王女様、冒険者登録をしたかったのですか?」



 お、その確認は助かる。勢いで言っちゃったから、合ってるかどうか分からなかったんだよな。



「はい。私も外で戦いたいのです」


「ほらみろ。大体な、王女よ。ちゃんと『次の依頼です』って最初に言わねぇと面倒だろ? まず結論から言ってくれ。自分が何をしたいか、それを最初に言うといいぞ」



 俺が出来てないのに何言ってんだ? 勢いで話すの、危険が危ない。



「そ、そうですね。すみませんでした」


「ルナさん......遂に頭が......」



 やめてよ。自分でも思ってるんだからさ。死にたくなる。




 そうして王女の次の発言を待っていると、部屋の扉が開いた。




「失礼します。イベリス様、訓練のお時か......そちらの方は?」


「セバス! あ、この方は「アルと申します」......え?」



 秘技! 話めちゃくちゃ大作戦!!!


 説明しよう! 話めちゃくちゃ大作戦とは、1人目の人物に本名を、2人目の人物に偽名を教え、話す人ごとに口調を変えて、お話をめちゃくちゃする作戦だ!


 これで王女も混乱することだろう!......すまん。



「お客様でしたか。これはすみません。私はイベリス様の執事をしています、『セバス』と申します」



 そう言って俺達の机の近くでお辞儀をしたのは、いかにも執事っぽい、白い髪に丸い眼鏡をかけた、60歳くらいのおじいさんだった。



「アルです。弓術が得意なCランク冒険者です。今回は、イベリス様から依頼を受けに来ていまして、ご迷惑をかけると思いますが、宜しくお願い致します」


「いえ、イベリス様のお願いなら、是非とも叶えてあげてください。宜しくお願い致します......それで、イベリス様。魔法の稽古のお時間ですので、お呼びに来ました」



 俺の自己紹介が終わってセバスさんが王女の方を見たので、俺もフーの方を見てみると、フーの顔は死んでいた。


 なので、小声で聞いてみた。



「大丈夫か? 体調でも悪くなったか?」


「私の頭がおかしくなりました......なんで偽名を......? 捕まりますよ......?」


「大丈夫大丈夫。何とかなるから」


「根拠もない自信......凄いですね......」



 もう引くに引けないとこまで遊んでしまったんだ。今更本名を伝えたところで、信用が一気に地に落ちるだけなんだよ。



「あの、少し宜しいですか?」



 フーとコソコソ話していたら、王女に話しかけられた。



「何でしょう?」


「これは『依頼です』私に魔法の稽古をつけて頂けませんか?」


 ━━━━━━━━━━━━━━━

『イベントクエスト:王女に魔法を教えよう!』


 概要:王女は基本属性を『雷以外』習得しています。そんな王女が使える魔法を増やしてあげよう!

 どんな属性でも問われないので、自分だけの魔法も教えられるよ!

 ━━━━━━━━━━━━━━━


 育成ゲームかよ、これ。



「いいでしょう。お受けします。属性は何が良いですか?」


「私は『火』『水』『風』『土』『氷』『聖』『闇』の7属性が使えますので、その中から新しい魔法を作りたいのです」


「そうですか......分かりました。では、お時間を頂いてもいいですか?」


「時間、ですか? どれくらいでしょうか?」


「そうですね......明日のお昼まででお願いします」


「お昼ですか!? な、何故それほどの時間を?」


「王女様にお教えする魔法の為ですよ。王女様には、より良い魔法をお使いになって頂きたいので、その準備の為です。ダメですか?」



 いやまぁ、これが『王女育成イベント』なら、面白そうな事が出来そうだと思ったから時間が欲しいんだけどな。

 王女からの依頼をこなすだけのイベントじゃ、つまらないだろう?


 だからちょっと、他の人より斜め上の行動を取りたいだけだ......もう取ってると思うけど。



「分かりました。今日はセバスに教えてもらいますが、明日はル......アルさんが教えてください」


「はい。もちろんです。ではイベリス様、セバスさん。失礼します......布都御魂剣、降臨」



 俺は立ち上がり、部屋から出ていこうとしたが、フーが全然動く気配が無かったので刀に戻した。



「「!?」」


『えぇ!? いいんですかぁ!?』


「良くない。でもいいんだよ。どうせ王女は話せないだろうからな」


『何故です?......あの執事さんになら、先程までの会話を話すと思いますけど......』



 俺は部屋を出て廊下を歩く。



「あのな、ホープダイヤモンドやフーの話をあれだけしておいて、王女からの信用が無いと思うか?」


『え? 無いんじゃないですか?』


「ならなんで、最後に俺を『アル』と呼んだ? ならどうして、明日の昼まで待ってくれると言った?」


『......どこまで考えていたんですか?』



 はははっ! FSでも良く言われる『何手先まで読んでんだ?』と同じ事を言われるとはな。

 正直に答えよう。



「何も考えていない。だけどな、あの王女は面白いぞ。絵に例えることができる」


『何も考えてないんですか!?......まぁ。で、絵とは? また頭がおかしい事を言うのでしょう?』



 うるせぇ。それはいつもの事だ。



「あの王女はな、真っ白なキャンバスと言える。俺達......正確には俺の裁量しだいで、ゴミにも傑作にもなるんだよ」


『はぁ〜頭おかし』


「だからな。ちょっと遊び心を爆発させまして......あの王女に『龍魔法』を覚えてもらおうかな〜って」


『はぁぁぁ!? 龍魔法!?!?』



 とんでもねぇ驚き様だな。こっちがビックリしたわ。



『な、なんで龍魔法を?』


「だってアイツ、雷以外使えるんだぞ? つまりは魔法の土台がある訳だ」


『そ、そうとも捉えられますね』


「そんで、普通の奴ならその土台の上に、知識や経験と言ったものを積み上げていくだろう?」


『そうですね。他にも努力などがありますね』


「あぁ。だがな、アイツは基本属性分の土台しかないとも言えるだろ? 俺、長所をもっと伸ばすより、短所を無くしていく方が大事だと思うんだ」


『読めましたね。つまりは土台を広げるわけですか......魔法の』


「魔法だけじゃねぇ。アイツには実際にワイバーンとかとも戦ってもらう」


『はぁ......もう何が言いたいか分からなくなりました』



 ここまで話したところで城を出たので、ニクス山に向かって天使の翼で空を飛んでいく。



「魔法だけ覚えても、使い方を知らなきゃダメだろ?」


『......だからってワイバーンで魔法を教える必要は無いのでは?』


「あるさ。初めてワイバーンを倒した時に、龍魔法のスキル書はドロップする。

 これは前にソルに聞いたんだが、マサキやガーディ君達も同じタイミングで入手したそうだ」



 初めてワイバーンを倒した時、マサキ達は4人同時にスキル書がドロップしたとの事。

 だから、ワイバーン初討伐の報酬として、確定でスキル書があるのだろう。



『つまりは何ですか? 王女にワイバーンを倒させてスキル書を使わせ、それから魔法を教えるんですか?』


「いぐざくとりぃ」



 その通りでございます。



『なんか、変な方向に突っ走ってます。......それと晩ご飯、どうするんですか? もう王都を過ぎてますけど』


「ご飯までには帰るさ。ソルをモフりたいからな」


『ならなんで北西に飛んでいるので?』


「アイスワイバーンがいるかどうかの下見」


『えぇ!? なんで今からなんですか! 明日でもいいじゃないですか!』



 もう......いいじゃん。ちょっといい感じにワイバーンを確保したいだけなんだよ。




「フー、黙って俺に着いてこい」




『......それはソルさんに言ったらどうですか? 喜んで答えると思いますよ?』


「言える訳ねぇだろ!! そりゃあ、いつかは言いたいけどさ......」


『ならなんで私に言ったんですかねぇ......まさか、乗り換え?』


「別にそういう意味で言ったんじゃねぇっての。とりあえず見てろって事だよ」


『面倒臭い人ですね〜......今更ですけど』



 本当に今更だな。でも、なんか腹立ってきた。



「折角2人で遊ぼうと思ったのに、インベントリに入っとくか? 正直、ステラでも十分なんだけど」


『すみません!! お願いですからどうかお傍に!!!』


「面倒臭い付喪神ですね〜......今更ですけど」


『むきぃ!!! ムカつくぅぅ!!!』




 そんなたわいもない話をしながら飛行し、ニクス山に来た。




「『サーキュレーション』......ほら、ワイバーンで遊ぶぞ」


王女の前だと、ルナ君はふざけ倒します。

それに、実はもう既に何度も分岐ルートを突っ切ってますね。怖い。


次回も既に完成していますので、ゆる〜くお待ちを〜

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