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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第6章 姫を守る騎士
161/492

ソルの限界突破と喧嘩未遂

イベントで

2回連続

やらかした

そんなヤツの

お名前はルナ


ゆずあめ

 



「おはよう......なんだこの状況」



 ヴリトラを倒し、その戦闘の疲れで寝たのは覚えてる。

 だけど、なんで俺の右腕を枕にしてリルが寝ているのか、なんで背中にソルの感触があるのか分からない。



「あ、起きましたか。とりあえず、お疲れ様です」


「お疲れ! お兄さん!」



 フーとシリカが駆け寄ってきて、労いの言葉を掛けてくれた。



「あ、うん。お疲れ様。護衛してくれてたのか?」


「そうだよ! お兄さんが寝た後、狐ちゃんもリルちゃんも寝ちゃったからね! この部屋に他のモンスターは来ないと思うけど......流石にね?」


「そうか。ありがとう」


「「どういたしまして!」」



 守ってくれていたのは有難い。寝てる間にみんな仲良く城に返されるのは、それはそれで面白いけどデスペナが怖い。



「リル、ソル。起きろ〜!」


「......おはようございます、父様」


「......はっ! 敵!?......ルナ君か。おはよ!」


「はいおはよう。それとお疲れ様」


「「お疲れ様〜 / お疲れ様です」」



 全員揃った事だし、帰ろうかな。......いや、待てよ? ここに来た目的ってヴリトラを倒すことだったか?



「違う。宝石......あっ!」


「どうしたの? 遂に目的思い出した?」


「思い出したし、やらかした。俺、ホープダイヤモンド大量に持ってんのに鉱山に来た意味......」


「「「「あぁ......」」」」



 どうやら俺は、イベント事になると大きな見落としをするようだ。でも今回は早めに気付けたので良いだろう。


 いつぞやの武術大会では酷かった。



「はぁ......ま、得られた物も多いし、確認してから帰るか」


「うん! そうしよう!」



 まずは称号からだ。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

『光速超越者』

 ・効果なし


 光速を超えた者に贈られる称号(転移は除外)


『死を恐れぬ者』

 ・HPが1%以下の時、全ステータスが1.1倍。

 ・HPが1の時、全ステータスが2倍。


 HPが1であろうと、死を恐れずに立ち向かった者に贈られる称号

 ━━━━━━━━━━━━━━━



 おぉ、これは不死鳥化と相性バッチリな称号だが、一歩間違えたら速攻ポリゴンだ。

 諸刃の剣だな、この称号は。



「そういやソル。レベルは幾つ上がったんだ?」


「えっとね、61から98になったよ!」


「おぉ! 限界突破までもうすぐか!」



 おめでたい。ソルもレベル100まであと少しのとこかぁ......



「いえ、父様。そう簡単にレベルは上がらないと思いますよ?」


「え?」


「そうだよルナ君。リルちゃんがレベル1上がるのに、どれだけ時間がかかってると? 150から151になるのにあれだけかかって、98から99になるのだって、かなりの時間がかかると思うよ?」



 しまった。つい『最弱無敗』の感覚で話してしまった。



「ごめん......」


「そ、そんなに落ち込まないで! 大丈夫だから、すぐに上げるから!」



 そう言ってソルがギューッと抱きついてきた。暖かい。



「え? 別にそこまで落ち込んじゃ......」


「え?......い、いいの! 私が抱きつきたかっただけ!」


「それは無理が......まぁいいや。暖かいし」



 ソル、本気で俺が落ち込んでると思ったのか。可愛いな。

 それから数分、ソルは俺に抱きつきながら歩いていた。



「なぁ、歩きにくくないのか? モンスター出たりしたらどうすんだ?」


「いいの! モンスターはルナ君が倒すもん!」


「えぇ......? まぁ、いいけどさ。シリカ、刀で」


「はいは〜い!」



 帰りはサーチを常時発動していて、そこに反応があったのでシリカを刀に戻した。



『ギュ!』



 遭遇したのはなんと、経験値ウハウハなララ・バジリスクだった。絶対にここで倒したい。



「ララバジ来たぁ!!『イグニスアロー』」


『ギュ......』



 パチン! と2回音を立てて指を鳴らし、光線の防御とララバジの拘束を行った。



「ソル、こいつがララ・バジリスクだ。ここで倒せば限界突破いけるぞ!」


「これが?......バジリスクって蛇だよね? でもこれ、トカゲじゃ......」


「まぁ、こいつはそういう奴だ。とりあえず倒そうぜ」


「うん!」



 そうしてアイスフィールドからのイグニスアローでララバジを破壊した。



「おぉ......私も遂にレベル100......超パワーレベリングだったね」


「そんなもんだろ。それでソル、ここで限界突破するのか? それとも家で?」


「ん〜......ここでしちゃおっかな。種族は決めてるし」



 何にするんだろう。きっとソルなら、どんな種族でも可愛いだろうな。



「何にするんだ?」


「それはね......これだよ!!」



 まさかの『何にするかお楽しみ』パターンで来るようで、ソルが光に包まれた。......俺は九尾獣人族である事を祈るだけだ。



 だって、そっちの方がモフモフだから......




「じゃじゃ〜ん! 九尾獣人族〜!!」


「おぉ! モフモフだ!!」


「モフモフですね! 母様」


「ですね〜! 私もモフモフになりたいです」


『稲荷ちゃん、良かったねぇ』


「へっへっへ〜! これで魔法の威力、2倍だよ! それにINT補正が入って、更に強くなったよ!」



 可愛い。ソルは九尾獣人族になり、よりモフモフ度が上がった。

 帰ったらモフりたいな〜



「ってかルナ君、限界突破......ヤバくない?」


「ん? 何が? ヤバいとこが多すぎて、俺には分からんぞ」


「その、ステータスがとんでもない事に......」


「あ〜、それは思った。SP無しで全部4桁、ヤバイよなぁ」



 ソルの気持ち、凄く分かる。俺、大体が3桁から1,000ちょっとのステータスだったから、一気に全部2,000になった時に驚いたもん。



「私......DEXが5桁に......」


「え?」



 5桁?......そうか、SPを大量に振った上に限界突破による上昇、更に種族補正が掛かるのか......



「耐久値が減る弓を使ったら一瞬で壊れそうだよね」


「だな。でもまぁ、ミストルティンがあるから大丈夫だろ?」


「そうなんだけどさぁ......う〜ん、手加減スキルってこの為に必要になるのかなぁ」


「......なるほど。それは思いつかなかった」



 武器を使うために手加減スキルを使う......そんな発想、今まで思いつかなかった。



「話は変わるんだけどさ、帰ったらその9本の尻尾、モフらせてくんない?」


「いいよ! 中央の一本は綺麗なんだけど、後から追加された八本はボサボサだからね。綺麗にして?」


「やったぁ! お兄さん、尻尾綺麗にする!」




 そんなこんなで、ドゥルム鉱山から帰宅し、ソルの尻尾をモフらせて頂いた。




「父様、王城に行かなくて良いのですか?」


「ん〜?......うん!? あぁ、忘れてたわ」



 普通にリビングでゴロゴロしていて、王女の事をすっかり忘れていた。



「ルナ君、どうするの? 一人で行くの? それとも皆で?」



 う〜ん、悩む。

 皆で仲良く王女からのイベントクエストをこなしたい所だが......個人でやるのも良いかも知れない。



「今回は一人でやってみるわ。ランキングとか無さそうだし、適当に好感度積んでクエストやってくる」


「うん? 好感度? 何言ってんの?」


「え?」



 何故かソルさんがブチ切れてらっしゃる。



「ルナ君......王女に手を出すの?」


「出す訳ないだろう? 何言ってんだ?」



 手を出すって......暗殺か? それはそれで面白そうだが、もし王女が『たった1人』なら、俺は大炎上するぞ。

 サーバー毎に出現するのではなく、プレイヤー個人で出現するNPCなら殺っちまうのも良いかもしれんからな。


 でもそうじゃなかった場合、全プレイヤーがクエスト進行不能になり、国から指名手配されるのか、運営から怒られるのか、気になるところではある。



「......ちょっと待って。考えさせて」


「お、おう」



 それから5分、たっぷりとソルは考えた。



「ルナ君、もしかしてクエストを受けるために好感度を上げようとしてたの?」


「そうだぞ? 逆にそれ以外の目的があるか?......まぁ、逆に好感度を下げまくった時のクエストとか知りたいけどな」



 だってこういうイベントって、クエスト主の好感度によって報酬やクエスト内容が変わるものだろう?

 なら好感度は高い方が良い事が多い。


 楽なクエストで良い報酬を。その為に地道に好感度を稼ぐのだ。



「ごめん......勘違いしてた。ルナ君が浮気宣言したと思ったよ」


「なんでやねん」



 ソル......陽菜以外に好きと思える人間はいない。

 ってかゲーム内の子に恋はしないと思う。

 例えどんな美人でも、例えどんなに優しくても、陽菜じゃなければ塵に見えるからな。



「もう。じゃあ、頑張ってね? 誘惑とかされたら、思いっきりぶち殺してね?」


「怖いわ!......まぁ、個人キャラならそれもアリだがな」



 余程なクエストじゃない限り、そんな事は無いと思うがな。



「んふふ〜! じゃあ、行ってらっしゃい!」



 ソルがハグをしてから言ってくれた。モフモフで最高です。



「はいはい、行ってきます。リル、ソルと一緒に居てやってくれ」


「はい! 行ってらっしゃい、父様!」



 リルもギューッと抱きついてきた。



「あぁ、行ってきます」




 そうして城を出て、庭に向かう。



「フー、同行してくれ」


「分かりました! シリカさんは?」


「今回はフーだけでいい。身長的にそれがいい」


「分かりました。では行きましょうか......飛びます?」



 庭の遠くの方でシリカが手を振っていた。良く聞こえるな、凄い耳だ。

 こちらも手を振り、うちの城から出て王城へ向かう。



「いや、歩いて行くぞ。それと今回は王女に用がある。戦闘にならないと思うが......」


「もしもの時は私も、ですね!」


「あぁ。頼りにしてるよ、第2の相棒」


「第1の相棒は誰ですか? ソルさん?」


「いや、愛剣のおじさん。あのアイアンソードこそ、俺の真の相棒だ」


「あ〜、あの方ですか。......そろそろ降臨させるので?」


「そうだなぁ......依代になる神器......作んの大変だぞ」



 早くあのおじさんも降臨させたいが、中々タイミングが合わない。

 それにクトネシリカの時はシリカが降臨しちゃって、おじさんはまた出番を横取りされている。


 おじさん、待っててくれ。近いうちに降臨させるから......



 そして、ゆっくりと30分程かけて歩き、城門前まで来た。




「あれ? 開いてますね。入りますか?」


「な訳ないだろ? 不法侵入で一瞬でしょっぴかれるわ。こういう時はな......『サーチ』『ボイス』――」



 サーチで近くの関係者を探し、ボイスで俺達が来たことを伝える。


 すると2人組の衛兵さんが来た。



「すみません! 知らせてくれてありがとうございます! それと今回、イベリス様に御用との事ですが、まずは身分証をお出しください」



 そう言われたのでギルドカードを出した。



「ルナさん......ですね。そちらの方は?」


「あ、私はルナさんのメイドのフーと申します」


「では貴女も身分証を出してください」


「えっ......」



 やばいな。フーの身分証、無いわ。超ピンチ!


 するとフーは小声で話しかけてくる。



「どうしますか、ルナさん。馬鹿正直に付喪神であることを伝えますか?」


「いや、それだと色々と問題になりそうだ。ここは1つ、交渉するしかない。任せろ」


「はい」



 話し合いを終えたので、今度は逆に、衛兵さんに小声で言う。



「すまない、これで彼女は通してくれ。売れば数千万から数億はする物だ」



 そう言って俺は2人にホープダイヤモンドを1つずつ渡した。


 受け取った衛兵さん達は、その手に持っている物を見て目を大きく開けた。



「「これはっ!?」」


「足りないか? まだあるぞ?」


「......いや、いい。通ってくれ」


「あぁ、ただ、これからはあんまりこういう事はしない事をオススメする」


「あいよ! ま、今回ポッキリだ。安心してくれ」



 賄賂だ。フーの身分証の提示を賄賂でスキップする。これが今回のフーの侵入方法だ。



「じゃあフー、行くぞ」



 俺は王城に向けて足を進める。



「えっ......えぇ? い、良いんですか!?」


「良いから通してくれてるんだろ? なぁ? 衛兵さん達」


「「あぁ」」


「ほら、早く行くぞ。王女が腹を空かせて待ってるぞ」


「んな訳ないでしょう! あ~もう、分かりましたから! 待ってください!」



 そうして俺達は2人仲良く王城に入った。



「うぅ......捕まったらルナさんの責任ですよ?」


「刀に戻せばバレん」



 え? 賄賂? そんなの渡す必要ないじゃないですかー。

 ほら、私は身分証ありますしー。


 こう言えるだろうからな。



「......出だしから危なかったが、スリルがあって面白いな!」





「面白くありません!!!」

今回はソルの限界突破回でした。もっふもふ。


さて、次回から本格的にイベントが始まりますね!

プレイヤーによってルートが分岐するので、数億通りとかそんなレベルじゃない数のルートがあるイベントです。


ルナ君はどのエンドを迎えるのか、楽しみですね!



では次回.....はもう出来上がってるので、予告しません!

お楽しみに!

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