ドゥルム鉱山・裏ボス戦
書き方を変えてみたらつい楽しくなっちゃって、戦闘シーン凝りました。
是非、楽しんでください!
「じゃあ、行くぞ」
「うん」
俺はドゥルム鉱山の裏ボスが待つ部屋の扉を開けた。
「予定通りにソルは後ろから、リルは俺と一緒に前で戦うぞ」
「任せて。全力でやるよ!」
「父様は守りますからね!」
「あぁ......それじゃあ、裏ボス戦だ!」
「「お〜!!」」
そうして動きを確認してからボス部屋に入った。
「あれ、サーチが効かない。気を付けろよ」
部屋の中は真っ暗......というより『真っ黒』で何も見えない。
そして俺達が数歩進んだ時――
『グギ......ググギャァァァァ!!!』
叫び声が聞こえた途端、真っ黒な部屋でも視界が広がり、ウィンドウが出てきた。
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裏・ドゥルム鉱山のエリアボス
『ヴリトラLv200』との戦闘を開始します。
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「レベル高すぎだろ!!!!」
どうやら叫び声の犯人は目の前の、超巨大な蛇らしい。
ただ一言に蛇と言っても、ヴリトラには小さな翼や巨大な牙、更には左足5本、右足5本の、合計10本の足がある。
『ググ......ガァァ!!』
俺達がしっかりとボスを......ヴリトラを視認すると、ヴリトラは口からブレスを吐こうとしてきた。
「避けろ!」
この合図で俺達が散開すると、ヴリトラはブレスを吐く構えを止め、俺達3人を囲むように動いた。
「ルナ君! 飛ばして!」
「『フラカン』! リル、こっち来い!」
「はい!」
ソルに魔法をかけて飛ばし、俺はリルを抱き抱えてヴリトラの上に飛んだ。
するとヴリトラは、俺達を思いっきり絞め殺そうと長い体を巻いて隙間を潰した。
『ガギャァァ!!』
「おいおい......空を飛べなきゃ確定で死ぬだろ、アレ」
「一瞬でミンチだね。鱗も鋭そうだし、囲まれた瞬間に終わりだろうね」
「父様、魔法を」
「分かった。『イグニスアロー』『アウラ』」
リルに言われた通り、隙だらけのヴリトラに魔法を飛ばす。
『グガァ!』
「全然効いてないな。どうする? アイツ、やべぇぞ?」
「近接戦で行こう。ルナ君、私は箒で飛ぶから魔法は解除していいよ」
「あいよ。フー、シリカ、アイツ斬れるか?」
ソルに掛けた魔法を解除し、2人に聞く。
『微妙ですね......弾かれることは無いでしょうけど、深くは刺さらないかと』
『お兄さん、私なら魔纏をかけて斬れば余裕だよ? 正直に言って、魔纏と『斬』を同時に使えば殆どの物は斬れるよ?......それこそ、普通の『斬』効果でも斬れないような物まで......ね?』
「ならシリカ主体で行く。フー、俺が見えていないヴリトラの動きを教えてくれ」
『了解です』
「リル、鱗が剥げた所以外は殴るなよ。アレ、刺さるからな」
「分かりました」
「じゃ、気を取り直して第2ラウンドだ。まずは足から斬るぞ!」
リルをゆっくり下ろし、俺はヴリトラの足の近くに行く。
「『魔纏』......『斬』!」
クトネシリカに魔力を纏わせ、『斬』を発動させて足を斬る。
するとヴリトラの足の半分程度、斬ることが出来た。
『ガガァァァ!!! グゥ......』
斬られた事に気付いたヴリトラは叫び声を上げ、一瞬で俺に向かってブレスを吐いた。
......不味い、今は両手でクトネシリカを持っている。クロノスクラビスを口頭詠唱で発動させても間に合うか?
そして真っ黒なブレスが俺に当たる寸前、ブレスが消滅した。
「おぉ〜! ルナ君、こんな便利な魔法をいつも使ってるんだね! 羨ましいよ!」
「ありがとう! 助かった! 出来ればこれからもブレスの対処、頼む!」
「まっかせて! 箒は常に出してるから、すぐに使うからね!」
ソルがクロノスクラビスで黒ブレスを消してくれた。
正直言って、神カバーと言わざるを得ない。あのブレスが直撃していれば多分、一撃で死んでいただろうな。
『ルナさん、すみません。間に合いませんでした』
「気にするな。これからは二刀流で行く、頑張れ」
『はい!』
普通の刀の長さである布都御魂剣を左手に持つのは、結構不安がある。
攻撃面での力の入れ方、防御面での扱いなど、分からないことが多い。
ブレスに限ってはソルに任せるが、体当たり等の肉弾戦は俺が何とかしないといけないからな。
だから、ここで慣れないと敗北が確定する。
「『戦神』『魔纏』『斬』!......『イグニスアロー』『アウラ』『ファイアボム』!!」
戦神による強化を施した両手の刀による2連撃と、魔法による2連撃。
これで足の1本は持っていきたい。
『ガグァァァァァァ!!!!!!』
2度目の攻撃にして、1本の足が切断できた。
「はぁ!!」
俺の斬った足の後ろにある足を、リルが物凄い勢いで斬撃を喰らわしていた。
そして、最後に納刀する前の一太刀でヴリトラの足を切断していた。
『ギャァァァァァ!!!!』
「なんつ〜力技......いや、戦神使った俺の方がSTR高いのか......」
他にも感情強化が乗っているんだ、俺の方がステータスが高いに決まっているだろう。
それでも、数秒で足斬ったのには驚きだ。リル、凄い!
「......『魔纏』『魔弓術:雷槍』!」
そんな声がソルの方から聞こえたのでチラッと見てみると、アマテラスで足を切った瞬間にミストルティンに持ち替え、魔弓術で傷を抉っていた。
「上手い。今のは参考にしよう」
自分にはステラやアルテだってある。使える手札はバンバン使っていこう。
『ググググゥゥゥ.........』
そうして俺達の猛攻撃を受けたヴリトラは、腹に響くような唸り声を上げ、俺達から距離を取った。
まるで力を溜めているかの様な行動だ、嫌の予感がする。
「やばいな、嫌な予感しかしない」
「だね。どうする?」
「また飛びますか?」
『多分それは無理ですね。飛んだ瞬間にブレスが飛んできますよ、アレ』
『となると、また魔法で消す?』
3人から案が出るが、どれも上手くいくイメージが湧かない。
「なぁソル、これ渡しとく」
俺はソルに『腐食液』を渡した。
「何で? これ、どうするの?」
「適当なタイミングでアイツにぶっかけろ。多分効く。そんでもってアイツの大技らしき攻撃の対処だが、ちょっと任せてくれ」
「分かった。で、どうやってあれを止めるの?」
ヴリトラは、今も力を溜めている。超怖い。
「単純だ、『全力で燃やす』だけだ。バフの掛かる武器やスキルを使って、全MPを注いでファイアウォールを使う」
「父様、何故フォイアウォールを? 他の魔法の方が......」
リルの言うことは最もだ。だけど俺にはファイアウォールしかない。
「不死鳥化するからな。それに最悪、不死鳥化中なら俺は死なないからな。盾になる」
『思い切りましたね、ルナさん』
『ここは俺に任せてなんとやら、かな?』
それは微妙に違う。こういう時は『ここは俺が抑える!お前らで叩け!』ってヤツだな。
「ルナ君を盾にするのは気が引けるけど......分かった。任せるよ」
「......本来は私の役目なんですけどね......父様、任せます」
「任せろ。それとソル、腐食液は実験だ。効くことを祈ってる」
「うん! それとこれ、『インテリジェンスアップ』」
ソルがINTの上がる魔法を掛けてくれた。
「ありがとう。じゃあ、逝ってくる」
さぁ、そろそろヴリトラもチャージが終わりそうだ。
どんどんと黒いオーラが溢れている。
「ふぅ......アルテ、顕現。フー、神度剣を。『不死鳥化』」
『分かりました』
フーが1度降臨し、神度剣を置いてまた武器化する。
「ソル! リル! 左右で挟め!」
「うん! / はい!」
2人が左右からヴリトラに近づいたのを確認し、俺はヴリトラの正面に立つ。
「......怖ぇ。『戦神』『存在感』」
これで掛けられるバフは全部だ。
本当はステラの『鼓舞の光』も使いたかったが、月光が残ってないので使えない。残念だ。
そして神度剣の『存在感』で、100パーセント俺を狙うように仕向ける。
『ルナさん、来ます!』
「『ファイアウォール』!!」
MPを全て消費したファイアウォールを使った。
そのファイアウォールは、マグマとも言える様な......殆ど固体となった、透き通る炎の壁だった。
『ギャァァァァァァァァ!!!!!』
その炎の壁に向けて、ヴリトラは真っ黒なブレスを吐いた。
ブラックホールの様な、光を反射しない、目で見えないレベルの黒さだ。
バチィィィ!!! と音を立ててブレスがぶつかった。
そしてパキパキと、ファイアウォールにヒビが入っていく。
「耐え......れなさそうだな。シリカ、フー。それと神度剣。俺は3人が壊れないのを良い事に、お前達を雑に扱う。許してくれ」
『今更ですねぇ。煮るなり焼くなり、好きにしてください。それに私達は武器です。共に戦いますよ』
『そうだよ! 私達は武器なんだから、お兄さんが好きに使ってよ!』
「すまん。ありがとう」
俺は、アルテを仕舞ってから布都御魂剣を地面に刺し、その前に立った。そしてクトネシリカと神度剣を持ち、ブレスが貫通するのを待つ。
『『頑張って!』』
「何の応援かは知らんが、やるだけやるさ」
今もMPがゴリゴリとファイアウォールに吸われているが、気合いで耐える。きっとその応援だろう。
そしてファイアウォールが限界を迎え、ブレスが貫通した。
バキン!!!!
「......『魔纏』『斬』!!!」
布都御魂剣で体が吹っ飛ばないように固定し、クトネシリカと神度剣でブレスを斬る。
「うぅぅぅぅ............!!!」
奇跡的にブレスが2つに切れてるが、ブレスの余波でHPが一瞬で1になった。
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『最弱無敗』が発動しました。
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「......やばい、死にたい............」
痛い。ブレスが体をガリガリと抉ってくる。一体何のブレスなんだよ、これ。痛すぎて死にたくなる。
「不死鳥化......解除......しない!!!」
ギリギリで不死鳥化の解除を辞めた。死にたくないという気持ちからか、ソル達の前で情けない所は見せたくないというプライドからか、俺は不死鳥化を継続した。
「ぐぅぅぅ............『魔刀術:雷纏』」
ファイアウォールが消滅した事により、MPが回復している。
だから、最後の足掻きとして魔刀術を食らわしたい。
「うぅぅぅ......」
落ち着け、体がガリガリと削られても、刀に意識を集中させろ。
このブレスが止むまで耐えるんじゃない。
俺が止める。
そしてまた、全てのMPを使って発動させる。それも今回はフーによる制御無しだ。体が引きちぎれるかもしれん。
でも、やる。
「ふぅ........................」
目を閉じて意識を集中させる。そして――
「『雷』」
直後、両手に持つ刀が煌めき、布都御魂剣を蹴り、標的にとてつもない速度で直進した。
ズバァァァァン!!!!!!!!
俺はブレスの先のヴリトラどころか、空気や、ボス部屋の空間をも斬った。
そして、余りの速度で斬ったからか、ソニックブームのような物でヴリトラの反対側まで一気にぶっ飛ばされた。
「ぐはぁっ!!!」
『ガ......ガギャ............』
ぶっ飛んでる最中に、無意識で不死鳥化を解除してしまっていた。
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『不滅の愛』が発動しました。
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あっ......ソルから貰った、最後の不滅の愛が消えちゃった。
「ルナ君!!!」
「父様!!!」
ソルが箒に乗り、布都御魂剣とリルを抱えて飛んできた。
「......よぉ......アイツ、死んだか?」
「「え?」」
俺、ぶっ飛んだ瞬間にヴリトラを見た時、アイツはまだポリゴンになってなかったんだよな。
『ガ......ガグァ......!!』
俺達がヴリトラを見ると、正に最後のブレスを吐く直前だった。
「うぅ......間に合え、『イグニスアロー』『ウィンドボム』」
めちゃくちゃしんどいが、イグニスアローに回復した殆どのMPを注ぎ、ウィンドボムで爆発的に加速させて飛ばした。
そして――
バスッ!!!
『ガァ............』
間一髪でイグニスアローが刺さり、ヴリトラはポリゴンとなって散った。
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『ヴリトラLv200』を討伐しました。
『破壊蛇の真皮』×50入手しました。
『破壊蛇の霜降り』×20入手しました。
『破壊蛇の穿牙』×10入手しました。
『破壊蛇の斬爪』×20入手しました。
レベルが22上がりました。220SP入手しました。
『戦神』スキルレベルが23上がりました。
『不死鳥化』スキルレベルが62上がりました。
称号『光速超越者』を獲得しました。
称号『死を恐れぬ者』を獲得しました。
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『裏・ドゥルム鉱山』エリアボス『ヴリトラLv200』が、プレイヤー『ルナ』『ソル』によって討伐されました。
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「ふぅ......ちょっと寝る。お休み」
ブレスで体が削られるのに、心が疲れたんだ。少し寝る。
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名前:ルナ Lv10→32
所持金:80,815,590L
種族:天使
職業:『剣士』『ヴェルテクス:ギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Cランク冒険者(94/200)
Pギルド:『ヴェルテクス』
HP:3,090→3,310<1,000>
MP:3,592→3,812<1,500>
STR:4,090→4,310
INT: 2,090→2,310
VIT: 2,590→2,810
DEX:3,590→3,810
AGI:2,290→2,510
LUC:1,045→1,155
CRT:55→60(限界値)
残りSP:640→860
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100
『魔剣術』Lv62
『王弓』Lv100
『魔弓術』Lv67
『武闘術』Lv100
『魔闘術』Lv1
『刀王』Lv100
『魔刀術』Lv100
『操王』Lv1
『魔糸術』Lv35
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
『戦神』Lv77→100
魔法:非表示
生産系:非表示
その他
『テイム』Lv2
『不死鳥化』Lv28→90
『マナ効率化』Lv0
『天使の翼』Lv0
<>内アクセサリーの固定増加値
SP増加値:非表示
種族補正:非表示
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裏ボスは限界突破して種族補正が入り、レベルが――くらいのプレイヤーが8人で戦闘することを想定されています。
ですので、今回の2人はジャイアントキリングもいいとこです。
まぁ、本来入手難易度が馬鹿みたいに高い神器をポンポン作って、武術大会のスキル部門で2冠取らないと得られないスキルを使ってるんで、妥当っちゃ妥当ですが。
では後書きはここまでにして、次回予告と参ります。
次回、『姫とご対面』お楽しみに!
今回のお話
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