王族の好みと裏鉱山
第6章は、少し三人称視点を強めにしていきます。
慣れない書き方なので下手だと思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
俺達は、フーやシリカ含め『ヴェルテクス』総出でドゥルム鉱山に来ていた。
「王族の好みって、やっぱり宝石か?」
「どうだろう? 意外にも食べ物とかかもしれないよ?」
「父様、1番はやはり、領土では?」
『リルさんの言う通りですね。領土が1番でしょう』
『でもフー姉ちゃん、それならお兄さん達がここに来た意味が......』
「ええんやええんや。今回は宝石や神器でアプローチかけるんや。領土なんか、俺達がどうこうできる問題じゃない」
たった2人のプレイヤー、たった1人の幻獣。たった2柱の付喪神......これで領土を増やせるだろうか?
「あ、そうだ。今回戦う敵はマジで強いからな。雑魚でさえレベル90を超えている。気を付けてくれ」
「「は〜い」」
『まぁ、私達がいれば大丈夫でしょう。ソルさんは危ないと思ったらルナさんの後ろに引いてください』
「うん!」
もしもの時、第2第3の案があると生存率が大幅に増える。フーはよく理解しているな。素晴らしい。
「じゃ、ここからは裏・ドゥルム鉱山だ。気を引き締めていこう」
2人が頷いたのを確認してから、ボス部屋の入り口の反対側の扉を開ける。
「なんだろう......空気が重い?」
「母様、ここは魔力が溜まってるんですよ。人間にとって魔力が多い場所というのは、呼吸がしずらいと思います」
「なるほど。でもルナ君は平気そうだね?」
「呼吸法を変えるんだよ。ってか昔に師匠から教わらなかったか?」
「それは教わってないね......どうやるの?」
どうやらソルは教えて貰ってないようだ。これは不味い、普段の様に呼吸をしていれば、どこかのタイミングで咳き込むぞ。
「いいか? 普段呼吸をしている時、肺を意識してると思うが、これをお腹から喉にかけて意識を集中してみろ」
「......すぅ......はぁ......あ!分かった!」
「よし。少しゆっくり歩くから、その間に慣れてくれ」
「うん! ありがとう!」
流石だ。理解から実行までのスピードが尋常じゃなく早い。
尊敬してるよ、ソル。
そうしてゆっくりと鉱山を進むと、イビルゴブリンと遭遇した。
「ソル、レベル上げするか?」
「うん!『魔弓術:雷槍』」
ソルはすぐに魔弓術を発動させ、ゴブリンを射抜いた。
「おぉ! 一撃! それにレベル上がった! 73になったよ!」
「おめでとう。ララバジを倒せば......多分90くらいまで上がるだろうから、出会ったら絶対に倒すぞ。それに、高純度ルビーとか落とすし......」
「もちろん! 私も頑張るよ!」
今回の目的の1つ、高純度の宝石をドロップするのも、ララ・バジリスクだ。
ソルやリル、俺のレベル上げにも使える、良いモンスターだ。
『「何か来ます!」』
フーとリルがそう言うと、鉱山が揺れ始めた。
「「地震?......じゃない」」
この揺れが地震でない事はすぐに理解した。
何故なら、その揺れの原因が目の前に出てきたからだ。
「なんだアレ? ウラガ〇キン?」
「にも見えるね。でも顎は大きくないし、キラキラしたウナギって感じだね」
俺達の前に出てきたのは、全身が金色に光っている、巨大なウナギの様なモンスターだ。
こいつが洞窟内で暴れていたから揺れていたんだな。
『ギギギギギ!!』
「『イグニスアロー』『アウラ』」
俺はいつもの高火力魔法をウナギに飛ばす。
するとウナギはピカッと光り、魔法を反射させた。
パチン!
ギリギリでクロノスクラビスを発動させ、反射してきたイグニスアローを消滅させた。
「あっぶねぇ!! 反射持ちかよ!」
「父様、私がやってもいいですか?」
「あぁ、行ってこい。気を付けてな」
「はい! ツクヨミさん、行きますよ!」
リルがツクヨミを抜刀し、一気に距離を詰めた。
そして左下から右上にかけて、思いっきりウナギモドキを斬った。
「はぁ!!」
『ギギ!!』
リルの斬撃を受けてもなお、ウナギモドキは死ななかった。だが、大きく怯んでいる。今がチャンスだ。
「ソル、物理で行くぞ! シリカ、脇差に! フー、『斬』!」
俺は布都御魂剣とクトネシリカを抜刀し、『斬』
を発動させて一気に斬った。
『ギュギィィィ!!!』
「私......も!」
ソルもウナギに接近し、思いっきり袈裟斬りに斬った。
『ギィ......』
そうして金色の巨大ウナギはポリゴンとなって散った。
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『グラ・イールLv110』を討伐しました。
『高純度オリハルコン』×2入手しました。
『暴食者の肉』×5入手しました。
『リル』のレベルが1上がりました。
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「ルナ君! またレベル上がった!」
「おぉ、おめでとう。それとリル、リルもレベルアップおめでとう」
「ありがとうございます! 父様」
「リルちゃんおめでとう! ようやく上がったね!」
「はい! ありがとうございます、母様!」
思えばリル、色んなモンスターと戦ったのにレベルが上がらなかったな。
......一体、どれだけの経験値で1レベル上がるんだ?
俺は『最弱無敗』でとてつもなく大きなアシストを受けている事を自覚した。
「じゃあ、進もう。目標はララバジだが、出来ることならボスに挑みたい」
「だね! 私もレベルアップして、限界突破したい!」
「母様なら出来ますよ、きっと」
「うんうん」
きっとソルもすぐに限界突破するだろう。限界突破したらどんな種族にするのかな? やっぱり九尾獣人かな?
それなら、よりモフモフ力がアップする、楽しみだ。
「ってか今日は巫女服なんだな、ソル」
「うん! というより、さっき着替えたんだけど......気付かなかった?」
「うん。着替える姿、見たかったです」
「正直でよろしい。で、着替えた理由なんだけど、アマテラスを使うなら巫女服の方が補正入るからね。あのローブ、魔法に関しては大きな補正が入るんだけど、物理はね......」
「なるほど。理解した」
俺、ローブの性能は知らないが、今の説明で何となく分かった。
「やっぱ巫女服のソルも可愛いなぁ。簪も一緒に付けてくれてるし、嬉しいよ」
「ふふっ、嬉しい。それと簪を使うのは当たり前だよ? ルナ君から貰った物なんだもん、使わなかったら勿体無いよ!」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
変に気にして使われないより、大切にしつつ使ってくれてるのは嬉しい。好き。大好き。
そうして雑談しながら進むこと5分、洞窟内の空気が更に重くなってきた。
「父様、魔法で探知してください。私でも感覚が狂う程、魔力が濃いです」
「分かった。『サーチ』」
リルでも探知が難しいようなのでサーチを使った。
するとサーチは軽くノイズが走ったように映り始めた。
「......サーチも限界があるんだな。完全に見えなくなった時の為に、安全ルートは確保してくぞ」
「うん。でも具体的にどうするの?」
「帰るルートは覚えてるが、強敵に出会って逃げた時に迷うかもしれないからな、地面に氷を刺していくぞ」
「なるほど。道標を作るんだね!......でもそんな魔法......」
「作らないぞ。既存の魔法に大量に魔力を注げば、それだけ巨大化するからな。『アイスニードル』......ほら」
そう言って俺は、本来5センチくらいの長さのアイスニードルを、1メートル程にまで大きくして地面に刺した。
「これなら私にもできそう!」
「父様父様、私にも出来ますか!?」
「手加減スキルがあれば出来るぞ。持ってるか?」
「......うぅ、持ってません」
「なら今回は諦めてくれ。また今度、一緒に取りに行こうな」
「はい!」
ソルの時は失敗したけど、リルと一緒に取る時は失敗しない。
俺は学ぶ男だ。リルを放ってニクス山まで飛ぶなんてこと、ある訳がない。
......ないよな?
それから、分かれ道や数十メートルおきにアイスニードル(大)を地面にぶっ刺して行った。
「ん、敵。ちっこいのが12」
「「了解 / 了解です」」
サーチに小さな魔力反応があり、その反応を出すモンスターと遭遇した。
『『『ギュピピピピ!!!』』』
「「キモっ!」」
出てきたモンスターは、1つだけの大きな目を持ち、目の下には大きな牙が見える口を持つ、コウモリのようなモンスターだった。
胴体に大きな目、その下に牙と言えば、色んな作品で見たことがあるイメージだが、コイツは違う。
なんというか......全体的にドロドロしていてグロいのだ。
「これトラウマになるぞ!? ここ、マジで魔境じゃん!」
「ホントにそうだよ! ホラー耐性もいるとか聞いてないよ!」
「とりあえず倒しましょう。1人4体ずつでいいですか?」
「「いい!」」
出来れば全部、リルに任せたいという思いがある。
「『イグニスアロー』『アウラ』『戦神』」
戦神も使って、確実に消滅させる。こんなやつ二度と見たくない。
「......はい!」
ソルは一瞬で魔女っ子ローブを着ると、メテオラスを取り出してイグニスアローとアウラを使った。
やっぱりあの箒、杖としての性能もとてつもない物だろうな。
「ツクヨミさん、『魔力刃』です!」
リルは魔力刃でぶった斬るようだ。......それがいいだろうな。
俺は、例え魔力刃であっても、フーやシリカでコイツを斬りたいとは思えない。
『『『ギュピィ......』』』
目玉コウモリ12体はポリゴンとなって散った。
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『イビルバットLv101』×8討伐しました。
『腐食液』×2入手しました。
レベルが1上がりました。10SP入手しました。
『戦神』スキルレベルが2上がりました。
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名前の通り、本当に邪悪なコウモリだった。
「腐食液って......何に使うんだよ」
アレか? 女の子の服を溶かすのか?
「アレじゃない? 女の子の服を溶かすんじゃない?」
「そうなのですか? 母様」
「ソル......思考が俺と同じじゃないか.....」
くだらない思考まで似てしまったか......もう俺達の脳は死んでいるのかもしれない。
「きゃー! ルナ君に溶かされちゃう〜!」
「溶かすのですか? 父様」
「溶かさねぇよ! リルも聞くな! 恥ずいわ!」
この会話にリルが参加していることが不味い。
「ほら、ちゃっちゃと行くぞ!」
「「は〜い」」
「母様、後で教えてください。服を溶かすことについて......」
「もちろん!」
「教えるな! リルがヤベー奴になるだろ!?」
ソルはもうダメなのかもしれない。割と本気で。
そうして道標を立て、モンスターを倒しながら進むこと2時間――
「「ボス部屋......」」
「遂にここまで来ましたね! どうします? 早速行きますか?」
『ルナさん、流石にご飯にしませんか? 戦うなら一度、休憩を取ってからにしましょう!』
『そうだよ! お腹すいた!』
「あ~、確かにそうするか。ソルは何か食べ物持ってきたか?」
「うん! いつでも外に出れるように、沢山あるよ!」
「俺も一応、ドゥリャギョンの肉は持ってるが......焼いて食べるか?」
『「食べる!」』
『「食べます!」』
「はいよ〜」
皆、ドラゴンの肉が好きだねぇ。俺も好き。だって、前に1回だけ食べた事のある高級肉と同じような美味しさなんだもん。
そうしてソルの持ってきたサンドイッチや、ドラゴンの焼肉を食べた。
「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」
「さ、ドゥルム鉱山の裏ボス......やるか」
『『「「おぉ〜!!!!」」』』
そして俺は、裏ボスの居るであろう扉を開けた。
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名前:ルナ Lv9→10
所持金:80,815,590L
種族:天使
職業:『剣士』『ヴェルテクス:ギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:魔法士・Cランク冒険者(94/200)
Pギルド:『ヴェルテクス』
HP:3,080→3,090<1,000>
MP:3,582→3,592<1,500>
STR:4,080→4,090
INT: 2,080→2,090
VIT: 2,580→2,590
DEX:3,580→3,590
AGI:2,280→2,290
LUC:1,040→1,045
CRT:54→55
残りSP:630→640
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100
『魔剣術』Lv62
『王弓』Lv100
『魔弓術』Lv67
『武闘術』Lv100
『魔闘術』Lv1
『刀王』Lv100
『魔刀術』Lv100
『操王』Lv1
『魔糸術』Lv35
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
『戦神』Lv75→77
魔法:非表示
生産系:非表示
その他:非表示
<>内アクセサリーの固定増加値
SP増加値:非表示
種族補正:非表示
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またしてもルナ君は見落としていますね。
イベントになると、大事なことを見落とす体質なんですかね?
では次回、『ドゥルム鉱山・裏ボス戦』です!お楽しみに!