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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第5章 限界突破と冒険者
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慣れない指揮とジョーカー

朝起きて

まだ寝ていたい

そう思い

二度寝決行

起きたら八時


ゆずあめ


あ、今回はピギー視点です。

 



 ----------------------------------------------------------

 ピギー(ピグレット)side




『ワォォォーン!!』



 来た。フェンリルだ。今日こそぶちのめしてやる。



「盾持ち! 正面6、左右2で挟んで! 弓持ちは魔法使いの合図で一斉に攻撃を!! 近接は後ろ足から狙って!!!」


「「「おう!!!!」」」



 私、あんまり指示を出して戦うのは得意じゃないんだけど、今回は私が言い出したこと。責任を持って指示を出そう。



「弓部隊! 魔法部隊! 5秒後です!」


「「「はい!!!」」」



 良かった。私の指示の裏で魔法使いの子が動いてくれた。



「......殺るぞ」



 今回は私も弓で戦うので一緒に撃つ。

 FSでのスナイパーの経験からか、遠距離戦が得意だからね。

 この二百数人の中で、誰よりも遠距離戦の経験があると自負している。



「今ッ!!!」



 盾役が一瞬引いた隙に、弓部隊と魔法部隊が一斉に攻撃する。



「目を......狙って......ここ」



 精密射撃は得意だもん。弱点を狙うしかない。



『ぐぬぅあぁ! 右眼がァ!!!』



「ほ、本当に喋るんだ......あっ、盾持ちは復帰して! 近接は片方の足を集中!!」


「「はい!!」」



 今回は前衛が約50人ほど、後衛は約150人で構成させれている。

 前衛がヘイトを買い、足を切って隙を作り、その隙に後衛の火力を叩き込む。


 さぁ、こっからは私が魔法部隊にも指示を出そう。



「魔法部隊! ポーション無かったら私に言って! 結構買い込んでるからね!!」


「「「はい!!!」」」



 私は指揮も出しす関係上、攻撃の手数が減る。だから補給兵としての役割もする。

 全員が攻撃できなくても、せめて半分は攻撃させて、その間にMPが切れかけのプレイヤーにポーションを渡したい。



『ワォォォォォォォン!!!』


「「「!?」」」



 急にフェンリルが大きな声で鳴き出した。



「みんな注意! 何か来るよ!! 近接は引いて、盾は構えて!!」


「「「おう!!!」」」



 するとフェンリルは、白いオーラを纏い始めた。



「バフ......かな。魔法部隊! バフが使える子は盾持ちに掛けてあげて! VIT優先で、次点でAGIね! 回復が出来るなら全力で!」


「「「了解!!!」」」



 どうやらバッファーは男性が多いようだ。意外。



「手の空いたバフを使える子は魔法部隊のバフを! INTのバフね! 使えなかったら攻撃に回って!!」


「「「はい!!」」」



 これで魔法部隊は纏まるだろう。あとは弓と近接だ。



「弓は継続的に撃って! 矢が切れたら魔法にチェンジ! 魔法が無理なら近接で! 全体のダメージに少しでも貢献して!!」


「「「はい!!!」」」



 一応、私もある程度魔法と剣と槍は使える。

 槍は別ゲーで培った技術があるし、剣はリアルで剣道を習っていたからそこそこ出来る。


 そして30分程、フェンリルとの攻防が繰り広げられた。



『うぅ.....貴様らァァァ!!!』



 血のポリゴンを流しながらフェンリルがそう言うと、攻撃が激化した。



「弱ってる! ここで畳みかけるよ!!!」


「「「「「おう!!!!!」」」」」



 全員がそう判断し、一気に攻撃を叩き込んだ。が──



「判断ミスだね」


「ッ!?」



 急に誰かに耳元で話しかけれた。誰!?

 あっでも、こういう時って大体知ってる.....人.....



「えっ、マジで誰?」


「僕だよ。ジョーカーさ」



 あ、分かった。翔か......確か海外では『ジョーカー』って呼ばれてたもんね。



「どっちで呼べば? それと判断ミス?」


「できればジョーカーでお願い。判断ミスは......見ての通りかな」



 ジョーカーの指の指す方向を見た。

 そこには、フェンリルの前に立っていた最後の盾持ちのプレイヤーがポリゴンに変わる瞬間だった。



「嘘......」


「こういうゲームのボスってさ、弱ったと思わせて攻撃は激化するでしょ? そこでプレイヤーは一旦引くべきだよ」



 そうか、攻撃が落ち着くまで耐久すれば良かったのか。



「ど、どうしよ......これはヤバい」


「まぁまぁ。僕がここにいるから大丈夫さ! 僕が君を勝利に導こう!!」



 急に何を言い出してんだか......ホントに翔なの?



「痛いね.....可哀想に.....」


「黙って。首切るよ?......とりあえず見てなよ。『魔糸術:糸氷(しひょう)』」



 ジョーカーがそう唱えると、フェンリルが凍りついた。



「え!? 何それ!! 最高じゃん!!!」


「ダメ......アイツは僕のレベルで抑えられるほど弱くない。持って10秒、その間に立て直して」



 何だコイツ、天才か? 厨二と思わせて完璧なサポートしたり、やっぱり翔は頭が回るな〜



「う、うん。ありがと!......魔法部隊! マナポーションは私の後ろに置いとくから勝手に持ってって!! 弓部隊! フェンリルを囲むように広がってから射撃して!」


「「はい!!!」」


「次! 残った近接は一旦引いて回復を!!」


「「了解!!」」



『ぐぬぬぬ......ガァァァ!!!』



 フェンリルを拘束していた氷が砕けた。



「僕の役目はこれで終わりたいんだけど......いい?」


「ダメに決まってんでしょ? ここでどっか行ったら頭ぶち抜くよ?」


「は〜い......豚め」


「殺す」



 コイツ......許さない。毎回毎回、豚って呼びやがってぇ......!!!



「きゃ〜怖い! 今はそんな場合じゃないでしょ?」


「うっざ!! ジョーカーってよりピエロかな?」


「それは嫌だね。僕、ピエロ恐怖症だし。それにジョーカーの方がカッコよくて好きだし」


「知らないよ! ピエロ、やるよ!!」


「首、切り落とすぞ?......はぁ、ニヒル相手にはロールプレイ難しいなぁ」



 こっわ。ってかロールプレイしてたの? タダの情緒不安定な厨二病だったけど。



「あ、矢が切れた。『フレイムアロー』『ファイアアロー』!」



 ジョーカーと話しながら矢を撃ってたら弾切れになった。ここからは魔法で攻撃しないと。



「そんな魔法あるんだね『魔糸術:糸炎(しえん)』」


「友達から教えてもらった。大会の魔法で2位の子だよ」


「誰? 最後以外見てなかったから知らない」


「なんで!? って事は総合部門以外見てないの!?」


「うん」



 アホかな?......全く、数少ない私のリア友であるルヴィちゃんの戦いを見ないとは、悲しいね。



「まぁ、今度紹介するよ。いい子だからね?」


「強い? 上手い?」


「強い」


「じゃあそこまで仲良くなれないかも。ルナレベルでカモン」


「アホ!」



 何で頭のキレるプレイヤーとしか仲良くなれないのか、意味がわからない。何? インテリぶってんの? ぶちのめすよ?



「大体ね、アル......ルナくらい強くて上手いプレイヤーってそんなにいないよ?」


「自分であのレベルを言ったけど、正直アレはバケモン。一緒に戦ってて思うけど、毎回引いてる。ちょっと前に作戦の立て方とか教えてもらったけどさ、理解出来たの4割だけだった」


「あ〜......これは4割『も』理解出来た君を褒めるべきか、4割『しか』理解出来ないような作戦を立てるルナを褒めるべきか、悩むね」


「僕を褒めて。僕はまだ、人間だからさ」



 な〜に言ってんの。



「ニヒルのメンバー、皆人間辞めてるよ?『フレアボム』」


「やだぁぁぁ!!!『魔糸術:糸雷』」



 私達の攻撃がフェンリルにどんどん当たっていく。



『ぐぅ......まだだぁ!!『月魔法:月華』』



「「えっ! 魔法!?」」



 これには私もジョーカーもビックリだ。フェンリルが魔法を使うなんて、噂にも聞いたことが無い。



「......何か起きた? 私分かんない」


「う〜ん?......あ、あれだね。前衛のところ」



 そう言われて前衛の方をよく見ると、桜の花びらの様な物が舞っていた。



 ――ぐわぁぁ!! 痛てぇ!!!

 ――避けろ! この花びら、攻撃だ!!

 ――うわぁぁ!!!!


 前衛プレイヤーの叫び声が聞こえた。



「「嘘でしょ......」」



 風に舞う花びら全てに攻撃判定があるなんて、ヤバすぎでしょ。



「前衛部隊、全員引いて!!!」


「......ダメだよ。もうアレは無理」


「うっそでしょ!? 魔法部隊! MPある!?」


「無いです!! 攻撃手段もありません!!!」


「マジかぁ......詰み?」


「詰みだね。僕はまだ糸も剣もあるけど、ピギーは?」


「私も剣と槍かな......2人で殺れる?」


「そう思ってるのなら君、勇者だよ? 奉りあげようか?」


「やめて?......はぁ、勝ちたかったなぁ」


「......今回は通りすがりの僕だけど、それは同感かな。折角ここまで削れたのに、全部パーになるのは見てて悲しい」



 はぁ......ため息しか出ない。こんな時、アテナやアルがいればなぁ......



「ルナでも助けに来てくんないかな〜。それならワンチャ「いいぞ?」......ン......って」


「「え?」」


「俺も参加していいか? 楽しみにしてたんだよ、フェンリルと戦うの」



「「ルナ!?」」



 私達の後ろには、見慣れた顔の、全身真っ白な服を着た翼の生えた天使がいた。



「皆のアイドル、ルナちゃんだぞ☆ ところで、そっちのピンクはピギーなのは分かる。分かるんだが......そっちの君は分からない」


「あ、コイツは「待って」ん?」



 ジョーカーが私の言葉を遮ってきた。



「僕が誰だが、当ててみてよ!! 最強くん?」



 何コイツ。頭イカれてる?



「おっけ。でもちょっと待って。『クロノスクラビス』」


『なにっ!?』



 ルナが謎の魔法を唱えると、フェンリルの動きが止まった。



「よし、ちょっと考える......」


「えぇ......?」



 今、何したの? 何で普通に考えようとしてるの?



「君は......魔糸術を使ってたよな?」


「あぁそうさ!! 良く見てるね?」


「ふむ......でもこのテンションで話す人物は知らん。だけど、最初にフェンリルを凍らせた時、君は『事前に仕組んでいた』よな?」



 事前に? どういうこと? あの場でスキルを使って凍らせたんじゃ?



「......よく見てるね」


「ま、その用意周到な感じというか、ピギーと仲良さそうなのを見る限り、お前、翔だろ?」



 わお、正解。でも普通、それだけで分かる? 正直言って気持ち悪いんだけど。



「バレた。ロールプレイはもうしないでいいかな」


「え? ロールプレイだったのか?......なんか、ごめん」


「謝らないでくれる? 死にたくなるからさ......」



 おぉ、大ダメージだ。



『ワォォォーン!!』


「あ、解けた。やっぱ幻獣つえ〜」


「それ、何してたの? 何の魔法?」


「対魔法用魔法。正確には魔力の動きを止める魔法。だから魔法や普通のモンスターの動きなら止められるんだけど......強いモンスターにはあんま効かねぇんだよな」


「そんな魔法あっていいの?」


「知らん『クロノスクラビス』」



『んなぁっ!!』



 無責任だなコイツ。ソルちゃん大丈夫かな。



「じゃあどうする? 残った人達を離して、3人で殺るか?」


「賛成〜」


「う〜ん......ポーションとか無い? 出来ればあの子達も参加させてあげたい」



 私の呼び掛けで集まってくれたんだ。せめて最後まで一緒に戦いたい。



「ポーションは無い。でもまぁ、バフくらいなら。ステラ、『鼓舞の光』」



 ルナが剣を掲げて唱えると、私達にバフがかかった。



「何これ......これ何秒持つ?」



 ジョーカーがルナに聞いていた。私も気になる。



「この戦闘が終わるまで全ステ1.1倍だ。それも全員な」



「「えぐぅ......」」



 MMOで1.1倍は強いよ......それも全員に永続付与って、もっとヤバいよ......



「とりあえずピギーは魔法部隊に指示出しな。俺が動き止めとくからさ。サポートに回るわ」


「分かった」


「僕は適当にや「ピギーのサポートしてやれ」......了解」



 有難い。ここで私より賢いプレイヤーがサポートしてくれるのは本当に有難い。




「『クロノスクラビス』......じゃ、タンク(笑)をさせてもらおう」

フェンリル戦が終われば第5章は終わる予定です。

第6章は今までとはガラリと変わった作風になるので、お楽しみに(^・ェ・^)


次回、『ニヒル、集結』お楽しみに!



さて、2体目以降のフェンリルについて少しお話を。

リルの知識欲によっておしゃべり化したフェンリルですが、運営による修正で知識欲はほぼありません。


故に戦闘における行動パターンが単調になりやすいです。

リルが戦っていた時は『命を懸けた戦い』だったのが、『プログラム化された型のある戦い』にグレードダウンしています。


運営の意図としては『1度は皆に幻獣と戦って欲しい』という気持ちが込められている為、このようになっています。


ミニ解説は以上です。

次回の戦闘でどうなるのか、作者も楽しみです!

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