私は知っている
超短いです。
短いということは、短いということなんです。
10cmとは、20cmより10cm短いんです。
「なるほど、その方が父様の言っていた方なのですね」
「ん。あと2人いるが、そいつらまだ気にしなくていい」
冒険者ギルドから出て、噴水のある広場よベンチに座り、4人で話していた。
「ル、ルナさんってお子さんいたんですね......」
「あ〜......まぁ?」
良かったな。孫だぞ。孫(仮)だぞ。
「そういえば何でピギーはラキハピさんと?」
「コラボ配信だよ」
「ん〜?」
こらぼ......はいしん............
「あ、もしかして配信中?」
「「うん / はい」」
「まぁじか......逃げ出したいなぁ」
配信に映るとか怖い。公式生放送の時の緊張がががが......
「それで父様、どうするんですか? 前に言ってた方なら倒すのではなくて?」
「え?」
「あぁ、アテナなら問答無用でぶちのめす。だがこいつや翔は違う。まぁ、敵対すると言うのなら戦うけど」
「嫌だよ! アルと戦うとか......想像しただけでちびる......ふふっ、『ちびる』と『ニヒル』って韻踏めてる......ふふふっ」
「お前大丈夫か? そういうのは思ってても言わないのが基本だろ?」
気持ちは分かる。自分の発言に自分でツボることはたまにあるからな。
でもそれを全部口に出してしまえば、面白さが半減してしまうだろう。
「ルナさん! フレンドになりませんか?」
「嫌だ。フレンドは今の人数が限界だからな」
「「え? 限界?」」
「そう。限界」
2人......ソルを除いて、1人が限界だ。それもマサキで埋まっている。だから限界。
「アル......ルナってそんなにフレンドいるの? FSでも数人だったでしょ?」
「あぁ。俺のフレンド枠、2人が限界だから......」
「「2人!?」」
「それも埋まってるからさ。諦めてくれ」
「いやそれ、ルナが面倒くさがってるだけじゃん......」
「いやぁ? 違うしぃ? 面倒なのもあるが、大切な人以外を載せたくないだけだからぁ?」
親友と彼女、これだけでいい。
「じゃあFSのチームメイトは大切な人じゃないの?」
「うっ............」
痛いところを突いてきやがる。やるな、ピギー。
「父様、ご友人なら別に良いのでは? それに、過去の父様を知っている方なんて少ないじゃないですか。大切にした方が良いですよ?」
「聞いた事のあるセリフだ......」
母さんと同じことを言うんだな。母さんは陽菜を、リルはピギーに対してか......はぁ。
「はぁ、しょうがない。ピギーは旧友として、ラキハピさんは血縁者としてフレンドになろう」
「「血縁者?」」
「私は知っている。ラキハピさんの中身を......」
「な、何を言ってるのですか?」
「配信を切ったら言ってもいい。これは視聴者には言えないことだろうからな。俺からの配慮だ」
父さん、自分で理想を抱き続けるか、俺から絶望を突きつけられるか、選ぶといい。
「は、配信のミュートではダメですか?」
「やめとけ。口の動きでバレても知らんぞ?」
「「あ〜」」
「よく気づいたね。今のは私でも気付かなかったよ」
「お前、配信歴幾つよ? よく個人情報バレなかったな」
「いや、名前はバレてるよ。去年やらかした」
「アホくさ」
アホくさ。名前バレとか、結構ヤバめの流出じゃねぇか。
「......く〜ん!」
まぁ、ピギーの名前を知ったとこで......ってなるだろうな。ニヒルのメンツは。
「ナく〜ん!」
「なんか聞こえね?」
「聞こえた」
「「聞こえましたね」」
「ルナく〜ん!」
上から声が聞こえた。
「ルナ君!」
俺達の目の前に、魔女っ子が箒に乗ってやってきた。
「よ、ソル。どうしたんだ?」
「晩ご飯のお買い物だよ! ルナ君こそ、ここで何を......」
ソルがピギーとラキハピさんを見た。
「浮気現場?」
「旧友と血縁者」
ピギーとラキハピさんを順に指す。
「血縁者!? もしかして――むぐっ!」
今、かなり危ない事を言う気がしたので咄嗟に手で口を塞いだ。
「おい、コイツら配信中だ。何も喋るな」
「――うん」
危ないね。ソルが思いっきり俺の母さんか父さんの名前を言ったら、とんでもねぇ放送事故になるところだった。
「え、えっと。初めまして、ピグレットです」
「ラキハピです!」
「あ、ソルです! ルナ君の彼女してます!」
何も......それは言わなくて良かったのに......恥ずかしいだろ?
そういうのに弱いんだよ、俺。ついドキッとしてしまうんだ。まぁ、ソルと居ると常にドキドキしてるけど。
「あ〜、前にFSで言ってた彼女さんかぁ......え゛っ」
普通の人間からは出ないような音を出したな、ピギー。
「ル、ルナとソルさんの......子供?」
「リルは「そうですよ!」......らしいです」
なんかどんどん話が面倒くさくなってきた。
「えっとソルさん......ルナは戦闘面でしか頭は良くないけど、優しい人です。よろしくお願いします」
「あっ......こちらこそ、ルナ君とは10年ほど幼馴染をさせて頂きまして、よ〜く理解してる所存でございます。お任せ下さい」
「お前ら誰だよ」
親戚への挨拶か? お?
「そういやピギー、名前変えたんだな」
「うん! 意味は一緒だけどね〜」
「ピグレットと言いますと、子豚ですか?」
「そうなんです! 可愛いからこの名前にしてるんです!」
「アイツらからは『豚』と呼ばれてたけどな」
「ホントそうだよ! アイツらマジでぶっ○してやる!」
あ〜あ。ピー音入るわ、今の発言。
「そういやソル、買い物だっけ。俺も手伝おうか?」
「うん! でもその前にフレンドになっていいかな?」
「あ、そう言えばそうだった。はい、これフレンドコード」
「あり!」
「あ、ありがとうございます!!」
こうして2人とフレンドになった。
「で、だよ。お前らこれからどうすんの?」
「私達は配信しながら冒険者のランク上げだね」
「今のランクは?」
「D」
「一緒か。まぁ、頑張れ」
「うん! じゃあまたね! 何かあったらチャット送るから!」
「はいはい。イタ電してきたらぶちのめすからな」
コイツ、過去にFSで
『2分間に100回コールチャレンジ!』
とか言って、戦闘中の俺にとんでもない数のイタズラ電話をしてきたことがある。
「いや、あれはホントにスマソ」
まぁ、戦闘後に頭をぶち抜いたからいいんだけどさ。
「まぁいい。じゃ、ラキハピさんも。いい配信生活を」
「は、はい! ありがとうございます!」
今度ログアウトしたらメールでも送ってやるか? いや、流石にリスクがデカいか。
「じゃあリル、行くぞ」
普通にリルを抱っこした俺は、天使の翼を広げた。
「あれ? お姫様抱っこじゃないんですか?」
「はいはい」
要望があったのでお姫様抱っこにチェンジする。
「え〜いいな〜! ルナ君、私も〜!」
「今度な。リルは飛べないんだから、今回は大目に見ろ」
「は〜い」
こうして俺達は王都の空を飛んだ。
「「そ、空飛んでるよあの人ら......」」
どうなるの!?ラキハピさん!!!
本当は番外編でやりたいのですけど、今ソルの裏話を書いていまして、だいぶ後になりそうです。(^・ェ・^)
次回はもう完成していまして、このお話が投稿された後にすぐ、投稿されています。