ソルの魔女っ子計画〜衣装編〜(5)
後半、とんでもないことがあります。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
お昼ご飯はミートソースパスタでした。
パスタ麺は普通に売ってるし、ミートソースなども瓶詰めされて売られている......原住民の店で。
プレイヤーメイドの食材はまだ出ないのかな?
「では吾輩、魔石を作ってくるでござる」
「うん! 今日中に終わりそう?」
ソルさん、結構難しい問題を突きつけて来ますわね。
「あ〜......いけると思う。頑張るわ」
「うん! お願い!」
お願いされたからにゃあ、やるっきゃねぇよ。
鍛冶小屋にて――
「ふっふっふ......ここに来るまではや3年。遂にここまで来たぞぉ!!」
「お兄さん何言ってんの? やっぱり狂った?」
「いや、この称号見てみろよ。狂ってないっしょ?」
そう言って横に居るシリカにウィンドウを飛ばす。
━━━━━━━━━━━━━━━
『宝石狂』
・宝石を使用したアイテムの品質が2上がる。
・宝石を使用したアイテムの効果が上昇する。
・宝石を売った場合の値段が20%減る。
・宝石を買った場合の値段が20%上がる。
・『ジュエラー』を統合する。
リザルト画面に、宝石を10,000個以上入手した事を載せると獲得。
『自制心』
・特定の称号によるデメリット効果を相殺する。
・『宝石狂』のデメリット効果を相殺する。
欲に溺れず、自制心を保った状態で『狂』系統の称号を獲得する事で獲得。
━━━━━━━━━━━━━━━
「まぁ......そうだね」
「自制心は大事だ。特に今の若者には必須の精神だ」
「若者が何言ってんの〜」
「若者だからこそ、今の若者の行動が分かるのだよ」
同じような年齢なら、思考の甘さ、心の持ち方が分かる。
まぁ、自分は殆ど人と関わらなかったんだけどな。
「まぁ、そんな事はどうでもええんすわ。今は魔力打ちだ。このホープダイヤモンドとフェンリルの牙に、愛と魔力を全力で込めるッ!!」
「誰への?」
「ソル!!」
「リル之助は?」
「後で作るッ!!」
「フー姉ちゃんは? シリカは?」
「うるさいよ! さっきからさぁ!!!」
集中したいのに全力で乱してくるな! 泣くぞ? こんな嫌がらせ、泣くぞ?
「はははっ! ごめんごめん。じゃあ私は戻っとくから、頑張って」
「最初からそうしてくれ......」
シリカは鍛冶小屋から出ていき、フー達の所へ行くようだ。
「何で付いてきたんだ......まぁいいや。やろう」
それから5時間程度で『聖神魔石:インフィニティレイ』が完成した。
「うん......意外と早く終わったな。俺、天才かもしれん」
となれば、まだ時間に余裕がある内にリル用の箒を作ろうではないか。
「箒de蜂起......またルナちゃん特製に変えてやるからな......」
魔女っ子の箒なんだ、俺の名前も可愛く載せるのがいいだろう。可愛い子の可愛い箒、お兄さん特製よりは良い。
半分ノリでやるのが楽しいんだ。
そして作業開始から4時間、箒に魔法陣を刻み終えた。
「やっぱり俺、天才かもしれん。こんな短時間で終わることあるぅ? いや、ないわぁ〜」
モチベーションを自分で上げる永久機関の完成だ。
「まぁ、光の星屑がないからただの魔法の容器なんだけど」
モチベーションが一瞬で地に落ちた。やはり永久機関は出来ないようだ。
「よし、今日はこれで終わろう。ソルに魔石を渡して、晩御飯を食べて、ログアウトして、あっちでご飯食べて、また帰ってこよう」
こうして今日の作業は終了し、家に戻った。
「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」
今は晩御飯を食べ終わったところ。
本来なら先に魔石を渡す予定だったが、帰った時に晩御飯の用意をしていたので、そちらを優先した。
「ソル、はいこれ」
ゴトッと音を立て、机の上にインフィニティレイを置いた。
「「「「わぁ......」」」」
「ま・せ・き! 出来たからあげるよ」
「す、凄いね......あの時も見たけど、こっちの方がもっと綺麗じゃない?」
「あ〜っとな、それは称号のせいで品質が上がってんだ。多分そのせい」
「ほぇ〜」
皆口がポカーンと空いている。鯉みたいで面白いな。口に食パンでも突っ込んでみたい。
「で、だよ。これでソルからの注文の品は以上でございますが、他に何か注文はあるか?」
「そうだね......強いて言うならルナ君が欲しいな」
「ん〜......はははっ」
考えるフリをしてたけど、つい笑っちゃった。
「「「始まった......」」」
残念。俺が笑ってしまったことにより終了です。
「もう! なんで笑うの!」
「いや......ふふっ......すまんっ......ははは!!」
「うぅ......結構恥ずかしかったのにぃ......」
ソルが尻尾までプルプル震わせて恥ずかしがっている。
なんやこの子。可愛すぎかよ。
「......まぁ、注文はもう無いってことでいいか?」
「うん! ごめんね、いっぱい貰っちゃって。ありがとね?」
「気にすんな気にすんな。その代わりに可愛い魔女っ子ソルちゃんを見せておくれ」
「うん!」
「「「やっぱり始まってた」」」
知らね。3人だって見たいだろうに......魔女っ子ソルちゃん。
「じゃあ俺は寝る。さらばっ!」
「ふふっ、お疲れ様」
「私も〜」
「あ、フーちゃんとシリカちゃんは残ってね」
「「?......分かりました。 / 分かった!」」
なんか3人でお話するみたいだが、俺はログアウトする。
「おやすみ、リル」
「おやすみなさい」
-----------------------------------------------
「ふぃ〜......最近、集中力が上がったかな」
VRヘッドセットを外し、思う。
最近やっている、数々の生産が俺の集中力を上げている気がする。
「はぁ......これを勉強に活かせれば、俺の頭はどんどん良くなるのにな......」
仕方ない。俺にあるのは武術経験とゲームだけだ。そっちを今後に活かせるようにしよう。
「短所を減らし、長所を活かす。これを人生の目標の1つにしたいな」
「さ、晩御飯にしよう」
そして晩御飯を作り、食べ終わってから食器を洗っている時――
〜♪
「お? 電話だ......えっ、母上から!?」
珍しい。どうしたんだろうか。
『はいもしもし。皆のアイドル月斗君です』
『もしもし? 皆のアイドル月斗君のママだよ』
乗ってきやがったぞ、この母。
『アイドルのママさん、用件はどうされましたか? アイドルは今、食器を片付けているところです』
『ママさんはね、アイドルの月斗君に報告があるの』
報告? なんだ? もしかして東京に来るとか?
『なんでしょう?』
『アイドルの月斗君のパパさんがね、生配信者になっちゃった。しかも今も配信しててね、ユアストーリーをやってんの。確か月斗、やってたよね?』
ん? ん??......んんん???
『ごめんちょっと何言ってるか分からない』
『だから、父さんが生配信してるの。ユアストーリーの』
『なんで?』
『たまたま動画を見てたら、『この動画のプレイヤー、めっちゃカッコイイ!』って急に言い出してね。『俺もやるぞ! こんな人になる!!』とか言って始めた』
はい? でもなんでそれを俺に言ってくるんだ? ユアストプレイヤーだからか?
『何故にワタクシに?』
『それは月斗にミッションを与えるから』
『断る。じゃあね』
『報酬、あるよ?』
『受けるわ。何?』
ぼく、もらえるものはほしい!
『まず報酬から。貴様が受け取る物は......』
『物は?』
『お父さんの生放送に出れます』
『いらんわ。じゃあね』
『お金、いる?』
『いる。ミッション内容は?』
ぼく、おかねほしい!!
『ミッション内容は難しいよ。これはお父さんが憧れたプレイヤーとの接触だから』
き......キッツ。
『だ......誰?』
『ルナってプレイヤーにお父さんを会わせてあげて』
ん?
『ごめんもう1回言って』
『ルナって名前のプレイヤーにお父さんを会わせてあげて。報酬は5000円』
『ごめん、ちょっと待ってて』
『は〜い』
俺は携帯をミュートにし、食器を洗いながら言う。
「俺やん」
似たような経験、あります。
実際に父に「このプレイヤーの動きすげぇな」動画を見せられて、そのプレイヤーの名前を見たら私だったんです。
その時の私は無言でニコニコしてましたが、会話が終わった後に複雑な気持ちになりました。
動画投稿されてる方の配信に出て、中々無い経験を積めました。(^・ェ・^)
次回、ソルの魔女っ子計画、完結.....予定です。その後がお楽しみですね!