ソルの魔女っ子計画〜衣装編〜(1)
ローブ編と迷いましたが、統合しちゃいました( 'ω')
城の1階、裁縫スキルの生産所にて――
「ルナ君、神鍮鉄の糸はある?」
ソルの魔女っ子の服......いや、ローブ作りが始まり、材料に神鍮鉄が必要と言われたところだ。
「あるぞ。ブリーシンガメンの時の残りが」
俺はあの時の残りの糸を出した。
......うん、短いね。これは確実に裁縫には使えないだろう。
「あ〜......伸ばせる?」
「いや、こっちのインゴットと合金化させてから、もう1回糸にすればいい。アルテ、フー、シリカ」
MP増加の為に、アルテとメイド2人を顕現させた。
「お兄さん?」
「ルナさん? どうされました?」
「フー、神度剣を貸してくれ。あと2人とも、ちょっと数秒刀モードになってもらっていい?」
「はい!」
「おっけ〜」
フーから神度剣を渡され、2人は刀になって俺の腰に装備される。
「「うっわぁ......」」
今の俺の装備を見た時のソルとリルの反応......まぁ、妥当だよな。
「それ、武術大会でやったら皆逃げるよ?」
「そうですよ......神器で固めるなんて、お相手が可哀想です」
「まぁまぁ。今回の相手は神鍮鉄だ。ダイジョブダイジョブ」
今の状態、過去最高のMP値を叩き出している。
総MP量、脅威の8,000!!!
「では参ります。合金化!......糸!」
8,000もMPがあれば、神鍮鉄でも全部糸に出来るよね。
「そう思っていた時期が私にもありました」
糸にした時にMP全部持ってかれた。悔しい。そのせいで少しフラっとしてしまった。
これからの戦闘面、生産面に於ける問題が浮き彫りになったな。
「大丈夫?」
「大丈夫だ。ブリーシンガメンの力、甘く見ちゃあいけんのです」
数秒で魔力切れから回復するの、つおい。とてもつおいお。
「で、糸はこれでいいか?」
机の上には超長い金の糸が乗っている。
長さは数十......いや、数百メートルはあるんじゃないか?
「うん! バッチリだよ! ありがとう!」
「どういたしまして。それとお礼は2人にも、な」
シリカとフーをメイドに戻した。この2人の協力が無ければ、こんなに長い糸は作れなかった。
感謝でござる。
「シリカちゃん、フーちゃん。ありがとう!」
「「いえいえ〜 / いいよ〜!」」
「2人ともありがとうな。フー、刀返すよ......それとシリカ、これ」
「ん? あ、箒!」
箒de蜂起だ。シリカの分を渡し忘れていたからな。
「大体の掃除ならこれで楽になる。頑張れ」
「うん! ありがとう、お兄さん!」
そうして2人はメイド業に戻って行った。
「じゃあ再開しよっか! 型紙は準備済みだから、後は魔糸で布を作れば準備は終わるね!」
魔糸? あれってリンさんくらいしか作れないんじゃなかったっけ?
「作れるのか?」
「うん。っていうかルナ君。ルナ君なら魔糸ぐらい簡単に作れるはずだよ? ほら......あの、魔力打ちだっけ? あれの応用」
えぇ!! あれの応用で出来ちゃうの? 嘘やん!
「これは魔糸裁縫師の人に教わったんだけどね、この魔糸の作り方は注意点があるんだって」
「お、おう」
ソルさん、あなたいつの間にこの国に3人しか居ない魔糸裁縫師の内の2人目に出会ったの?
そんでもって、そんな人に教えて貰えたの、すげぇな。
「1秒で15MP持っていかれるんだって。だから、直ぐに魔力切れになるの。流石にルナ君でも15MPはキツいよね?」
「いけるぞ。余裕だ」
「え? でもブリーシンガメンって......」
「そうだな。10MPだな。でもさ、『マナ効率化』というスキルを知ってるか?」
「あ! 2倍!」
「そう。だから15MPぐらいなら余裕だ」
マナ効率化によって、俺のMP回復速度は2倍になっている。
そしてこれ、何故かブリーシンガメンの『神速回復』による回復速度まで2倍になってるんだ。
だから今の俺、毎秒20MP回復している。
「とんでもないスキルと一緒に、とんでもないアイテムを持ってるんだね......」
「フレイヤさん、マジ感謝」
フレイヤさん、あざーっす!
「で、この糸に魔力を纏わせたらいいのか?」
話を戻そう。魔糸を作るのに時間がかかるなら、早めに始めたい。
「うん! 指で糸を挟んで、魔力を纏わせながら糸を滑らせるの。そしたら、指で挟んだところが魔糸になるから」
「OK任せろ!」
めちゃくちゃ簡単だ。すぐにでも始めよう。
そうして神鍮鉄の糸を魔糸にすること1時間。遂に魔糸化が終わった。
「出来た......けどさぁ」
「うん......」
「「糸が足りない」」
布を作るのに、インゴット1つ分の糸じゃ圧倒的に足りない。
あらかじめ計算しておくべきだった。そして長い期間をかけ、チマチマと準備を進めればよかった。
「ソル、神鍮鉄の糸は装飾用にしてさ、布本体はオリハルコンで作らないか? これなら簡単に量産出来るし、手持ちが大量にある」
「そうだね。そうしよう!」
神鍮鉄はアダマントを使うので、はっきり言って数が無い。
報酬やらなんやらで貰ったが、安定して増えないんだ。
「アダマントも量産出来たらなぁ......」
「父様、オリハルコンが量産出来る時点でおかしいのですよ?」
「知らぬ。左様な事、我は知らぬ」
リル! この世界はなぁ!! サーチを持ってる奴が勝つんだよぉぉ!!!
「ってことでオリハルコンをドーン!」
俺は机の上に、オリハルコンのインゴットを10個ほど置いた。
「「おぉ〜」」
「この後にする事は分かるな?......そうです。また2人を呼ぶのです」
さっき送ったばっかなのに、申し訳ない。
「シリカ、フー」
「「は〜い」」
「すまん。また頼む」
「「了解!」」
フーから神度剣を貸してもらい、2人は刀になった。
「またまたすまんな。助かる」
そうしてオリハルコンを全部糸にした。神鍮鉄よりオリハルコンの方が柔らかいからか、消費MPはかなり少なく済んだ。
「2人ともありがとう。それとマジでごめん」
「ありがとね!」
「いえ、気にしないでください。元々はルナさんの武器ですし、今はメイドですよ? これくらい造作もないです」
「そうだよ! フー姉ちゃんの言う通りだよ!」
へぇ、シリカはフーの事をそう呼ぶのか。知らなかった。
「まぁ、また何かあったら呼ぶわ。その時も宜しく頼む」
「「はい! / うん!」」
戻って行く2人を見送りながら、俺は内心で『また呼ぶんだろうなぁ』と思った。
「じゃあルナ君、この糸を繋げて、それから魔糸に出来る?」
「よゆ〜よゆ〜」
俺はアクセサリー用の魔道具を出し、糸の先端と先端を溶かしてくっ付けた。
それから指に魔力を纏わせ、糸を滑らせて完成だ。
こうして3時間程で作業が終わった。
「次は......私の鍛え上げた裁縫スキルの出番だね!」
「どれくらい上げたんだ?」
俺、あんまりソルのステータス見ないから知らないんだよな。
「ふっふっふ......『神匠:裁縫』スキル、レベル15!!」
「「おぉ!!」」
神匠になったのか! 凄いな!
「それは凄いな! 何の神に認められたんだ?」
「えっとね、『ヘラ』と『アテナ』だね」
「およ? 最高神じゃなかったか? ヘラって......」
俺の場合、『神匠:金細工』をヘラが認めてくれている。
ヘラに関してはフーから時々話を聞くので、少しばかり情報を持ってるぞ。
「だね! でもこれで私もルナ君の仲間入りだよ!」
「そうだな。頑張って色々生産しようじゃないか」
「うん! いっぱい作って、いっぱい売ろう!!」
俺とソルの合作なら、高品質なアイテムを作ることも、今よりもっと簡単になるだろうな。
「お二人共、性能が良すぎたら値段が高くなりすぎて、売れませんよ?」
「「あっ」」
何気にルナ君の全力装備の登場でしたね!
布都御魂剣にクトネシリカ。それに神度剣とアルテまで.....刀3本に弓1張ですね!とんでもねぇです。
次回は布作成と装飾に行けたらな、と思います。お楽しみに!