ソルの魔女っ子計画〜空飛ぶ箒編〜(1)
魔女っ子計画、始動――
「先生! なんの道具で、どうやって魔法陣を刻めばいいんですか?」
「父様、材料を聞きませんでしたもんね......」
鍛冶小屋に入った瞬間、足りない思考が明瞭になった。
「リル、ちょっと待ってろ。全速力で聞いてくる」
「はい。気をつけて行ってらっしゃいませ」
「おう!」
10分後――
「はぁ、はぁ......聞゛い゛て来゛た......」
「とりあえずお水を飲みましょう『ウォーターボール』」
リルが魔法を使い、俺の顔まで水を持ってくる。
「ありがとう......美味しいよ」
嘘です。めちゃくちゃ不味いです。これ、本当に水か? ってくらい違和感がする。
なんか、モニュモニュとした水なんだ。そう、具体的に言うなら、アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムで作れる、人工イクラの作成途中みたいな、そんな感じ。
「後は自分で出せる。『アクアスフィア』」
バレないように口直し。うん、美味い! アクアスフィアの水は、六〇の天然水レベルで美味しい。
多分これが、『水属性魔法に出来て自然魔法に出来ないこと』の1つなんだろうな。凄い。
「それで父様、材料は分かったのですか?」
「あぁ、バッチリ。『魔石の粉』が必要なんだとさ」
あのオッチャン、そういう事は先に言ってくんねぇかな? 俺、魔石の作り方まで聞くことになったんだぞ。
「魔石を作るにはモンスターの素材と、石や宝石がいるんだとよ。錬金術で魔石化すれば出来るそうな」
「では何の素材を魔石に?」
「リル」
「あぁ、確かにそれは良いですね!」
俺の手持ちで1番高品質な素材って、フェンリルの......『幻獣狼』の素材なんだよな。
「では宝石は?」
「作る」
「どうやってお作りに?」
「リル......俺はな、馬鹿なんだ」
「はい?」
「俺......馬鹿だからさ、全部の宝石を合金化するんだ......」
「な、なるほど。今の父様は『適材適所』という言葉を忘れたわけですね」
「何を言う。そんな言葉最初から知らん」
「えぇ......?」
全部自分でやる。全部魔法に頼る。全部誰かに任せる。そういうクソみたいな思考も、俺は持っている。
「まぁ、流石にそこまではいかない。大丈夫だ、例え劇物が出来ても、俺は1度死ぬだけだ」
「ダメじゃないですか! というよりどうして宝石から劇物が!?」
「知ってるか? 石って......危険なんだぜ......」
素材によっては普通に発がん性物質になる石とかあるからな。宝石だって例外ではないだろう。特に魔力という物質が存在する世界だ。確率的には十分にある。
「とりあえず、ジャラジャラジャラり、と」
机の上にダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドを出した。
「綺麗ですね〜!」
「お、リルも女の子だし、こういう宝石には興味あるか?」
「はい!」
可愛いな。
この宝石達、ゴーレムを蒸発させたら簡単に取れるから、今度アクセサリーとか作ってあげようかな。
「では行きまちゅ。合金化ァ!」
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『ダイヤモンド』『ルビー』『サファイア』『エメラルド』を合金化しますか?
成功率:0.2%
消費MP:50
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「ん? 小型ゴミ製造機?」
成功率はまぁ、ソシャゲのガチャと大して変わらんが、消費MPがかなり少ない。
「とりあえず50個分、っそい!」
2秒間隔で1回、宝石ガチャをした。結果は――
「はい豪運」
なんと、3個も成功してしまった。
完成したのは、青紫に光るダイヤモンドだ。
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『ホープダイヤモンド』Rare:38 製作者:ルナ
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「うっわ!! ダントツのレア度!!!」
「品質38......この輝きなら納得です」
なんだよ38って。ヤバすぎだろ。神器超えちゃった?
「あ、そうだ。久しぶりにアイテムチェックしよう」
この宝石の詳細だな。
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『ホープダイヤモンド』Rare:38
――それは希望の宝石――
――それは破滅の宝石――
――それは武力の宝石――
――それは知力の宝石――
――それは破壊の宝石――
――それは幸福の宝石――
――それは絶望の宝石――
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「ん〜、フレーバー」
なんか色々書いてあるけど、割とマジのフレーバーテキストだと思う。
「ん? 2枚目あるジョン」
ジョンジョン、ページがもう1枚あったジョン。
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『ホープダイヤモンド』Rare:38(2/2)
これは魔力の代償。そして力の代償。
この宝石を素材として使う時、同等の素材と併用しないと呑まれてしまう。
使用者はよく注意すること。
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「それを1ページ目に持ってこいよ」
なんで大事な方を2ページ目に書いた? 悪戯か? 運営の悪戯心なのか?
「ま、同等......いや、それ以上の素材との併用だ。問題ないだろう」
コイツは正直、ボスゴーレムの連戦で作れるが、フェンリルの素材は『幻獣』の素材だ。レベル150のモンスターは、そう簡単には倒せない。その性能は破格の物だろう。
「じゃあリル、お目目を使わせてもらうぞ」
「はい! ですが父様、魔力を宿さなくていいのですか?」
「おぉ、盲点だった。なら先に宿すか。『幻獣狼の眼』にも魔力は宿るのか?」
「宿ります。モンスターの素材は全て、魔力を宿らせる事が出来ます」
「OK、ならそっちも宿らせよう」
両方とも、小さなハンマーで魔力打ちで叩けば宿るだろ。
「よし、始め「ルナ君、リルちゃん、ご飯だよ〜」ません」
流石にご飯優先だ。ソルの作ったご飯、何としても食べないと。
「続きは晩御飯の後だな」
「はい!」
「何作ってたの〜?」
「空飛ぶ箒の材料の準備の準備だ」
「え? そんなに工程踏まえないとダメなの?」
「あぁ。それに希少素材をバンバン使う」
「えぇ......なんかごめんね?」
「気にするな。俺が好きだから作ってるんだ。何としてもソルを魔女っ子にしたいからな」
「ふふふっ、そっちの計画も着々と進んでるよ!」
「それは楽しみだ。よし、行こうか」
『ホープダイヤモンド』と『幻獣狼の眼』インベントリに仕舞い、立ち上がって声をかける。
「うん! 今日はアヒージョだよ!」
「楽しみです!」
「だな。パンを付けて食べるのも美味しいぞ」
続きは後でやるとしよう。
今日は色々な事を知れた日だった。充実していたな。
1日で5本も投稿しちゃいましたが、皆様は大丈夫でしょうか?私は大丈夫です。20時間ほど椅子に座り、ちょっとお尻の感覚が無くなったくらいです。
次回は.....箒、出来るといいですね.....(遠い目)
いや、あのですね。箒の名前がですね、どうしても『ニ〇バス2000』しか出てこなくって、絶賛頭を抱えてるんです。
ですので今回、完全オリジナルでいきます!お楽しみに!