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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第5章 限界突破と冒険者
128/492

昇格と意思

珍しくストーリー

 



「はい! 依頼完了ですね! これでルナさんとソルさんはDランクです! おめでとうございます!」


「「ありがとうございます」」



 今日はスライム20体討伐の依頼と、ボア10体の依頼を受け、無事にEランク冒険者からDランク冒険者となった。



「あ〜すみません。俺達でも受けられる、ドゥルム鉱山での依頼ってありますか?」



 ちょっと鉱山に行きたい。フーの刀のために。



 一応まだ玉鋼は残ってるんだが、万が一の事を考えて、予備の砂鉄を用意しておきたい。


 それと、脇差が欲しいので、単にもう一本の刀が欲しいという感じだ。



「......Cランクの依頼ならありますが、受けますか?」



 キタ、キタキタキター! そういうのを待ってた!

 そういう、少し難しそうなやつを!!



「是非とも! 内容は?」


「こちらです」



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『クエスト:ロックゴーレム×5の討伐』


 受注条件:C(D)ランク以上

 人数制限:5人まで

 場所:ドゥルム鉱山

 報酬:5,000L


 概要:ドゥルム鉱山に出現するロックゴーレムの討伐。物理、魔法共に強いため注意。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「......なぁソル。これって......」


「うん。簡単だね。私達なら、発見した瞬間に倒せるね」


「だよな」



 少し難しそうとか思った俺が馬鹿だった。


 そうだ、まだDランクやCランクなんだ。

 60レベのソルや、そろそろ80レベになる俺がまともに苦戦するとは思えない。



「受けます。この依頼のポイント増加量ってどれくらいですか?」


「20ポイントですね。ルナさんは昇格したばかりで0ポイントですので、これと同等の依頼を10回こなされますとCランクに昇格となります」



 おぉ、何ポイントで昇格するのかを今から見ようと思ってたが、受付嬢さんが教えてくれた。


 配慮、感謝します。



「ありがとうございます。ではすぐに行ってきます」


「はい、お気をつけて」






 そうして俺達は、馬車で鉱山に来た。




「着いたぞ!」


「「「ありがとうございました〜」」」


「おう! 頑張れ!」



 馬車のおっちゃん、優しいな。街の人から好かれてそうだ。



「じゃあ少し砂鉄を集めるわ」


「オッケー! なら私も準備運動とかしておこっかな」


「私も母様と〜」


「はいはい。気を付けてな」



「「うん! / はい!」」



 よし、それでは砂鉄採取のお時間だ。ドキドキワクワクタイムだ!



「『マグナ』」



 以前より格段に魔法の操作は上手くなっている。採取効率も爆上がりだろう。




 そして数分、マグナで砂鉄を集め、容器にぶち込んでいたところ――




「お、おぉ? なんだこれ?」



 何かがマグナに張り付いていた。



「なにこれ? 不思議なやつだな〜」



 マグナに張り付いていた、黒い、プヨプヨしたものをそこら辺の木の枝でつついた。



「なんかあれだな。昔、見た事あるぞ。あれだ、磁石スライムだ」



 磁石スライムとは、スライムを作る時に砂鉄を入れて、『磁石を近づけるとくっつく!』みたいなやつだ。



「マグナを調整してっ......と」



 マグナの磁力を弱め、手に取ってみる。



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『鉱山の思念』を入手しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「は?」



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『特殊クエスト:鉱山の意思』を開始します。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「は?」



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『特殊クエスト:鉱山の意思』


 特殊アイテム『鉱山の思念』を持って、『鉱山の意思』を入手しよう!


 報酬:『斬鋼ノ御魂』Rare:――



 成功条件:鉱山内のどこかにある『鉱山の意思』の入手


 失敗条件:『鉱山の思念』の破棄

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「はぁぁぁぁ!?」



 おいおいおいおい!『斬鋼ノ御魂』って、フーの元になったやつじゃねぇか!



「ど、どうしたのルナ君!」


「大丈夫ですか!?」



 2人が駆け寄ってきた。



「大丈夫。俺には何ともない。いや、何ともあるけど問題は無い」


「ど、どうしたの?」


「なんか、偶然拾ったアイテムがとんでもねぇ特殊クエストのトリガーだった」


「え? どんなの?」


「これ」



 2人にクエスト画面を見せた。



「報酬のこれ......なに?」


「布都御魂剣の材料、と言えば分かるか?」



「「えっ!?」」



「フ、フーちゃんの妹!?」


「妹ですか!? 弟ですか!?」


「お前ら想像力豊かだな〜」



 確かに神器になるだろう。でも付喪神になるとは......限らないと思ったが、今の俺って4人分の付喪神のストックがあるんだった。



「もしかしたら有り得るな」



 でも、まだ問題が残ってる。




「『鉱山の意思』って、なんぞや?」




「「さぁ?」」



 そう、クエスト成功条件にある『鉱山の意思』これが何か、全く分からない。



「字面通りなら思念体、つまりはゴーストやピクシー的なやつなんだろうけど、このクエストトリガーが意味わかんねぇんだ。そう簡単にはいかないだろう」


「「うんうん」」


「何としてもフーちゃんの妹を作らないとね!」


「ですです!」



 妹を作るって、言ってることやべ〜



「ま、とりあえず思念は捨てないから、ゆっくり探すか」



「「うん! / はい!」」


「よし、なら早速行こう。依頼もあるし、今日中に見つかればいいな」


「そうだね!」


「頑張って見つけましょう!」




 こうしてゴーレム狩りと意思探しが始まった。





「よし、これで終わりっと」


「お疲れ様! 依頼分は終わったね!」


「後は意思ですね!」


「ですな」



 ゴーレムってソルでも一撃、リルなら粉砕、俺なら魔法で一撃だから、5体なんてあっという間に終わってしまった。



「意思かぁ......呼びかけたら答えるか?」


「どうだろう? でも、意思だけじゃ喋れないよね?」


「それもそうだな」



 思ってるだけじゃ伝わらない。声に出すか、何かに書いて伝えないと。


 ......ん?『声に出す』か『何かに書く』だと?



「頑張れば魔法で出来そう」


「どうしたの〜? 見つけた〜?」


「見つけた見つけた。ヒントのヒントのヒントっぽいやつ」


「ホントに!?」



 ホントです。まぁ、合ってるかどうか知らんけども。



「『ボイス』こいつに似たような魔法を使えればいいわけだろ?『気持ちを声にする魔法』をさ。そうすれば場所も分かるし、すぐに終わるだろ」


「にゃるほど!」



 とりあえず録音して、鉱山の奥の方に垂れ流すか。



「あーあー、マイクオッケー『鉱山の意思さ〜ん、聞こえますか〜?聞こえてたら返事をくださ〜い。

 聞こえてなかったら『聞こえてないよ!』って返事してくださ〜い。

 今から頑張って魔法を作るので、出来れば魔力反応を出していてくださいね〜! 迎えに行きま〜す!......あ、悪い人間じゃないので、安心してくださいね〜』」



「ふふふっ、『休んでいる人がいたら手を挙げてくあげてください』みたいな感じの理不尽な要望だね!」


「せやな。まぁ、意思にこちらの存在が伝わればいいからな。『サーチ』」



 意思に聞こえていた時の為にサーチを使っておこう。それにちょっと、探索範囲を広げておこう......10倍くらいでいいかな?



「おぉ、毎秒30MP......重いぜ」



 範囲を10倍にしても消費量は3倍なの、優しい。

 ありがたいよサーチ君。これからも宜しく。



「ん?......ん〜? ん〜〜?? これ、意思じゃね?」



 サーチ君の範囲ギリギリに小さな点があった。本当に小さな点だ。麻婆豆腐の中の鷹の爪くらい小さい。



「見つけたの?」


「分からん。けどとりあえず行こう。リル!」


「はい! 今行きます!」


「全力ダッシュで行くぞ。近づけばどんどんサーチを小さくしていくから、なんとか間に合わせてくれ」


「「はい!」」






 それから鉱山内を全力で走り、点のあったポイントまで来た。






「ははっ......嘘だろ?」


「ははははは! な〜にこれ〜!」


「神獣よりは弱そうですが、明らかに通常のモンスターとは桁違いの強さだと思います」



「「見ればわかる」」



 点のあったポイントには、ジュエルゴーレムを真っ黒にしたような、そんなゴーレムがいた。



『イシ......シネン......ハカイ......』



「喋ったぁぁぁぁ!!!!」



 やべぇ、ついあの伝説のCMを再現してしまった。



『オマエ......シネン......モッテル......コワス......』



 ゴーレムはそう言うと、俺がギリギリ認識出来るスピードで突っ込んで来た。




 バガァァン!!




「あぶなっ!」


『シネン......ハカイ......』




「ちょ、ちょ待てよ。お前、これが欲しいんだろ?」




 そう言って俺は『鉱山の思念』を見せる。




『シネン......!!』


「これ、君が何故破壊するのかを教えてくれたら、あげてもいいぞ?」


『ハカイ.......キケン』




 お? 意外にも話せるタイプか?




「どう危険なんだ? 言ってみろ。口に出して伝えろ」


『シネン......モンスター......アツメル......ドラゴン......クル』


「それはワイバーンではなく、『ドラゴン』なんだな?」


『ドラゴン......』


「じゃあなんで思念はモンスター、それもドラゴンを集めるんだ? それを知っているから、お前はこの思念を破壊したいんだろ?」


『シネン......カミニ......キラワレテイル......ハライセ......モンスター......ヨブ』


「その腹いせは、何か意味があるのか?」


『ドラゴン......マリョク......アツマル......ツヨイ......ダンジョン......ツクル......ヒト......ヘル』




 あ〜これ、良くある『魔力が集まってダンジョンが作られる』ってやつか。


 そしてドラゴンは魔力が多く、より強いダンジョンを作り、そこに挑む人間を殺そうと言うわけだな。......腹いせで。



 でもな、情報源が1つってのは信用しにくいぞ〜?



「なるほど。お前の言い分は分かった。でもこの思念はどうなんだ? この思念は、本当に腹いせで、自分の意思でモンスターを集めているのか?」


『フメイ』


「じゃあ、聞いてみよう。思念、喋れるか?」



 左手に出している『鉱山の思念』に聞いてみた。



『......神は私を嫌っている』


「喋ったぁぁぁぁ!!!!」


『......貴方が聞いた』


「せやな」



 この特殊クエスト、めんどくせぇ〜



「それで? 君はなんでドラゴンとか集めるんだ?」


『......私が集めてるんじゃない』


「じゃあどうしてあのゴーレムは、君がドラゴンを集めたと言っているんだ?」


『......私の存在が、魔力が強すぎるから......だからドラゴンが私を食べに来るの』



 お前が原因じゃねぇか



「はぁ......で? 思念ちゃんはどうしたいんでちゅか?」


『......生きたい』


「今生きとるやん。ってかそれな鉱山の外に出るなよ。たまたま俺が引っ張り出したけど、あのまんまじゃ食われてるぞ?」


『......貴方の魔法、逃げれない』


「んな訳あるか。で、具体的にどうやって生き残りたいんだ?」


『......普通に、鉱山として生きたい』



 鉱山として生きたいって、言葉の意味が分からねぇ。



「何か方法はあるのか?」


『......神獣』


「ん? 神獣がどうした?」


『......神獣の素材があれば、魔力を分散できる』



 うっわぁぁぁ!! クッソめんどくさいクエストじゃんこれ!!


 普通のプレイヤーだったら99パークリア出来ねぇじゃん!!



「リル、牙渡してもいいか?」


「はい。もちろんです」



 一応許可取らないとね。リルから貰った物だし。



「ほら思念ちゃん。『幻獣狼の牙』でちゅよ〜」


『......いいの?』


「いいぞ。だから早く魔力抑えとけ。生きたいんだろ?」


『......ありがとう』



 そう言って『鉱山の思念』というなの磁石スライムは、俺が出した『幻獣狼の牙』を飲み込んでいった。



 よく伸びるなぁ〜このスライム。



『シネン......ハカイ......オワリ......』


「あぁ。これでドラゴンも来ないんだろうし、君が思念を破壊する理由が無くなったな」


『オマエ......カンシャ......コレ......オレイ......』



 そう言ってゴーレム君が俺に近づき、石ころを渡してきた。



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『鉱山の意思』を入手しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「......はぁ」



 嘘やろ? こんなしょうもないことある?



「鉱山の『意思』って......鉱山の『石』かよ......」



 俺達、石ころの為にこんな怖い思いをしたのか?



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『特殊クエスト:鉱山の思念』を達成しました。


 成功報酬:『斬鋼ノ御魂』を入手しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



『......ありがとう。君のお陰で鉱山が元通りになるよ』


「元通り? 今までは違うのか?」



 急にフラグ建てないでくれる?



『......うん。本当はもっと大きな鉱山だったんだ。でも、私が狙われ続けるせいで、鉱山の維持が中途半端だったの』



 あ、これ『裏ダンジョン』的なやつか?



 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!



『......うん。これで大丈夫。元の鉱山に戻った......』



 ━━━━━━━━━━━━━━━

 プレイヤー『ルナ』が『ドゥルム鉱山』を解放しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



 あ〜あ。



『......じゃあね、お兄さん。助けてくれてありがとう』


『オマエニ......サチアレ......』



 そういって『鉱山の思念』とゴーレム君がポリゴンとなって散った。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 称号『鉱山の解放者』を獲得しました。

 称号『守護者の加護』を獲得しました。

 称号『認められし者』を獲得しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「うわぁ......」



 そういうの、良くないよ。俺、そういうのはダメだと思うんだ。


 これさ......オンリーワンの称号だよな? いいの? そんな事してさ。不公平では?




「まぁ......貰っておこう。特別にはなりたいし」


「ルナ君、何貰ったの?」


「称号を3つ。それも固有っぽいやつ」


「おぉ〜、どんどん強くなれるね!」



「だな......あっ」



 閃いた。



「どうしたの?」


「いやな、他の誰かでもこの称号を取れると思ってな。これなら公平に楽しめるからさ」


「あ〜そういう事ね。でも、アレをまた見つけるの、無理じゃない?」


「せやなぁ。俺も偶然見つけたやつだし」




「父様父様、フーさんの妹さんは見つかりましたか?」


「まだ兄弟か分からんが、素材は貰ったよ」


「じゃあ、帰って作りますか?」


「あぁ。それにもうお昼だし、帰ってご飯食べよう」


「わかりました!」


「ごっはん〜!」




 こうして俺達は、王都まで帰る事にした。














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 ○○side




「あらあの子。認められちゃったわね」


「え? ホント?......うわホントじゃん。こっち来るのかな?」


「さぁ? 来ないと思うわよ? だってほら、あの狐ちゃんにゾッコンじゃない」


「確かに。いや〜あんな両思いの人間、中々いないよね〜」


「そうね。でもいいじゃない、稲荷(いなり)ちゃんが喜ぶわよ?」


「そうだね! じゃあ私、あの子の所に行ってくるよ」


「いいな〜私も行きた〜い!」


「ダメだよ。いくらあの2人がお気に入りでも、仕事放棄はダメ。私は仕事を終わらせたし、後継者もいるから行くんだもん」


「はぁ......しょうがないわね。もう少し我慢するわ」


「うん。それじゃあ、行ってきます!」


「行ってらっしゃい」




「ふふふ、お仕事頑張ろうっと。トトなら休憩時間に遊んでくれるかしら」

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最後の、一体誰なんだぁぁぁ!?


とまぁ、分っかりやすい人物が出てきちゃいましたね。


お姉さん口調の声と、元気な子の声。一体誰なんでしょうか。楽しみですね〜



ではでは次回、『神器の神器』リベンジです!お楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 称号が新しく出てきたのが良いですね。 [気になる点] 特にありません。 [一言] 新しい称号の効果や、武神スキルの効果を見てみたいですね。
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