家......家?
第4章のエピローグ的なやつです。
ほぼ雑談
ユアストの武術大会が終わり、ゴールデンウィーク4日目になった。
「朝......嫌い」
昨日、カーテンを開けっぱで寝たので、レースから入り込んでくる朝日が俺に刺さる。
「ご......はん」
作らないと。休日とはいえ、ちゃんと朝起きてご飯を食べないと。
健康な生活もできないのに、ゲームが上手くなるわけが無い......と思う。
「よし! 今日も1日頑張っぴ」
安息の地『オフトゥン』から出た。
「今日はサンドイッチな気分〜」
本日の朝ごはん、普通のハムレタスサンド。
......ではなく、オープンサンドにする。これなら失敗する事も殆ど無いし、簡単に作れて美味しいからな。
「パンに〜マヨを〜塗〜りま〜して〜」
「チーズをすっこし〜乗〜せちゃって〜」
「上にベーコン乗〜せま〜して〜」
「オーブントースターへぽぉぉぉん!!」
歌詞、急変。
「お、焼けてらぁ」
ちゃんとチーズが溶け、ベーコンにも火が通ってる。
「仕上げだベイベ〜、レタス、オン!」
トーストの上にちぎったレタスを乗せる。
「ラスト......何乗せよう。ノープランすぎた」
ちゃんと考えて作らないからこうなる。やっちまったな!
「マヨ、チーズにベーコンとレタス......もうこれで良くね? 順番ミスっただけだし......」
ってな訳でこれで完成だ。やったね!
「後は紅茶紅茶〜」
我、紅茶大好き星人なり。この世の紅茶、全てを愛している。
電気ケトルでお湯を沸かし、沸騰するまでに紅茶の用意をする。
「カップに茶葉どぅぅん」
ティーカップにダージリンのティーバッグを入れる。
「お湯をゆっくりドバァ」
カップにそっとお湯を注いでいく。
こうしないと茶葉から余分に成分が抽出されて、渋くなったりするんだよな。
「......よし、完☆璧」
綺麗な、透き通るオレンジ色の紅茶が出来た。
「いただきます」
テーブルにオープンサンドと紅茶を持っていき、頂く。
「ごちそうさまでした」
美味しかった。1番上がレタスって言う、見た目の問題さえ無ければ、これは傑作と言えるだろう。うん。
「よし、軽く掃除してからユアストやるか」
アップデート後、初めてのログインだ。楽しみだな。
「......リビングの掃除、完了です」
床に掃除機をかけ、テーブルを布巾で拭いたりしただけだけど、軽い掃除なのでこれでOKとする。
「あ〜、一応陽菜に聞いてみるか」
メールを送るとしよう。
陽菜はもうログインしたのかな? ってかログイン中なら返信来ないか。それで判断しよう。
『おはよう。アプデ後ログインした?』
「......ログイン中っぽいな」
数分待ったが、返信が来なかった。
すると――
ピコン!
「おやや?」
メールが返ってきたようだ。どうしたんでしょうかねぇ。
『寝てた。後でログインすませ』
「寝ぼけてらっしゃる。可愛い」
『すませ』って、多分『します』だよな? 指がまともに動いてないじゃないか。ははは!
『ゆっくり寝てください。ギルドホームとか色々チェックしておくんで、パッチリ目が覚めてきてからおいで』
『はう』
「『はい』すら打ててないんだから、ちゃんと寝てくれ」
それでも『はう』は可愛いな。好きだわ、『はう』
「じゃ、ログインしますかな。ゲームスタート!」
陽菜は後から来るだろうし、先にチェックしておこう。
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「おはよう世界」
「おはようございます、父様」
「おはようリル」
宿屋で目が覚めた。さぁ、アップデート情報は何かな?
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武術大会『刀術部門』の優勝賞品です。
・1,000万L
・『スキル書:武神』
・付喪神
・称号『武術大会:刀術部門優勝者』
武術大会『剣術部門』の優勝賞品です。
・1,000万L
・『スキル書:武神』
・付喪神
・称号『武術大会:剣術部門優勝者』
武術大会『魔法部門』の優勝賞品です。
・1,000万L
・『スキル書:マナ効率化』
・付喪神
・称号『武術大会:魔法部門優勝者』
武術大会『総合部門』の優勝賞品です。
・5,000万L
・『スキル書:魔〇術』
・『神器:グラジオラス』
・付喪神(上級神)
・特別ギルドホーム
・称号『武術大会:総合部門優勝者』
・称号『第1回イベント最強プレイヤー』
ギルドホームはギルド作成時に受け取り可能です。
『武神』スキルを複数所持した場合、進化します。
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「んはっ! 圧倒的情報量」
「どうされましたか?」
「リル、コレ見てみ?」
俺はそう言って、リルに優勝賞品を見せた。
「......確かに凄い情報量ですね。全て優勝しているからこそ、でもあるんでしょうけど」
「だな。次回は槍とか糸も出たいし、頑張らないと」
目指せ全部門制覇だ。これがしばらくの目標だな。
「じゃあスキル書からいこうか」
「おぉ、楽しみですね!」
「あぁ。フーに『マナ効率化』を教えて貰ったから、もっと楽しみだ......フー、降臨」
「呼ばれて来ましたフーちゃんです☆」
今度はアイドル衣装ですかい。
「あれ? 前の衣装と違うんだな。なんて言うかこう......キラキラが減って、フリフリが増えた?」
何か、以前のアイドル衣装との違和感を感じた。
「おうふ......良く気づきましたね......それ、普通の女の子なら落ちますよ?」
「んな訳ないだろ。こんなセリフで誰も落ちんわ。それにソルがいるんで、落ちられても困るだけだ」
モテたいとか、そういうことは思ったことがないな。
普通に生きて、普通に死ぬ予定だったから。
「「一途ですね〜」」
「逆にここでソル以外を見てたら、そいつの頭おかしいわ! あんな可愛くて賢くて優しくて暖かい人がいながら、他の人を見る? おかしいわ! そんな奴がいたら俺がぶん殴ってやるわァ!」
「え、えへへ、ありがとう、ルナ君」
「っヒィ! ソ、ソル?」
い、いつの間にログインしてた!? ってか今の聞かれた!? 聞かれたよね!?
「嬉しい。とっても嬉しいよ〜!!!」
「やぁめぇてぇ」
恥ずかしさがビッグバンを起こしてる。もう無理。
「うへへへへ〜」
「おはようございます、母様」
「おはようございますソルさん。良かったですね!」
「うん! 朝にこんなにハッピーになることは、そうそうないよ〜!」
んぬわぁぁぁ!! 恥ずい。恥ずいッピィ!
待て、落ち着くんだ。落ち着いてから発狂だ。虎になるんだ。詩を書くんだ。
「......そそそそれじゃあ、ギギ、ギルドを作りに行こう、か?」
「ん? どうしてギルドを?」
「え、えっとな。うんとな、ギルドホームを手に入れるにはな、ギルドがな、必要なんだよな」
「そうなんだね! なら早速行こっか!」
「うん」
マトモに喋れない。こういう時は、落ち着く何かに触れていよう。
うん、モフモフだな。モフモフに触れていればいいや。
「ちょ、ちょっとリル、おいで」
「はい。どうしましたか?父様」
「抱っこしていい?」
「はい!」
音速を超えそうなスピードでリルを抱っこした。
「モフいっすね。落ち着きます」
「えへへ〜初めて抱っこされました〜」
「リルちゃん、狡い......」
ソル、すまん。流石にソルを抱っこしてたら、周りからの目で俺が死ぬからさ。
「御三方、行きますよ〜。早くしないと、混みますよ?」
「「そうだった」」
という事で、現在リルを抱っこしてギルドに向かっている最中――
「なぁソル。めっちゃ見られてね?」
「見られてるね。タダでさえ昨日の事で目立つのに、リルちゃんを抱っこしてるから更に目立つね」
「う〜ん......リル、降りるか?」
リルが降リル......なんつって。
「嫌です」
リルがぎゅ〜っと抱きついて、離れない。
「えっ......ダメ? このままじゃ俺、周囲の目で死ぬよ?」
「嫌です。父様は死にません」
「いや死ぬから。社会的に死ぬから。ってかもう死んでるから。これから死体蹴りになるから」
「大丈夫です。そんな事をしようものなら、私が消します」
「おぉ、頼もしい......で、でもさ。とりあえず降りない?」
「嫌です」
困った。ワガママリルさんになってしまった。
流石にソルえもんはリルには効きにくいし、フーは完全に無効化されるだろう。
「リルちゃん。ワガママは時と場合によって使い分けるんだよ? ここでルナ君に言って抱っこしてもらっても、今後してくれなくなる可能性も考えてみて?
それならここで我慢して、次にいっぱい抱っこしてもらったら良いでしょ?」
おっとぉ? なんか俺の攻略法のアドバイスがリルに飛ばされたぞ〜?
「うっ......そうですね......分かりました。降ります」
「うん! 抱っこはダメでも、手は繋げるんだから良いでしょ?」
「はい!」
そう言ってリルは俺から降り、手を繋いだ。
「俺へのメタ思考、もう教えないでくれ......」
「ふふふっ、大丈夫だよ。こういう時しか言わないから......」
いやそれ、今後こういう事があったら言うって事だろ!?
「まぁ、いいや。ギルドに入ろう」
ソルと戦ったら、普通に負ける気がしてきたよ。
「や、ルナ。待ってたよ」
冒険者ギルドに入ったら、何故かギルドマスターのランザが出待ちしてた。
「お? ランザ? おはよう」
「うんおはよう。ソルさんもリルちゃんもおはよう。それと君は......」
あ、そういえばフーの事、知らなかったっけ。
「私はフーです。ルナさんのメイドやってます」
「え? メイド? ルナ、メイドを雇ったの? それにこの子、どう見てもメイドじゃないよね?」
分かる。アイドル衣装のメイドとか、犯罪臭するよな。
「今は格好が違うだけだ。それと、付喪神って知ってるか? フーはその、付喪神なんだ」
「えっ!? ってことは......女神様?」
「そうですよ〜! 元上級神です!」
「す、すみませんでした! 無礼な態度をとったこと、お許しください!」
え? 付喪神って、そういう扱いされるのか?
「気にしないでください。上級神とはいえ、『元』ですから」
「ありがとうございます」
ほぇ〜、付喪神とか神とか、そういうのよく分からんなぁ。
「それでランザ、どうして出待ちしてたんだ?」
「あ、そうそう! ルナ、ギルドを作ってないのにギルドホームを手に入れたろ? だからギルドを作るように言おうと思ってね」
「今から作りに来てたんだがな......ありがとう」
「いいさ。それに、ギルドホームまで案内しないといけないし」
「「「「案内?」」」」
え? 普通に『はいココです』って地図渡されて、俺達が行くんじゃないのか?
「そりゃ案内がいるよ。だって、あのホームは『家』というか......アレだから」
何かを匂わせる言い方だな。事が事だけに、めちゃくちゃ気になる。
「うわぁ〜めっちゃ気になる言い方をするじゃん。これは『お楽しみ』にしとけってことか?」
「そうだよ......じゃあ、早速ギルドを作ろうか」
「分かった」
何なんだろう、『アレ』って。特別ギルドホームってくらいだし、少し大きい家とかじゃないのかな?
そして俺達はカウンターに案内される。
「はい、これがギルド作成の紙ね。ギルドマスターとサブマスターがいれば作れる。それと付喪神やテイムモンスターに関しては書かなくていいよ」
「オッケー」
では少し話し合いを。
「ソル、どっちがギルドマスターやる?」
オレ、シゴト、キライ。デキレバ、ヤリタクナイ。
「ルナ君でいいんじゃない?」
「父様でいいと思います」
「ルナさんが妥当でしょう」
「ミ゜ッ」
ソルに聞いたら、リルとフーからも言われてしまった。
「し、しゃ〜ないなぁ。俺がやるしかないか」
「ルナ、別に仕事とかは無いから大丈夫だよ? あったとしても、ギルドメンバーが増える時の書類くらいだし」
「あっ、そうなの? ならやるわ」
そういうの、もっと早く教えてください。
「じゃあこれでいいね。ルナがギルドマスター、ソルさんがサブマスター。ギルド名が......決まってないじゃん」
「忘れてたわ」
シンプルに決めるのを忘れてた。
「ギルド名会議を始めます。案がある人、挙手をどうぞ」
「はい!」
「リルさん、どうぞ」
「ルナファミリーで」
「却下。次」
「はい!」
「フーさん、どうぞ」
「ルナとソルのイチャイチャギルドで」
「お前消すぞ? 次」
「は〜い!」
「ソルさん、どうぞ」
「スターライトとかどうかな?」
お!
「どうしてその名前を?」
「ほら、私は名前が太陽だし、ルナ君は月でしょ? だから、『星の光』って事で」
やべぇな。普通にいい案じゃないか。
どこぞの『ニヒル』よりしっくりくる。
「じゃあそれで」
「「「待って! / 待ってください!」」」
決定しようとしたら、3人に待ったをかけられた。
「どうした?」
「ルナ君の案は?」
「そうです。父様はどうお考えで?」
「ルナさん、なんて名前にしようとしてたんですか?」
う゛っ......待て、落ち着くんだ。別に少し『あぁ、こんなの良さそう』って思った案はあるが、ちょっと恥ずかしい。いや、めっちゃ恥ずかしい。
「い、言えない......」
「どうして?」
「恥ずかしいから」
「どうして恥ずかしいのですか?」
「名前がヤバいから」
「どんな名前ですか?」
「それは......ッ! 言わんぞぉ!」
あっぶねぇ。ポロッと言いかけた。すんごい中二感があって、嫌なんだよ!
「で、なんて思ってたんだい? ルナ」
「だから言わねぇって! もう『スターライト』でいいから! お願い! 頼む!」
「えぇ〜言わないと可決できないかなぁ」
「職権乱用じゃねぇか!」
「ほら、ルナ君。言っちゃお? 楽になれるよ?」
「そうだな。これ以上無いくらい恥ずかしい気持ちで、もはや楽になるだろうな!」
「大丈夫です父様。どんな名前でも気にしませんよ」
「俺が気にするのでダメなんだよ、リル」
「ルナさん、もう諦めましょう? 名前なんて、いっぱい思いつくものでしょう? 別にその1つを言うくらい、いいじゃないですか」
「だ〜め〜!」
嫌だ! 絶対に嫌なの! なんであんな名前を言わないといけないんだ!
「ならルナ君。もうお弁当無いよ?」
「言います」
参りました。完敗だ。それを言われたら、武術大会でも即降参だ。
「名前は?」
「ヴェ......『ヴェルテクス』」
「意味は?」
「頂点......」
「「「「普通に良いじゃん」」」」
「嫌なの〜!」
ちょっと中二感があって、これを名乗るのは嫌だ! これならスターライトの方がいい! 可愛いし!
「ルナ君、今からでも遅くない。ヴェルテクスにしよう」
「そうですよ! 総合部門でも優勝されたんですから、ピッタリです!」
「ですです! ルナさんに合ってますよ!」
「ん!? 総合部門、優勝したの!?」
......もう、なるようになるか。
「はい。ギルド名は『ヴェルテクス』でお願いします。ランザ、頼む」
「う、うん。ってか後で教えてね? 武術大会、優勝したの?」
「あぁ。その賞品のギルドホームを、これから受け取るところだ」
「な、なるほど......わかった。すぐに用意するよ」
そして3分後――
「はい、これでルナとソルさんはギルド『ヴェルテクス』のメンバーだね! これからも頑張れ!」
「はい!」
「討伐系しか受けないと思うけど、頑張るわ」
「あぁ、それでもいいさ! それじゃあギルドホームに案内するよ。着いてきて」
そう言われ、俺達はランザに着いて行った。
そして着いた先は......
「ここが『ヴェルテクス』のギルドホームだよ」
「「家......家?」」
目の前の巨大な物体。そう、これは――
「城じゃん!!!」
王城より少し小さい、だかそれでも大きい、『城』だった。
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名前:ルナ Lv79
所持金:805,240L→80,805,240L
種族:人間
職業:『剣士』『ヴェルテクス:ギルドマスター』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E) 魔法士
Pギルド:『ヴェルテクス』
HP:1,880<1,000>
MP:2,382<1,500>
STR:2,800(200SP)
INT: 800
VIT: 1,300(50SP)
DEX: 2,300(150SP)
AGI: 1,000(20SP)
LUC:400
CRT:50(限界値)
残りSP:370
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100
『魔剣術』Lv62
『王弓』Lv100
『魔弓術』Lv44
『武闘術』Lv100
『刀王』Lv100
『魔刀術』Lv100
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『火属性魔法』Lv100
『水属性魔法』Lv100
『風属性魔法』Lv100
『雷属性魔法』Lv100
『氷属性魔法』Lv100
『自然魔法』Lv100
『龍魔法』Lv94
『古代魔法』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv100
『神匠:金細工』Lv100
『裁縫』Lv99
『調薬』Lv1
『神匠:付与』Lv100
『木工』Lv1
『料理』Lv15
『錬金術』Lv97
その他
『テイム』Lv2
『不死鳥化』Lv7
<>内アクセサリーの固定増加値
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第4章まで読んでいただき、ありがとうございました!
この章は今までで1番長く、50話も続きましたね!
準備から始まり、生産やレベリング、大会と。激動でしたね!
さて、5章についてですが、5章では主に冒険者としての活動や『アレ』に関してのお話となります。
『アレ』のヒントは『リルのステータス』ですかね!
それでは皆さん、第5章でお会いしましょう!まったね〜!